-
春日太一の木曜邦画劇場 第620回「成田三樹夫演じる蔦屋重三郎の、幕府への命懸けの叫びに心震える!」『歌麿 夢と知り
コメ0
週刊文春デジタル 3日前
現在放送中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』は、江戸時代中期に浮世絵の版元として活躍した蔦屋重三郎が主人公だ。 地味な人選と思えなくもないが、個人的には大好きな人物だったりする。というのも、今回取り上げる『歌麿 夢と知りせば』に登場する蔦屋が、とんでもなくヒロイックだったからだ。
-
春日太一の木曜邦画劇場 第619回「黒崎輝、志穂美悦子、真田広之……JAC勢ぞろいの青春コメディ!」『コータローまかりと
コメ0
週刊文春デジタル 2週間前
その利便性やラインナップの充実もあり、映画鑑賞は配信が主流になりつつある。本連載でも「こんな作品も配信されている!」とよくネタにしてきた。が、それでもDVDやBlu-rayのソフトを継続して出している各レーベルを応援していきたい。 それは、各レーベルともに苦しい状況下で折れることなく、それぞれに工夫して...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第618回「全身パツパツの白タイツヒーローを宇津井健が堂々凜々しく演じ切る!」『スーパージャ
コメ0
週刊文春デジタル 3週間前
新東宝は会社の規模が大きくなく、その活動期間も短かった。しかも、低予算のニッチな作品が多い。そのため、旧作邦画の中でもマイナーな扱いではある。 ただ、後に日本映画界を支える俳優たちを多数輩出してきたことも、忘れてはならない。丹波哲郎、若山富三郎、天知茂、菅原文太、高島忠夫らは、いずれも新東宝に...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第617回「新東宝では珍しい文芸的青春映画。名画座でもあまり会えない佳作だ!」『太陽と血と砂
コメ0
週刊文春デジタル 4週間前
旧作邦画のソフト化に関わる各レーベルは、配信全盛の現状において厳しい状況にある。それでも、そうした中で決して折れることなく、コレクターズアイテムに足るような充実したパッケージ作りに勤しむレーベルも少なくないことは、前回述べた通りだ。 その名の通り新東宝作品を出し続ける「新東宝キネマノスタルジア...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第616回「小松左京原作、藤岡弘、で見せる超能力スパイ『エスパイ』の激闘!」『エスパイ』
コメ0
週刊文春デジタル 1ヶ月前
旧作においても配信での映画鑑賞が主流になってきた昨今、映画館だけでなくDVDやBlu-rayなどのソフト販売も厳しい状況にある。 ただ、そうした中にあっても各レーベルはむしろ積極的に旧作のソフト化を進めている。中でも野心的なパッケージを出し続けているのが、東宝とKADOKAWAだ。 配信がこれだけ充実している上...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第615回「今はなき大井武蔵野館と東映ビデオによる好企画で、あの頃が甦る!」『ポルノの女王
コメ0
週刊文春デジタル 1ヶ月前
本連載の初期で時おり触れてきた映画館が、大井武蔵野館だ。東京は大井町にあった名画座で、筆者は一九九〇年代の前半から閉館した九九年まで、足しげく通っていた。「名画座」とはいっても、誰もが認める「名画」を上映することはほとんどなかった。映画史の主流から大きく外れた映画や、公開時も決してメインどころ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第614回「深作イズムと菅原文太の暴力性。これは『仁義なき戦い』以上だ!」『人斬り与太 狂犬
コメ0
週刊文春デジタル 1ヶ月前
二〇二四年十一月で菅原文太は没後十年を迎えた。 菅原といえば深作欣二監督とのコンビで名を馳せ、特に「仁義なき戦い」シリーズはその象徴として扱われる。ただ、このコンビならではの菅原のギラギラした野性味が炸裂するのは一作目前半の一時間弱でしかない。その後は、やくざ社会の勢力争いや親分の理不尽にひた...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第613回「娯楽職人・岡本喜八を知りたいならディレクターズカット版!」『EAST MEETS WEST』
コメ0
週刊文春デジタル 1ヶ月前
一九五八年の監督デビュー以降、岡本喜八は毎年のように数多くの映画を途切れることなく撮ってきた。だが、『近頃なぜかチャールストン』以降、しばらく監督作品はなくなってしまう。八〇年代は、これと『ジャズ大名』のわずか二本しかない。 それでも決して折れることはなく、『大誘拐 RAINBOW KIDS』で復活してのけ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第612回「老人の老人たちによる独立国の物語に、喜八監督の日本観を見る」『近頃なぜかチャール
コメ0
週刊文春デジタル 2ヶ月前
前回述べたように、一九六〇年代後半から岡本喜八監督は多くの大作映画を撮っている。だが、当人の居心地が悪かったのもあるし、主戦場だった東宝を始めとする日本映画界全体が新たな鉱脈を求めて迷走していたのもある。「大監督」の期間は短く、七一年の『激動の昭和史 沖縄決戦』を最後にその作品は再びカオスを帯び...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第611回「時代劇二大ヒーローの激突よりも重厚な悲劇として捉えてみよう」『座頭市と用心棒』
コメ0
週刊文春デジタル 2ヶ月前
気鋭の娯楽映画監督として登場した岡本喜八監督だったが、一九六〇年代半ばには前回の『ああ爆弾』をはじめ、『江分利満氏の優雅な生活』『殺人狂時代』と風変わりな作りの作品を連発していく。そのため、所属していた東宝は彼にあまり作品を撮らせなくなるのだが、この時も、尖った映画を撮り続ける監督として収まる...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第610回「冒頭から度肝を抜かれる狂言仕立てのミュージカル映画!」『ああ爆弾』
コメ0
週刊文春デジタル 2ヶ月前
前回に続いて、岡本喜八のフィルモグラフィを追う。デビュー作『結婚のすべて』で見事なソフィスティケート・コメディを撮ってのけた岡本は、その後も「暗黒街」シリーズではギャング映画を撮り、「独立愚連隊」シリーズでは戦争映画を西部劇に仕立て――と、ハリウッド映画の影響を直接的に表現した演出で人気を博して...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第609回「テンポもキレも良いコメディ演出。洗練された岡本喜八監督デビュー作」『結婚のすべて
コメ0
週刊文春デジタル 2ヶ月前
折に触れて本連載でも述べてきたが、今年は岡本喜八監督の生誕百年になる。そこで、今回から年末あたりまで、監督のフィルモグラフィを追う。 まず取り上げるのは、『結婚のすべて』。
-
春日太一の木曜邦画劇場 第608回「西田敏行の、野蛮で恐ろしくても奥底に純な心を宿す演技が抜群だ!」『天国の駅』
コメ0
週刊文春デジタル 3ヶ月前
西田敏行が亡くなった。 西田といえば、テレビドラマ『池中玄太80キロ』や映画「釣りバカ日誌」シリーズに代表されるような、ホノボノした人情味あふれる作品を思い浮かべる方も多いだろう。ただ筆者としては、その正反対の役柄を演じた時の西田が好きだった。 たとえば映画『敦煌』の傭兵隊長や大河ドラマ『武田信...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第607回「洋画の設定+下世話・お下劣。これぞ石井輝男ワールドだ!」『網走番外地 北海篇』
コメ0
週刊文春デジタル 3ヶ月前
今年は日本の娯楽映画史に偉大な足跡を残した二人の映画監督が、生誕百年を迎えた。 それが石井輝男と岡本喜八。いずれも、ハチャメチャに面白い映画を作り続けたエンターテイナーだ。 この二人に共通点がある。 それは、洋画のテイストをかなり直接的に作風の中に盛り込んでいるところだ。若手時代はノワール調の...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第606回「妖しさと気品が備わる晴明との間の緊張感は、真田が放つ闇が生んだ!」『陰陽師』
コメ0
週刊文春デジタル 3ヶ月前
真田広之はデビュー以来、飽くなき挑戦心をもってさまざまに役柄の幅を広げていった。そして、四十代を迎える二〇〇〇年前後には早くも、その芝居は円熟味すら感じさせるようになっていた。 だがその一方で、日本映画は真田の成長に反比例するように、その質もスケールも、大きく落としていく。そのため一観客、一真...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第605回「ヒーローから喜劇まで演じる真田は嫌みで軽薄な役まで達者に見せた!」『僕らはみんな
コメ0
週刊文春デジタル 3ヶ月前
前回の『快盗ルビイ』以降、一九八〇年代の終わりから九〇年代の前半にかけての真田広之は、『病院へ行こう』『どっちにするの。』『継承盃』と、コメディ映画に次々と出演、それまでのヒーロー役のイメージを一変させていった。 今回取り上げる『僕らはみんな生きている』もまた、この時期に真田が主演した、傑作コ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第604回「トロくてボンヤリした青年の動きが真田の運動能力で喜劇へ昇華した!」『快盗ルビイ』
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
前回に続き、真田広之のフィルモグラフィを追いかける。『吼えろ鉄拳』の大ヒット以降、真田は若手アクションスターとして大人気を博することになる。しかし、そうして得た「スター」の座に甘んじることはなかった。八〇年代半ばからは、主に現代劇でヒロイックではない等身大の役柄にも挑戦している。 中でも和田誠...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第603回「若き真田が見せる、チャーミングで美しくて超人的なアクション!」『吼えろ鉄拳』
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
エミー賞受賞を祝し、しばらく真田広之のフィルモグラフィを追ってみたい。 子役から始まった真田の俳優人生は、千葉真一が率いるジャパンアクションクラブ(JAC)での修行を経て、キャリアを重ねていく。そもそも精悍なルックスと類稀な運動神経の持ち主ではある。が、それに甘んじることなく、たゆまぬ厳しい鍛錬と...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第602回「真田広之、祝・エミー賞受賞。時代劇役者として円熟期の一本!」『助太刀屋助六』
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
真田広之がエミー賞を受賞した。プロデューサーでもある真田は、自身が育った京都から時代劇のスタッフを招いている。それだけ真田は京都の時代劇スタッフたちの力を信頼しているし、またスタッフたちも真田に惚れ込んでいるということだ。実際、真田と仕事をしたことのある京都のベテランスタッフたちと話をすると、...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第601回「“遺体”に用いたメイク技術とは。ヒット映画の裏に職人あり!」『おくりびと』
コメ0
週刊文春デジタル 4ヶ月前
来たる十月一日、拙著新刊『ヒット映画の裏に職人あり!』が小学館新書から刊行されることになった。 これは、近年のヒット映画や話題作、大河ドラマなどで重要な役割を果たすスタッフ十二名へのインタビュー集。その仕事内容に関して、一人ずつ詳細にうかがっている。 正直なところ、新作の邦画に関しては監督・脚...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第600回「重苦しくて新作を避けた少年時代。印象を大きく変えた邦画がこれだ」『大誘拐 RAINBOW
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
おかげさまで、本連載は六百回を迎えることができた。旧作邦画一筋で、これだけ続けられたのは、何より読者の皆様のご愛顧のおかげ。改めて、御礼申し上げたい。 今でこそ、このように邦画を専門にしているが、映画を好きになった頃は苦手だった。一九八〇年代半ばに『グーニーズ』で映画の面白さに目覚めたため、以...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第599回「無実を証かす社会派映画ではない。怪優だらけの地獄の迷宮のようだ!」『遠い明日』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『遠い明日』を取り上げる。前回の『櫛の火』に続き、田中収プロデューサー&神代(くましろ)辰巳監督による東宝作品だ。そして、またしても「よくこれを東宝で作れたな――」と驚く内容になっている。 幼い頃に死んだと聞かされていた父親が、実は殺人犯として服役中と知った青年・明(三浦友和)が事件のあっ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第598回「日活ロマンポルノ以上の作品を東宝が製作した、これがその背景だ」『櫛の火』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『櫛の火』を取り上げる。一九七五年に神代(くましろ)辰巳監督が撮った作品だ。 この時期の神代監督は日活のロマンポルノで話題作を連発していた。といっても日活と異なり、これは東宝配給作品だ。本来ならば健全な娯楽作品が求められる。 ところが、だ。本作はロマンポルノ級――というより、それ以上の割合...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第597回「佐藤慶の悪はお岩の呪いすらはね除けそうなほど強烈!」『四谷怪談 お岩の亡霊』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
お盆休み前に発売された本誌の合併号で、怪談を扱った映像作品を十五本、紹介した。 ただ、全体のバランスを考えて泣く泣く選から外した作品もある。今回取り上げる『四谷怪談 お岩の亡霊』も、そんな一本だ。
-
春日太一の木曜邦画劇場 第596回「元海軍の監督と元特攻隊の脚本家。自身の生の感情が生む想いの数々」『人間魚雷回天』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『人間魚雷回天』を取り上げる。前回の『戦艦大和』と同様、新東宝が大蔵貢社長による復古的な戦争映画を作るようになる以前の、反戦メッセージの強い作品だ。 回天とは太平洋戦争中に軍が開発した魚雷だ。だが、それは尋常ならざる兵器だった。 兵が一人で乗り込んで自ら操縦し、敵艦へと突っ込んでいくのだ...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第595回「無謀な出撃論、不安を抱える兵。『死』の予感が静かに漂い続ける」『戦艦大和』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
新東宝の戦争映画といえば、前回の『明治天皇と日露大戦争』のような、天皇を軸にした復古調の内容ばかりだという印象を持っている年配の方も少なくないかもしれない。 ただ、それは大蔵貢が社長に就任して自ら企画に携わるようになった一九五六年の『軍神山本元帥と連合艦隊』以降のこと。それ以前は、どちらかとい...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第594回「天皇を描くというタブーに挑んだ、日本では数少ない戦記映画」『明治天皇と日露大戦争
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
七月から九月上旬まで、大阪の名画座、シネ・ヌーヴォにて新東宝作品の特集上映が開催されている。 せっかくなので、それに合わせて本連載もこの夏は新東宝の戦争映画を紹介していきたい。今回取り上げるのは『明治天皇と日露大戦争』だ。 当時、新東宝はヒット作に恵まれずに危機的な状況にあった。そこで大蔵貢社...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第593回「怪人の加藤、将門の怨霊よりも強烈な勝新・渋沢栄一の存在感!」『帝都物語』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
新しい一万円札が発行され、世間にも出回るようになった。 ただ、新一万円札を手にして「あれ、渋沢栄一ってこういう顔だったか――」と拍子抜けした人もいるかもしれない。大河ドラマ『青天を衝け』を観ていた人からすると、吉沢亮の「爽やかなイケメン」のイメージがあっただろう。また、一部の映画ファンは、もっと...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第592回「お馴染みの物語にまさかの仕掛け。橋本忍は近松をも飲み込んでいた!」『女殺し油地獄
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『女殺し油地獄』を取り上げる。 さて、ここで少し近況報告を。拙著『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞し、先日、授賞式が開催された。この仕事をしていると「これで一区切り」という感覚はなかなか味わえないのだが、ここでは珍しく、そんな達成...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第591回「情に寄り過ぎない男女の関係を長谷川公之の脚本がタイトに見せる」『孤独の賭け』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
前回まで「陸軍中野学校」シリーズを続けて取り上げる中で、改めて気づいたのは脚本家・長谷川公之によるプロットの見事さだ。その緻密さにより、スパイたちの諜報戦に緊迫感をもたらしていた。 長谷川は警察官出身という珍しい経歴の持ち主で、それを活かして「警視庁物語」などの刑事ドラマを得意としてきた。その...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第590回「スパイは誰だ? 伝達網はどこだ? シリーズ屈指の極秘諜報戦!」『陸軍中野学校 開
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『陸軍中野学校 開戦前夜』を取り上げる。前回の『雲一号指令』と同じく、市川雷蔵の演じる諜報員・椎名次郎の活躍を描いたシリーズの第五作だ。 時は一九四一年の十一月。タイトルの通り、日米の開戦を目前にした時期である。 椎名が香港で得た情報により、対米交渉の期限を定めた御前会議の内容が連合国側...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第589回「『時代劇メイク』のない市川雷蔵を見事に活かす現代劇の役柄がある!」『陸軍中野学校
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
市川雷蔵と仕事をしたスタッフや俳優に取材すると、ほぼ必ず出てくる話がある。それは、時代劇のメイクをした際は凜々しく美しい一方で、普段のノーメイクの時は全くの地味な見た目になるというエピソードである。 雷蔵が凄いのは、だからといって現代劇を避けなかったことだ。むしろその特性を存分に活かして、時代...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第588回「名優たちによる魅力的な登場人物がご都合主義的物語をカバーしていた」『ある殺し屋の
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
今回は『ある殺し屋の鍵』を取り上げる。 市川雷蔵が凄腕の殺し屋を演じたシリーズの二作目だが、前作の主人公が表で小料理屋を営む塩沢で、本作は日本舞踊の師匠の新田だったりと、両作に直接の繋がりはない。 今度の新田の標的は、脱税を繰り返す悪徳金融業者の朝倉(内田朝雄)だ。新田はなんなく役目を果たすが...
-
春日太一の木曜邦画劇場 第587回「バラエティや『悪役』だけではない中尾彬は卑小な男を演じても抜群だ」『内海の輪』
コメ0
週刊文春デジタル 5ヶ月前
中尾彬といえば、晩年はバラエティ番組への出演が目立っていたが、俳優として多くの方が印象を抱くのは、やはり「悪役」だろう。 貫禄たっぷりの顔とシルエット、野太い声、ギラついた眼差し――全てにおいて押し出しの強さを感じさせ、多くのテレビドラマや時代劇などで主人公たちの前に立ちはだかってきた。ただ、彼...