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キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 10
2013-11-13 00:0010 九十九(つくも)の見ている前で、久鬼が静かになっていった。 騒いでいた顎(あぎと)たちの声がおさまってゆき、猫が喉を鳴らすような、低い唸り声のような、甘えるような、そういう声を発するようになった。 獣毛が抜け落ちてゆく。 久鬼の全身から生えていたものが、ゆっくりと、身体の中に消えてゆく。 消えぬものも、あったが、それはまた別のものになってゆく。 それらが、背から生えた、一本ずつの青黒い腕となってゆく。 幾つかあった顔が、久鬼の顔の周囲に集まってゆく。 どこかで、見たことがある―― 九十九はそう思った。 顔が、幾つかある仏像。 腕が何本もある尊神。 獣のような、牙を生やした神。 不動明王? 大威徳明王、ヤマーンタカ? 久鬼は、そのような姿となった。 巫炎(ふえん)の翼が、ばさりと振られた。 久鬼の翼が、ばさりと動く。 ふたりの身体が、ふわりと草の上に浮きあがった。 ゆっくりと
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