■「らーめんフェスタinイオンレイクタウン」に行ってきた!
「ラーマガ71号」の巻頭コラム(無料公開)でも紹介した通り、「らーめんフェスタinイオンレイクタウン」が9月27日まで開催されています。埼玉県越谷市のイオンレイクタウンの「Q駐車場」を利用して開催中。といっても、イオンレイクタウンは巨大。アウトレットモールの北側で、越谷レイクタウン駅から歩くと10分程度はかかります。会場への案内が少ないのでこまめに確認してください。
後半5日間の「第2部」開始の9月23日の昼過ぎにに訪問すると、お客さんの姿も多く賑わっていました。そんな中、大崎裕史さん(ラーメンデータバンク社会長)や、ゆりもりさん(大食い女子)と一緒に、第2部の15杯をいただきました。
15ブースある事もあり、比較的待たずに食べられる。並んでいるブースも、時間が少し経つと列が短くなることもあるので、他のラーメンを食べながら様子を見るのがよいかと思う。
まずは、お好み別にお勧めしたいラーメンを紹介します!
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他にない個性的な一杯を食べたい!→【02】チーム静岡
こってりしたラーメンが食べたい!→【03】中村商店
あっさりしたラーメンが食べたい!→【06】塩つけ麺 灯花
オーソドックスなラーメンがいい!→【07】らーめん 文
個性派ご当地ラーメンを食べたい!→【14】えびすこ
魚介系の味噌ラーメンを食べたい!→【05】麺や雄
ニボニボしたラーメンを食べたい!→【12】凌駕IDEA
第2部のラーメン15杯をショートレビュー!
【01】らーめん えんや
「肉塩中華そば」850円
東京は王子の人気店だが、創業時は北浦和に店を構えていた「えんや」。そういった意味では「埼玉凱旋」だけど、距離感で言ったらあまり変わらない気もします(笑)。
今回は煮干しをたっぷり使ったスープに、塩味も負けじと加えていて力強い一杯にまとめている。自家製の中太平打ち麺の茹で時間はやや長めだが、プリプリした食感で食べごたえあり。豚バラ肉のボリューム感で最後までインパクトを楽しめる。岩海苔はスープの味を変えるので、まずは岩海苔がかかっていない所を食べて、両者の味を楽しみたい。
【02】チーム静岡
「麗しの頂麺~魅惑高き富士の甘美な旋律」850円+黒はんぺんトッピング
【03】中村商店
「鉢一面!肉盛り和歌山らぁめん」850円
大阪でラーメンブームを切り開き、数々の人気店主を育て上げた「きんせい」店主。今回は彼の名を冠したネクストブランド店でかつて提供していた「和歌山らぁめん」を肉増しにして提供している。
スープは豚骨だけでなく鶏骨も加えていて、動物系素材のスープが主体になっている。鶏の旨みを加えた点が伝統的な和歌山ラーメンとは異なるが、醤油ダレには和歌山ラーメンの定番「西幸醤油」を使用。こってりしたスープに負けない存在感を出している。
そして、ラーメンとマッチする脂多めのチャーシューを4枚もトッピング。これがスープにも相性よくマッチして一気に食べられる。こってり好きにはチェックしてほしい一杯です。
【04】めんや参○伍
「ガッツリラーメン」850円
六本木の人気店「参○伍」がイベントに出てくるのは珍しい。今回は魚介豚骨ではなく、もう一つの「参○伍郎らーめん」をベースにした「ガッツリラーメン」を提供。
濃い目の豚骨スープをベースに、醤油ダレにウルメイワシや宗田節を加えているという。モヤシやキャベツ、チャーシューを乗せ、刻みニンニクもトッピング。もちろん「二郎」とは異なるが、いわゆる「二郎インスパイア」の範疇に含まれる一杯。これがラーメンイベントに出てくることも珍しい。このスタイルの一杯を体験したい人におすすめです。
【05】麺や雄
「えび味噌チャーシューメン」850円
【06】塩つけ麺 灯花
「秋田比内地鶏の黄金塩そば」850円
2号店も人気の「灯花@四谷三丁目」。今回は有名な比内地鶏を惜しげもなく使い、澄んだスープに仕上げた塩そばにまとめている。比内地鶏の鶏油が、独特の香りになって丼を支配している。この香りがたまらない。宗田節や鯖節なども加え、魚介の味わいもスープをサポートしている。
細麺は信州産小麦を使ってしなやかなもの。麺を啜れば、この一杯が持つ様々な香りも一緒に鼻の中へ。パンフレットの写真にはなかったワンタンも加わっている。ハイレベルな一杯をラーメンイベントで味わうことができるのも嬉しい限り。看板に書かれた「秋田比内地鶏」という名前に惹かれてか、かなりの行列ができていた。
【07】青竹打ちらーめん 文
「佐野らーめん」850円
佐野市北部の堀米に店を構えている店。老舗が多い佐野にあって、2013年開店は新鋭の部類にあたる。ちなみに食べログには「ふみ」とフリガナを振っているが、正しくは「ぶん」らしい。お土産ラーメンを販売し、地元でのイベントには何回か出ているが、ラーメン専門のイベントには初出店との事。
鶏ガラを中心にあっさりと取ったスープは醤油味でじんわりと仕上げている。青竹打ちという麺は縮れているが太すぎず、幅広い世代に素直に食べてもらえるあっさり味。チャーシュー、メンマ、ネギが乗っていて、スタンダードなラーメンを食べたい人におすすめしたい。
【08】信州鶏白湯 気むずかし家
「信州鶏白湯らーめん」850円+特製トッピング
長野にラーメンブームを根付かせ、東京に様々な話題店繰り出す「ボンドオブハート」の旗艦店。「鶏白湯」という言葉自体が定着する前、今世紀初頭から鶏白湯ラーメンを提供し続けている店。
今回も定番の鶏白湯スープを提供。鶏ガラだけを時間をかけて煮出し、節系をあわせて滑らかな味わいにまとめている。この王道の味わいに、細麺が馴染んでいる。特製トッピングは具が増え、味玉は「1.5個」になっているが、それでもスープの印象が薄まることがないのが、長年鶏白湯で勝負し続けている店の矜持だと思う。
【09】ラーメン松壱家 藤沢本店
「横浜家系 豚骨醤油ラーメン」850円
去年あたりから急増しているのが横浜家系ラーメン。そのきっかけになったとも言えるのがこの「松壱家」。発祥である吉村家とは異なり、白濁した豚骨スープを主体に醤油ダレは控えめ、中太麺をあわせていて、具にはチャーシュー、ほうれん草、海苔3枚と、「松壱系」特有のうずらのゆで卵。今流行しているスタイルを素直に味わえる。
【10】今治バリラーひろめ隊
「瀬戸内海産 海の香りの今治ラーメン」850円
東京ラーメンショーにも出店した今治ラーメン。瀬戸内海の魚介をふんだんに使ったスープに、今治市街から橋で繋がった「伯方の塩」など、地元の食材をふんだんに使っている。細麺がスープに馴染んでいて、啜るほどにスープの香りを楽しめる。レモンを絞ると味が変化するので、その前後のスープの味を楽しんでみてほしい。追加トッピングでは、「サザエ」が人気あった。食感が独特なので、確かにこの魚介系塩味のラーメンにはマッチしそう。
【11】ラーメンこがね家 明石総本店
「限定極濃豚骨Wチャーシュー麺味玉入り」850円
兵庫県明石市に本店を置くラーメン店。会場に着いてみたら一番の行列を作っていたのがこちら。何といっても「限定」「極濃」「Wチャーシュー」「味玉入り」というメニュー名からして、心そそられるものがある。
スープはまさに極濃と言いたくなる、豚骨をひたすらに煮詰めたスープ。細麺でも、引き上げれば豚の旨みが存分に感じられる。チャーシューは通常の豚バラに加え、豚軟骨を煮込んだものをプラス。軟骨がそのまま食べられるようになっているのもすごい。味玉も加わってインパクト抜群の一杯。
【12】凌駕IDEA
「ニボガッツ」850円
長野県松本市の人気店が、今回のイベントに持ってきたインパクト抜群の一杯。何といってもスープは煮干100%で、煮干の匂いも存分に出している。豚や鶏といった動物系素材を使わずに採ったスープは好みを分けるが、ニボニボしたスープが好きな人にはたまらない。
麺は全粒粉を入れた極太で、スープに負けない力強さがある。そして背脂がたっぷりとかけられ、大きく刻んだ玉ねぎと相まって、新潟の燕三条エリアに広がるラーメンも想起させるもの。チャーシュー、メンマ、岩海苔といったトッピングも楽しめる一杯になっている。煮干し好きなら欠かせない一杯。
【13】らあめん元~HAJIME~
「鶏白湯塩らあめん」850円
蓮根の人気店が、看板メニューの一つである鶏白湯をベースにした塩ラーメンで出店。最近鶏白湯のラーメン店が多いが、その中にあっても鶏の旨みを丁寧に引き出し、濃厚だけど飽きの来ない味わいを出している。全粒粉を入れた平打ち麺がスープに馴染む。具に乗せたチャーシューも鶏を使って美味しい。
【14】えびすこ
「富山ブラック」850円
富山の人気店が地元の味を本格的に再現し、その魅力をスポイルしないアレンジを加えている。富山ブラックは醤油と黒胡椒を存分に効かせ、しょっぱさを全開にしたラーメン。最近はマイルドにアレンジしている店も多いが、本来持つインパクトを表現している。その為「しょっぱすぎる」と思う人もいるかもしれない。
この店の店主は格闘家の小路晃氏だが、彼が通っていた富山ブラック発祥の店にかなり近い味付け。ネギやメンマを箸休めにして、パワフルな一杯に立ち向かってほしい。
【15】麺屋 音
「濃厚鶏塩そば」850円
北千住の人気店がイベントに登場。丁寧に煮出した鶏白湯スープは、鶏の旨みを引き出しながら他の素材ともマイルドに調和していて、旨みが途切れる事がない飽きの来ない一杯。しゃっきりと茹で上げた細ストレート麺を啜れば、スープの味も小気味よく口の中へ。ラーメンの上に乗った柚子の欠片や、丼につけた柚子胡椒で味変の効果も楽しめる。
編集後記
イオンレイクタウンでの10日間のラーメンイベント、前後半でがらりと店が入れ替わりました。第2部でも個性的なラーメンが多く出ているので、この週末に予定がない人は、是非行ってみてほしいと思います。15杯を一気に食べるとなかなか大変なんですが、最後にぺろりとたいらげてしまう、大食い女子のゆりもりさんには敬服しました。
山本剛志:ラーメン評論家、ラーメン王。1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。TVチャンピオン第6回ラーメン王。KADOKAWA「ラーメンwalker」百麺人