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記事 5件
  • 町山智浩の言霊USA 第440回 「Pore over(じっくり読む、調査する)」

    2018-07-19 05:00  
     6月28日午後2時過ぎ、首都ワシントンから東に車で50分ほど走った海沿いの街アナポリスのローカル新聞社キャピタル・ガゼットのガラス製ドアが散弾銃で撃ち破られた。長髪にあごひげを伸ばした男が入ってきて、ポンプ式ショットガンで記者を次々に撃ち始めた。裏口はあらかじめ外側からバリケードで塞がれていた。記者たちは机の下に隠れて震えた。
     撃ち殺された5人のうち、レベッカ・スミスさん(34歳)は転職してから1年目だったが、彼女以外はベテランで、銃撃犯を知っていた。彼は6年以上、キャピタル・ガゼットを憎み続けてきた男だったから。 
  • 町山智浩の言霊USA 第439回 「Empty Nester(子どもに巣立たれた親)」

    2018-07-12 05:00  
     一人娘は去年の秋から大学生になって、車で5時間ほど離れた町で寮生活を始めたのだが、引っ越しの際に、大学側から親たちへの説明会があった。
    「保護者の方々にお願いです。ムスタングを買いなさい」え? 「自動車に興味ない方は、ダンス教室でもいい。旅行も楽しいですね」
     担当の先生はにっこり笑った。
    「保護者の方々は大学にいろいろな問い合わせをしてきます。うちの子に友達ができない、みたいなことまでね(笑)。でも、ここから先は、お子さん自身が頑張るしかありません。あなたたちの仕事はひとまず終わったんです。さびしいですけどね。他のことに生きがいを探してください」 
  • 町山智浩の言霊USA 第438回 「ゼロ・トレランス(容赦なし)」

    2018-07-05 05:00  
     世界難民デーだった6月20日、自分がレポーターをしている「アメリカの今を知るTV」という番組の取材でオレゴン州ポートランドに行ったのだが、地元の連邦移民局が封鎖されてニュースになっていた。
     現地に行ってみると、移民局の建物の周囲に人々がピケを張って占拠しているのだ。トランプ大統領の移民政策への抗議だという。彼は、この4月から、ゼロ・トレランス(容赦なし)の名の下に、不法入国者の徹底的な検挙を続けている。
     幼い子どもを連れた女性は、テレビで、ある写真を見て、この占拠に参加したという。 
  • 町山智浩の言霊USA 第437回 「Life leaves marks on you. Those marks are beautiful.(現実は人に傷を残す。美しい傷を)」

    2018-06-28 05:00  
    「レストランの『シェフのおすすめ』は注文するな。たいてい冷蔵庫の在庫一掃だ」「レストランでステーキはウェルダンを頼むな。古い肉を出されるぞ」
     外食業界のタブー暴露本『キッチン・コンフィデンシャル』(2000年)が世界的ベストセラーになったセレブリティ・シェフ、アンソニー・ボーディン(61歳)が6月8日に自殺した。 
  • 町山智浩の言霊USA 第436回 「Incel(望まない禁欲者)」

    2018-06-21 05:00  
     秋葉原の歩行者天国で、加藤智大(当時25歳)がトラックで人混みに突っ込んだ上にナイフで通行人17人を無差別に殺傷してから10年目の今年、4月23日、カナダのトロント市の繁華街でアレック・ミナシアン(25歳)が自動車で通行人10人を轢き殺して逮捕された。
     ミナシアンは犯行直前、SNSに次のような投稿をしていた。
    「インセルの反逆はもう始まった。チャドとステイシーの支配を打倒せよ! 偉大なるエリオット・ロジャー万歳!」
    「インセル(Incel)」とはInvoluntary Celibate(望まない禁欲者)、つまり童貞のこと。