ポートランドを州都とするオレゴン州は、全米屈指のビールの街。
2013年の1年間にオレゴン州で醸造されたビールの量は140万バレルで、そのうち、50万バレルを州内で消費。つまり、オレゴンでは、ビールも「地産地消」というわけです。(The Oregon Brewers Guildの調査結果)
ポートランドには、地元で人気の「Burnside Brewing Company」、「Deschutes Brewery」、「Hopworks Urban Brewery」、コクのあるウィスキーのような味わいが特徴の「Lucky Labrador Brewing Company」、30年物のレアなビールで知られる「BRIDGEPORT Brewing」など、55カ所もの醸造所があり、その多くはビアバーが併設されています。
たとえば、ポートランド北西にある醸造所「Stormbreaker Brewing」のビアバーでは、ペール・エール、スタウト、IPA(インディア・ペールエール)が楽しめ、夕方には、一日の疲れを癒そうというお客さんたちが、どこからともなくやってきます。
オーダーする前に、気になる銘柄を試飲することもできますし、「喉越しのさわやかなもの」とか、「コクがあるけど、後味がさっぱりしたもの」など、自分の好みを伝えて、お店の人におすすめを選んでもらうのも、ビアバーならではの楽しみ方。
ポートランドのビアバーやカフェでは、醸造法や銘柄の異なる複数のビールを少しづついただける「利きビール」もあります。
色の違いを目で楽しみ、香りの違いを鼻で確かめ、苦みや喉越しを口の中で感じてみましょう。きっと、ビールの奥深さに気づかされますよ。
また、ポートランドには、地元のビール愛好家とともに「より多くの人々に愛されるビールをつくろう」と取り組む醸造所もあります。
ポートランド南東の醸造所「Base Camp Brewing Company」は、オレゴンのホップ農園「Indie Hops」やオレゴン州立大学(Oregon State University)と共同で、2014年7月12日、「PROTOHOP FESTIVAL」と呼ばれる試飲会を開催。
オレゴン州北西部ウィラメットバレーで収穫されたばかりのホップを原料とする11種類のビールを試飲し、品評し合う、ビール愛好家にはうれしいイベントです。
Base Camp Brewing Companyでは、このイベントで得た参加者からのフィードバックをもとに、今後、本格的な商品化を目指すそう。
地元の原材料を使い、地元の消費者の声をもとに開発・製造され、やがて地元の人々に届けられるビール。
ポートランドらしい、地元に根ざした商品開発の事例としても、興味深いですね。
Photographed by Yukiko Matsuoka