千葉県柏の葉に、大人も子どもも気軽に科学を楽しめる場所が誕生しようとしている。周辺の学生が中心となって立ち上げた柏の葉サイエンスエデュケーションラボによる、空きアパートをDIYで科学館に改修するプロジェクトだ。初夏の開館に向けて、改修作業真っ最中。気になるその詳細を見てみよう。
柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(KSEL)とは
科学の最先端が集まる柏の葉実は千葉県柏市の柏の葉周辺は、科学に携わる人・物が集まる街のひとつ。日本の科学界の一大拠点でもある東京大学柏キャンパスをはじめ、ベンチャー企業の集まる東葛テクノプラザや東大柏ベンチャープラザ、県内初の情報理数科が設置された県立柏の葉高等学校など科学に力を入れている研究・教育施設が多く、研究者や学生が活躍している。
目指すのは科学による地域活性化そんな柏の葉で科学コミュニケーションでの地域交流の活性化を目指し、活動する非営利市民活動団体が柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(以下KSEL)だ。2010年に東京大学柏キャンパスの大学院生が中心となって立ち上げ、現在は他大学の学生や地元住民も参加している。
イベントや出張授業など地域に密着した企画を開催し、科学を通じた‟だんらん”の実現を目指している。「日本サイエンスコミュニケーション協会 ベストプレゼン賞」など数々の賞も受賞するなど、注目の団体だ。
駅前の空きアパートを科学館に
学生たちがDIYで改修中昨今、社会的な課題にもなっている空き家問題。柏市も例外ではなく、年々その数は増加している。そんな空き家を市民が集まる場にできないかと考えたのがKSELだ。
これまでも貸し会議室などで期間限定の企画展を行っていたが、もっと日常の中に体験の場をつくれたら科学の存在はより身近になる。資金調達にはクラウドファンディングも利用し、柏駅前の空きアパートを街の科学館へ再生させる本プロジェクトをスタートさせた。
改修作業はメンバーによるDIY。授業や研究の合間や週末に集まり、作業を進めている。科学館というと近代的な建物をイメージしがちだが、こちらの科学館は手作りで木造。そのギャップも興味深い。進歩状況はfacebookにもアップされているのでチェックしてみよう。
初回の展示内容科学館での最初の企画展のテーマは、「海の生物の化石」を予定している。過去に実施した理科の修学旅行で子どもたちが採取した試料や自由研究で製作したものなども展示される。
理科の修学旅行とはKSELは、自然体験活動を通じて理科に触れ親しむ合宿型スタディツアーを2013年から継続的に開催している。
自然体験活動の企画コンテスト「トム・ソーヤースクール企画コンテスト」で優秀賞を受賞するなど、全国的にも注目を集めている。夏は海で潮の満ち引き観察や磯の生物調査、冬は山で雪の結晶観察や遮断性実験などを開催。
生活が交差する街中に誕生する手作りの科学館。日常と科学をぎゅっと近づけてくれる新しい場所になるだろう。開館まであと少し、DIYで徐々に出来上がっていくその過程も見守りたい。
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