岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/12/06
今日は、2019/11/17配信の岡田斗司夫ゼミ「ジブリ都市伝説の謎を解け!&大好評サイコパス人生相談」からハイライトをお届けします。
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今日ね、たぶん「悩みのるつぼ」の講演動画を公開したからだと思うんですけど、いつもと違う感じの人生相談、特に女の人からの人生相談がすごく多いんです。
「友達ともう1度仲良くなりたい」という相談。ペンネーム友さんからです。
【画像】友達とまた仲良くなりたい
こんにちは。大学四回生の友です。いつも放送楽しんで見せていただいております。特にジブリ回は楽しみにしています!!
私には高校1年生の頃から仲の良い同性の友達がいます。私も友人も相思相愛で、一段と気が合い、どちらかに性的な感情が湧くならば結婚しようとお互い考えるくらいでした。
20の誕生日にはお互いアルバムやビデオを作りあいディズニーで2日間かけて祝いあったり、お互いのためならどこまででもしているような友人関係でした。
これ、後でわかってくるんですけども、友さんは女性です。
女性同士なんですね。どこかに性的な感情が動くんだったら「もう女同士でも構わない、結婚しようか!」と考えていたくらいの友達だそうです。
まあ、男同士で仲が良かったとしても、2人で結婚を考えてたとしても、ディズニーランドでアルバムやビデオを作り合ったりは、あんまりしないと思うので。
しかし、今年の7月くらいから私は好奇心が今まで以上に強くなり様々なことをするようになりました。また、今までに比べて”考える”ことができるようになりました。
大学の授業をたくさん取り積極的に授業に参加し教授と仲良くなったり、コンサートを開いたり友達と遊んだり充実しています。
しかし、私と同じ授業を取ってくれた友人は、いつも授業中も寝て、何を話しても「そうやんな!」「わかる!」「すごいよな!」などと具体的な言葉がない、曖昧な言葉ばかりの返信で中身のある話になりません。
いつからこんなに会話ができなくなったのだろうと感じるようになりました。もっと前までは少し話しただけで笑いが止まらなくなり、楽しくて楽しくて仕方がなかったのに……。
私はその友人が大好きでもっともっと一緒に授業をとったりピアノ連弾をしたり話したりしたいです。少し前まではみんなと笑い合っていてキラキラしていたのに最近はすごく地味な子たちとずっと一緒にいたり、整形したい。とずっと言っていたりどんどん暗い人間になってます。
ピアノ連弾……。ああ。
なんかね、ちょっとこの辺から、僕は「ん?」って思ってきたんですけどもね。
「キラキラしてたのに」って、アハハ(笑)。まあ、いいや。
どうしたら元の友人に戻るのでしょうか?
私が今こう感じていると言うべきなのでしょうか?友人はすごくプライドが高く自己肯定感が低くメンタルが弱いのであまりズバズバ言うと本当に関係が崩れそうな気がします。
もとの関係に近づくには私がどうしたら良いか教えてください。
あのね、うーん、これ……。
申し訳ないですけど、さっきからね、なぜ僕が時々止まったり、笑ったりしていたのかと言うと、この逆の話はやたら聞くんですよ。
というか、僕の周りにいる人や、このゼミを見ている人は、この逆で「何やら高校から大学に入ってから、友達がやたらキラキラしてきやがった」とか「それに比べて俺は、なんて地味な趣味に……」っていう、そっちじゃないかと思うんですけども。
幼馴染みで、高校までは仲が良かったんだけど、友達がどんどんキラキラ友達の世界に行ってしまった、と。何かすごく意味ありげに楽しそうで、「ああだこうだ」って話を聞かせてくれるんだけど、どうも自分は、そういう話を、なんかセミナーっぽく感じてしまうというか(笑)。
いや、僕も「友達もそうだ」と断言するつもりはないんですけど。どうも、そんな感じがするんですよね。
「幼馴染みで仲が良かった」とのことなんですけど、その友達は、ようやっと本心を出して来たんだと思うんですね。
つまり、もともと地味で、外見に自信がない、暗い人間だったんですよ。
でも、友さんという友達が出来たおかげで、高校時代はわりと頑張って、友さんの方に合わせてキラキラの方に行ってたんですよ。
それはそれで楽しかったというのも、たぶん本当なんです。楽しいのは本当なんですけど、20代で、なんか大学卒業が近づいて来ると、やっぱり本来の自分が出て来ちゃうわけですね。
もともと、そんなに明るくて楽しい人じゃなくて、どちらかと言うと、友さんから見ると「自己否定が強くて、暗い性格」なのかもわからないんですけど、他人に対しても警戒心のある人だと思うんですけども。それでも、一生懸命、友さんに合わせてきたわけですよ。
なので、ここから先、取れる行動は2つ。1つ目は「友達を元に戻しちゃう」。2つ目は「前のように仲良くなる」。この2択だと思うんですね。
「友達を以前のように戻した上で、仲良くなりたい」というのは、あなたの勝手な妄想であって、決めつけなんです。
このどちらかなら、出来るんですよ。「友達を、元のキラキラして積極的で明るい状態にする」のか? または「仲良くなる」のか? このどちらかです。
もし、元に戻したいんだったら、その友達に「あんた、そっちに行っても幸せはないわよ。あんたが本当は暗いのは薄々感じていた。でも、ここで若気の至りで暗い方へ行ったら、生涯そっちの方へ行くから、ここは無理してでもキラキラになりなさい!」とガンガン説得して「生涯、偽装を貫け!」と言う。
これはこれで、本当に1つの方法なんですよ。そうやって生きている人もいるし、30、40を超えたら、どっちでもよくなるんですよ。
だから、その友達に「いや、現実問題、生きる上であんたもモテた方がいいし。そんなに可愛くないって自分では思うかもわからないんだけど、そんなもん、整形とかしなくても、まずメイクでなんとかなるレベルだし。そんなことばっかり言うのをやめりゃあ何とかなるわよ」と言って、いわゆるキラキラした世界の方へ引き上げるタイプね。
で、2つ目は「あなたも暗くなる」というタイプですね。
これは、友さんの中で、友達の言っていることがわかる部分だけに付き合って「わかるわかる」と言ってあげるという意味じゃないんですよ。
「あなたも暗くなって、整形ばかりしたくなって、一緒に落ちて行く」ということです。そんな方法もあります。
どっちが正解というのはないんですけど。これは友情というのとは関係なくて「どっちが好きか?」です。
「関係性を保ちたいのか? それとも、前の状態の友達の方が好きなのか?」という選択の問題になってきますで、お任せします。
ステッカーを差し上げますので、お待ちください。
・・・
最後の相談です。
「フィクションしか楽しめない」。ハンドルネームともさんからのお便り。またともさんだ。
【画像】フィクションしか楽しめない
ニコ生ゼミをいつも楽しみにしています。
前回の「千と千尋の神隠し」もとても興味深く視聴させて頂きました。特に「冒険で人が変わるのではなく、事実によって人は変わる」という所が、フィクションに触れることで冒険を疑似体験していると思っていた身には、特に刺さりました。
私は現在療養中で、また連絡を取り合う友人などもいないために、家事などの時間以外はほとんどを読書や映画、アニメ、ゲームなどで気を紛らわせています。
どこか私の中で、数々の物語が、現実の私の在りように良い影響を与えてくれれば、という期待を持っていたようです。
しかしそうした影響はとくに見られない上に、近頃ではフィクションをなぜ受けるのかなど分析的に捉えてしまったり、純粋に感動することができないようになってしまいました。
そこには、いくら物語を自分の中に取り込んでも、体調が良くなるわけではないという当たり前の事実もあるかとも思います。
また、大量の物語を一度に消費してしまったというのも原因かもしれません。
かといって、上に挙げた映画やアニメくらいしか楽しみがないというのもあり、この先フィクションとどのように付き合っていけば良いのかと気になっております。
御回答よろしくお願い致します。
うーんとね、あまり一般性のない質問なんですけど……あっ、結構「あるある」ってコメントがあるな。あるあるなんだ。
ええとね、僕が先週話した「冒険で人が変わることはなくて、事実によって人が変わる」というの、もうちょっと説明しますね。冒険というよりフィクションの冒険という意味なんですけど。
フィクションで得られる気付きというのは、使えるものと使えないものがあるんですよ。全部が使えないわけじゃなくて、使えるものと使えないものがある。
「使えるもの」というのは何かと言うと、自分の経験を再解釈する時に「あっ!」と思えるものがある。
例えば、「昔、友達にあんなことを言った」という本当の経験があったとして。今日、あるマンガを読んで、その中のセリフにドキッとした。「ああ、これはかつて自分が友達に言ったのと同じセリフだ!」と。こうやってドキッとすることによって「以前の自分はこうだったんだ」と反省するということがあるわけですね。
これは使える例なんですよ。つまり使えるフィクションですね。こういう場合は、フィクションであっても、ちゃんと人間は変わるんです。
それは、かつて自分の中に、それに対応する現実の経験があるから。だから、「あっ!」と気付いて人間は変わることが出来る。
逆に、使えないものというのは何かというと、肉体修練とか、自分の意に沿わない人間関係そのものをフィクションを読んでなんとかしようとする場合ですね。
これ、よくあるんですよ。例えば、自分だけでマルクス全集を読んだり、共産主義宣言を読んだりして、家族関係とか会社をいっぺんに変えようとしてもダメなんですね。自分の中に気付きがあったからといって、それで他人の行動が変わったりしないんですよ。そうじゃなくて、自分が浮くだけなんですよね。
例えば、カンフー映画を見るじゃないですか。カンフー映画を見ると、自分が強くなった気がするんですけど、映画を見ても強くはならないんですよね。
フィクションの刺激で強くなる場合、「映画を見て感動する → 強くなる」じゃなくて、「映画を見て感動する → 武道を練習する → 実際に強くなる」というふうに、間にワンクッション入るんですよ。間に1つ事実が入るわけですね。
だから『千と千尋』の千尋が、どんな経験をして、どんないい子に成長しようが、両親がその気にならないと、あの家庭というのは変わらないんですね。ちょっと今のカンフーの話とズレちゃうんですけども。
映画を見た時に「主人公が成長した。私も成長した」と思っても、まず自分自身がそういう経験をしていないから、変われない。
ただ、「あんな経験をしなきゃいけないな!」という気付きだけはあるわけです。その上で、そういう経験を自分の中で何日か何週間か続けていると、ジワジワと変わってくるんです。
ところが、宮崎駿というのは、もっと冷たい人間なので「千尋があの中で冒険して、人間的に成長したとしても、残念ながらその成長は家族の崩壊という事実を食い止める力はないんだよ」言ってるんですね。
しかし、「妹が生まれるというのは、家族全員の経験なので、それは関係が変わるきっかけになる」というふうにも描いているわけです。
なので、ともさんが映画やアニメを見ても、療養している立場とか体調には、やっぱり何の役にも立たないんですよ。
それを見て、アニメやマンガやゲームをして、そこで何かを決意して、毎日の食生活とか毎日の運動とか、実際の経験を続ければ、その分だけ現実も変わる、生活は変わるわけなんです。
だから、フィクションは役に立たないわけではないんですけど、役に立つものにするためには、フィクションと現実との間に、行動、動作の連続、訓練が必要だ、と。まあ、そういうことになります。
すみません、当たり前のことを言ってしまって。
記事全文は、アーカイブサイトでお読みいただけます。
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