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トヨタ生産方式について考える:その35(1,569字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 26ヶ月前
これからの時代に、トヨタ生産方式はますます重要になるだろう。なぜなら、これからますます機械が進化するからだ。そうなると、人間の仕事は「機械を作ることだけ」のようにも思えるが、実はそうではない。機械と生産とを結びつける――という仕事が残る。あるいは、その結びつけ方を工夫する、という作業が残る。これは...
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トヨタ生産方式について考える:その34(1,579字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 26ヶ月前
トヨタ生産方式の象徴ともいえるものが「かんばん」である。そのため、「かんばん方式」などともいわれている。かんばんを使って生産の流れを作り出すからだ。では、かんばんとは何か?それは、第一に「後工程が前工程に引き取りにいく」ということである。そのため、最初は「スーパーマーケット方式」とも呼ばれていた...
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トヨタ生産方式について考える:その33(2,271字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 26ヶ月前
現代では、多くの人がコミュニケーションを誤解している。多くの人は、「怒ってはいけない」と思っている。あるいは、「褒めるのがいい」と思っている。これらは、実際は逆なのだ。人は、怒らないと伝わらない。また、褒めたら伸びない。ぼくは、本当に長い歳月をかけて、コミュニケーションについて研究した。その結果...
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トヨタ生産方式について考える:その32(2,275字)
コメ1 ハックルベリーに会いに行く 27ヶ月前
大野耐一がいなければ、トヨタ生産方式はトヨタに根づかなかった。またトヨタ生産方式がトヨタに根づかなければ、トヨタは今頃潰れていたかもしれない。というのも、現在社長の豊田章男が2009年にトヨタの社長に就任したとき、トヨタはリーマンショックやアメリカでのリコール問題でボロボロだったからだ。豊田章男はこ...
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トヨタ生産方式について考える:その31(2,169字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 27ヶ月前
トヨタ生産方式最大の謎は、「なぜそれがトヨタに根づいたのか?」ということである。そのことの直接的な答えは「大野耐一がいたから」や「大野耐一がそれを根づかせたから」ということになるのだが、では、大野耐一はなぜトヨタ生産方式をトヨタに根づかせることができたのか? これは、答えるのがとても難しい問いだ...
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トヨタ生産方式について考える:その30(1,740字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 28ヶ月前
トヨタの前身、豊田織機を創業した豊田佐吉は放任教育の中で育った。また、その息子でトヨタ自動車の創業者となった豊田喜一郎も放任教育の中で育った。豊田喜一郎の息子は元トヨタ社長の豊田章一郎で、さらにその息子が現在の社長の豊田章男だが、いずれも放任教育の中で育ったという。トヨタには、四代にわたって放任...
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トヨタ生産方式について考える:その29(1,878字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 28ヶ月前
豊田佐吉と豊田喜一郎の父子は、必ずしも円満な関係ではなかった。というのも、喜一郎の実母は喜一郎を生んですぐ、出て行ってしまったからだ。出て行った理由は、佐吉が研究に没頭するあまり、家庭を全く顧みなかったからというもの。佐吉は、子供にもそうだが、妻にも無関心だった。家庭を顧みない男性は、当時はけっ...
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トヨタ生産方式について考える:その28(2,039字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 28ヶ月前
今回は、豊田織機の創業者である豊田佐吉と、その息子でトヨタ自動車の創業者である豊田章一郎について考えたい。豊田佐吉は、1967年(慶応3年)の生まれで、ぎりぎり江戸時代人である。静岡で育ち、父は大工と農業をしていた。佐吉の生家は、お金持ちではなかったが、子だくさんでも養子や奉公に出したりはしなかったの...
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トヨタ生産方式について考える:その27(1,853字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 28ヶ月前
現代に生きる我々にとって「服」はあまりにも安価であり、おかげでほとんど「使い捨て」るような存在となっている。そのため、ありがたみはきわめて薄く、その本質的な価値をほとんど感じられない。しかしほんの150年前まで、それは宝物のような存在だった。必需品でありながら供給が全然足りていないため、きわめてあり...
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トヨタ生産方式について考える:その26(1,830字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 28ヶ月前
子供の頃に、歴史で確か「工場の進化」の授業をしていた気がした。しかし、そこでは「家内制手工業」や「工場制手工業」「工場制機械工業」などの用語を教えるくらいで、その本質的な意味合いや、社会との関係性は一切語られなかった。しかし、今思うとそもそもは歴史的に重要だから、そのことを教えていたわけだ。学校...
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トヨタ生産方式について考える:その25(1,727字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 29ヶ月前
工場における小さな変化とは何か?それは、実際には無数にある。たとえ毎日同じルーティンワークをしていたとしても、昨日と完全に同じということはありえない。そこには少なからず、昨日とは違う変化がある。毎日同じルーティンワークをしていると、そういう何かしらの変化に気づける。これが、毎日「違うこと」をして...
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トヨタ生産方式について考える:その24(1,639字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 29ヶ月前
工場は人を圧倒的に成長させる。それは、同じものを作り続けるからだ。そのため、そこで定点観測をすることができる。定点観測をすると、そこで「気づく」ことができる。気づきは、アイデアの閃きや改善の実行へとつながり、そこでまたフィードバックが得られる。このサイクル(定点観測・気づき・アイデア・実行・フィ...
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トヨタ生産方式について考える:その23(1,689字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 29ヶ月前
工場は、産業革命によってたまたま生まれ、広まったものだが、しかしこの工場こそが、現代文明を破格に押し上げた一番の立役者かも知れない。19世紀の後半から20世紀の前半にかけて、科学が急速に進歩した。それによって近代化がなされたように思われがちなのだが、しかし実際のところ、例えば蒸気機関などはもっと以前―...
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トヨタ生産方式について考える:その22(1,653字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 29ヶ月前
ぼくは、東京芸大建築科1年生のときに、学校の課題として木製の椅子を作った。しかし今思うと、あれは何の役にも立たなかった。ぼくは、ここまでの53年の生涯で、椅子を作ったことはその一度きりしかない。だから、そこで考えたことや学んだことが、その後役に立つことはなかった。また、もし今後椅子を作ることがあった...
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トヨタ生産方式について考える:その21(1,706字)
コメ1 ハックルベリーに会いに行く 30ヶ月前
トヨタ生産方式の肝は、社員教育にある。社員を教育し、その成長を促すのがトヨタ生産方式だ。社員が成長すると、会社としての生産性が向上する。社員を能力が低い段階で安い賃金で雇い、そこから賃金は微増に抑えながら能力を向上させるため、費用対効果が高くなるからだ。その逆に、社員が成長しない組織は「費用対効...
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トヨタ生産方式について考える:その20(1,591字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 31ヶ月前
子供ための自由な環境を作るという教育(以降「自由教育」という)は、すでに世界中で行われている。モンテッソーリ、シュタイナー、そしてアメリカのサドベリースクールなど、みんな同じ教育方針だ。現在の北欧の公教育も、そういう方針で一貫している。特にフィンランドの教育は進んでいて、生徒が自分で学びたい科目...
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トヨタ生産方式について考える:その19(1,608字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 31ヶ月前
これからの子供に必要なのは、学校ではない。研究室だ。そして、研究ならだいたい10歳くらいからできる。イチローや鈴木誠也が本格的に野球の研究を始めたのも10歳くらいだろう。ちなみに、20世紀最大の天才・ノイマンが学校に通い始めたのは10歳である。それまでは家で勉強していた。ウィトゲンシュタインは発話が遅か...
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トヨタ生産方式について考える:その18(1,698字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 31ヶ月前
イチローという野球選手がいる。彼は1973年の生まれでもうすぐ50歳だが、「新しい子供」の先駆けではなかったか。つまり、「道路で遊べなくなった最初の世代」だ。町が遊び場でなくなった最初の世代である。そのことが、イチローという選手の偉大さを生んだ。イチロー選手は、彼より年上の野球選手たちとは明らかに違う...
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トヨタ生産方式について考える:その17(2,123字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 31ヶ月前
最近、『アポロ10号 1/2 宇宙時代のアドベンチャー』という映画を見て感動した。これは、1960年生まれの監督が、少年だった頃(9歳の頃)の1969年を振り返って作った作品だ。フィクションだが、自伝的要素も強い。監督はテキサスの生まれで、近くにはNASAがあった。父はNASAの職員だった。だから、アポロの月面着陸とい...
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トヨタ生産方式について考える:その16(1,736字)
コメ1 ハックルベリーに会いに行く 32ヶ月前
1970年代まで、子供たちは放っておかれた。それは数が多かったからだ。大人たちは、とてもではないが子供の面倒を見切れなかった。しかし、それが良かった。数が多いからこそ放っておかれた子供たちは、そこで自由を謳歌し、能力を育んだ。しかし、80年代に入った頃から次第に大人たちの数が増え、また子供の数が減りだ...
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トヨタ生産方式について考える:その15(1,621字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 32ヶ月前
人類は、いまだに「人が成長する構造」というものをよく分かっていない。理由は、「理解が難しいから」ということと、「直感に反している」ということによる。おかげで、今日でも教育は迷走している。特に、長い間信じられていた「飴と鞭」の法則が20世紀半ばに崩れ去った後、その代替として浮かび上がった「褒めて育て...
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トヨタ生産方式について考える:その14(1,911字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 32ヶ月前
この世の中は、「優秀さ」ということについての価値が高い。人は、優秀な人を評価する。ところが、驚くことにその「優秀さ」の定義が、きわめて曖昧なのだ。そのせいで、人間そのものの評価も曖昧になっている。特に、日本企業ではその傾向が強いだろう。ドラッカーは、「何が成果かを問え」とくり返し唱えた。つまり、...
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トヨタ生産方式について考える:その13(2,591字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 32ヶ月前
トヨタ生産方式の大野耐一は、部下への教育において「手取り足取り教えない」ということを信条としていた。部下が自分で問題解決方法や、あるいは問題そのものを見つけるまで、ひたすら待つことにしていた。ただし、漫然・超然と待っていたわけではなく、強い圧力をかけていた。無言で部下を工場へ連れ出し、長い時間見...
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トヨタ生産方式について考える:その12(2,425字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 32ヶ月前
先週、ネットを見ていたら「ファインマンテクニック」という勉強法が話題になっていた。本当に理解できる勉強法「ファインマンテクニック」が効果的。やっぱり丸暗記は無意味だったこの「ファインマン」とは、ぼくの好きな「ファインマンさん」のことである。ご冗談でしょう,ファインマンさん 上勉強法の概要はというと...
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トヨタ生産方式について考える:その11(1,772字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 33ヶ月前
トヨタ生産方式の定義を一言で説明するのは難しい。なぜなら、重要なポイントがいくつかあるからだ。そのうちの一つが「平準化」である。平準化とは、「作業の流れを作る」という意味だ。作業の基本を策定し、それに則って作れば誰でもできるような方式に落とし込むことである。「作業の流れを作る」というのは、作業の...
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トヨタ生産方式について考える:その10(1,776字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 33ヶ月前
トヨタ生産方式とは、「生産方式をたえず考え続けることがだいじ」という、入れ子構造的な、クラインの壺的思想である。「考えとは何かを考えることこそ考え」のようなものだ。「生産方式とは何かを考えることこそ生産」というわけである。この思考メソッドは、驚くべきことにさまざまなことに応用できる。特に学習に応...
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トヨタ生産方式について考える:その9(2,202字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 33ヶ月前
この世界の多くが「お為ごかし」でできている。なぜなら、多くの人が「暇」だからだ。多くの人は、本当に役に立つ仕事をしていない。そもそもできない、ということもある。おかげで、膨大な暇を持て余している。その暇を埋めるために、社会では数多くの余計な仕事やもめ事が捏造されている。そういう状況が、有史以来ず...
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トヨタ生産方式について考える:その8(1,803字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 33ヶ月前
トヨタ生産方式の隠されたコンセプトは、「現場を学びの場として活用する」というものである。現場を非常に重要なものとしてとらえている。現場ありきのメソッドなのだ。では「現場」とは何か? それは、物作りをする人・場所・時間のことである。人が何かをアウトプウトし、そのフィードバックを得られる環境のことだ...
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トヨタ生産方式について考える:その7(1,624字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 34ヶ月前
高校3年生になって大学受験を間近に控えたとき、ぼくはそれまで全く勉強してこなかったツケを払うため、自分で新たに勉強方法を開発しなければならなくなった。そこで取り組んだのが、「アンチョコを用いる」という方法だ。このとき、アンチョコをどう活用していいのかは分からなかったが、とりあえず買い、読み込んでみ...
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トヨタ生産方式について考える:その6(1,601字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 34ヶ月前
ぼくが成長した時期というのは、人生で大きく3つある。1つは大学受験をした18歳のとき。1つは放送作家見習いをしていた22歳から25歳までのとき。1つは放送作家をクビになって収入が途絶えた30歳から32歳までの2年間だ。なぜその時期に成長したかというと、圧倒的な「自習」をしたからだ。その意味で、自習こそが人を成長...
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トヨタ生産方式について考える:その5(1,934字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 34ヶ月前
工場を持っている企業は強い。なぜ強いかというと、現場があるからだ。実は、「現場を持っていること」こそ、イノベーションの生まれる鍵である。だから、現場を持っている企業は強い。というよりも、現場を活かす企業こそが、最も強い。トヨタは、現場を活かす企業である。では、「現場を活かす」とは何か? それは、...
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トヨタ生産方式について考える:その4(1,903字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 35ヶ月前
20世紀半ば以降、現在まで続き、今後も収まりそうになり世界の三大潮流は、知識社会化、グローバル化、リベラル化だ。この三大潮流は、乗るのがかなりきつい。それは、高い能力が求められるからだ。しかし乗らないと生きていけないから、乗る必要がある。そこで、乗る上でのヒント、手がかりが必要なのだが、それこそが...
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トヨタ生産方式的に人生のボトルネックを見つける(1,921字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 35ヶ月前
トヨタ生産方式のことを書いていたら、たまたまトヨタがEVの新ラインアップを発表して話題になっていた。トヨタ 電気自動車の販売で新目標 2030年に世界で350万台これでトヨタはEV戦争の参戦になんとか間に合った格好となったが、よくイノベーションのジレンマを克服できたと思う。今頃、社内には仕事がなくなる人の阿鼻...
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トヨタ生産方式の「自働化」とは何か?(1,690字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 35ヶ月前
トヨタは、「機械工業のボトルネック」に早くから気がついていた。それは、「人が機械のケアをしなければならないこと」だ。機械は、必ずしも「全自動」ではない。見張っていないといけない。それは全自動ではない洗濯機のようなものだ。ボタンを押したら洗い上がる――というのではなく、いちいち洗いボタン、すすぎボタ...