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■久瀬太一/8月24日/19時35分
2014-08-24 19:35
「左だ。走れ」
と八千代が叫んだ瞬間、走り出していた。
すぐそこに男がいる。気にせず走った。殴れとは言われていない。
と、目の前で、そいつは吹き飛んだ。脇を駆け抜けて走る。
後ろからは足音が聞こえた。
気にせずに走る。
刺された傷は、やはり痛む。
でも先ほどまでよりもずっと、その痛みは穏やかなものになっていた。
不思議だ。
――いや。そうでもないか。
今さら、ソルたちから届いたヒーローバッヂが特別な力を持っていたとして、それが不思議なことだとは思えない。
オレは前だけをみて走る。
かぐら大佐@SOL川越班@神田楽 @yuzupee 2014-08-24 19:35:30
久瀬いっけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ -
■八千代雄吾/8月24日/19時30分
2014-08-24 19:30
「傷は?」
「問題ない」
「問題ないわけないんだがね」
「でも、問題ないんだ。不思議とね」
久瀬とそんなやりとりを交わしていたときだった。
道路脇からふいに、男が飛び出した。
どうしようもなくオレは、ブレーキを踏み込む。
ボンネットが男に触れる。その、数センチ手前で停まる。
その男はもちろん、ひと目でわかった。
――ニール?
どうして?
彼は不敵に笑って、ボンネットに右足をかける。
「よう、八千代」
と彼は言った。
さすがにアクセルは踏めなかった。
「久しぶりだね、ニール。悪いんだけど、ちょっと急いでるんだ」
「ああ。こっちも急ぎの用だ」
「なんなら、乗ってくかい?」
「残念だがな。お前らを車から引きずりおろすのが、オレの用でね」
もう2人、周囲には男たちが現れていた。片方が車のすぐ後ろに立っているせいで、バックもできない。
「どうする?」
と久瀬が言う。
「 -
■久瀬太一/8月24日/19時20分
2014-08-24 19:20
それは、窓から押し込まれてきた。 意外に大きな紙袋だった。「なんだよ、それ」 と八千代がいう。 オレはその紙袋を開く。 何通もの手紙が入っていた。 それから、スマートフォン。おそらく八千代のものだ。続いてキャンディ。これもきっと、八千代用だろう。
それから、もちろん、ヒーローバッヂが入っていた。 ちゃちで小さな円盤だった。
でも、なによりも価値のあるものだと知っていた。
それをつかんだ瞬間、ふいに。
視界が、あのバスの車内に切り替わった。
※
「よう」
ときぐるみがいう。
「よう」
とオレは答える。
「ヒーローバッヂは手に入ったか?」
「ああ」
オレはそっと、手を開く。
そこには、新品の、綺麗なヒーローバッヂがあった。
「本物か?」
思い出していた。
ヒーローバッヂ。それは、みさきがオレへのプレゼントとして用意したものだ。オレが知っているヒーロー -
■“久瀬太一”の乗る車から生中継
2014-08-24 18:46
http://live.nicovideo.jp/gate/lv190859549
OMG @omg_red 2014-08-24 19:10:24
着いた!
ゲコ@SOL @tuno17169264 2014-08-24 19:10:53
わたした!
子泣き大将@優とユウカの背後さん @conaki_pbw 2014-08-24 19:10:59
入れた!入れたー!
悠梨@bellの音色は鳴り続く @pear84 2014-08-24 19:11:05
押し込んだwwwwwwwwwwwwwwwwwww
しろくろパンダ@3D小説wiki編集班 @Miraclekurami 2014-08-24 19:11:08
現地GJ!
DD十六夜仁/多重仁格@ノベルナ @lunaticvoice 2014-08-24 19:11:15
超一瞬www
かめ@kameaa -
■久瀬太一/8月24日/18時45分
2014-08-24 18:45
新幹線を下りて、八千代がレンタルしたのは、トヨタの高級そうな黒い車だった。品川のナンバー。頭2桁は共に6だった。後部座席の窓ガラスには、スモークが入っている。
オレはその助手席に腰を下ろす。
身を屈めると、刺し傷が痛んで、オレは顔をしかめた。身体をまともに動かせない。
「大丈夫か?」
と八千代がいう。
「もちろん」
とオレは答える。
なんとか背もたれに身体を預けて、言った。
「みさきに会う前に、ちょっと用がある」
「なんだ?」
「奇跡を貰いにいく」
「どういう意味だよ?」
オレだって知らない。でも、
「みんなが動けば、当たり前に奇跡だって起きるらしいぜ」
とオレは言った。
ソルたちが動いていることは、もうわかっている。
今だってスマートフォンが震え続けている。
きっとみんな、上手くいくはずだ。
わらび餅@天田の闇に溺れた @namakerol 2014 -
■久瀬太一/8月24日/18時30分
2014-08-24 18:30
ふいに、スマートフォンが震えた。
――ソルからだ。
ほとんど確信を持って、オレはスマートフォンを開く。
メールを開いた。
そこには、シンプルに、オレがもっとも欲しい情報が書かれていた。
※
みさきは君と星を見た公園にいる。バッヂを受け取ったあと向かって欲しい
しながわりんこ @yuzuyuzuyuzuppe 8月24日
@3d_bell まずは、いまどこにいるか聞いてみて!
少年(ベルくん) @3d_bell 8月24日
このメールを送ったら返信がありました! @yuzuyuzuyuzuppe
【久瀬さんからの返信】
もうすぐ、東京につく。
そこからは車で移動する予定だ。
あいう @aiu_096 8月24日
@3d_bell
ベル君久瀬君に
12年前のクリスマス
君はどこにいた
って送ってほしい
後昨日の夜私が送った奴もでき -
■謎まとめ/8月24日/URL謎・パスワード謎
2014-08-24 18:29
※ここには読者が解き明かした謎の内容が記されています。自らの手で謎を解き明かしたいという方は、この記事を読み飛ばして次ヘ進んでください。
《読み飛ばす》
よーさん:潜 @yoh_53
白黒サーガ更新きました!!
aranagi@静岡ソル @arng_sol
シロクロ最新版 http://neumann.2-d.jp/sksaga/SK/
まぁや @maaaya1011
“@4koma_memories: しばらく現実を離れます。 悪魔の居場所を捜している者だけと面会する予定。 ――ノイマン”
きうり @yuzuhakusai
ノイマンがしゃべったぞ!
chronos @chronos9603
シロクロサーガ 悪魔の居場所のヒントだそうです http://twitter.com/chronos9603/status/503451790264655872/photo/1
アディルカ -
■佐倉みさき/8月24日/16時45分
2014-08-24 16:45
12年前。
私がまた会いたいと願って、だから彼は来てくれたんだ。
私が強引に、彼の運命を捻じ曲げて、彼に血を流させたんだ。
――どうして、忘れていたんだろう?
あの夜。
私は、パーティ会場を抜け出した。
ピアノの発表会の前に、前の年に彼と一緒に、星を見上げた場所にいこうと思った。
魔法のかかったキーホルダーを握りしめて走る。心を落ち着けるために。私ひとりでも、上手くピアノをひけるように。
――本当に?
違う。
私は、彼に救われたかった。
また彼に優しい言葉をかけて欲しかった。
でもパーティ会場に彼はいなかった。
だから、彼の姿を捜して。夜道をひとり走って、そして。
あってはならないタイミングで、彼は来てくれた。
甲高いブレーキの音が聞こえた。ふたつのライトが目の前まで迫っていた。
そのとき、彼はふいに現れて、笑って。
私の背中に思い切りビンタする -
■久瀬太一/8月24日/16時15分
2014-08-24 16:15
新幹線の座席に座って、少しだけまどろんでいた。
まだ意識がはっきりとしない。
身体が上手く動かない。
目を閉じる。
気がつけばまた、隣にはあのきぐるみがいる。
※
「制作者が望んでいるのは、たったひとつの証明だ」
ときぐるみが言った。
「それは夢みたいな証明だ。本来なら目にみえないもの、きっとどこにも存在しなかったもの」
オレは頷く。
「つまり、ハッピーエンドか」
昨日、雪が言っていた。
――この物語にはバッドエンドしか存在しない。
だからそれを、無理やりに、強引に、生み出さなければいけない。
「ヒーローバッヂを手に入れろ」
ときぐるみが言った。
「お前は誰にも、悪魔にも負けない、本物のヒーローになるんだ」
窓の外に、また知らない光景がみえる。
※
そこには、オレがいた。
黒い車の助手席に座っているようだった。
その車は道路 -
■佐倉みさき/8月24日/16時
2014-08-24 16:00
絶対に、また会おう。
と、自分でそう言ったことで、思い出しつつあった。
同じことを、あの夜の私も望んでいた。
だから広いパーティ会場で、私は彼の姿を探した。
去年のお礼を言いたかった。お返しのプレゼントを手渡したかった。いや、そんなことよりも単純に、また彼に会いたかった。
なのに彼はみつからなかった。
――どうして?
私は、悲しくて、不安で。相変わらず臆病で。
その年も私は、ピアノの演奏をすることになっていた。
どうにか心を落ちつけたくて、私は――
※
「私が悪いんだ」
と声がきこえた。
小さな女の子が、ベッドの上で膝をかかえている。
「みんな、私が悪いんだ」
それは、私だ。
まだ幼かったころの私だ。
幼い私はほとんど無表情で、うつむいている。
声をかけることができなかった。
「私が悪いんだ」
と、また彼女が言った。
胸の中で、そ
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