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家具職人が暮らす、木の香りに包まれたDIY部屋(立川市武蔵砂川)|みんなの部屋
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家具職人が暮らす、木の香りに包まれたDIY部屋(立川市武蔵砂川)|みんなの部屋

2017-04-04 06:00
    人気連載「みんなの部屋」vol.64。部屋づくりのアイデア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスする。

    東京都立川市、西武拝島線の武蔵砂川駅。駅前には住宅街や畑、雑木林が広がり、東京とは思えないのどかな風景が広がっている。ゆったり歩くこと約10分、上質な無垢材家具を製作する「KOMA(コマ)」の家具職人、平塚さんが暮らす家にたどり着いた。アパートを外から見てみると、「この部屋だな」とすぐに分かるDIYが施されたベランダが。ワクワクしながら一歩部屋に入ると、心地よい木の香りと、こだわりを感じさせる空間が広がっていた。

    名前:平塚剛史さん
    職業:KOMA・家具職人
    場所:立川市武蔵砂川
    面積:23.4㎡ 1K
    家賃:32,000円
    築年数:築30年

    お気に入りの場所

    壁一面にDIYした棚




    宮崎県出身の平塚さんは、建築学部のある大学を卒業後、福岡で建築系の会社に就職。その後上京し、オーダー無垢材家具工房・KOMAに入社した。そのとき、福岡から持ってきたのがこの棚だ。

    「ホームセンターで売っていたスギとパイン材で作りました。サイズが合わないところは東京に来てから木を継ぎ足してDIYしています。家具作りの道具や本、洋服など物が多いので、壁全面を使って収納してますね」

    読書や仕事に没頭するソファ


    家にいる時間の多くを、このソファで過ごす。建築やインテリアの書籍、漫画まで、本好きな平塚さんはここで読書をしたり、家具のアイデアを練って図面を引いたり。傍らにある2本のギターは、家で弾くことはほとんどないそうだが、板にフックを取り付けたDIY収納が便利そう。

    この部屋に決めた理由


    KOMAに入社する際、社長に「1軒目で決めてこい」と言われて契約したこの部屋。最低条件は職場から近いこと、キッチンが広いことだった。

    「もともと料理が好きで、福岡にいた頃はよく自炊していたので、電気コンロしかないキッチンは嫌だったんです。最近は忙しくてあまり作れていないですけど、得意なのはチキンカレーとか、豆が好きなのでポークビーンズもよく作りますし、雑穀米とか……若い頃とは好みが変わってきましたね(笑)」

    残念なところ

    地面が近くて、虫が入ってくる

    「1階で地面が近いので、窓を開けるとダンゴムシやクモが入ってきて、いつの間にか部屋の中で生き絶えてたりします(笑)」

    もう少し部屋が広いと嬉しい



    物が多いので部屋がもっと広いと嬉しい、とのことだが、DIYと収納上手さで、きちんと収まっている印象。靴が入りきらなくなってきた靴箱は、大家さんに許可を取ったので、時間があるときにDIYする予定だそう。

    お気に入りのアイテム

    フローリング端材で作った小物たち



    友人宅をリフォームしたときに余ったフローリング材を使った小物入れや、栗の木を加工したコースター、ウォールナットを使ったカード入れなど、すべて自身による手作り。

    若手職人コーナーに置く、試作のコートハンガー


    木目が美しいコートハンガーは、栗の木を使い、留め具なしで作ったもの。まだ試作段階で、ここから面取りなどの加工をして、もっと表情を出すのだという。

    「荻窪にあるKOMAのショールームに若手職人のコーナーがあって、自分で作ったものを置けるんです。空いた時間にアイデアを溜めて、試行錯誤して作っています」

    ロッキングチェアなど、試作した椅子



    ウォールナットで作った椅子は、素人目には試作と分からないほど、美しくなめらかな曲線を描いている。布を組み合わせたロッキングチェアも、布の色合いがスタイリッシュで、しかも折りたためるのが便利そうだ。しかし、これも製品としてのレベルをクリアしていないのだというから驚く。

    「細かいところがまだまだですね。製品として出せない椅子を持ち帰って、改良すべく日々研究しています」

    太陽光に反応する「RADIO METER」と、バリゴ社の温湿気圧計


    太陽の光を当てると中の羽パーツがクルクル回る、工学士ジェラルド・フォーゲルがデザインしたドイツ製「RADIO METER」と、ドイツ・バリゴ社の温湿気圧計は、いずれもガラス製で、KOMAの職人たちからのプレゼント。

    ±0(プラスマイナスゼロ)のトースター

    4〜5年前から愛用しているトースターは「±0」のもの。残念ながら現在は発売していないが、白の色合いとシンプルなフォルムがかわいくて気に入っているという。

    暮らしのアイデア:生活感を払拭する工夫

    ゴミ出し表は手描きイラストで


    出かけるときに見返して忘れないように確認できるゴミ出し表は、平塚さんによる手描きイラスト。生活感が出がちなゴミ出し表も、こうするとかわいらしく、見るたびに愛着が湧きそうだ。

    調味料は、既存のパッケージからワインボトルに入れ替える


    キッチンに並んだワインボトル。飲みかけのワインかと思いきや、近寄ってみると「みりん」「Sake」と調味料の名前が記してある。ワインの空き瓶を調味料入れにすると、生活感が抑えられるだけでなく、サイズや形状が統一されて収納しやすそう。

    塗装用のハケで掃除を

    キッチンのチェストに置いてある、もらいものの塗装用のハケは、掃除用に使っているそう。意外と埃がよく取れるのだとか。

    DIYのコツ

    失敗を恐れずにチャレンジすること


    部屋の外の木材は、雨避けと目隠しとして機能している。また、室内の限られたスペースを有効活用するため、壁一面にDIYの棚を配置するなど、家具職人ならではの工夫を随所に感じる平塚さんの部屋。素人が真似するには、コツがあるのだろうか?

    「最近はYouTubeにDIYの動画がたくさん上がっているので、そこでやり方を見てみたり、インテリア本で作りたいものを探して真似してみるのもいいと思います。材料は、ジョイフル本田スーパービバホームなどの大きいホームセンターに行けば専門的な材料があるので、オススメです。あとは失敗を恐れずにやることですかね。僕も、椅子を試作するのに何度も失敗して形にしますので、なんでもいいからまずは挑戦してみれば、コツが分かってくるので」

    これからの暮らし

    「引っ越しは考えていないので、しばらくはこの部屋で過ごしますかね。まずは、物が多すぎるので、もっと減らしたいです(笑)」

    「ものが多い」「雑多」と繰り返し言っていた平塚さんだが、部屋は統一感があり、雑多さが気にならなかった。そのキーになるのは、素材や色を絞り、収納する物の種類をまとめ、そして生活感のあるアイテムを置かないことかもしれない。ちょっとした工夫で部屋をより居心地よくするヒントが、平塚さんの部屋には散りばめられている気がした。



    本のような木材見本

    「みんなの部屋」バックナンバー

    約100種類の植物のために選んだ、ルーフバルコニー付き物件(元住吉)
    レトロ一軒家を好きにリノベする、建築男子のシェアハウス(三軒茶屋)
    「自分が心地いいこと」を重視した、本屋さんのDIY術(世田谷区深沢)



    Photographed by Yutaro Yamaguchi

    RSSブログ情報:https://www.roomie.jp/2017/04/378852/
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