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第5テーマ「水素社会に必要な科学技術」(12月5日開講)は,岩谷産業株式会社(以下,岩谷産業と略します)の中央研究所(兵庫県)の荘所正先生に講座を担当していただきました。

内容について,背景,実験の2回に分けてお届けします。
今回は実験『水素と二酸化炭素の性質』について考えてみましょう。

1 達成目標を設定しよう
今回の内容について整理しましょう

最終目標(Why)
次世代エネルギーである水素や温室効果ガスである二酸化炭素について理解を深める。

具体的な目的(How) 
・水素と二酸化炭素の特性を知る。
・燃料電池を知る。
・次世代エネルギーとしての水素の利用法を体験する。

計画(What)
・水を電気分解して電気を作る実験
・水素と二酸化炭素の性質を確認する実験
・水素社会を体験する
の3つを通じて,水素エネルギーについて理解を深める。

実験① 水を電気分解しよう!
前のブロマガで説明した,水を電気分解して水素を作り,水素から電気を作る方法を実験で確かめました。

(1)くらべよう! −対照実験−
科学は基準の学問です。そのため,実験で,もっとも大事なのは『くらべる』ことです。実験の結果が,ほんとうに実験によるものなのか,そうではないのかを知るためには『くらべなければなりません』。そこで,まず『くらべる』ための実験をしました。

①プラカップに,鉛筆の芯をさし,水と少量の食塩を入れました(どうして食塩が必要なのでしょうか?疑問はどこにでもありますね)。
②鉛筆の芯にワニ口クリップケーブルで,LEDを接続しました。

結果:LEDは光りませんでした
この結果は重要です。もし,電気分解していない状態でLEDが光ったとしたら,電気分解で発生した水素から電気ができるとはいえなくなるからです

(2)電気分解する!
いよいよ実験開始です。(1)②のLEDを外して角型電池につなぎかえます。これで,水の電気分解がはじまります。

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図1 電気分解で水から水素と酸素が発生

すぐ鉛筆の芯から気体が発生し始めました。赤いクリップの方が,黒いクリップよりも多く気体が発生していました。電極,気体の発生量から,どちらが水素か確認できそうですね。

(3)発電する!
角型電池を外してLEDにつなぎかえます。

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図2 電気分解した水でLEDが点灯

結果:LEDが点灯しました。

この結果は(1)とちがいますね。つまり,電気分解によってつくり出したエネルギーを使って発電しているのです。

何が起こっているのでしょうか?
電気分解で,水から水素と酸素をつくり出しました。

水 → 水素 + 酸素

そして,つくり出した水素と酸素から水ができる過程で,化学反応のエネルギーを電気エネルギーとして取り出すことができたのです。

水素 + 酸素   →   水
        電気発生

水素を使って発電しているのです。これが燃料電池のもっともかんたんな仕組みです。
実際の燃料電池では,もっとうまく電気を取り出す方法が日々研究されています。

実験② 水素と二酸化炭素の性質は?
次世代エネルギーの水素,地球温暖化を起こす二酸化炭素は,どんな性質を持っているのでしょうか。シャボン玉アントシアニンを使った実験で体験しました。

(1)浮く?沈む?
シャボン玉で遊んだとき,ふわふわと浮いたあと,地面に落ちて割れるのを見たことがあるでしょう。このシャボン玉には,あなたの『呼気(はいた息)』が入っています。
では,シャボン玉のなかに『水素』や『二酸化炭素』が入っていたら,どうなるのでしょうか?

・軽い!
水素は,気体の中でもっとも軽い性質を持っています

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図3 水素は真上に上がっていきます

結果:水素を入れたシャボン玉は,天井に向かって真っ直ぐに飛んでいきます。水素の『軽い気体』としての性質は,シャボン玉で確かめることができます。

・重い!
二酸化炭素は,大気中にある気体のなかでは重い方です

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図4 二酸化炭素は真下に落ちていきます

結果:二酸化炭素を入れたシャボン玉は,地面に向かって真っ直ぐに落ちます。二酸化炭素の『重い気体』としての性質もシャボン玉で確かめることができます。

・燃える!
水素は,化学反応しやすい気体です。酸素ともよく反応するので,かんたんに言えば『燃えます』。この性質をうまく利用しているのが,ロケットです。ロケットは水素と酸素との爆発的な化学反応−私たちは,これを『燃える』と呼んでいます−によって,ロケットを宇宙まで運ぶエネルギーを得るのです。

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図5 水素シャボン玉は燃えます

結果:水素を入れたシャボン玉に火をつけると,シャボン玉は燃え上がります。

・燃えない!
二酸化炭素は炭素が酸素と化学反応したあとの気体です。つまり,これ以上は酸素と反応できませんので,かんたんに言えば『燃えません』。この性質をうまく利用しているのが消火器です。二酸化炭素で,まわりの酸素をふきとばして火を消すのです。さらに気体ですからあとに残りません。
結果:二酸化炭素を入れたシャボン玉に火をつけると,シャボン玉が熱で割れるだけで終わります。

(2)二酸化炭素は水に溶ける
二酸化炭素は水に溶けます。これを一番かんたんに確認する方法は炭酸飲料です。開けるとプシュッと音がして,気体がシュワシュワと出てきますこの気体が二酸化炭素です。そこで,この二酸化炭素が水に溶ける現象を実験で確認してみましょう。

①ムラサキキャベツから青紫色の色素(アントシアニン)を煮出す。
②ペットボトルなどのフタができる容器に入れる。

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図6 最初のアントシアニン溶液(青紫色)

③二酸化炭素をふきこむ(ドライアイスや重曹も使えるでしょう)。
④一生懸命ふる

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図7 青紫色の溶液を振ると……

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図8 赤紫色になって,ペットボトルが凹みました

結果1:青紫色の液体は,一生懸命ふると赤紫色になりました。
これは,二酸化炭素が水に溶けて,水が酸性になったからです。

酸性?

そうです。炭酸飲料を飲んだときにチリチリと感じる刺激は,酸性だからなのですね。

結果2:容器は凹んでしまいました。
これも二酸化炭素が水に溶けたことが原因です。
気体が水に溶けたので,溶けた分だけ体積が小さくなりました。しかし,フタが閉まっているので,体積が小さくなった分だけ,容器が凹んだのです。つまり,もしドライアイスや重曹でおなじ実験を行ったとすると,ちがう結果になる可能性があります(どうなるのでしょうか?ナゾは身近にありますね)。

実験③ 水素のエネルギーを実感しよう!
水素について実験を通して考えたので,今度は水素エネルギーの利用について実感しましょう。

(1)模型を使った水素社会
岩谷産業株式会社様が自作された
・燃料電池模型自動車
・水素ステーション模型
をつかって,水素社会をシミュレーションしました。

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図9 燃料電池模型自動車

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図10 水素ステーション模型(後ろに水素ボンベがあります)

水素ステーションから燃料電池模型自動車に水素を充填しました。
※模型自動車では水素は後ろの風船に充填されています。
スイッチを入れると,模型自動車は(これも手作りの)コースを走り始めました。あと20年くらい経つと,この風景はふつうに見られるようになるかもしれません。

ここで不思議な事が。

模型自動車の走る速度が速いのです。ふつうのミニ四駆に近い速度で走っています。
燃料電池の模型自動車はたくさん市販されていますが,どれもゆっくりと走ります。
荘所先生によると
市販品は遅くてつまらないので,100均で買ってきた車体に良い燃料電池を無理矢理のせて速く走るようにした
そうです。だから自作の燃料電池模型自動車だったのですね。
研究では,こうした遊び心も大事です。

(2)ロケット
こちらも岩谷産業株式会社様が自作されたロケットモデルを使わせていただきました。
ロケットの発射台に,水素と酸素を充填して,着火ボタンを押すと……

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図11 水素ロケット

ポンッという音とともに,ロケットは発射されます。これが大きなスケールになると,衛星や宇宙飛行士を運んでいくのです。

(3)燃料電池自転車
四国岩谷産業株式会社様が自作された燃料電池を実感するモデルです。
「市販の予定はないので,ありものをくっつけて作った」
とおっしゃっておられましたが,燃料電池のすごさを誰にでも実感できる教材だと思います。
いまのところ公道を走ることができませんが,海外では市販に向けた燃料電池自転車が開発されています。

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図12 燃料電池自転車

電気が発生しない状態では,とても重い自転車ですが,燃料電池が動いていると軽快に走ることができます。受講生や大学生は電動自転車になれていないのか,だいぶ苦戦していましたが,軽快な乗り心地でした。

(4)燃料電池自動車MIRAIとCLARITY
四国岩谷産業様にトヨタ自動車のMIRAIと本田技研工業のCLARITYの2台をお借りすることができました。子どもたちは試乗したり,愛媛トヨタ自動車様に説明を受けたりして,次代の科学技術を存分に体験しました。

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図13 本田技研工業のCLARITY

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図14 トヨタ自動車のMIRAI

うしろと助手席をそれぞれ乗りくらべるなど,受講生は体験を通して熱心に水素社会について考えました。

インタビューしよう!
体験のあとに,荘所研究員にインタビューしました。すでに課題2で公開しているものをふくめ,さまざまな質問を通して,受講生は水素社会に必要な科学技術について理解を深めました。

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図15 荘所研究員にインタビュー

水素社会の到来と,そこで必要とされる科学技術についてイメージできたでしょうか?
最終目標と具体的な目的は,どこまで達成されたでしょうか?

2020年の東京オリンピックに向けて,水素社会の到来は加速しています。愛媛県には,まだ水素ステーションの建設計画はありませんが,これを機会に整備に進んでくれることを願っています。

あなたは,未来の社会でどんなことをしてみたいですか。それは夢物語ではなく,20年後に現実になるものです。明確な目標を持つことが大事です。
第5テーマ「水素社会に必要な科学技術」(12月5日開講)は,岩谷産業株式会社(以下,岩谷産業と略します)の中央研究所(兵庫県)の荘所正先生に講座を担当していただきました。

内容について,背景,実験の2回に分けてお届けします。
今回は背景,『なぜ水素が重要なのか』について考えてみましょう。

1 『主婦の味方』岩谷産業株式会社
岩谷産業は,LPガスやカセットコンロなどを中心としたエネルギー事業を行っている,わたしたちの生活にとても身近な会社です。「主婦をかまどから開放する」という理念で,エネルギー事業を推進してきた,主婦の強い味方です。これからの季節,お鍋をする機会は多いと思います。カセットコンロに『iwatani』と書いてあるかどうかを確認してみましょう。

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図1 むかしは煮炊きするために,かまどが必要でした。火をおこすのはとても大変です。

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図2 ガスコンロが使えるようになって,料理はとても楽になりました。

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図3 カセットコンロでもIwataniは活躍しています

岩谷産業は,こうした身近な分野だけでなく,水素などの産業ガスもあつかっています。今回の実施では,四国岩谷産業株式会社様にご紹介をいただいて,岩谷産業中央研究所から荘所正研究員に来学していただけることになりました。

2 私たちの便利な暮らしを支えるエネルギー
産業革命以降,私たちの生活はどんどん便利に,豊かになってきました。こうした現代社会の便利な生活は,多くのエネルギーによって支えられています。そして,現在,そのエネルギー源として化石燃料が利用されています。輸送用エネルギーでは石油,電気エネルギーでは石炭などが多く使われています。これらの化石燃料を燃焼させることによって,私たちは多くのエネルギーを手に入れて,安全で快適で便利な暮らしを送ることができるようになりました。

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図4 私たちの便利な暮らしはエネルギーによって支えられています

3 石燃料を燃やすと,なにがおこる?
化石燃料は,植物や微生物からできていますので,炭素と水素をふくむ化合物です。化石燃料を燃やすと,以下のような反応が起こっています。

化石燃料 + 酸素 → 二酸化炭素 + 水蒸気

つまり,燃焼によって二酸化炭素が発生します。

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図5 灯油を燃やしても二酸化炭素が出ます

私たちの暮らしが便利になるにしたがって,二酸化炭素の量は増えていき,二酸化炭素の大気濃度は産業革命以降1.4倍になってしまいました。二酸化炭素が増えていった,この100年間で世界の平均気温は約0.7℃上がっています。このままでは二酸化炭素によって大きな気候の変化が起こり,多くの人の暮らしに影響が出てしまうかもしれません。そのため,世界で話し合いがすすめられ,1997年の京都議定書,2015年のパリ協定で,二酸化炭素を出す量をへらし,これ以上,気温が上がるのをおさえようという決定がされました。

5 便利な暮らしを捨てられる?
地球温暖化を防ぐために,一番かんたんな方法は,便利な暮らしをあきらめることです。

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図6 地球のために便利な暮らしを捨てる?

私たちの生活を江戸時代くらいまでもどせば,いまよりもずっと少ないエネルギーで暮らしていくことができます。そのためには,みなさんが生まれてきてから当たり前に思っている生活(そう,インターネットも!)を,あきらめなければなりません。それは大変なことです。そこで,私たちの暮らしを守りつつ,できるだけ地球環境を変えないようなエネルギーが求められています。

6 地球環境を大きく変えないエネルギー
地球環境を守る次世代エネルギーとして注目されているのが『水素』なのです。

水素の利点①:反応後に出てくるのは水だけ!
水素から電気エネルギーを取り出すときの化学反応は以下の通りです。

水素 + 酸素 → 水

酸素は,大気中に無限に存在します。水素から電気エネルギーを取り出したあとには,水しかできません。そのため,水素から電気エネルギーを生み出すときには,地球環境に大きな負担をかけません。そして,この水を電気分解で,水素にもどせば,新しい物質を使わずに(もちろんエネルギーは使います),水素を生み出すことができます。

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図7 燃料電池フォークリフトの排水口(画面下にある銀色のバルブから排水します)

水素の利点② いろいろなやり方で得られる水素
水素はとても軽い気体で,反応しやすい物質でもありますから,大気中にはほとんどありません。つまり,使うための水素を作り出さなければなりません。しかし,心配はいりません。水素を作る方法はいくつもあります。

①水の電気分解
②産業の副成物
③化石燃料

①水の電気分解は,中学校2年生で習います。電気エネルギーで水を水素と酸素に分解する反応です。

②鉄鋼業や化学産業では,製品を作る過程で水素が副成物として得られます。むかしから企業は得られた水素を使って,製品を作ったりしています。

③水素はメタンから作ることもできます。これは水蒸気改質と呼ばれる方法で,たとえばエコキュートは,この水蒸気改質を使ってメタンから水素を作り,燃料電池を使って発電しています。

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図8 いろいろな水素の供給方法 出典:福島新エネルギー社会構想(資源エネルギー庁)

水素の利点③ 貯められるエネルギー!
生活を支えるエネルギーを考えるとき,一番大事なことは『エネルギーを貯めておける』ことです。エネルギーを貯めることで,必要なときに必要なだけエネルギーを使うことができるようになります。
ここで課題になるのは,電気エネルギーを貯めるのはむずかしいということです。電池は,使っていなくても少しずつエネルギーを放出しています。バッテリーの研究は進んでいますが,放電をゼロにすることはきわめてむずかしいのです。
水素は,エネルギーを加えないかぎり分子の状態で安定していますので,電気エネルギーとちがって,貯めることができるようになります。そこで,たとえば再生可能エネルギーから水素をつくりだすなど,電気エネルギーを水素の形にして貯めるという使い方が計画されています。

どうでしょうか?
水素の利点見えてきましたか?
第5テーマ「水素社会に必要な科学技術」の事前学習課題について,まとめましょう。

研究者とは,どんな人たちなのでしょうか?
あなたなら,どんなことを聞いてみたいですか?


課題2 (有効回答数36)
岩谷産業株式会社中央研究所の荘所研究員へのインタビューを考えよう!


1 みんなの質問は?
質問の内容を整理して以下に示します。内容が重複していた質問に関しては,ひとつのまめて文章を修正しています。みなさんのインタビューの内容は,大きく分けて
・水素について
・研究全般について
の2つの分けることができました。

水素についての質問
  1. 水素ステーションは、全国に何個あるのか?
  2. 水素ステーションを普及させるには何が障害になりますか?
  3. 水素ステーションを作る時、他のものと違い苦労する事は何ですか?
  4. 水素ステーションで1つの機械にどのくらいの水素を入れることが出来るのか?
  5. 今の水素燃料の燃費はガソリンと比べてどれくらい高いですか?
  6. 最初に水素に対応して動くようになったものは何ですか?
  7. 水素にはどんな新しい使い道があると思いますか?
  8. 水素を安全に使うために何に気をつけていますか?
  9. 水素電池は、事故をして電池が壊れたら爆発の危険はないのですか。?
  10. 11月30日のニュースでトヨタがカリフォルニア州ロングビーチに再生可能エネルギーから水素を生み出す大規模な施設を建設すると聞きました。日本では再生可能エネルギーから水素を生み出す施設はどのような所がありますか?
  11. 全ての車が水素自動車になれば、それだけで本当に二酸化炭素の量を減らすことができるのですか。
  12. 水素エネルギーとガソリンを燃焼させた時のパワーの違いはありますか?
  13. 水素ガスをもっと日本で活用するために、私たち小中学生にできること、してほしいことがあれば、どんなことがあるか教えてください。
  14. 水素社会化によって、水素エネルギーは日本の電気の何割を占めることになりますか?
  15. 燃料電池は家庭用の電力エネルギーとして使えますか?
  16. 家電なども水素電池を使ったものは、あるのですか?
  17. 水素を作る方法として,一番効率が良いのはどんな方法ですか?
  18. 荘所先生にとって水素のみりょくはなんですか。
  19. 水素を運ぶ時に一番気を付けないといけないことは何ですか?
  20. 2020年東京オリンピックで世界に発信したい水素エネルギーの技術はありますか?
  21. 燃料電池車の一回の走行のぶんに必要な水素はどのくらいですか。
  22. 燃料電池車と電気自動車では,どちらの電力消費が少ないのですか?
  23. 水素を圧縮して、乾電池のように持ち運ぶようにすることはできますか?
  24. 石油など、どんな資源を利用してもコストは、少なからずかかります。水素を利用する上でのコストは、石油と比べてどのくらい差があるのですか?
  25. 水素の利用効率がもっとも良いのは,どのような状況ですか?
  26. 水素と酸素から水を発生させる化学反応から電気エネルギーを取り出すことは、必要である物質が存在していれば、永遠にエネルギーとして発生させ、活用することは可能ですか?
  27. 水素燃料の開発は日本が世界の最先端と聞きました。その他の国で取り組みに熱心な国はありますか?
研究全般について
  1. なぜ、水素についての研究をしようと思ったのですか。
  2. 水素について研究するときに一番大変だったことはなんですか?
  3. 中央研究所で普段はどんな研究をされているのですか?
  4. 岩谷産業で水素ガスを作る設備で、安全性を十分確保してあることと思いますが、それでも気をつけなければならないことは、どんなことがありますか。
  5. 研究していくなかで実験をすると思うのですが今まで実験した中でどの実験が先生にとって一番意外で面白い結果、実験だった実験はなんですか?
  6. 自動車のほかに、水素エネルギーをどんなことで役立てていきたいですか。
  7. 今、水素エネルギーを研究していて、どんな問題(これからの課題)があると思いますか?
  8. 先生が思う水素の一番面白いところや、性質はなんですか?
  9. 僕は微生物の力をかりてごみから水素を取りだせたら環境にも優しくて良いなと思います。可能でしょうか?
  10. 未来のエネルギーが先生の見解で我々庶民に利用できるようになるのは何年後かとお思いですか。(先生の研究の進み具合等を踏まえてお願いします)
  11. 燃料電池は随分前に英国の学者により作られたことを僕は知っています。今はそこからどの様な進歩を遂げたのでしょうか。
  12. 水素について研究してきて、一番驚いたことはなんですか。
  13. 水素の研究をする上で、いつも注意していることは何ですか。
  14. まだ分かっていない新技術を見つける時にどのような方法で思いつきますか。
  15. 今までどんな研究をしてきましたか。
  16. これからどんなものを作っていきますか?
  17. これからの目標は何ですか?
  18. 研究で、どういうことが楽しいですか?
  19. 水素を扱えて一番「楽しい!」と思えた時はいつか。
  20. 研究において個人的に何が大事だと思うか
2 質問項目の傾向は?
質問について,見える化エンジン(プラスアルファ・コンサルティング)で分析してみましょう。

見える化エンジンは,こちらの解説記事か,以下の動画を見てください。


動画はYouTube版も公開されています(視聴はリンクをクリックしてください)。

すべての質問で出てきた単語の数の多い順番に並べると表1になります。

表1 単語ランキング
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岩谷産業株式会社様は,水素ステーションや液化水素のリーディングカンパニーですので,質問は水素(1位)や水素ステーション(3位),エネルギー(5位)に関するものが多いことがわかります。また,研究についてインタビューするため,研究する(2位)が多く入っています。

1 単語ランキングに,校種や男女間の差はある?
単語ランキングの小学校と中学校をくらべてみましょう。

表2 単語ランキングの小学校と中学校のちがい
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小学校と中学校,どちらも1位は水素でおなじでした。ステーションや使う,研究は,どちらも10位以内に入っています。

小学生と中学生のちがい
一番ちがうのは,『運ぶ』です。
この単語は小学校ではランキングに入っていませんが,中学校では5位に入っています。具体的な記述では,水素を運ぶ方法や安全性について興味があることがわかります。

男女ではどうでしょうか。単語のランキングをくらべてみましょう。

表2 単語ランキングの男女のちがい
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男女でも水素が1位になるのは変わりませんでした。

男女での大きなちがい
もっとも大きくちがいが出たのは『研究する』でした。女子は30%の記述で,研究という単語が出てきますが,男子では9%でした。研究するという単語は,荘所研究員の研究感や研究についての質問です。
これまでの分析結果とおなじように,記述からは女子は『人』を中心に見ていると考えることができそうです。

男女のちがい
女子の『なんだ』,男子の『何だ』は,疑問についてまとめられています。
『荘所先生にとって水素のみりょくはなんですか?』
『最初に水素に対応して動くようになったものは何ですか?』
女子の単語ランキングは20%,男子の単語ランキングは11%ですので,女子は『問いかける』質問が多いようです。この結果も,女子は『人』を中心に考えているためかもしれません。

2 ヒートマップで見てみよう!
単語ランキングだと,いまいちピンとこない。そういうこともあるでしょう。そこで,おなじ結果をヒートマップという方法で見てみましょう。

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図1 小学生と中学生のちがい −ヒートマップ−

ヒートマップは,色の濃いところの数が多くて熱い(HEAT),色がうすいところは数が少なくて寒いという見方です。ヒートマップは全体のちがいを見るときに役に立ちます。ヒートマップでは,中学生にしか出てこなかった『運ぶ』はありません。
小学生と中学生に共通してよく出てくる単語のちがいは,『研究する(上から2番目)』『ステーション(上から3番目)』『作る(下から3番目)』です。いずれも小学生の方がたくさん単語を使っています。

男女についても見てみましょう。

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図2 男女の違い −ヒートマップ−

ヒートマップの濃さがちがうのは,男女の数がちがうからです。一番ちがうのは『電気(一番下)』です。

男子の場合
質問例:『
水素社会化によって、水素エネルギーは日本の電気の何割を占めることになりますか』
考え:電気エネルギーへの応用についての興味がある。

女子の場合
質問例:『
水素ガスをもっと日本で活用するために、私たち小中学生にできること、してほしいことがあれば、どんなことがあるか、教えてください』
考え:電気エネルギーにかぎらず生活全般への影響に興味がある。

※『何だ』の色が大きくちがいますが,これはさきほど説明した『なんだ』と『何だ』が別々に数えられているために起こっています。

3 まとめると
小学校と中学校のちがい
小学生はさまざまなことに興味があって,質問がバラバラになりやすい。作るなどの工作系への興味がある。
中学生は,生活への影響などの社会的影響に興味があり,それらを解消する科学技術への期待や興味がある。

男子と女子の違い
男子は,物質や現象そのものへの興味が強く,電気エネルギーなど特定のものを思い浮かべて考える傾向が強い。
女子は,人や生活への興味が強く,その人が『なぜ』『どのように』研究をしているのかや,科学技術が生活そのものにどんな影響があるのかを考える傾向がある。

どうでしょうか?
これまでの結果もふりかえりつつ,小学生と中学生のちがい,男子と女子のちがいについて考えてみることをオススメします。
愛媛大学ジュニアドクター育成塾

このブログでは,国立大学法人愛媛大学が国立研究開発法人科学技術振興機構から受託している愛媛大学ジュニアドクター育成塾を紹介していきます。 科学や科学研究のおもしろさや重要な点を紹介し,科学者という仕事のおもしろさを伝えていければと思います。

著者イメージ

大橋淳史准教授

愛媛大学教育学部理科教育講座で化学を担当しています。元々は合成化学や分析化学,生物化学などをやりながら博士(理学)を取得して研究畑から,教育関係に来ました。専門研究者として11年,科学教育研究者として12年,研究人生はちょうど2分されています。いろいろなことをやってきたからこそ,何にでも興味をもてるという感覚を,みなさんにも理解してもらえればと思います。

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