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記事 5件
  • 電子書籍、次々と刊行~。

    2016-09-29 22:13  
    51pt

     電子書籍がさらに3冊出ました。
     『『進撃の巨人』はなぜ残酷な現実を描くのか?』は「新世界系」の記事のまとめで250円、『伏見つかさを読む 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のメタラブコメ構造』は伏見つかさ作品の書評のまとめで99円、『傑作漫画書評集 ファンタジーは女性をどう描いてきたか』は「Something Orange」時代の漫画書評のまとめで99円です。よければお買い求めになるか、Kindle Unlimitedで読むかしてみてください。

     これでKindle Storeの電子書籍も10冊になりました。それぞれ、ぼちぼち売れています。あとはロングテールでちょこちょこ売れてくれることを期待したいところですが、さて。
     まあ、電子書籍は儲からない、金にならないとはよくいわれるところですが、ぼくはやりようはあるのではないかと思っています。べつにベストセラーを出す必要はないのです
  • Kindle Unlimitedで読めるオススメの漫画×100。

    2016-08-22 19:55  
    51pt
     先日、サービスが開始したばかりのKindle Unlimied、皆さん、利用されておりますでしょうか。月額980円で12万冊に及ぶ電子書籍が利用可能という、お得といえばお得なサービスです。
     著者に正当な利益が配分されるとは思えないという、致命的な問題点もありますが、それを脇に置くとすると、たしかに利用しがいはあります。
     とりあえず今回は一部のご要望にお応えして、Kindle Unlmitedで読める面白い漫画を100作並べてみました。全作品にコメント付けようかと思っていたのだけれど、さすがに辛いのでタイトルだけにしておきます。あとで気が向いたらコメント付けるかも。
     ここに並べた作品は、古い作品もあれば新しい作品もあり、全巻無料で読めるものも一部だけのものもありますが、とりあえず何らかの意味で推薦できる逸品です。あくまで「いま」読んで面白い作品という基準でセレクトしました。よければ読
  • TONOとよしながふみの落差。

    2014-01-24 18:34  
    53pt
     さて、ふたつほど前の記事で書いたように、山梨のてれびんの家に二日ほど居座って漫画を読んで来ました。ちょうどTONO『カルバニア物語』が床に散らばっていたので、拾い集めて再読してみたのですが、いや、これ、ほんとすばらしいですね。
     掲載誌がいつのまにかボーイズ・ラブ雑誌になっていた『Chara』ということもあって、あまり一般的な知名度は高くない漫画だと思いますが、でもこれは必読クラスの名作といっていい。
     てれびんもいっていたけれど、おがきちかさんの『Landreaall』に近い気がする。まあ、ペトロニウスさんがいつだったか書いていたように、ほぼミクロの関係性に終始する少女漫画なので、つまらないと思う人もいるだろうけれど、ぼくにとっては至上の作品です。
     何が面白いのか。ひとつにはやっぱり性差の問題を繊細に描き込んでいることがあるでしょう。
     主人公はカルバニア王国のうら若き女王タニアと公爵令嬢のエキュー・タンタロット、彼女たちは国を統べる頑固な男たちとさまざまな局面で対決させられます。そしてしばしば性差別的ともいえる「壁」にぶつかって悩んだり怒ったりすることになるのです。
     しかし、それなら「性差別反対!」「女性に権利を!」的な物語なのかといえばまったくそうではないあたりが面白い。
     いや、たしかにタニアたちは差別的な扱いにうんざりしながら抵抗を続けていくのですが、だからといって彼女やエキューが常に正しいというわけでもないんだよね。
     時には頭の硬いおっさんたちのほうが正論をいっていることもあるし、どっちもどっちということもある。重要なのは決して物語が「政治的正しさ」の奴隷に堕ちないということです。
     すべてのエピソードはあくまでナチュラルに、スムーズに進んでゆくのです。で、ぼくとしてはたとえばよしながふみの『きのう何食べた?』とか『フラワー・オブ・ライフ』あたりと比べると、格段にこちらのほうが好みなんですね。
     このふたりの作品、どこが違っているんだろうとよく考えます。表面的にはそう大きな違いがないように見える。どちらも非常に政治的に公正で、ユーモラスで、マイノリティへの配慮が行き届いている。それにもかかわらず、ぼくにとってはまったく違う作風です。
     たとえば志村貴子さんという作家さんがいますが、彼女の作品に対してはぼくは特段の違和は感じません。『青い花』であれ、『敷居の住人』であれ、とても楽しんで読むことができます。
     それに対し、『きのう何食べた?』に対しては何かこう、いいようがない読後感を覚える。いったいどこが違っているのか? さっぱり言葉にならないのですが、あえていうなら 
  • 漫画におけるユニークフェイス。「特別な顔」を持つひとたちの物語。(2780文字)

    2013-09-18 14:15  
    53pt




     以前、TONOの代表作『カルバニア物語』に触れたとき、こんなふうに書いた。

     タイトルからわかるとおり、この作品の舞台はカルバニアという架空の王国。まだ十代の王女タニアが、この国で初めての女王として即位したあたりから、物語は始まる。
     口うるさい貴族やら老臣やらに支配された王宮で、タニアが心を許せるのは、親友の公爵令嬢エキューだけ。
     古くさい慣習やしきたりと悪戦苦闘しながら、ふたりは少しずつ女性の地位と権利を確立していく。ある種、フェミニズム的といえなくもないけれど、堅苦しく考える必要はない。
     ときには頭の固い男たちと衝突しながらも仕事に励むタニアたちの姿は、ほとんど現代のOLそのもの。何も考えなくても十分楽しく読めると思う。
     この作品がフェアなのは、ふたりの少女を囲む男性たちが、たんなる型通りの性差別主義者ではなく、それなりの思想と良識をそなえた大人である点。「ファンタジィは女性をどう描いて来たか。」


     それぞれに意見も価値観も違う複数の人物を公正に描こうとする寛容さが、この作品の最大の魅力だと思う。
     そういう意味で、第10巻および第11巻に登場する女性ナタリー・ホーンの描写は素晴らしい。
     カルバニア一の豪商の娘だった彼女は、あるとき、火事によってその財力のすべてを失い、顔を含む全身に大やけどを負ってしまう。
     しかし、彼女はその困難を克服し、エキューの父親タンタロット公爵への十数年越しの恋を実らせて、かれと結婚することになる。
     あいかわらず、杖なしでは歩くこともできない身の上だが、その人柄は明るく、朗らかで、屈託がない。
     そんなからだでお産が出来るのか、と問うエキューに対し、ナタリーは笑顔で答える(エキューの母親はお産で亡くなっており、彼女はそのことがトラウマになっている)。
     
  • ファンタジィは女性をどう描いてきたか。(3784文字)

    2013-09-18 14:06  
    53pt




     ちょっと「Something Orange」の記事を続けて再録します。まずは「ファンタジィは女性をどう描いてきたか」。
     この記事、前にも再録したような気もするのだけれど、調べても出てこないので無視して再録することにします(ほんと、ブロマガって検索性が悪いよな)。
     ちなみに、ブロマガの読者に意味が通りやすいように少々文章を修正してあります。ほんとに少しだけ。では、どうぞお読みください。
     ―――――

    「なに言ってんのエキュー だって〝女〟が爵位をもつんだもの あたりまえのことじゃない〝妊娠〟も〝出産〟も これからもずーっと 女におこりうることは全部そのまま降りかかってくるのよ」

     『カルバニア物語』待望の第11巻。
     あいかわらず、おもしろかった。どれくらいおもしろいかというと、読み終えた瞬間に第12巻も待望になってしまうくらい。
     この巻は第11巻から1年半も間が空いているけれど、そのあいだに『チキタGUGU』や『ラビット・ハンティング』が出ているから、ま、大目に見よう(偉そうだね)。
     タイトルからわかるとおり、この作品の舞台はカルバニアという架空の王国。まだ十代の王女タニアが、この国で初めての女王として即位したあたりから、物語は始まる。
     口うるさい貴族やら老臣やらに支配された王宮で、タニアが心を許せるのは、親友の公爵令嬢エキューだけ。
     古くさい慣習やしきたりと悪戦苦闘しながら、ふたりは少しずつ女性の地位と権利を確立していく。ある種、フェミニズム的といえなくもないけれど、堅苦しく考える必要はない。
     ときには頭の固い男たちと衝突しながらも仕事に励むタニアたちの姿は、ほとんど現代のOLそのもの。何も考えなくても十分楽しく読めると思う。
     この作品がフェアなのは、ふたりの少女を囲む男性たちが、たんなる型通りの性差別主義者ではなく、それなりの思想と良識をそなえた大人である点。
     たとえば、しょっちゅうエキューに小言をいう大貴族のタキオは、彼女に「私の何が気にくわない?」と詰め寄られて、こう答える。