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ラーマガ限定「NAKED」#004
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ラーマガ限定「NAKED」#004

2014-01-24 00:00
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    ラーマガ限定「NAKED」#004
    そばはうす 不如帰『鮮魚のかけそば 塩』
    実食インプレッション

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     麺とスープだけで美味いと唸る一杯。究極の「かけラーメン」に人気ラーメン店が毎月月替わりで挑戦する、ラーマガ限定「NAKED」。今年最初となる、通算第4作目を提供するのは、幡ヶ谷の人気店『そばはうす 不如帰』。店主山本敦之さんが選んだ味は「塩」。

     今回スープに使用した素材は、不如帰の看板ともいえる「蛤」そして「真鯛」。真鯛にセロリやタマネギなどの野菜を合わせたスープに、不如帰渾身の蛤出汁をブレンド。スープの上には鴨油で動物系のコクと香りを加え、さらに白トリュフオイルを浮かべました。塩は沖縄の天然塩とフランスのゲランド塩。麺は三河屋製麺による切り刃#26の細麺。唯一許されている薬味には刻み長ネギを使用しました。

     山本さんが「不如帰らしいかけそば」というコンセプトで作り上げた一杯は、麺とスープだけながら不如帰のエッセンスが凝縮された一杯になりました。


    cb368627c2fbc425ac738eed0008c8a195bb0d70北島秀一
     ラーメン店によっては、その店の「象徴」とも言えるアイテム、あるいはキーワードを作り上げている場合がある。例えて言うなら「なんつッ亭」のマー油や、「ちばき屋」の半熟味玉。「69'N'ROLL ONE」の比内地鶏、「八雲」のワンタンなどがその好例だろう。多少味が変わろうが、メニュー数が増えようが、その店のイメージを強烈に決定づけるポイントがある店は、強い。

     「不如帰」は比較的最近の店の中では、その「象徴」を確固たる物として築き挙げた数少ないお店だと思う。キーワードは言うまでも無く「蛤」。扱いが難しく、原価的にも決して安くはない素材を七年間こつこつと使い続け、ノウハウを磨き上げる事でオンリーワンのポジションを手に入れた。

     今回NAKEDをお願いするにあたり、山本店主はその「象徴」を勿論活かしつつも、新たな可能性も垣間見えるスープを作ってくれた。鯛は本来淡泊な魚だが、鮮魚を使う事でその風味を強調。そこに、他のお店では決して味わえない蛤の力強いダシを加える事で、しっかりと「不如帰」である事を認識させる。この両者の、絶妙なブレンドこそが、蛤を研究しつくし、更に一方で定期的な限定で様々な素材を勉強してきた成果なのだろう。

     個人的に少し心配だったのが鴨油。もともと非常にインパクトのある油だけに、淡麗塩に使うとあっという間に鴨南蛮になってしまわないかとも思っていたが、全くの杞憂。あくまでダシが主役で、その厚みの上にアクセントを加える脇役にとどまり、それがまた香りの複雑さを作り上げている。

     全体としては、やたらに極端なパンチや牽引力で引っ張る訳ではなく、むしろ控えめと言っていい味わいの中に、旨味と香りが幾重にも折り重なっている。その中で、しっかりと「不如帰」らしさも感じられる所が、山本店主の矜持を表しているのかもと思った。

    1c810daf91127abd46b9933195c1f7719f037f02山路力也
     不如帰といえば「蛤」というイメージがあるが、当然山本さんのことだから単純に蛤を核にした一杯になるはずがない。しかし蛤を抜いたら不如帰らしさが弱まってしまう気もする。などと食べる前から随分と色々考えながら訪れた試食のタイミング。出て来た一杯はそれらの心配が杞憂に終わるお見事なバランスのかけそばであった。

     鮮魚のかけそば、という名前にもあるように、スープから感じられる旨味の軸になるのは真鯛。そこに野菜の旨味が重なることで深みが増し、さらに伝家の宝刀である蛤出汁も加わって、不如帰らしさもしっかりと主張。それだけだときっと魚介出汁のみでラーメンとしては若干物足りない味わいになるだろうが、鴨油を浮かべることで動物系のコクをプラスし、さらに通常の塩そばでも使用している白トリュフオイルをふんわりと香らせる。このメニューだけのオリジナリティの部分と、レギュラーメニューのエッセンスを見事にバランスよくまとめてある。これは不如帰でなければ出せない味。逆に言えば、不如帰の味を知っている人ならば誰もが不如帰のかけそばだ、と納得出来る味だ。

     塩ラーメンと言いながらも塩が感じられないラーメンも多いが、ある一定の塩カドもあって、これこそ塩ラーメンという安心感もある。必要以上の旨味過多にならず、すっきりとした仕上がりになっているのは、もちろん二種類の天然塩のみで味付けした調味方法にもあるだろうが、やはり山本さんの非凡なバランス感覚の成せる業だろう。つくづくラーメンとはバランスの食べ物なのだなということを一口ごとに痛感させられた一時であった。

    c557c6830f3e2bc329f263c11be51fa2cf589930山本剛志
     NAKEDも4作目。先月の「麺屋武蔵虎嘯」に続いての塩ということで、似てしまうのではないかという不安が少しあったものの。丼がこちらに来た時点でそんな気持ちは一気に払拭された。

     スープは鯛の香りをしっかり立たせつつ、それだけに頼らない力強さを蛤のスープで感じさせ、シンプルながらも飽きさせない。上質な塩ラーメンでありながら塩ダレを作らず、2種類のブランド塩だけで味付けしているとのことだが、それを感じさせない豊潤な味わい。麺を啜るごとにスープの香りが新鮮に楽しめる。

     薬味のネギが存在感を出していたので、その意味を聞いてみた。「こういうネギにしないと、ラーメンっぽくなくなっちゃうので」とのこと。確かに、ラーメンらしさを残しながら口の中をリフレッシュさせてくれている。その甲斐あってスープも含めて勢いよく完食。不如帰ファンはもちろんの事、魚介系ラーメンを好んで食べる人には見逃してほしくない一杯だ。


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    【NAKED #004】
     そばはうす 不如帰(東京都渋谷区幡ケ谷2-47-12)

     「鮮魚のかけそば 塩」(700円)
       一日10杯限定(18:30〜/木曜は販売無し)
       販売期間:1月5日(日)〜29日(水)
       (ラーマガ有料会員ではなくても注文が可能です)

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