私は1993年大使としてタシケントに赴任しました。赴任時最初に待ち受けていたのは、絵画のモデルになることでした。ウズベキスタンは独立した後、芸術家協会が主催して、各国の初代大使の肖像画を描いておこうという構想です。これを契機にウズベキスタンの多くの画家と知り合いました。その内、タタール系女流画家ガンバローバとその夫チューブと知り合います。ガンバローバはきれいな色彩の絵を描いいて、ある時何故ですかと聞いたら「生活が苦しいでしょう。せめて絵だけは明るくと思っています」との答えでした。絵は100ドルから200ドルの間でした。何点か購入した後、「貴方の絵は安いので幾つか買いましたが、100ドルから200ドルは安すぎますよ」と述べたら、「自分の作品がそんなに安いものでないことは私自身が一番知っています。しかし独立後の経済混乱で誰も絵を買いません。だから生きるために安くせざるを得ないのです」でした。
孫崎享のつぶやき
随想㉟ウズベキスタン画家とのワシントンでの奇跡的出会い
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コメント
コメントを書く橋下徹がかつて既得権益をつぶすと称してクラシック楽団と
大阪府の日本の伝統芸能への補助金を削りました。
無論、自身の人気取りのためにやったことです。
それによってオーケストラ楽団員と能楽師が災難を被りました。
ところがそれに対して大阪府民は橋下徹に大喝采。
日本は徐々に、しかし確実に悪くなっているなあ、と
慨嘆したものです。
わたしはたびたび日本が先進国の座から滑り落ちるのは
そんなに遠くないと書くのですが、それに対しての反応は
まったくない。
みなさん、そんなことは絶対ないと思っておられるのか、
日本が永久に先進国であるのは天与の確定した事柄であると
思っておられるのか、あるいは自分がいなくなった後のことなど
どうでも良いと思っておられるのか。
芸術家が食えなくなっているのは炭鉱のカナリヤです。
ウズベキスタンといえば、孫崎さん曰くの「地の果て」にあるカラカルパクスタン美術館を何時か訪ねてみたいが、恐らくその機会はない。もう20年も前、旅したブハラで伝統工芸の「鳥のハサミ」を沢山買ったが、けっこう値切ったつもりが、昼前に再び店の前を通り掛かると早くも「本日休業」が貼られていた。
サマルカンドでは体育館のような巨大な市場で美味しいキムチが売られていた。朝鮮系の人達が住んでいる経緯を不思議に思ったものだが、「朝鮮戦争の正体」でナゾは氷解した。
>「陶芸家では生活できないので、一般会社員になることを決意しました」
学生時代、「いいか お前ら、人間の価値は、役に立たないことを どれだけ知ってるかで決まるんだゾ!」と激した教授がいたが、「役に立つ」一般会社員に比べて「役に立たない」陶芸家が食べて行けない日本は、人間の価値を高めることができない国ということだ。これで日本の民度が低いことが証明された。
人間の「心」が現象を「見聞覚知」包括する量は無量です。
「心」の具体的働きは「見聞覚知」することにあり、「見る」ということの具体的なものは、①今回の絵画とか陶芸品などを見ること、②書物・新聞など書かれたものを読むこと、③映画など映像を見ることなど見わめて幅が広い。
「見る」ことによって思索の幅が広がるし、自由な創造性が養われる。「心」が柔軟に働きかけるから,相手から豊富な情報を伝えてくれる。人間としての幅が大きく、広くなる。「見聞覚知」が磨かれる。
現代人は、マスごみの新聞はともかくとして、文芸評論、思索的書物、絵画、陶芸品など目に触れるものに対して興味を持たなくなれば、普遍的「見聞覚知」が正常に機能しないことになる。ゆとりがないというより、経済的損益だけにしか興味・関心を持たなくなれば、無味乾燥な人間が増えて行くことになる。
インフレが抑制され、株価が下がらないと分かれば、株価が上がりに上がって行く。この現象は、資産効果抜群で、一部の日本の層に1980年代のバブル感を与えている。日本の国家予算の赤字は今後も縮小することは無く。自民党独裁万歳と共に彼らに安心感を与えている。更に、株買いの仕手として日本最大の財閥たる日銀が参入しているわけだから、当然のことだ。
上記が主流となって一流企業の老若男女と官庁の老若男女は上級国民の意識が手伝って、余剰資金を全部株式や国債買いに投入し、金融資産の拡充に余念が無いみたい。そこにコロナが登場し、不安は投機熱を刺激し、金融市場は活況を呈している。
そのような時代では美術や工芸品にも恩恵の波が押し寄せる筈なんだが、どうも違う。今時の若い夫婦は、食器には100円ショップで買って使って平気らしいのだ。これは、私の奥さんの感想だから、一般とは言えないかもしれないが、私の観察でも、若い人の傾向としてそれがあるのを否定出来ない。
恥ずかしながら、1980年代のバブルの時は崩壊しないと私は心底信じていた。しかし、その期待は裏切られた。今、日本が戦争しない限り、崩壊しないと私は思う。1980年代は株価収益率が市場にものを言っていたが、市場にものをいう指標も無いみたいだし、私の一押しの金融理論では財政赤字がどんなに大きくなっても大丈夫ということだから。でも、陶器くらいは良いものを買ってもらいたい。日常生活を充実させたいものだ。
>>1
おっしゃることにただ一点を除いて全面的に共感します。その一点とは「日本が先進国の座から滑り落ちるのはそんなに遠くない」という点です。
私はすでに先進国の座からは滑り落ちていると認識しています。コロナへの政府の対応,言論の自由,マス・メディアの政治権力からの自立,性の平等等々などがそれを示しいると思います。
>>5
おっしゃるとおりですね。
わたしはどうも先進国の定義を経済面に偏りすぎて
考えていたようです。
ついでにせっかく議会制民主主義国に生を受けながら
政権を変えようとしない、そして政治家の息子や孫の
国会議員比率がどんどん上がっていく有権者の意識なども
先進国とは言い難い重要なファクターかもしれません。
ところで、ようこそ孫崎さんの板へ。
わたしが言うのも変ですが。
>>4
じつはですね、拙宅にも100円ショップで買ったフライパンが
あります。
ふたつ、20cmのと22cmの鉄製です。
100円ショップができ始めた頃ですからずいぶん昔のことです。
とても優れた商品でこんなものを100円で売っていいの、という
代物です。
あるときカミさんが言いました。
これを作った人たちはいったいいくらもらっているんだろうね。
雨露しのげているんだろうか、病気の時は医者にかかれるんだろうか。
子供は学校にちゃんとやれているんだろうか。
わからない。
一つ分かっているのは日本の100円ショプの経営者は大金持ちに
なってるということ。
我が家ではその後100円ショップの商品は一つも増えていません。
ただ、若い貧しい夫婦に同じことを考えろというのは無理でしょうね。
それを考えるにはある程度の経済的な余裕が必要と思います。
ある程度でいいですから。
先に書いた大阪人の橋下徹が芸術家をいじめることに対する
無慈悲な反応も自身の生活から余裕がなくなっている反映だと
思います。
貧すれば鈍す、というのは本当だなと思います。
若い人たちの価値観が我々高齢者と大きく異なってきている。一概に無慈悲とか余裕がないということではないでしょう。
政治に対する見方も大きく変わっている。合理的に考えるのであって政治に関心がないということではない。自民党支持者というより保守的な人が意外に多い。大変うれしいことです。
我々が若いころは自動車を所有する事、家を所有する事であったが、最近の若い人は高額なものを借金して生活を四苦八苦するのでなく背伸びをしない健全な生活設計をしている。
生活の仕方が変わっているし、政治に対する見方も変わっている。十年もしないうちに、日本を守ることの在り方が方向性を持ってくるのでしょう。我々の時代はあまりにも情緒的判断が強く出ているが理知的な見方に修正されていく、また、そうでなければならないでしょう。高齢者を蹴飛ばして、若い人たちが活躍する社会に期待することは極めて多い。森とか二階がのさばっている時代はほどなくして終焉するのでしょう。
>>8
「自民党支持者と言うより、保守的な人が意外に多い。大変嬉しいことです」
ちょっとひっかかりますな。貴殿の好きな米国では社会主義者のサンダースが民主党の代表になりそうになって、あわてて巨大資本が巻き返しを図ってやっとバイデンに落ち着かせたのです。そんことによって米国の若者に1960年代の日本の若者が抱いた夢が芽生えつあることが察せられ、米国社会の未来に私は期待してますよ。同じように日本にも齋藤幸平とう若者が登場し、人新世の「資本論」、を著し、売れ行き上々となってます。日本の若者も何が理性か、を問うようになっていますよ。腐敗した自民党独裁を粉砕するのはこういう若者が勢いを得た時でしょう。
「森とか二階がのさばっている時代」
自民党員、自民党系、公明党、公明党系全部が、森とか二階のクローンだと思うのですが、貴殿の眼にはそのように映っていないのでしょうか。日本の若者がせめてサンダースを支持する米国の若者が持つ知性と理性を持つようになれば、自民党や公明党は根本的にCHANGEせねば生き残れなくなるのではないでしょうか。時間がかかりそうだが、いずれはやってくると思います。