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オタクがハッピーに生きられる条件とは何か? 鈴木みそを読んで考える。
コメ0 弱いなら弱いままで。 142ヶ月前
鈴木みそ『限界集落温泉』全4巻、いっきに読み終えました。いやー、おもしろかった。ちなみにAmazonで電子書籍版を購入したので、4冊で1300円。個人的には十分もとが取れる価格でした。 やっぱり第1巻が100円だと買ってみる気にもなるし、それがおもしろければ続刊も合わせて買っちゃいますよね。初巻を安くするのは...
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田中芳樹『奔流』を読む。(1131文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 143ヶ月前
■生放送告知http://live.nicovideo.jp/watch/lv1281138613/2(土) 21:00~「小説家になろう」ニコ生 歴史は一本の河である。ときに凪ぎ、ときに荒れながら、ただはてしなくながれていく。血が河面を赤く染めることもある。後世のひとは、そんな哀しみの時代を指して乱世と呼ぶ。 三世紀から六世紀にわたるいわゆる魏晋...
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ディオ・ブランドーの憂鬱。西尾維新は少年漫画屈指の悪役をどう再解釈し再構築したか。(2103文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 144ヶ月前
西尾維新の『ジョジョの奇妙な冒険』ノベライズ作品『OVER HEAVEN』を読んでの書評記事です。いやー、これはむずかしい作品ですね。作品そのものが『ジョジョ』に対する批評になっていて、しかもかなり攻撃的というか、問題含みの批評だといえる。その内容については本文を読んでもらえばいいのですが、とにかく興味深い...
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十九世紀中央アジアへのタイムトラベル。森薫『乙嫁語り』最新刊が相変わらず素晴らしい。(1297文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 144ヶ月前
『乙嫁語り』の最新刊が出ました。読みました。素晴らしい! いやー、もうこのシリーズについては素晴らしいというくらいしかいいたいことがなくなりましたね。『エマ』も良かったけれど、これはもうそれを上回る出来。あとはペーパー版の発売と同時に電子書籍版が入手できるようになればいうことなしなんだけれど、そ...
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岡野雄一『ペコロスの母に会いに行く』は涙なしでは読めない家族漫画の傑作だ。(1458文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 144ヶ月前
東京の紀伊国屋でふと出逢ってぼくの感性の琴線にふれた『ペコロスの母に会いに行く』の書評記事です。いや、この漫画はいいから皆も読むといいよ! ただ「泣ける漫画」として紹介するにはあまりに趣深い作品ではあるものの、でも「必ず泣ける!」みたいに宣伝するのがいちばんわかりやすいんだろうな、とも思ったりし...
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愛と欺瞞と恩讐と希望と。完結した『GUNSLINGER GIRL』を一気読みする。(1961文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 145ヶ月前
相田裕『GUNSLINGER GIRL』を一気読みしました。正確には再読なのですが、いいかげんな読み方しかしていなかったので初読に等しい再読だと思います。いや、良かった。素晴らしかった。ぼくは初めの辺りには違和感を禁じえなかったのですが、中盤でいっきに表現力が深みを増し、作者の伝えたいものが正しく伝わるようにな...
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あなたなら処刑しますか? 『自殺島』が突きつける極限状況での「死刑」の倫理。(1822文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 145ヶ月前
森恒二はきわめてシリアスでヘヴィな問題提起をしてくる作家です。その作風は前作『ホーリーランド』では洗練を欠き、揶揄されたりもしましたが、しかし真剣な作家であることは間違いないでしょう。軽々しく読み、語ることができるような作家ではありません。今回、ぼくは死刑の問題を絡めてその作品を語ってみようと思...
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「萌え」は贅肉の産物? 永野護のファティマたちはなぜ「可愛くない」のか。(1503文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 145ヶ月前
小林立『咲』の初期の巻を読みました。大変美味しい百合でありました。じゅるじゅるじゅる(よだれの音)。これは二次創作を描いたり読んだりしたくなるというのはわかるなー。ていうか、ぼくも読みたい。読みたいぞ。何かこう、約20%はいるはずの女性読者に背を向けるような結論になっていますが、いいんだ。ぼくは非...
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連載1000回! 長期連載の宿痾を背負い『はじめの一歩』はいつまで続くのか。(1929文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 145ヶ月前
『はじめの一歩』が連載1000回を迎えました。まさにボクシング漫画の金字塔、ではあるのですが、最近はあまりに長く連載が続いたために、さまざまな歪みが見えてきているように思えます。いったいなぜこういうことになってしまったのでしょうか? 長期連載の必然、宿痾とでもいうべきものがあるのでしょうか? ちょっ...
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降りそそぐ夾竹桃の謎と絢爛たるトリック。連城三紀彦の傑作長編『敗北への凱旋』を読む。(1407文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
本格ミステリの世界では、天才という桂冠を与えられた作家が何人かいますが、連城三紀彦もそのひとりでしょう。そのトリックの華麗さ、解決のあざやかさはほかに比類がありません。破天荒なトリックを仕掛ける作家ならほかにいくらでもいるでしょうが、それを圧倒的ななめらかさでやってのけるのが連城なのです。『敗北...
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狂気か、前衛か、退行か。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のストレスフルな映像世界。(2176文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』については、いままでも何本か記事を書いてきましたが、またべつの視点からの記事です。ぼくはこの映画、十分に楽しんで見たんですけれど、世間では賛否が二分しているようです。それはそうでしょう。創り手の側もおそらくそうした反応を予想して創っている。何とも難儀な映画です。しか...
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小さく不思議な「偽物の恋」の物語。こうの史代の傑作『長い道』を読みのがすな!(1204文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
こうの史代という作家は、歴史に残すべき傑作をすでに何本も描いています。これからものす作品のなかにも、そういうものがいくつも生まれてくるでしょう。しかし、それらの名作のなかでもぼくにとって最愛というべき作品は『長い道』を置いてありません。いくつものふしぎな展開を通して描かれる、小さな小さな恋の物語...
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えすとえむの異色職業漫画(?)『はたらけ、ケンタウロス!』がふしぎにおもしろい件。(1251文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
最近は漫画を読む量もだいぶ減っていて、新しい作家と出逢うことも少なくなっているのですが(ダメだな)、知りあいのオススメでえすとえむさんの作品を読んでみました。その名の『はたらけ、ケンタウロス!』。まさにそのままのタイトルですが、でも、これ、おもしろいよー。いかにも現代のBL作家が描きそうな作品では...
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またしても戦慄の問題作! 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』をネタバレなしで語る。(2003文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
そういうわけで、『ヱヴァ』を観て来ました。いやいや、事前の予想をさらに上回ってくるほどの凄まじい作品でした。前回までは「素晴らしいな」「おもしろいな」で済んだのですが、しょせん『ヱヴァンゲリヲン』がそれだけの作品で終わるはずもありません。こうなることはあらかじめ定められていたことだったのです。い...
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映画『ゴティックメード』の簡単な感想を述べておこう。(676文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
『ゴティックメード』の簡単な感想です。ほんとうは詳細なネタバレ感想を書きたいところなのですが、旅先なのでままなりません。愛用のエディタがないんですよ! Google Chromeはダウンロードしてサインインしたら設定が再現されましたが。いやあ、おもしろかったですね、『ゴティックメード』。神作品です。でもまあ、...
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壊れていく人生も悪くない。赤木しげるの3%の未練とは何だったのか。(1591文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
漫画『アカギ』と『天』を読んでいて考えたことです。作品そのものから離れた深読みに過ぎないのかもしれません。しかし、こういう「読み」を許容するということが、すなわち優れた漫画であるということなのではないでしょうか。赤木はこの作家にとって最大最高のキャラクターであるわけですし、いったいこの先どういう...
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本格ミステリのマイルストーン『りら荘事件』を読む。(1295文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
『りら荘事件』。現代に生きのこる本格ミステリの古典的名作にして、天才探偵星影龍三もののふたつしかない長編のひとつであり、鮎川哲也のキャリアのなかでも鮮烈な印象をのこす作品です。「尼りりす」とかいうありえない名前の女性が出てきたりして微妙に時代を感じさせますが、そういうところ以外はまったく古びてい...
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【有料記事】石田衣良『ブルータワー』は時代を象徴するSFだ。(1890文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 146ヶ月前
石田衣良『ブルータワー』の書評です。石田の作品のなかでも異色作といっていいでしょう。何しろ、エドモンド・ハミルトンの『スターキング』か何かを思いださせるようなクラシックSFのたたずまいをもつ作品なのですから。ふだんの石田が書く都会の雑踏とはかけ離れた世界が舞台。でも、これはこれで十分におもしろかっ...
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【有料記事】貞本版『エヴァ』をどう評価するか。(1025文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 147ヶ月前
めずらしく作品に対して批判的な記事ですね。うーん、決して貞本『エヴァ』がおもしろくないというわけではなく、むしろ素晴らしい出来栄えなのですが、この作品をいまなお描きつづけることにどの程度の意味があるのか疑わしく思ってしまうことは事実。まあ、途中で投げ出すわけにもいかないのでしょうが……。アニメとス...
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【有料記事】2010年代を切り開く奇跡の傑作『水の森』を読もう!(2339文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 147ヶ月前
漫画『水の森』の紹介です。この作品もおもしろかったですね。ぼくはしょっちゅう傑作傑作、名作名作とさわいでいますが、でもそのつど本気でそう思っているのです。まあ、なかには時間が経ってから考えてみれば「そうでもなかったな……」というものもありますが(あるのかよ)、その点、『水の森』は本物。ぼくのその年...
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【有料記事】血と霧のヴィクトリアン・ロンドンへようこそ。(1220文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 147ヶ月前
これは昔書いた記事の転載です。最近、『月光条例』が苦戦している、ぶっちゃけていうとあまりおもしろいとは思えない藤田和日郎さんですが、この『スプリンガルド』はおもしろかった! ダークでデカダンでエロティック、猟奇と暗黒の物語は、まさにぼくのために描かれたかのよう。いやあ、こういう話、ほんとに好きで...
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【有料記事】本格ファンタジーの傑作『チャリオンの影』。(3469文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 147ヶ月前
ロイス・マクマスター・ビジョルドの長編ファンタジー小説『チャリオンの影』の紹介です。ビジョルドは、日本でこそ「知る人ぞ知る」作家ではありますが、アメリカでの人気は相当のもののようです。じっさい、おもしろい! ユーモアと逸脱に満ちたその作品はしばしば忘れがたい印象を残します。もう少し早いペースで翻...
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【有料記事】『天使の梯子』。(1283文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 148ヶ月前
村山由佳『天使の梯子』の書評です。この小説が出たのはすでに数年前、また前作『天使の卵』が出たのはさらに10年前になります。時が経つのは本当に早いものですね。『天使の卵』は村山にとって最大のベストセラーであるわけですが、小説としての完成度という意味では続編のほうが凄みを増していると思います。サムネイ...
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【有料記事】『池袋ウエストゲートパーク』は時代をカットする。(1521文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 148ヶ月前
石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』はぼくの最も好きな小説シリーズのひとつです。いったん完結してしまいましたが、また再始動するときをじりじりと待っています。このシリーズ、とにかく文体が素晴らしい。これほどシャープでしかもユーモアに満ちた文体を操る作家は、日本に何人もいないでしょう。物語より文体...
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【無料記事】愛がなくてもセックスはできる! 名作を読んで売春の自由を考えてみよう。(3263文字)
コメ1 弱いなら弱いままで。 148ヶ月前
売春婦といえば賤業婦とも呼ばれるくらい「卑しい仕事」とされているわけですが、ほんとうにその仕事は卑しむべきものなのでしょうか? 「愛のないセックス」を売る彼女たちの仕事は、あるいはこの社会の一般的なルールに背いているかもしれません。しかし、そうではあっても、その仕事なりの苦労があり、またプライド...