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第4回全国レクリエーション…劇団四季ミュージカル「アナと雪の女王」
昨年度はコロナ禍により実施できなかった念願のMAA全国レクリエーション、2022年度は劇団四季『アナと雪の女王』観劇会を無事執り行うことができました。
劇場二階席より。開演数分前まで静止画撮影OKでした。嬉しいですね。
全国レクの東京開催は実は初めて。総勢10名、全国各地からMAA会員が駆け付けてくれました。今回は会員外のゲストも7名お招きし、うちお一方には観劇後の感想会(感染症対策の上で開催)にもご参加いただき、大いに盛り上がりました。
打ち震えるほどの感動。
四季のアナ雪を一言で表現するならば、こんなTVCMみたいなベタなフレーズしか筆者には思い浮かびません。しかしそれは四季のアナ雪に対してこそ、こんなストレートなフレーズを大声で(心の中の大声で)叫びまくりたいほどに感動した、という事実に他ならないのであります。
最先端のテクノロジーに彩られた演出、長年積み重ねられてきたであろう洗練された匠の技、卓越した圧倒的パフォーマンス、愛を感じるホスピタリティ、これらの想像を遥かに超えた高いレベルでの融合。
この感動と興奮を生み出してくれた要因を一言で説明するならば、さしずめ上記のような感じでしょうか。おっと、もはや一言では言い表せていませんね!こんな時はボキャブラリー豊かなMAA会員の感想会でのコメントを引用することが読者にとって(筆者が楽をする上でも)安牌でございましょう。
「映画で味わった感動をそのままにベストな形で演劇に昇華してくれた」
「アナ雪は歌しか知らなかったけれどこれほど素晴らしい物語とは」
「ミュージカルは初めてだったけれどフォーメーションの見事さに感動した」
「あの瞬く間もない場面転換の仕掛けが分からなかった?ああ自分は知っているとも」
「えっ、あの場面はエルサの魔法じゃなくて仕掛けがあったんだ!(半笑い)」
などなど。紙面の都合上多くを割愛せざるを得ないのが残念ですが、多角的な観点から刺激的な感想や知見を共有し「頭の辞書をブラッシュアップ」(これも参加者のコメントより)できるのがMAAの醍醐味です。
全体の概要としては以上、読者各位もぜひ劇場に赴き、マスクを涙で濡らすことを心からオススメします。
さて、ここからは各論を少々深めて参りましょう。
まずお伝えしたいのが、プロジェクションマッピングをはじめとした最新テクノロジーの素晴らしさ。先ほどのコメントにあった「エルサの魔法?」はあながち冗談ではなく、オペラグラスで凝視してなお舞台はファンタジーそのものでした。MAAでは過去2019年に劇団四季『パリのアメリカ人』観劇レクを実施しましたが、当時と比較すると物語性の違いによる演出の華やかさを差し引いても、短期間での大幅な技術発展を感じます。
次に、今回訪れた「JR東日本四季劇場[春]」は劇団四季専用に造られており、舞台サイズ、ギミック、360°の音響含め完璧という他ありません。三次元的に組み合わせた精巧な舞台装置や、ほぼ自動で移動する大道具により暗転などの"つなぎ"が一切なく、最初から最後までとことん没頭できる最高の体験を味わうことができました。
二階客席からの眺めは冒頭に掲載した写真の通りクリアで、視界を遮るものは何もありません。小さなお子さんには目線を高くするための座布団を配布する優しいホスピタリティもありました。ホスピタリティで言えば開演前の場内アナウンスも素敵でした。「もしお子様が騒がれるようなことがありましたら…」に続くのはなんと「ロビーのスクリーンにてご鑑賞ください」というメッセージ。観客を決して排除しない配慮が行き届いています。
そして何よりもキャストによる圧巻のパフォーマンス。これまた完璧としか言いようがありません。目まぐるしくも美しく踊りながらの台詞は一言一句胸を打ち、豊かなコーラスを従えての「生まれてはじめて」を経て"レリゴー"を迎えると、心の震えは全身の細胞と涙腺を揺るがして止みません。観劇後にパンフレットをめくると、一つの役に対し概ね3〜5名のキャストが名を連ねていました。この層の厚さが超ロングランを実現し、かつクオリティに波がないとなれば感嘆の極みです。
2022年11月19日昼の部のキャストさん達。
音楽は舞台下に構えたオーケストラによる生演奏。演奏班の中で唯一舞台を視界に収める指揮者の下、一糸乱れぬ世界観を贅沢に醸し出していました。聞くところによるとオーケストラピットにもオラフのぬいぐるみが置かれていたようで、ほっこりしちゃいますね。
まだまだ吐露したい感動は山積していますが、そろそろ筆を置くことと致しましょう。筆者は割と短めに文章をまとめたい方なのですが、気が付けばこの文量。書いても書いても興奮醒めやらぬ体験は久しぶりです。
真に優れたエンターテインメントに触れると何かこう、"心のトゲが抜けて行く"ような感覚を味わうことがあります。非日常の体験が日常の苦楽をリセットしてくれる…というよりはむしろ、エンターテインメントはそれぞれの人生の一部として地続きに、そして強力に伴走してくれるものではないでしょうか。いわゆる"推し活"が生きるための文字通り"活力"に直結するように、劇団四季もそんなパワーと救いをファンに届け続けてくれているのだと思います。
MAAはこれからもこうした体験を共有すべく活動を展開して行きます。ご興味を持っていただけましたらぜひ、最寄りの会員にお声がけください。
既知を広げ、未知に触れ、文化と呼吸する。今の人生にさらりとしたオプションを。(記:A.W)
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第24回インターバルレクリエーション…芥川賞・直木賞感想会
第24回目となるMAAインターバルレクリエーションは、2022年上半期の芥川賞、直木賞の受賞作について感想を語り合う催しとして開催しました。
芥川賞と直木賞、読書好きの人でも、この2つの文学賞の違いについて、あまりよく知らない(この文章を書いている自分も、実はよくわかってませんでした)人は少なくないと思います。そこで、今回のレクリエーションレポートでは、2つの文学賞の違いをおさらいしつつ、受賞作の紹介と感想会の様子をレポしていきます。
まず、芥川賞と直木賞、どっちが格上なの?という話を、身近でよく聞きます。実際には、対象とする小説の種類が違うので、格上も格下もないわけですが、人というものは同じ対象に2つ以上の賞があると、順位付けをしたがるもののようです。
ちなみに、私の身近では芥川賞の方が格上、と考える人が多いのですが、それはおそらく、次の段で述べることが影響してるのかな?と想像しています。ま、本を読む側としては、文学賞の格付けなんて、どうでもいいんですけどね。人それぞれ、面白いものがその人にとってのいい作品。文学賞は、良書にたどり着くための道標のうちのひとつ、ではないかと。
さて、芥川賞と直木賞の違いですが・・・。
芥川賞が、「純文学」(=読者に媚びず純粋な芸術を目指した文学作品。哲学・私学を含む広義の文学に対し、美的形成を主とした詩歌・小説・戯曲などの作品の類。)を対象とした文学賞であるのに対して、直木賞は、「大衆小説」(=大衆の興味や理解力に重点を置いて書かれた文学。時代小説・推理小説・SF・風俗小説・家庭小説・ユーモア小説・少年少女小説などの類。大衆文芸。)を対象としている、という点で、そもそもの対象が異なります。
(出展:「コトバンク」三省堂 大辞林 第三版)
・・・なんか頭いい人ぶって(笑)、辞書の引用までしてダラダラと書きましたが、簡単に言えば、
「純文学」
=文章の美しさや表現の多彩さを重視する文学
「大衆小説」
=エンターテイメント性やわかりやすさを重視する文学
と言い換えることができるでしょう。
そういう前提で、2022年度上期の受賞作を紹介します。
「芥川賞」
:「おいしいごはんが食べられますように」著・高瀬隼子
「直木賞」
:「夜に星を放つ」著・窪美澄
余談ですが、タイトルだけ見たとき、「これ、受賞作、逆じゃね?」と思うくらい、芥川賞の受賞作タイトルに違和感を感じたのは私だけでしょうか?あくまでも、タイトルだけですが。
次に、それぞれの受賞作について感じたことを書かせていただきます。
「芥川賞:おいしいごはんが食べられますように」
どこか「柔らかい」印象を受けるタイトルですが、純文学らしい表現の美しさや、深堀りしなければ理解が難しい文章でつづられるのは、一般的な「普通」とは少し違う主人公とそれを取り巻く人間模様。程度の差こそあれ、「ああ、こんな人いるよね」と会社勤めの人なら、どこかで経験したことがありそうな、日常の中にある人間の「負」の部分が描かれており、個人的な感想ですが、いかにも「芥川賞らしい」作品でした。
「直木賞:夜に星を放つ」
五編の短編を一冊にまとめた作品。同じ時期に執筆されたわけではなく、各短編の執筆時期はバラバラです。ただ、各編がタイトルにある「星」や「星座」をモチーフにもしていることと「人とのつながり」を描いているという点で共通しており、一冊にまとめたことに対する納得感がありました。
これもまた個人的な感想ですが、読みやすいけど、主人公たちをもうちょっと幸せにしてほしいと感じた作品でした。
あとは実際に読んだ人それぞれで感じることも思うことも違うと思いますので、このレポを読まれて、少しでも興味を持った方は、本を手に取っていただければと思います。
ここまでは私個人の世界。ここからは、2022年9月10日に開催したオンラインレクリエーションの様子を簡単に書いていきます。・・・と言いつつ、いきなり閑話を挟みますが、コロナウイルスの流行を機に始まったZoomでのオンラインレクリエーションも数を重ね、ずいぶん慣れてきました。コロナウイルス流行の功罪は、罪の方が圧倒的に多いわけですが、唯一、功と言えるのは、多くのMAAのメンバーが在住する地域以外の地方メンバーもリアルタイムで参加できるようになったこと、でしょうか。
かくいう私も遠隔地に住んでいるので、自宅に居ながらにしてメンバーと交流できることは、大きな収穫だと感じています。
閑話休題。本編です。
参加メンバーの中には、2作品とも読んだ人、1作品だけ読んだ人、時間がなくて途中までしか読んでいない人、と作品の読了状態は様々でしたが、それでも問題ないのがMAAの懐の深さ(笑)。人の意見を聞いて考える、ということこそが重要なので、意見を聞いてから気になった本を読んでもいいわけですからね。
メンバーそれぞれが感じたことで、共通していたのは、「芥川賞作品は、読後感がもやもやした」ということでしょう。
作者自身が、「創作のきっかけは“ムカつく”こと」だと語っていますが、日常にあるもやもや、イライラ、そういったものを文章に昇華させているのだと考えると、読後に、もやもやしたものを感じた、というのは、作者の狙い通りなのかもしれません。
昨年度も2021年度上期の芥川賞受賞作品で同様のレクリエーションを開催しましたが、一人ひとり注目した部分がそれぞれ異なっていて、それはそれで楽しかったのですが、今年は皆が声をそろえて「もやもやした」なので、ある意味、見事なものだと感じます。
一方の直木賞作品は、「読みやすい」、「コロナ禍の今を表現した秀作(真夜中のアボカド)」など、おおむね好意的な意見も多かったのが特徴的でした。
ただ短編ゆえに展開が唐突だったり、描き切れていないような部分を感じた方も多く、少し浅い感じがあったのは否めないというのが、メンバーの感想を集約したところでしょうか。
恥ずかしながら、作者である窪美澄さんについては全く知らなかったので、今回のレポを書くにあたって少し調べてみたところ、「心の内面をえぐるようなアクの強い作風」が持ち味の作家さんだそうで、今回の受賞作はこれまでの作品と比べると「おとなしい」、言葉を選ばずに言えば、「少し物足りない」部類に入るようです。
確かに、文章は心の表面をなぞるような表現で、登場人物の心の内側は読者の感性に委ねているような印象を受けました。各編の主人公が少年や少女、比較的若い世代の人物になっているので、敢えてそういう表現をしたのではないかな、と思います。
最後に、MAAメンバーにこの作品を二度読みしたいか、という質問がありましたが、ほぼ全員が「二度はない(笑)」だったのが、MAAの総意ということで、今回のレポートは締めくくりたいと思います。
今後も、良書との出会いを心待ちにしながら。記:katahofuzuki
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第23回インターバルレクリエーション…東京国立博物館 沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」を巡ろう【ニコニコ美術館】アーカイブ視聴 + 感想会
2022/07/23(土)MAAではオンラインにてインターバルレクリエーション『東京国立博物館 沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」を巡ろう【ニコニコ美術館】アーカイブ視聴 + 感想会』を行いました。
ニコニコ生放送にて放映される美術館巡りの放送(ニコニコ美術館、以下ニコ美 https://ch.nicovideo.jp/niconicomuseum )にて放送された、『東京国立博物館 特別展「琉球」』の紹介放送のアーカイブを事前に視聴し、その意見や感想をオンラインで述べ合うという趣旨の会となりました。このブロマガでは、その時の様子などをお伝えしたいと思います。
実は私(uehatsu)は、このインターバルレクリエーション(以下インレク)の前に、実際に東京国立博物館で『特別展「琉球」』を見ています。以前より、うちの奥さんが琉球文化に興味を持っており、仕事を休んで平日に2人で行って来ました。平日のわりには混んでいる印象でしたが、実際に会場に入ってみると展示物にボリュームがあり、色々な角度から「琉球」を体感できた良い展示でした。
- uehatsu撮影 -
現地では多くの展示で写真撮影が許されていたのですが、展示を目で見ることに一生懸命になっていたのか、上の一枚しか写真に収めていませんでした。さらに展示物のボリュームに圧倒されていたのか、本来なら購入する図録も買い損じるという失敗をしてしまったのでした。それだけ熱量を持って展示を見ていたという事でしょうか、、、
さて、何度かブロマガではオンライン感想会の流れを紹介していますが、改めて流れをまとめておきたいと思います。
1. 事前に(もしくはその場で)オンラインのコンテンツを視聴2. ホームページや図録などを画面に共有しながら各会員ごとに意見や感想を述べ合う
3. その後、フリーディスカッションを行い、意見交換を深める
4. 二次会(当会では「二枠目」と呼称)にてドリンクなどを飲みつつ、インレクの感想を織り交ぜながら歓談
今回はニコ美の視聴時間が長い(2時間オーバー)だったため、事前のコンテンツ視聴を行っての集合し、感想会となりました。
(公式ホームページ https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/ より)感想会では沢山の意見や感想が出ましたが、その中でもアイヌ文化と比較しての意見のうち、ごく一部を抜粋してみます。
・以前のインレクで見たアイヌ文化(第20回インターバルレクリエーション…ニコニコ美術館「ウポポイ国立アイヌ民族博物館を巡ろう」 https://ch.nicovideo.jp/musiumart/blomaga/ar2087536 )と比べるときらびやかで、アイヌ文化が静であれば、琉球文化は動のイメージがあった
・色使いが綺麗、アイヌの衣装などの模様の多彩さとは違った良さがあった
・ひらがなや漢字を借りて琉球の言葉を表しているのは、アイヌ語にも共通していると感じた
北のアイヌ文化と南の琉球文化を比較する意見の他にも、衣装や装具のきらびやかさ、刀剣(千代金丸)の美しさ、また実際に現地に住まわれていた会員様からは現地での体験や感じた事なども交えての意見を頂けました。
(公式ホームページ https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/exhibition/ より)今回も大変有意義なインレクが行えました。『特別展「琉球」』は、まだニコ美で鑑賞が可能ですし、2022/09/04(日)までは九州国立博物館で巡回展示が行われています。興味のある方はオンラインまたは現地にて鑑賞をしてみてはいかがでしょうか。
2022/07/31(日)uehatsu記
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