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第2テーマ「食品の安全を守る科学技術」の事前学習課題について,まとめましょう。
このプログラムで学ぶことは,あなたの生活とかけはなれたムズカシイことではありません。2017年8月24日現在,病原性大腸菌の話題がニュースでも流れていますので,とてもホットな話題ですね。

課題1 (有効回答数50)
食品の安全を守る,長く食品を食べることのできる方法は,なにがありますか?
※条件がありましたね。冷蔵・冷凍技術をのぞく。1970年代以前。

回答を以下に示します。もっとも多かった回答は乾燥させることでした。つぎに多かったのは塩漬けやつけ物です。

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図1 課題1の回答

以下にいくつかの回答を紹介します。
1 乾燥(回答数27)
  • 食品を太陽の下で乾かすことによって、食品の中の水分がほとんど抜けていく。細菌は水の中で増えるため、水分がなければ腐りにくく出来る効果があるから。例えば魚の干物など。
  • 水分を減らして、食べ物の品質を守り、長持ちさせる。水は温度の影響を受けやすい。温度が上がると食べ物がいたむので、水分を減らしてまもる。また干すことにより軽く小さくなるので保存や移動が簡単にできる。例えば、切り干し大根、高野豆腐、干し椎茸、干し柿、レーズン、魚、カップラーメンなど。
  • 乾燥により、微生物が生きていくのに必要な水分を食品から取り 除く。そのことによって微生物が生きられない環境を作り出す。 天日干しをした干物や干し野菜などが挙げられる。
2 塩漬け(回答数15)
  • 食べ物を塩漬けにすると、腐らないのは、浸透圧の差を利用して食品の中の自由水を脱水して、水分活性を下げているため。雑菌が食品に入ってきたら、浸透圧現象により雑菌の体内の水分を奪って死滅させてしまったり、繁殖の速度をものすごく遅くさせたりする。
  • 腐敗しやすい肉や魚介類、野菜等を塩分濃度の高い状態におくことで、細菌を繁殖させにくくし保存する手段。魚介類では塩辛、野菜類では漬物の一種とされる。塩漬けが長期保存できるのは、食品に含まれる水分(自由水/食品中の成分と結合しない水分で、微生物が生育のため利用するもの)を奪い、水分活性を下げるから。
  • 塩は水分を吸い取るので、寄生虫からも水分を奪うことになるので、寄生虫が生きていける環境を崩して長く保存できるようにした。
3 発酵(回答数9)
  • 納豆やヨーグルトは発酵させていて、他の食品も漬け物を作るときの糠に入れると長く保存することが出来る。
  • 発酵させることにより、発酵菌で満たされ、雑菌が繁殖しづらい環境を作る。

4 缶詰(回答数6)

  • 製造段階で缶の中に入れた上で密封し、加熱殺菌によって中を無菌状態にしている。そのため微生物がいない。缶詰の缶が腐食するなどして空気が入らない限り、ずっと腐らないと考えられる。

5 井戸水や地下貯蔵庫(回答数4)

  • ぼくの、祖父母に聞きました。昔は、井戸水が冷たかったので、野菜などは井戸水で洗っていたそうです。風にあてると腐りにくかったので、食べ物を軒下につるして冷やしていたそうです。 食品の安全を守るために、一番は、使う量だけ買ってすぐ食べることが大切で、「くさらせないようにすること」と教わりました。
  • 温度変化の小さい地中の特性をいかし、野菜を保存するなど、食品の貯蔵に地中の空間が使われていた。地中は熱の影響を受けにくく、一年中17〜18℃に保たれている。 

6 その他(回答数3)

  • カツオには寄生虫が潜んでいることがあり、食中毒を起こす原因となった。寄生虫は身の奥には入り込まないので、表面だけを炙って、寄生虫を焼き殺し食中毒を防いだ。
  • 高温にすると細菌は死んでしまう。例えば牛乳の場合は130度で2秒間殺菌している。
  • 昔、祖父母は正月にたくさん作ったもちを水をはった容器に入れ、水中保存したそうだ。また、フランスでは、バターベルという陶器の容器にバターを水中保存している。水は、腐らないように頻繁に(少なくとも3日に1回)変え、容器は直射日光の当たらない涼しい場所に置く。酸素に触れず密閉状態を保つので傷みにくい。

みなさん,バリエーションに富んだ多様な内容で,全部ご紹介できないのが残念です。いくつか気になった点についてかんがえてみましょう。

A 乾燥は風味や食感が変わってしまう。
乾燥させた食品は,乾物,干物などとよばれていて,スーパーに行けばコーナーがあるくらい有名な長く安全に食べることのできる方法ですね。でも,たとえば柿と干し柿では,風味も食感もまるでちがいます。柿は好きだけど,干し柿は……という人も,逆のヒトもいるでしょう。乾燥させることは,食品を長く食べることができるようにしてくれますが,影響も大きいですね。

B 漬け物はくさらない?
漬け物は,長く安全を守るために開発された科学技術です。でも,最近の漬け物はくさることもあるのです。

なぜなのでしょうか?

そう。そういったギモンが重要です。漬け物は多くの場合,塩につけて作られます。昔は,これをそのまま食べていたのですが,非常に塩っ辛い上に,塩分のとりすぎが健康に悪いことがわかってきました。そこで,塩分を下げて健康に良い漬け物を作るようになったのです。減塩というヤツですね。

食塩をつかったのは,食品の安全を守るためだったのに,その食塩の量をへらしたのです。つまり,漬け物への私たちのかんがえが,食品の安全を守る科学技術から,おいしさを求める食品に変わったのです。しょっぱくない漬け物には食品の安全を守る役割はなくなってしまいました。健康と食品の安全,ふたつのバランスはどうするべきなのでしょうか。ムズカシイ問題ですね。

C くさると発酵のちがいは?
食品を発酵させると,くさりにくくなりますね。たとえばチーズがそうです。

では,「くさる」と「発酵」は,どうちがうのでしょうか?

くさるのは,食品を微生物が食べてしまうことによっておこります。たとえば,青カビがパンを食べるとパンに,青カビが生えます。
発酵は,食品を微生物が食べてしまうことによっておこります。たとえば,チーズを作るときに青カビで発酵を進めると,ブルーチーズになります。

おや? ふたつはどうちがうのでしょうか?

そうです。パンに青カビが生えることと,チーズを青カビで発酵してブルーチーズを作ることはまったくおなじです。ついでに言えば,カビとイースト菌はおなじ分類なので,カビが生えるのと,パン生地をふくらませるのもおなじことです。

じつは,くさることと,発酵することにちがいはありません。微生物が食品を食べたあと,私たちにとって良い効果があるときを発酵とよび,悪い効果があるときをくさるとよんでいるだけなのです。つまり,食品を発酵させると言うことは,別の微生物に食品を食べさせて,他の微生物が食べられないようにする方法なのです。早食い競争ということですね。

D 真空パックは大丈夫?
真空パックという答えがいくつかありました。まず,条件の確認が必要ですね。真空パックがつかわれるようになったのは,1970年代より前なのかを調べなければなりません。それは,あなたにおまかせするとして,いまは真空パックなら大丈夫なのかをかんがえてみましょう。

日本では,1984年に真空パックされた「からし蓮根」によるボツリヌス菌中毒事件がおこっています。くわしい内容は参考URLを見てください。

参考URL:からしれんこんによるボツリヌス中毒事件の概要
http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/05/05702.htm

この事件によって,真空パックの安全性は高められました。条件をもう一度確認しましょう。1970年代より前の方法として真空パックはふさわしいでしょうか。課題は,あなたが自分の力をのばすために行うものです。良くしらべて,かんがえることが重要です。

少数ですが,興味深い回答をとりあげてみましょう。
E パスツールによる低温殺菌の開発
回答:『高温にすると細菌は死んでしまう。例えば牛乳の場合は130度で2秒間殺菌している。』

解説:牛乳の殺菌方法ですね。これは超高温殺菌とよばれる方法です。これ以外にもいくつか方法がありますので,あなたも調べてほしいのですが,科学の歴史として取り上げておきたいのは,パスチャライゼーションとよばれる方法です。
これを開発したのはルイ・パスツール(フランスの生化学者)です。パスチャライゼーションは,微生物を害のない程度にまで減少させることを目的とした方法で,風味を変えずに,菌をへらすことができます。パスツール先生が,この方法を開発したのは,ワインがくさって酸っぱくなってしまう課題の解決をワイン業界(フランスと言えばワインです)からたのまれたからです。私たちの暮らしと科学技術の関係を学ぶとき,パスツール先生の業績は欠かすことはできませんね。

F 昔の人の知恵
回答:『昔、祖父母は正月にたくさん作ったもちを水をはった容器に入れ、水中保存したそうだ。また、フランスでは、バターベルという陶器の容器にバターを水中保存している。水は、腐らないように頻繁に(少なくとも3日に1回)変え、容器は直射日光の当たらない涼しい場所に置く。酸素に触れず密閉状態を保つので傷みにくい。』

解説:冷蔵庫が当たり前になる前の時代,食品の安全を守るのは,とてもムズカシイことでした。いろいろな工夫もありますが,一番大事なことは「くさる前に食べる」ことだったというお話はとても大事ですね。生まれたときから便利な生活をしていると感じませんが,私たちの生活のあらゆるところに科学技術があり,プログラミングや医療もふくめて,それらによって,私たちの生活は支えられているのです。

さいごに
人間は,パンやチーズ,ヨーグルトをつくったり,清酒,ミソ,しょう油など微生物を利用して,食の安全を守ってきました。この課題は,あなたが学ぶことは,決して生活とかけはなれたムズカシイことではないことを学ぶためのものでした。

あなたがふだん目にしていることにこそ,ナゾはあります。しかし,多くの人は,そのナゾに気づくことはありません。課題を「やらされる」のではなく,課題をとおして「学ぶ」ことで,広く興味関心をもつことが,ナゾに気づくために必要です。

約束を守ろう!
前回も今回も,課題には条件があります。条件をキチンと守りましょう。課題は「答えれば良い」わけではありません。学びをあなたの生活を結びつけてかんがえ,より良く理解するために行っています。課題の動画はなんどでも見直すことができますし,動画を止めて条件を書き写すこともできます。

8月6日に,ジュニアドクター育成塾事業「科学イノベーション挑戦講座」第1回,「見る,聞く,まとめる,伝える」を実施しました。今回の講師は,愛媛新聞社の報道部,白川英樹副部長にお願いしました。

1 はじめに
みなさんは『理系人材に新聞!?』とかんがえるかもしれません。どうして,新聞について学ぶ必要があったのでしょうか。そう,学習には目的がなくてはなりません。『なぜそうなるのか』という疑問は,理系分野の一番はじめにある問いです。

なぜ,生物がこのような進化をしたのか?
なぜ,この化学反応は起こるのか?
なぜ,地球や星々が生まれたのか?
なぜ,かさ袋ロケットは正確にコントロールできないのか?
なぜ,ロボットを動かすときの命令は決まっているのか?
なぜ,プログラミング言語はいくつもあるのか?
なぜ,病気になるのか?
なぜ,なぜ

『当たり前』なことなどなにもないのです。昔の人は月が満ち欠けをする理由も,太陽が毎日登ったり沈んだりする理由も知りませんでした。『なぜ』という問いをもち,『なぜ』を解消するために行動したからこそ,みなさんは,それを『当たり前』だと『思っている』のです。『おぼえている』ことと,『理解している』ことには,大きなちがいがあります。

話をもどしましょう。『なぜ』新聞なのかです。新聞記者は,まったく未知のできごとを取材して,だれにでもわかる言葉で,多くの人に伝えなければなりません。これは,このプログラムに参加する受講生のみなさんとおなじですね。知らないことを学び,理解を深めて,自分自身の力とする。そして,新聞をつくるということは,多くに人にとっての『なぜ』を意識して,『なぜそうなるのか』と興味をもってもらえる文章を書く必要があります。そうです。新聞を作ることは,理系分野にとって,もっとも必要な『なぜ』をかんがえる機会なのです。

2 ムズカシイをわかりやすいに
私たち研究者は,新聞社から取材を受ける側ですが,記者の方は物事を理解して,わかりやすくまとめる力に優れていると思います。研究者は,自分の仕事にこだわりがありますので,正確な表現を心がけています。しかし,その正確な表現は,ふつうの人にとって,とてもわかりにくいことがあるのです。

講師をつとめてくださった白川副部長によると,新聞記者は,そういったむずかしい話を聞いたとき,わからない点は何度も質問して,自分のなかで,だれにでもわかり,かつ興味をもって読めるように,話のイメージを作っていくそうです。

これは,研究でも,とても重要です。私たち研究者も新しいことをはじめるときは,わからないことだらけです。しかし「わからない」を良くかんがえ,「なに」が「どのように」わからないのかを明確にして,自分のなかでイメージを作り,「どうすれば」わからないことを知ることができるのかをかんがえるのが研究なのです。

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図1 愛媛新聞社報道部 白川副部長

図1では,愛媛大学から発表されたプレスリリースをもとに,記事作成について説明していただきました。愛媛大学は世界をリードする3つの研究センターをもっています。今回は地球深部ダイナミクス研究センターがNature誌(とても有名な学術雑誌です)に研究を掲載したプレスリリースについて取り上げていただきました。

プレスリリース
超高圧下で安定な新しい水酸化鉄の発見
―地球深部の水の循環に関する論文がNatureに掲載―

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の西真之助教、桑山靖弘助教(現東京大学大学院理学系研究科)、土屋旬准教授、土屋卓久教授の研究チームは、地球マントル深部の超高温高圧環境で安定な、鉄・水・酸素からなる新しい結晶構造の水酸化鉄(すいさんかてつ)の存在を世界で初めて明らかにしました。本研究結果は、水酸化鉄は地球マントル深部で脱水分解するという従来の学説を覆(くつがえ)す発見であり、いまだに解明されていない地球深部における水の循環を明らかにするための新たな知見となると期待されます。本研究は国際科学雑誌「Nature」の7月3日版(オンライン版)において発表されます。
※カッコ内のルビは大橋が追加しています。

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参考URL
https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/data_relese-58867/

省略しましたが,参考URLでは,もっとくわしい説明もされています。
従来の学説では予想されていなかった,まったく新しい事実を明らかにしたので,すばらしい成果です。しかし,この文章から,この研究がどうしてすごいのかを読み取るには,地球科学や化学について,ある程度の知識や経験が必要になりそうです。折角すばらしい研究をしたのですから,多くの人にそのすばらしさをわかってほしいですね。そこで,新聞社の出番です。

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図2 ムズカシイをわかりやすいに

新聞記者は,専門家にとってわかりやすい科学的な文章を,良くかんがえ,質問してイメージを作って,ふつうの人にとってわかりやすい一般的な文章に書きかえるのです。私たちが毎日さまざまなニュースにふれて,なんとなくわかった気になることができるのは,伝えるプロ,新聞社の働きがあってこそなのです。

プレスリリースが,どのような記事になったのかは,みなさんの目で確かめてください。

愛媛新聞社Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170704-04628901-ehime-l38

プレスリリースから紙面まで,どのように文章が変わるのかを知ることで,伝えるときになにが大事なのかが見えてきます。紙面では中学生でも理解できることを目標にして,わかりやすい表現で,多くの人にニュースを伝えていることを教えていただきました。

3 伝える力は5W1H
文章をわかりやすく伝えるためのコツはふたつあります。
A 短くまとめる
B 5W1Hで書く

A 紙面はかぎられていますから,そのなかでできるだけ多くの記事を伝えたいところです。また,長い記事を読むのは大変ですから,内容をかんたんにまとめて「こんな話をするよ」と伝えてから,くわしく書くと読みやすくなります。新聞では,こうした文章をリード文とよぶそうです。120文字くらいで,話のおもしろいところを伝えます。

B 5W1Hは英語の授業で習ったことがあるかもしれません。
 Why なぜ
 How どうやって
 Who だれが
 What なにを
 When いつ
 Where どこで
 やるのかを文章で示すことで,わかりやすく表現できるという方法です。

日本語は主語や述語を省いてしまうあいまいな書き方でも通じますが,英語はあいまいな書き方ができないので,英語の文章作成で習う基本です。そして,わかりやすくまとめるコツは,5W1Hで文章を書くことであることを,ご紹介いただきました。

これは広く理系の分野で必要とされるかんがえかたです。とくに研究を行うときには重要です。

 目的設定 なぜやるのか(Why)
 実験計画 どうやってやるのか(How)
 実験観察 だれが,なにを,いつ,どこでやるのか(Who,What,When,Where)
 結果   だれが,いつ,どこで,どんな結果を,どうやって得たのか(Who,When,Where,What,How)
 考察   なぜその結果がえられたのか,目的は達成されたのか(Why)

研究はつねに5W1Hのくり返しです。

4 リード文を作ろう!
話を聞いただけでは,ピンときません。理系人材として重要なことは手を動かすことです。頭のなかで確かなことも実際にやってみると,不確かであることは,選抜試験でのかさ袋ロケットの開発でわかっています。まずは,自分でやってみることが大事です。

受講生は白川副部長の指導にしたがって,4人1班ごとに架空の記事をつかって120文字のリード文をつくりました。リード文を自分で作れば良いのではなく,班で話し合いより良いリード文を作るべく活動を行いました。これまで経験したことがない活動でしたので,受講生はかなり苦戦しながら,すべての班がリード文を作成しました。作成したリード文は,全部の班が発表して,白川副部長からコメントをいただきました。

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図3 リード文の作成(自分で作り,話し合う)

5 他己紹介をしよう!
リード文のつくり方を学びましたので,つぎは学んだことを活かしましょう。そのためには,実際にインタビューをするのが一番です。全員がはじめて顔を合わせる機会でしたので,インタビューは他己紹介としました。他己紹介とは,インタビューした相手の紹介記事を書くものです。2人1組となって,相手についてインタビューして,4人1班ごとに紙面で紹介記事を作成しました。

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図4 相手をインタビューして紹介記事を書こう

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図5 紙面作成

他己紹介記事を1人1つ書き,リード文と見出しを作る必要があります。話し合って役割を分担して活動する必要があります。インタビューと紙面作りの時間は,1時間近くありましたが,残念ながら完成した班は半分程度でした。残り時間をかんがえながら,作業をする練習をしていきましょう。

6 発表しよう
終了時間で作業が終わったところまでで,各班の紙面を発表して,白川副部長にコメントをいただきました。ジュニアドクター育成塾は,理系人材育成事業ですので,紙面としてはそうした部分を強く打ち出すことが,伝える力としては重要です。インタビュー記事でも,理系分野での活躍を目指す人として紹介記事が書けたでしょうか。また,紙面として伝えるときは,文字の大きさや紙面全体のデザインも大事です。小さな文字は遠くからは見えません。伝える力をかんがえるときは,だれに,どうやって,伝えるかも重要ですね。
今回の紙面は個人情報が含まれますので,残念ながらくわしくご紹介することはできませんが,次回の紙面からは公開を予定しています。

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図6 白川副部長からコメントをいただきました

7 さいごに
愛媛新聞社様にご協力いただいた,第1回の内容について紹介しました。
新聞と理系分野。関係ないようでいて,大きな関係があることがわかったでしょうか。
これは,なぜ学校ではいろいろな教科を学ぶのかとも関係しています。あなたの能力を,うまくつかうためには,ひとつだけではなく,いろいろな力が必要なのです。

さまざまなことにたいして,あなたの興味があることと,どのように関係しているのかをかんがえることが大事です。

おもしろいことと,つまらないことは,コインの表と裏にすぎません。おもしろいと思えばおもしろいし,つまらないと思えばつまらないのです。あなたの好きなこと,たのしいことは,すべての物事と関係していると気づいたとき,あなたはあなたの力をうまくつかえるようになるのです。

だからこそ,このプログラムでは,広い分野について学んでいきます。それぞれが,あなたの興味とどうつながっているのかをかんがえることも,ひとつのたのしみかたですよ。

次回は,8月20日に愛媛大学で実施されます。
教育学部理科教育講座,大橋淳史准教授が担当し「食品の安全を守る科学技術」についてまなびます。
事前学習動画を公開していますので,参考にしてください。


ネット配信はVR配信で行っています。実際に参加しているような臨場感を得られるのではと期待しています。

第1回「見る,聞く,まとめる,伝える」の事前学習課題について,まとめましょう。

課題2 (有効回答数36)
あなたがインタビューする人
  • 趣味は実験や観察
  • 自由研究で賞を,なんども受賞したことがある
  • ジュニアドクター育成塾事業に参加している
  • 将来の夢は理系の研究者になる
このヒトのことを知るためのインタビューで必要な3つの質問は?
※実験講座で,かんがえた質問を使う場面がありました。事前学習は,このように講座での学びを深めるために行いますので,かならず受講前に行っておく必要があります。

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図1 課題2の回答

それぞれの質問について,代表的な例を3つずつあげます。

1 研究について聞く(回答数35)
  • これまでに自分がしてきた実験や観察で一番みんなに教えてあげたい研究は何ですか。
  • 研究で出た結果で,とくに驚いたことは何ですか。
  • どういう実験がすきで、これからチャレンジしてみたい実験はなんですか。
2 将来の夢を聞く(回答数15)
  • 将来,研究者となった際にどのような研究をしていると思いますか。
  • 将来科学をどのような場面で生かしていきたいか。
  • あなたが思い描く将来の研究者像とはどういったものですか。 また,具体的にこういう研究者になりたいと思う人がいるのであれば,その人も教えて下さい。
3 動機を聞く(回答数29)
  • どうして科学が好きなのか。
  • 科学には,物理学,化学,生物学,地学などがありますが,あなたはどの分野が一番好きですか。
  • なぜジュニアドクターに応募したのか。

4 その他(回答数29)

  • 科学者や研究者で誰が好きですか。
  • 自由な時間には何をしますか。
  • 理科の研究以外で好きな教科は何ですか。

みなさんの質問は,相手の研究内容や,研究が好きな動機を聞くものが多く,相手の将来像を聞くものが非常に少ないことが特徴です。どうしてなのでしょうか。この回答のちがいについてかんがえるのも,ひとつの研究です。たとえば,これを聞く相手が大学生だったら,結果は大きくちがうかもしれません。なぜなら,大学生にとっては「働く」という将来像は,みなさんよりも近くにあるからです。では,小学生と中学生と高校生と大学生,そして大学院生だと,相手の将来の夢を聞く回数にちがいがでるのでしょうか。こうしたことを数学的にかんがえるのが統計学(とうけいがく)という学問です。

まとめ
さて,どうして理系人材の育成プログラムで,インタビューの方法をかんがえる必要があったのでしょうか?
えっ!? インタビューができなくても理系の分野の能力には関係ない?

とんでもない!

理系人材育成事業の課題で,理系分野と関係のないことはしません。この課題は科学的思考力をはかるものです。もし,あなたがこの課題を文字どおりの「インタビュー」だとかんがえて,ちょっとふざけた(おもしろいと思う)質問を答えたのだとすれば,また,もし「理系の才能に,この課題は関係ない」と思っていい加減な回答をしたのだとすれば,あなたには広い興味や関心と科学的思考が不足していると言わざるを得ませんね。

この課題でかんがえたのは,あなたが,なにかを知りたいとき,どうすれば良いかという方法です。
人間は聞けば(だいたいの場合は)答えてくれますが,自然は物言わぬ相手です。私たちが,言葉で質問しても,なにも答えてはくれません。

では,物言わぬ相手から,あなたが知りたいことを聞くには,どうすれば良いでしょうか?

それには,質問のしかたを良くかんがえなければなりません。つまり,実験・観察の計画を良くかんがえなくてはなりません。選抜試験でわかったように,決められた時間で,目標を達成するためには,良くかんがえて,実行にうつさなくてはなりません。一方で,かんがえるばかりで手が動かなければ結果を出すことはできません。

今回の課題は,実験・観察の計画を立てるための最善手(最小の回数で最大の結果を出す方法)をかんがえることが目標でした。もう一度,あなたの回答を思い出してみてください。

あなたの回答は最善手になっていましたか?

愛媛大学ジュニアドクター育成塾

このブログでは,国立大学法人愛媛大学が国立研究開発法人科学技術振興機構から受託している愛媛大学ジュニアドクター育成塾を紹介していきます。 科学や科学研究のおもしろさや重要な点を紹介し,科学者という仕事のおもしろさを伝えていければと思います。

著者イメージ

大橋淳史准教授

愛媛大学教育学部理科教育講座で化学を担当しています。元々は合成化学や分析化学,生物化学などをやりながら博士(理学)を取得して研究畑から,教育関係に来ました。専門研究者として11年,科学教育研究者として12年,研究人生はちょうど2分されています。いろいろなことをやってきたからこそ,何にでも興味をもてるという感覚を,みなさんにも理解してもらえればと思います。

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