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お金にまつわる思考実験:その37(1,719字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 16ヶ月前
今回でこの連載は最終回とする。人類史を紐解くと、お金と「道」とは、きわめて深い関係があることが分かった。道の発展こそが、経済を発展させる。そのため、「これからの道の発展」を読み解ければ、これからの経済がどう発展するかも読み解けるだろう。そうなると、一にも二にも道についての知見を深めることが重要に...
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お金にまつわる思考実験:その36(1,883字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 16ヶ月前
ここまでお金について考えてきて、やはり「道」の未来が「経済」の未来、引いては「お金」の未来と思うようになった。これからの道の在り方が、お金の、社会の、そして世界の在り方を決めるのだ。では、これからの道はどうなるのか?それは、ここまで見てきたように、TPS――トヨタ生産方式によって決められるだろう。TPS...
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お金にまつわる思考実験:その35(1,603字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 17ヶ月前
『シムシティ』というゲームがある。街を造るシミュレーションゲームだが、今度最新作が出るそうだ。Traffic AI I Feature Highlights #2 I Cities: Skylines IIこのゲームで重要なポイントとなっているのが「道」である。街を造るということは、すなわち道を造るということなのだ。そして、道は経済と深く結びついてい...
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お金にまつわる思考実験:その34(1,843字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 17ヶ月前
TPSによって道をどう作るか?それを考える前に、現代道路の成り立ち(構造)から見ていきたい。現代道路というのは、なかなか面白い。というのも、それが芸術的ともいえるくらい、よくできているからだ。19世紀の末頃から、石炭に代わって石油が新しいエネルギーとして注目されるようになった。原油から各種の油を精製す...
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お金にまつわる思考実験:その33(1,749字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 17ヶ月前
ここから、「スマート道路のTPS化」について考える。ところで、ここまで「お金」について考えてきたが、過去・現在・そして未来のお金(経済)は、全て「トランスポート」と深い相関関係にあると分かった。実際、トランスポートの進化は文明の進化、引いては経済発展や文明の促進をもたらしてきた。また、過去・現在・未...
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お金にまつわる思考実験:その32(1,565字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 17ヶ月前
ここまで長々「道」について書いてきたが、そもそもぼくが「道」を意識したのはトヨタの動画を見たことがきっかけだ。トヨタ公式のYouTubeチャンネルで、「ウーブンシティでスマート道路を開発している」ということを知り、興味を持ったのだ。その当該動画は、香川照之氏がナビゲーターを勤めていたため、残念ながら今は...
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お金にまつわる思考実験:その31(1,612字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 18ヶ月前
日本の道は、どういう歴史を辿ってきたのか?まず江戸時代に街道が整備され、その後明治になって馬車が導入され、舗装が進んだ。日本橋などは江戸時代まで、アーチ型のきつい勾配だったのが、馬車が通るために平らなものに架け直された。そういうふうに、随時質的改良が為されていった。明治の中頃には人力車も一気に普...
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お金にまつわる思考実験:その30(1,687字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 18ヶ月前
日本の道は、明治維新直後の社会の近代化――特に馬車の普及や自動車の登場――に伴って整備され始めたが、昭和初期の不況で中断した。その中断は戦争もあって、そのまま戦後まで20年近く持ち越した。おかげで終戦直後には、日本の道は丸々20年世界から時代遅れとなった。そのため、アメリカの指導を仰ぎながら整備していく...
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お金にまつわる思考実験:その29(1,520字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 18ヶ月前
ぼくは、日本経済の要は今までも、そしてこれからも「道」にあると思う。なぜなら、日本人は道が得意だからだ。道が得意だからこそ、明治維新後猛スピードの近代化に成功し、なおかつ戦後猛スピードの復興を成し遂げられた。そもそも、日本人は江戸時代から道が得意だった。経済は発展していないのに、道だけは発展した...
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お金にまつわる思考実験:その28(1,697字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 18ヶ月前
お金は「欲」と不可分の関係にある。人には「欲」があるからお金を使い、経済が成立する。しかしながら、人間――とりわけ日本人は、「欲」について無知である。なぜなら、「臭いもの」として「蓋」をしがちだからだ。見て見ぬ振りをしてきた。これまでなきものとして扱ってきた。ただし、日本人には二枚舌で裏表のある人...
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お金にまつわる思考実験:その27(1,629字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 18ヶ月前
もう何度目かの問いになるが、そもそも「経済」とはなんだろう? それは、本質的には「価値の交換」のことだが、なぜそれが発生するのか?それは、「自分が欲しいものを相手が持っているから」である。それを手に入れる対価として、自分の持っているお金や物を差し出す。そうして、経済が発生する。そんなふうに、経済...
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お金にまつわる思考実験:その26(1,845字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 19ヶ月前
「トランスポート」という言葉がある。「物を動かす」という意味だが、古来よりトランスポートは経済の鍵を握ってきた。「ロジスティック」という言葉もあって、これは日本語では「物流」と訳される、トランスポートの中心的な概念だ。ただ、元々はローマ時代の戦争で、前線の兵士に武器や食料を届けることを意味した。...
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お金にまつわる思考実験:その25(1,449字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 19ヶ月前
ぼくは一時期カメラの骨董的なレンズ(オールドレンズという)にハマったことがあって、取り分け「アンジェニュー(angenieux)」というフランスのメーカーの25mmのものが好きだった。これで動画を写すと、画面の周囲になんともいえない魅力的な「歪み」が発生し、それがまさにフランス映画みたいでかっこいいのだ。アン...
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お金にまつわる思考実験:その24(1,701字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 19ヶ月前
多くの人はいまだに国家という共同幻想にとらわれている。この状況はこの先、どうなるのか?ぼく自身の経験から考えると、昔はぼくも「国家」という共同幻想を何の疑いもなく信じていた。特にオリンピックなどでは自分が日本人であるということを強く意識した。日本に住み日本語を話すぼくの人格には、日本という国家の...
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お金にまつわる思考実験:その23(1,657字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 19ヶ月前
お金の特性として、両替や関税はなるべく少なくした方が経済が活性化し、結局人々のためになる――ということがある。しかし通貨だけ統一し、そこに政治的な国家の壁が残ったままだと、ドイツとギリシアのように格差が生まれてしまう。ドイツが得をし、ギリシアが損をしてしまう。これを回避するには、通貨を別々にするか...
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お金にまつわる思考実験:その22(1,555字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
お金は共同幻想として機能し、人間同士の信用を担保する。これのおかげで、我々は初めて行く国でも信用を得られる。ぼくが初めて行ったジョージアで普通にタクシーに乗ってホテルに泊まることができたのも、お金の信用があったからだ。これはなかなかにすごいことだ。その意味で、「お金」という共同幻想はすでにほぼ「...
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お金にまつわる思考実験:その21(1,491字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
お金の価値というのは基本的に「幻想」である。しかし面白いことに、その幻想を多くの人が幻想とは分かっていながらなお、信じることができる。これを「共同幻想」という。人間には、共同幻想を抱く力が備わっている。この「共同幻想力」ともいうべき特性が、人が巨大な社会を作る上での大きな推進力となった。お金、国...
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お金にまつわる思考実験:その20(1,761字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
大局的に見ると、世の中は概ね「便利」な方向へと流れている。江戸時代のように「あえて不便にする」という施策が採られることもあるが、それらは最終的には潰えてきた。便利さの前に敗れ去った。そうして、より便利な方へ流れてきた。それがこれまでの人類の歴史だった。その歴史を踏まえると、これからもずっと(それ...
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お金にまつわる思考実験:その19(1,763字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 20ヶ月前
信用が担保されれば、取引は活性化する。そして取引が活性化すれば、経済は伸張し、人間ひとりひとりの生活レベルが向上する。そのためコンピューター(とインターネット)は、人々の信用を担保するよう進化してきた。その結果、取引は見事に活性化し、経済は全世界的に一段と拡大したのだ。しかし、その伸張はここに来...
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お金にまつわる思考実験:その18(1,688字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
コンピューターは20世紀の後半から世界経済をさらに伸張させた。なぜか?一番の理由は、コンピューターが世界の人々の「信用」を担保したからだ。それによって、取引がより安全・便利になった。そうして、取引がより活性化した。思えば、取引というのは難しいものだ。そこには「信用」が不可欠である。以前にも書いたが...
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お金にまつわる思考実験:その17(1,462字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
20世紀後半に世界中の経済がものすごく伸張した。数倍どころか10倍以上に膨らんだ。それに伴って世界中の人口も増えた。よく「人口が増えたから経済が伸張した」という人がいるが、順番が逆である。まず経済が伸張し、それに引っ張られる形で人口が増えた。ではなぜ経済が伸張したのか?それの答えはいろいろあるが、端...
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お金にまつわる思考実験:その16(1,856字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
お金というのは、それ自体が独特の力を持っている。それは、「集まると強くなる」というものだ。集まって大きくなったお金には、それ自体にさらにお金を吸い寄せ大きくなる力がある。そして「出資」というのは、基本的にこの法則を利用している(保険もそうだ)。中世、新大陸に渡航するのには大きなお金が必要だった。...
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お金にまつわる思考実験:その15(1,677字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
人間の持つ「規範意識」でいうと、面白いのは中国の事例だ。中国では長年マナーが規範(文化)として定着しなかった。例えばタクシーの運転手に対して、乗客は横柄にするのが当たり前だった。ところが、中国はそこにネットの評価システムを持ち込んだ。タクシーの運転手が客を評価できるようにしたのだ。そして、その運...
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お金にまつわる思考実験:その14(1,677字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 21ヶ月前
人間は強い「規範」に縛られている。これは、思考力の弱い人ほどそうである。規範を一種のフレームワークにして、思考力の弱さを補っているからだ。だから逆に、ルールに従順な人間ほど思考力が弱い、ということもできる。また、一般的には「モラル意識が低い」と思われている人間でも、強い規範を持っている場合が多い...
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お金にまつわる思考実験:その13(1,620字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 22ヶ月前
人間というのは不思議なものだ。人の少ない集落では、住民同士必ず挨拶を交わすが、たくさんの人が住んでいる都会のマンションだと、挨拶を交わさないようになる。隣家の人の顔さえ知らないという人も多い。これは都会が「冷たい」からではなく、むしろ「暖かい」からだ。というのも、挨拶は必ずしも相手を信用している...
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お金にまつわる思考実験:その12(1,735字)
コメ1 ハックルベリーに会いに行く 22ヶ月前
最近広く知られるようになったのは、人間の脳は絶えず「予想」をくり返している――ということだ。絶えず「未来のシミュレーション」をくり返している。例えば、夜ご飯を食べる前に「何を食べたら美味しいか」を脳内でシミュレーションしている。そのとき、「夜ご飯という未来」に思いを馳せながら、一方では「過去の記憶...
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お金にまつわる思考実験:その11(1,924字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 22ヶ月前
「金」という言葉(語)は、ぼくにとって昔から不思議な存在だった。なぜなら、意味するところが多いからだ。それは大きく3つある。1:ゴールド2:金属全般3:マネーこのうち、1はそのままの意味だが、2が面白い。つまり全ての金属の代表が「金」ということである。だから、鉄や銀や錫やアルミニウムやステンレスまで、...
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お金にまつわる思考実験:その10(1,533字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 23ヶ月前
宝石の利点はいくつかある。一つは輝き。人は基本的に輝くものが好きだ。なぜ好きかというと、そこに「命」を感じるからである。まず太陽が好きで、その影響で「光」や「輝き」が好きになったのだろう。そして、宝石は無機物の中で最も輝く存在だ。また、「硬い」ということも宝石の大きな魅力の一つだ。単純に壊れにく...
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お金にまつわる思考実験:その9(1,639字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 23ヶ月前
人には美醜を見分ける能力がある。それは生きていく上で必要であり重要だからだ。なぜ必要であり重要かというと、美醜は真贋を見極める上での物差しになるからだ。そして人は、真実に近づかないと長生きできない。逆に、贋に近づくと死んでしまう。だから、真贋を見分ける能力は生き死ににかかわるという意味で必要だし...
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お金にまつわる思考実験:その8(1,628字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 23ヶ月前
人間は宝石に無条件で根源的な美を感じる。だから、たとえばダイヤモンドに魅力を感じない人というのは、逆に狂っている。現代人は後天的に「ダイヤモンドに魅力を感じるのは『はしたない』」と教わる。その教えが強すぎて、ダイヤモンドに魅力を感じられなくなっている人がいるのだ。その意味で、変な宗教にハマってい...
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お金にまつわる思考実験:その7(1,840字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 23ヶ月前
もともと「人間」はネアンデルタールとホモ・サピエンスの2種類がいた(他にもいたが割愛)。そしてネアンデルタールの方が脳は大きかったのだが協力する力はホモ・サピエンスの方が上だったので、ホモ・サピエンスが戦争に勝利し、やがてネアンデルタールを根絶やしにした。そうした経緯もあって今の人間(ホモ・サピエ...
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お金にまつわる思考実験:その6(1,764字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 24ヶ月前
はじめ、人々は採集をして暮らしていた。やがて、道具が採集を便利にすることが分かった。そこで、道具を作る技術や、生み出す「頭脳」が求められるようになった。中でも、貯蔵するための壺と、尖った金属は有用だった。この2つが、人類の生産性を飛躍的に高めた。生産性が高まると、人口が増える。それだけ養う力が増す...
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お金にまつわる思考実験:その5(1,712字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 24ヶ月前
古代の人はどうやって暮らしていたのだろうか?まず「採集」がはじめにあった。動物でも植物でも、食べるものを採って集める必要があった。その際、道具があると便利なことにはすぐに気づいた。ぼく自身、外仕事を始めると道具のありがたみをつくづく実感した。これは、古代人も同様だろう。だから彼らは、まずは「石」...
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お金にまつわる思考実験:その4(1,717字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 24ヶ月前
なぜ人間は「取引」をするのか?それには、以下のような理由があるだろう。1.相手との協力関係を築き、社会参画できる。2.自分がいらないものを差し出し、欲しいものを得られるので、利益が出る(得をする)3.公平を保てるため「正義を果たした」という快感を得られるこんなところだろうか。1は、人間にとって最もほしい...