敵のエースと１対１で対峙しても安心して見ていられる。槙野は苦い経験を糧に、金城鉄壁のディフェンダーに変貌を遂げた声を枯らして味方を鼓舞し、気迫溢れるプレーで観衆を熱狂させる。背番号5は圧倒的な存在感を放ち、ゴール前に仁王立つ。[浦和レッズマガジン8月号掲載]■冷静と情熱のあいだでただひとつの目標に邁進　激闘を終えた後、槙野の声は大抵枯れている。ピッチ上で大声を発した代償である。また、身振り手振りで味方に想いを伝えることもある。試合中の槙野はどこまでも感情的で、主体的に振る舞う。　しかし、その内面の熱さとは裏腹に、今季の槙野は結果を追い求め、勝ち点を積み上げる努力を怠らず、終始冷静さを保ってもいる。　２ｎｄステージ開幕のアウェー・松本山雅戦。相手のパワープレーに晒されて失点を許し１点差に迫られた試合終盤に、浦和は相手陣内でＦＫのチャンスを得た。それでも同点を目指す松本は前線に４人もの選手を残

敵のエースと１対１で対峙しても安心して見ていられる。槙野は苦い経験を糧に、金城鉄壁のディフェンダーに変貌を遂げた声を枯らして味方を鼓舞し、気迫溢れるプレーで観衆を熱狂させる。背番号5は圧倒的な存在感を放ち、ゴール前に仁王立つ。[浦和レッズマガジン8月号掲載]■チームの意識改革に着手ディフェンスの中心選手に　２０１２シーズン、２０１３シーズン、２０１４シーズンの浦和はシーズンを通してリーグ戦の上位に位置し、カップ戦でも２０１３年のナビスコカップで決勝に進出するなど、着実な成績を残した。しかしペトロヴィッチ監督率いるチームは勝負所のゲームでことごとく結果を残せず、惜しくも戴冠を逃してきた歴史がある。リスクを冒すアグレッシブなスタイルを信条とするチームは、常に理想と現実の狭間でもがき苦しんできたのだ。　恩師であるペトロヴィッチ監督の下で長くプレーしてきた槙野は、指揮官を慮りつつ、それでもチームの

敵のエースと１対１で対峙しても安心して見ていられる。槙野は苦い経験を糧に、金城鉄壁のディフェンダーに変貌を遂げた声を枯らして味方を鼓舞し、気迫溢れるプレーで観衆を熱狂させる。背番号5は圧倒的な存在感を放ち、ゴール前に仁王立つ。[浦和レッズマガジン8月号掲載]■特殊な役割での苦悩ＤＦとしての自我の目覚め「俺、ディフェンスで勝負したいんです」　２０１４シーズンの途中、槙野智章はこう心情を吐露していた。かつて「自分はオフェンシブディフェンダー、ＯＤＦです！」と豪語していた彼の内面に生まれた変化とは――。　槙野の意識改革は以前から成されていた。それは２０１１年にサンフレッチェ広島からドイツ・ブンデスリーガの１ＦＣケルンへ移籍してから抱いていた自我の目覚めだった。当時、４バックが主流だったヨーロッパで勝負すべきポジションはセンターバックで、彼はこのポジションでのプレーに拘りを見せた。広島時代は３―４

選手育成に定評があるガンバ大阪。現在のトップを彩る選手たちもアカデミー出身者が多く名を連ねている。ではその教えはどんなものなのか。ユース１期生である宮本恒靖氏と中堅として活躍中の大森晃太郎選手。そして次世代を担う17歳の堂安律選手の３世代に聞く「ガンバで育つ」ということ。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■将来を自分の中で描きながら今を過ごしてほしい（宮本）大森　あの……最後に僕から、１つだけ聞いていいですか？　ツネさんって常に、何をしても格好いいし、顔も男前だし、しゃべっている時も頭の良さが溢れていますけど、それって疲れないですか？　家に帰っておちゃらけることはあります？宮本　おちゃらける……あまりないな。疲れると思ったこともないし。堂安　忘れ物とかします（笑）？宮本　するよ。「あ、今日も忘れ物をしても～た」とか結構ある。大森　そういうのを聞くとホッするけど、それもツネさんが言うと、特

選手育成に定評があるガンバ大阪。現在のトップを彩る選手たちもアカデミー出身者が多く名を連ねている。ではその教えはどんなものなのか。ユース１期生である宮本恒靖氏と中堅として活躍中の大森晃太郎選手。そして次世代を担う17歳の堂安律選手の３世代に聞く「ガンバで育つ」ということ。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■毎試合メンバー入りを目標に練習でアピールし続けます（堂安）宮本さんの目には今の２人のプレーはどんなふうに映っていますか？宮本　僕がヴィッセル神戸でプレーしていた時代に、ステップアップリーグでプロ１年目の晃太郎がいるガンバと対戦したことがあって。あの時は……全く印象に残らなかったんですけど（笑）、今はふてぶてしくやっているし、プレーに余裕も出てきましたね。でも、考えたら、ちょうど晃太郎の今の年齢の年に僕は初めてトップチームでキャプテンをやらせてもらって。当時、オリンピック代表にもいってい

選手育成に定評があるガンバ大阪。現在のトップを彩る選手たちもアカデミー出身者が多く名を連ねている。ではその教えはどんなものなのか。ユース１期生である宮本恒靖氏と中堅として活躍中の大森晃太郎選手。そして次世代を担う17歳の堂安律選手の３世代に聞く「ガンバで育つ」ということ。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■『止める、蹴る』を徹底するのはアカデミーの指導のベース（宮本）宮本　『かっぱえびせん』の話はされた？大森　分かります！堂安　僕も、ウメさんに言われました！宮本　僕は最初、トップの試合を見ながらその話をされて。「見てみろ、こいつらは『かっぱえびせん』やろ？」と。「やめられない、止まらない、かっぱえびせん」っていうＣＭのフレーズをもじった話だったんですが、要は「最初からプレーを決めつけて動いていて、相手の動きが予想と違っても『やめられない』し、ボールもしっかり足下で『止められない』」と。「

選手育成に定評があるガンバ大阪。現在のトップを彩る選手たちもアカデミー出身者が多く名を連ねている。ではその教えはどんなものなのか。ユース１期生である宮本恒靖氏と中堅として活躍中の大森晃太郎選手。そして次世代を担う17歳の堂安律選手の３世代に聞く「ガンバで育つ」ということ。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■プレーで見せられる指導者が多いのはいいインパクトになる（宮本）「一貫指導体制の下での選手育成」はアカデミーの育成方針ですが、一期生である宮本さんの時代からそうした流れはあったのでしょうか。宮本　もちろんありました。勝利至上主義というよりは「プロになってから勝てばいいから、ここではしっかり技術を身につけろ」的な雰囲気もありましたしね。もちろん、勝たなくていい、ということではなかったですけど。そういう意味で、学校の部活動育ちの僕は最初は多少戸惑いもありました。ただ、実際に４対２や３対１など

選手育成に定評があるガンバ大阪。現在のトップを彩る選手たちもアカデミー出身者が多く名を連ねている。ではその教えはどんなものなのか。ユース１期生である宮本恒靖氏と中堅として活躍中の大森晃太郎選手。そして次世代を担う17歳の堂安律選手の３世代に聞く「ガンバで育つ」ということ。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■ある程度の上下関係は必要なんですよね（大森）今日はガンバ大阪アカデミー出身の御三方にお集まりいただきました。大森選手がやけに緊張しているようですが。大森　だってツネさんですよ！　僕にとってはテレビのブラウン管をとおして見ているだけの人だっただけに、もはや先輩という感じもしないし、緊張しかありません！堂安　僕もです。たまにクラブハウスですれ違うことはあっても、あいさつする程度で話をしたこともないし……。宮本　緊張ではなく、やりづらいだけでしょ（笑）？　まぁ、でも確かにクラブハウスではお互

「普通のことを普通にする男です。背伸びをするプレーヤーではないです」遠藤保仁は遠藤保仁という選手をそう語った。ガンバ大阪の顔としてピッチに君臨する淡々とした彼の姿と重なるその言葉は、ヤットがヤットであることを物語る。背番号７が静かに語る自身のこと。そして、これからのこと。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■1stステージの戦い方よりもより高いレベルで安定感が求められる２ｎｄステージが始まりましたが、1stステージやＡＣＬ（ＡＦＣチャンピオンズリーグ）を振り返ってみて、チーム状況などはいかがですか？遠藤　ＡＣＬはベスト８に進出しているので問題もないですし、Ｊリーグも（１ｓｔステージの）最後にちょっともったいない試合がありましたけど、決して悪くはない印象ですね。まあ素晴らしくよくもないので、可もなく不可もなくという感じです。チームとしては「決して悪くない戦いをしている」。遠藤　そうですね。よ

「普通のことを普通にする男です。背伸びをするプレーヤーではないです」遠藤保仁は遠藤保仁という選手をそう語った。ガンバ大阪の顔としてピッチに君臨する淡々とした彼の姿と重なるその言葉は、ヤットがヤットであることを物語る。背番号７が静かに語る自身のこと。そして、これからのこと。[Jリーグサッカーキング9月号掲載]■ラストの万博でＪ１優勝それが一番いい形再びガンバでの話に戻します。三冠王者で迎えた今シーズンのタイトルへの思いは？遠藤　昨シーズンより増しているものがありますよ。タイトルを取る喜びは何事にもかえがたいですし、苦しんで勝ち取ったものなので、いつでもタイトルは取りたい。また「喜びたい」って思いますし。昨年は三冠を取れましたけど、やっぱり常にタイトルを取らなきゃいけないというクラブになっていかなきゃいけないですし、同時にガンバがそれだけ勝利を義務付けられたチームになってきているということでも