-
【生きづらさコラム】「生きづらさ」という言葉との出会い
2012-10-26 10:00220pt若者のコミュニケーションをテーマに講演をする機会があり、生きづらさについて話をしたことがあった。そのとき、講演内容をキーノートで整理しようとしているとき、ふと思った。不完全ではあるものの、「生きづらさとは何か」を言葉で説明できるようになっていたことを不思議だった。「生きづらさ」という言葉がいつごろから、説明なしに使われるようになったのだろうか。
もともと私が使いだしたのは1998年頃だったように思う。取材をしていた摂食障害の女性が「私って、生きづらさ系だよね」と私に言ったことがきっかけだった。彼女は、摂食障害の自助グループのような電子掲示板を利用していた1人だ。そこで、様々な弱みや悩み、体調などを告白していたのだ。彼女と出会い、取材をした後、別れ際に言ったのが先ほどの言葉だった。 私が当時から運営していた電子掲示板の名前を「生きづらさ系のフォーラム」としたのもこの後だった(掲示板の名前を『フォーラム』としていたのは、NIFTYのチャットルームから取った)。2001年に著した処女作「アノニマス ネットを匿名で漂う人々」(情報センター出版局)のテーマでもあったし、この本の帯には「生きづらいと感じることは弱さではない」とある。
-
【痴漢冤罪】構内の証拠ビデオの提出を求める〜警察の違法捜査を問う、痴漢冤罪後自殺した青年の母
2012-10-23 18:32288pt
2009年12月10日午後11時すぎ、JR新宿駅構内ですれ違った男子大学生から暴行をうけた原田信助さん(享年25)は、さらに駅員に押さえつけれらた。新宿署で長時間にわかる取り調べを受けた後、翌日午前5時30分すぎに新宿署を出て、東西線早稲田駅のホームから原田さんは電車に飛び込んだ。原田さんの母親、尚美さん(54)は東京都を相手取り提訴している(平成23年(ワ)13866)。 10月16日には口頭弁論(相澤哲裁判長)があった。
この日は、文書送付嘱託をした。文書送付嘱託は、民事訴訟法にもとづいて、民事訴訟の当事者に証拠となる文書を任意に裁判所に提出するようにお願いするもの(226条)。もし、拒否された場合は、裁判所に対して文書提出命令を申し立てをすることができる(219条)。
内容は四つ。
-
【いじめ自殺】私学でいじめが起きても「自主性」を理由に指導・監督できないのは理不尽
2012-10-22 16:25288pt【いじめ自殺】私学でいじめが起きても「自主性」を理由に指導・監督できないのは理不尽
2006年8月、愛知県岩食市の高橋美桜子(みおこ)さん(当時16歳)が、私立中学でのいじめによる後遺症のとなり、その結果、自殺した問題で、母親の典子さん(54)が9月28日文部科学省に陳情した。これまでも、私立学校法による「私学の自主性」を重んじることを理由に、私学への積極的な指導・監督ができないとの回答を得ていた。今回も、はっきりとは述べないが、その姿勢は変わっていない。陳情後、会見に応じた典子さんは怒りあらわにした。
典子さんは、美桜子さんが通っていた学校法人市邨学園(名古屋市瑞穂区)や当時の担任らを相手に損害賠償を求めていた。その控訴審(名古屋高裁)が2012年9月10日、結審している。
一審では名古屋地裁(長谷川恭弘裁判長)が原告の主張をほぼすべて認定。継続的で悪質ないじめやずさんな学校の対応、その結果として解離性同一性障害になったこと、闘病の末に自殺したこと、いじめと自殺の因果関係、さらにいじめの予見可能性まで認めた。控訴審の判決は12月25日。
-
【自殺未遂者調査】男性「40〜60代×無職×同居なし」女性「離婚×家庭問題×精神疾患」がハイリスク
2012-10-22 15:10220pt【自殺未遂者調査】男性は「40〜60代×無職×同居なし」女性は「離婚×家庭問題×精神疾患」がハイリスク 東京都荒川区と、NPO法人自殺対策支援センター・ライフリンク、日本医科大学が協力して行なった「自殺未遂者調査」の報告書が完成しました。この調査は、行政機関が継続して支援することも含めた、支援一体型として行なったものとして、特徴的になっています。
これまで「自殺未遂者」の調査は、今年3月に秋田県が発表したものが一般的でした。秋田県の場合、消防本部での救急搬送における自損行為者に関する調査や、二次救急医療機関での自殺未遂者対応に関する調査を行ないました。これだと数量的な把握ができます。年代の極端な隔たりもありません。しかし、当事者の思いがどのようなものか、また、その後の支援につながっているのかは把握できません。
4月に発表した大阪府の場合は、府内の救急救命センターにソーシャルワーカーを配置し、カルテからの「基礎調査」と、自殺未遂者からの聞き取る「面接調査」を行いました。これだと、客観的なデータとしての「カルテ」と、未遂者の語りの両者を知ることができます。また、都道府県単位で一年間にわたり、数量的データと面接調査との組み合わせをした「自殺未遂者調査」は大阪が初めてではないかと思われます。
では、今回の荒川区の調査を見てみることにしましょう。なぜ、未遂者調査をしたのかといえば、最も深刻な「自殺のハイリスクグループ」とだからでしょう。
-
【売春防止法違反事件】なぜ、裁判長は主文を3回も繰り返したのか?
2012-10-22 13:10110pt1【売春防止法違反事件】なぜ、裁判長は主文を3回も繰り返したのか? 東京地裁で9月10日、売春防止法違反事件(山田直之裁判長)の判決があった。被告人は男性4人で、うち1人は大麻取締法違反でも起訴されている。事件としては、特に目立ったものではない。
実は、この日、私は間違って(?)、東京地裁に来てしまったのだが、せっかく東京地裁に来たのだから、公判を見て行こうと思ったのだ。私が裁判を傍聴する際のポイントはいくつかある。
その日にどんな裁判が行われているのかはロビーに置かれた日程表で分かる。その中に「新件」と書かれたものがある。「新件」とは、第一回目の公判(刑事事件)、もしくは口頭弁論(民事事件)ということだ。継続して傍聴を考えるときは、こうした「新件」を探すと、その後も傍聴を続け、事件の概要がつかめる、というものだ。
しかし、「新件」だとしても、何に関する事件なのか。この日も「新件」はあったが、いまいち、興味を抱く事件がなかった。
もう一つのポイントは、証人尋問がされるものだ。しかし、どの段階で証人尋問があるのかは、その日程表だけではわからない。
さらなるポイントは「判決」だ。「判決」の場合は、その事件そのものの審理が終わり、最終的な結論がでる場だ。ここでのポイントは、裁判長がなんと言うのか、に尽きる。ときおり、裁判長が説教をしたり、また、被告人に最後の一言を言わせる場合がある。裁判長の個性がでる場だ。そのため、事件そのものよりも、判決だけを傍聴する場合は、裁判長に目がいってしまう。
この日もこの売春防止法違反事件は、最初で最後の傍聴だ。そのため、裁判長の個性に目がいく。
被告人は、A、B、C、Dの4人。いずれも売春防止法違反での起訴で、Dだけが大麻取締法違反で起訴されている。いずれの4人ともに、インターネットで募集する形での派遣型売春クラブに関与し起訴されていた。AとBは送迎役、Cはサイトに掲載する写真の加工を担当していた。Dは、電話の受付と広告を担当していた。いずれも、派遣型売春クラブの下っ端の従業員だ。くわえて、Dは自室内で大麻を所持していた。どうやら、Dは、二度目の大麻取締法違反で前科がついていることが判決理由でわかった。
-
【東日本大震災】もしこれが人間の骨だったら....と、毎日のように遺体を探している
2012-10-22 13:00220pt【東日本大震災】もしこれが人間の骨だったら...と毎日のように遺体を探している。 宮城県石巻市釜谷。北上川沿いの同地域は、東日本大震災による大津波が川を逆流してきたところだ。その影響で今は集落があった面影はない。唯一残されている建物は市立大川小学校の校舎だけだ。小学校近くにある病院の建物も流されなかったものの、すでに取り壊され、整地されている。周囲の家々はもう土台さえ残っていない。そこに集落があった痕跡がなくなりつつある。
大川小学校は児童74人、教職員10人が死亡または行方不明になった。学校管理下で最大の犠牲者を生み出したことで、今回の震災の悲劇の一つになっている。小学校の正門前に建てられた慰霊碑があり、多くの人が訪れ、手を合わせている。私も大川小学校前には何度も通っている。誰もいない時もあったが、必ずといっていいほど、誰かが訪れている。報道で悲劇を知り、関東から訪れる学校関係者がいたり、子どもや孫を亡くした人、学校のOB、OGも手を合わせている。
そんな中で、小学校の近くに住んでいた母親を亡くしたという女性がいた。私はこの女性の話を聞いたとき、「この付近は小学校の悲劇は語られるが、その周辺の人が逃げられなかったことについては語られていないのではないか」とふと思ったことがあった。そのため、機会があれば、小学校の関係者だけでなく、集落の関係者の話を聞いてみたいと思っていた。
1 / 1