1:安全保障関連法案、何が問題か
日本の国家が「民主主義国家」か、「法治国家」かが問われる
「民主主義国家」の点では国民の過半数が集団的自衛権に反対、安全保障関連法案の成立に反対した。日本国家は国民主権を大前提としている。国民は国会議員を選出する。国会議員はあくまで、国民の意思を実行するために存在する。国会議員にすべてを授権し、好きにしてもらう制度ではない。国の行方を左右する問題では国民の意思を最大限に尊重することを基本とする。しかし、安倍政権は国民の反対の声に配慮することなく、強引に法案の成立を行った。民主主義を前提に国家の経営を行うという前提が大きく崩された。
「法治国家」であるかの点については
①大森、宮崎、坂田(少なくとも一時期)、角田元内閣法制局長官が違憲ないし疑問の発言
②山口繁・元最高裁長官「集団的自衛権の行使を認める立法は、違憲」
③憲法学者の約95%が違
コメント
コメントを書く1942年5月「日本文学報国会」が誕生し、詩部門の部会長は高村光太郎でした(孫崎さんの『日米開戦の正体』p.432)。欧米に留学体験があり近代精神を体得していたはずの光太郎が戦時中は戦争協力していました(ほとんどすべての文学者がそうであったように)が、敗戦後の自己批判の苛烈さで光太郎は際だっています。なぜ自分が戦争協力に導かれたのかを一連の詩(『暗愚小伝』)で解明しようとしたのです。それは一言で言えば、「天皇あやうし」という臣民意識でした。
そして自己批判の徹底から、戦後の民主主義が与えられたもので、本当に日本人民の手で勝ち取ったものでない軽薄さに気づいていました。
私は学生時代以来40年ぶりくらいに8・30国会包囲抗議集会に地方から参加しましたが、その時思い出したのが、「結果を思って行動するのは卑しい」という光太郎の詩の一節でした。強行採決されるのはほぼ決まっていたけれども、それでも抗議の声を挙げなければならないという気持ちでした。そしてハンストする学生達やシールズを実際に見て、この国の若い人たちが民主主義を本当に実現するために立ち上がっているという実感をもったのです。「いきいきした新しい世界を命にかけてしんから望んだ さういふ自力」が生まれているという実感。
冷笑する人も多いだろうと思いますが、私は「そういふ自力」に加担して行きたいと思っています。
孫崎さんの、「戦争法案」に対する危機意識は、民主主義と法治制度に対する危機意識と同じなのでしょう。
「智恵子抄」を取り上げておられるのは、イデオロギーでない孫崎さんの「心の叫び」ではないか。この「心からの叫び」に対し、国民の多数が覚醒され、大きなデモが全国的に展開している。冷めやすい国民性が来年の選挙まで持続できるかが大きな課題です。しかし、いくら国民が覚醒しても、政党が覚醒しなければ、状況が変わることがない。相変わらずの民主党二極内含は、反省することなく、大敗後も続いているようだ。維新のように分裂したほうがよいが、民主党は一向に国民のほうに目を向けることなく、内部闘争に明け暮れしているとみるべきでしょう。沖縄基地問題では、自民党と同じであり、国民に目を向けているのは共産党ほかの少数政党だけになっています。
自民党、民主党の国会議員のみじめな姿を見ていると、失われた経済成長の中で育った暴力的な集団の「いじめ」に対し、優秀な学生たちだけでなく先生まで身構えている姿がダブって見えます。暴力的な国家米国の脅迫が大きく、国会議員が全く自由に動けない監視システムが形成されているとみるべきなのでしょうか。現在は支配層に限定されているが、「戦争法」によって、徐々に社会全体に、ナチズムのように浸透していくのがたいへん怖い。
確かに、与えられた民主主義は安倍氏の解釈憲法で一瞬のうちに壊され、この度の安保法制成立により日本の政治がファッショ化したことは何人も否めません。その証拠として愛国法成立により既にファッショ化して久しい米国により今回の安倍氏の行動が熱烈歓迎されたことが挙げられましょう。
でも安倍体制は違法手続きに基づくものに留まらず、周辺環境の厳しさもあって各所で無理が露呈し、早晩行き詰まると私は考えています。その理由の主たるものを上げれば次のようになります。
1.日本の集団的自衛権の行使は米国の謂わば命令に従い有志連合軍の作戦行動に参加することが狙いです。イラク戦争、リビア内乱、ウクライナ騒動等、いずれも米国の挑発、仕掛けに基づくもので動機そのものからして正当化できないものばかりです。今後もその傾向は強まることはあっても弱まることはないでしょう。日本の国民がいくら無頓着であってもその不浄で不正の動機を知ることになるのです。
続く
>>3
続き
2.これまで米国の数えきれないほどの挑発があってそれに抗してきた中国、北朝鮮の軍備は日本の一般人の想像を絶するかなり高い水準にあります。日本は原発53基そして多くの使用済み燃料プールを抱え込んでおり、ミサイルで幾つか破壊されればどうなる。ここで言うまでもなく結果はデザスター以外にないのです。
3.もうしばらくすると日本の人口で65歳以上が3千5百万になる。戦争どころではないんじゃないですか。安倍氏たちの思考は倒錯そのものです。
4.日本は日中戦争で中国に甚大な損害を与えた。しかし、日本はすっかり失念している。朝鮮半島に対しては何の詫びも入れてない。朝鮮半島の人々は恨を忘れない人々です。無頓着極まりない大和民族は安倍氏を筆頭にして大陸や半島に厳然としてあるルサンチマンを元より認識していないのです。戦争においては大義が不可欠です。ルサンチマンは大義を構成する主たる構成要素なのです。大陸や半島の人々が同じルサンチマンで結集すれば、上層部の欲だけで動く米国と日本は束になっても勝てないでしょう。
上記を勘案すれば、日本には国際的には真の平和と国内では民主主義を更に練磨していく道しか残されていません。そのことは安倍氏の醜態を見せつけられてきた日本人には既にかなり深く理解されてきていると思います。
私は楽観しています。
>>4
更に付け加えますと、安倍氏という反面教師の出現で憲法九条は日本人に益々固く保持されていくと思うのです。そして、ポスト安倍で大陸や半島の人々と真の和解が成立すると私は確信しています。東アジアの安全保障は米国のちょっかいを全く必要としていないのです。
先日、外国記者クラブで翁長知事が言っていましたが、沖縄人の大半が求めていることは一つだけ、「沖縄の非武装地帯化だ」ということです。知事が中谷防衛大臣と一か月前話し合ったとき、「辺野古は中国への抑止力だ」との大臣の発言に激怒したのが実によく理解できます。沖縄は太平洋戦争で捨てられ、中国との戦いで捨てられようとしている。彼らの容認出来るものではないのです。大陸、半島、沖縄群島は日本の軍国主義を断じて受け入れることはないでしょう。
>>4
フレディ タンさんに問いたい。いつもいろいろ述べられていて、最後に、「私は楽観しています」で、結ばれることが多い。お話になっていることを伺っていると、楽観的な話ではないのに、楽観的というのは、私には関係ないことだと聞こえてくるのですが、どのように解釈したらよいのでしょうか。読む私は、最後にどんでん返しを食らうと、楽観的なら投稿することもないではないかと、いらだたしくなります。
>>6
いろいろ述べたので、あなたには分からないかもしれません。しかし、それでは癪ですから分かり易く次のように要約します。
このコメントの最後の「楽観」という用語は安倍氏が単なる反面教師を演じるだけだという「見通し」です。更に敷衍すれば、安倍氏たちの解釈憲法とそれに基づく安保法制は国民の反対と東アジア諸国の厳しい反発に遭って彼らが志向する方向には一歩も進めない。その結果、「与えられた民主主義」が安倍氏の反面教師のお蔭で「自ら勝ち取った民主主義」へ移行するだろうという見通しを私は保有しているので、「日本は大丈夫。あの惨めな敗戦を再び経験することはない」と見て居るわけです。勿論、無条件ではない。国民のデモ等に依る政治行動が前提となります。
貴方は「楽観的なら投稿することはない」というが、私は同意しません。安倍たちは東アジアで孤立しているのだから、私たちがデモをして頑張って行けば、最終的には「WE SHALL OVERCOME」とということになる。新たなる政治行動への励ましは楽観的な今後の展開を確認し合うことだと思います。悲観論からは行動は生まれません。泣き言や悲観を述べるだけなら投稿しない方が良いと私は考えるのです。
>>7
えらい!よく言った。
>>7
あなたの説明よくわかりました。ただ、日本的霊性が染みついている人には、普通、「楽観はできないが、否定ばかりしていてはいけない」とか、「否定ばかりせず、楽観的にも見るべきではないか」というように説明していただけると、わかりやすいといえます。悲観論に立っているのではなく、心配しているのです。
日米と中国ロシアの対立した視点は納得しますが、多くの日本人はそのことを心配している人は少ないでしょう。世界戦争は、あなたと別の視点で、同じように楽観的です。米中の指導者を信用しています。多くの日本人が悲観というより心配していることは、米国のための米国の戦争に参加しかねないこと、参加すれば必ず戦死者が出ること、南アジアに出て中国軍と全面対峙するようになることを恐れているのです。これらは、たとえ、安倍政権が倒れても、現在の政治家は踏襲していくとみるべきであり、悲観的になることはないが、楽観論は否定しなければならないと考えています。
あなたは日米と中国ロシアの対立を視点としており、私は、米国の戦争に参加することに視点を置き、反対しているのです。ここに楽観論の行き違いがあったと思っています。