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記事 21件
  • トヨタ生産方式について考える:その29(1,878字)

    2022-07-29 06:00  
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    豊田佐吉と豊田喜一郎の父子は、必ずしも円満な関係ではなかった。
    というのも、喜一郎の実母は喜一郎を生んですぐ、出て行ってしまったからだ。出て行った理由は、佐吉が研究に没頭するあまり、家庭を全く顧みなかったからというもの。佐吉は、子供にもそうだが、妻にも無関心だった。
    家庭を顧みない男性は、当時はけっして珍しくなかっただろう。それでも妻が生んだばかりの子供を置いていってしまうのだから、よっぽどだったのだ。
    またこれ以降も、佐吉が家庭を顧みるようになったという話はない。だから、喜一郎はおそらく父不在の中で育ったのだ。
    喜一郎は、実母が出て行ってからしばらく父方の祖父母に育てられた。しかし父が再婚し、母違いの妹が生まれると、また佐吉に引き取られた。そうして、新しい母や妹と暮らし始めた。
    一緒に住むようになってからも、父は仕事に忙しかった。また今度の母は、父の仕事を手伝っていた。そのため、喜一郎は

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その62(1,893字)

    2022-07-28 06:00  
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    柳沢きみおは1948年の生まれ――つまり団塊の世代である。
    1970年、22歳のとき週刊少年ジャンプでデビューする。その後、ジャンプ専属マンガ家のとりいかずよしのアシスタントを務める。そこで、とりい式ギャグの薫陶を受けたのだろう。しばらくはジャンプでギャグマンガを描いていた。
    1975年にジャンプの専属が解かれ、1976年から週刊少年チャンピオンで『月とスッポン』の連載が始まる。27歳のときだ。
    この作品も、最初はジャンプ的ギャグマンガだったが、次第に変容を見せ始める。きっかけは、登場人物たちが成長していったことだ。最初は中学生だったのだが、高校生になり、最後は大学受験を控えたところで終わる。
    その間に、主人公たちの内面も成長し、勉強や恋愛に対して切実に向き合うようになる。そうなると、単なるギャグマンガでは終わらず、「人間そのもの」を描く文学的な内容へと変容するのだ。
    特に、はじめは脇役に

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  • [Q&A]今不登校の子供たちは、大人になったらどうなるのか?(1,656字)

    2022-07-27 06:00  
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    [質問]
    歴史の動画教材でオススメなどはありますか?
    [回答]
    まずNHKの『映像の世紀』は、やはり見応えありますね。
    映像の世紀プレミアム
    さらに、同じNHKの『NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか』は傑作で、必見といえます。
    NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか
    それからぼくは、『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史』もけっこう好きです。
    オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史DVD-BOX
    [質問]
    『トップガン マーヴェリック』が大ヒットしているようです。ハックルさんはご覧になりましたか?
    [回答]
    実は見ていません。というのも、ぼくはトム・クルーズは嫌いではないのですが、彼の映画とはあまり相性が良くないのです。『ミッション:インポッシブル』もだいたい見ましたが、見終わった後に心に残らないんですよね。
    だから、見てスカッとする映画が

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  • 令和日本経済の行方:その6(1,967字)

    2022-07-26 06:00  
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    これからの時代(令和)は、競争が相当厳しくなる。そこで、人々の生き方は2つに大別されるだろう。
    それは、競争に参加する生き方と、参加しない生き方である。
    今、競争する生き方は、かなり否定されている。なぜかというと、いまだに競争する生き方が社会の前提(当たり前)だからだ。皆が競争を強いられている。その社会の在り方に限界が来ているから、競争する生き方を否定する言説が優位になっているのだ。
    その後押しを受け、これからの時代は「競争するのが当たり前ではない社会」になる。現に子供たちの間では、そういう社会が人知れずできつつある。というのも、学校に行かない子供たちが激増しているからだ。
    コロナの影響もあって、日本では今、学校に行かない子供たちが激増している。そういう子供たちのほとんどは、競争しない生き方を選択している、周囲もそれを認めている。もう、そういう価値観が確立しているのだ。
    そういう子供たちは

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  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その25「道徳は嘘である」(1,621字)

    2022-07-25 06:00  
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    我々は、道徳に支配されている。例えば「自立しなければいけない」という道徳がある。この考えに反対できる人はほとんどいない。従って、ほとんどの人が、自立を目指す。
    しかしながら、この世の中で、有史以来「自立」に成功した人間は一人もいない。誰もが、社会や世界に寄生している。だから、「自立しなければいけない」というのは、土台無茶な目標なのだ。もっというと、端的に嘘である。
    その大嘘を信じながら、多くの人が生きている。おかげで、多くの人が、生きづらさを感じている。それは当然だ。なにしろ実現不可能なことを目標としているのだから、上手くいくわけがないのだ。
    そして目標が上手く達成できないと、人は心身が病気になったり、最悪の場合は死んだりする。実際、多くの人が、道徳の嘘に騙されて死んでいる。
    なぜそんな不条理なことが起きるのか?
    答えは単純で、人を「淘汰」するためだ。淘汰は、人類全体が種として存続するため

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  • トヨタ生産方式について考える:その28(2,039字)

    2022-07-22 06:00  
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    今回は、豊田織機の創業者である豊田佐吉と、その息子でトヨタ自動車の創業者である豊田章一郎について考えたい。
    豊田佐吉は、1967年(慶応3年)の生まれで、ぎりぎり江戸時代人である。静岡で育ち、父は大工と農業をしていた。
    佐吉の生家は、お金持ちではなかったが、子だくさんでも養子や奉公に出したりはしなかったので、貧乏でもなかった。この頃、大工は尊敬される仕事だったので、比較的裕福な方ではあったのだろう。
    佐吉が物心ついたときにはもう明治だったので、当時できて間もない小学校に通った。卒業すると、父について大工見習いとして働き始めた。
    しかし18歳の頃になると、発明家を志すようになる。というのも、ちょうど西洋文明が田舎にも届き始めた頃合いで、それに触発されたのだ。社会が工業化するようになっており、そこで自分も何かしたいと考えたのである。
    その頃、工業は「家内制手工業」がほとんどで、紡績や織物作りも

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  • マンガの80年代から90年代までを概観する:その61(2,063字)

    2022-07-21 06:00  
    110pt
    マンガは80年代に入って大きく様変わりする。
    70年代に入ったときも、『あしたのジョー』の終わりとともに停滞を迎えたので、大きく様変わりした。そして、そこからの10年間は、試行錯誤の段階を経ながら、最終的には週刊少年チャンピオンが開発した「読み切りの面白さで読者を惹きつける方式」が花を開かせ、定着する。
    それはやがて週刊少年ジャンプに受け継がれる。70年代の後半から、ジャンプがどんどんチャンピオン的なものを取り込んで、より読み切りの面白さに――つまりはアンケート結果を重視する方向へと編集方針を傾けていくのだ。そうして、どの雑誌でも「その週にどれだけ読者を惹きつけたか」が、マンガの面白さの中心的なものとなる。
    その結果、即物的な本能に訴えかけるものがマンガの王道になっていく。80年代にアクションマンガが花開くのは、そのことの結果だ。
    逆にいえば、非アクション的な――文学的なマンガは減っていっ

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  • [Q&A]リーダーシップとは何か?(1,852字)

    2022-07-20 06:00  
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    2
    [質問]
    経済におけるいろいろな数字がとても悪くなっており、リーマンショック並の不況が来ると予測されます。
    こういう時期は、資産家にとっては一財産築く時期でもあるのかもしれませんが、一般市民はどのように過ごせばいいと思われますか?
    [回答]
    今の時代だったら、やはり副業を模索することです。それも、GAFAMに寄り添った副業を模索することです。
    その意味で、おすすめはKindle出版と、せどりですね。とにかく、リスクが低いからです。リスクが低いことから始めて、知見を増やしながら、拡張できそうなところはしていく。そういう構えを今のうちから取っておくことが重要かと思います。
    また、時代の変化の中で必ず新しい価値が生まれ、新しいビジネスが生まれるはずです。そういうものに敏感になって、フットワーク軽く、新しいビジネスを低リスクで始めるのがいいかと思います。
    とにかく、既存の企業や古いビジネスに頼らな

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  • 令和日本経済の行方:その5(1,522字)

    2022-07-19 06:00  
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    1
    これは、昨日の記事でも先走って書いてしまったことだが、将棋の羽生善治九段は、独特の勝負観を持っている。それは、「終盤の差し手において、序盤の手を振り返り、それが活かせるような道はないか探す」というものである。そうやって、前半の何気なく打った手を活かそうとするのだ。
    普通、「勝つ将棋」というのは、前半の何気なく打った手が後半になって活かされる。だから、普通の棋士は、「終盤になって活かせるよう、序盤の手に力を入れよう」と考える。つまり、過去から、将来の布石をしておく。
    しかし、羽生九段は考え方が逆なのだ。将来において、過去を活かすような道筋を探すのである。未来ではなく、過去に活路を見出すのだ。
    現代において、この考え方はきわめて優位性が高い。というのも、これと全く同じ考えを提唱した人がいて、それが現代において最も成功した人間の一人だからだ。つまり、この考えは、そのまま成功に直結するともいえるの

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  • 知らないと損をする世界の裏ルール:その24「過去は変えられる」(1,507字)

    2022-07-18 06:00  
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    よく「過去に囚われるな」という人がいる。また、「未来のことなんか分からないから考えたって仕方ない」という人もいる。そうして、「今を生きろ」という人は多い。
    しかしながら、これらの意見は全て誤りだ。こういう考え方をしていると、それだけで人生損をする。なぜかというと、時間は過去・現在・未来が「一体」だからだ。それはつながっていて、切り分けられない。
    時間は、一つの流れである。従って、それを全体としてとらえることが肝要だ。区切って部分的に見てしまうと、物事の本質が見えなくなってしまう。
    まず、「過去を軽視する人」は、同じ失敗を繰り返す。こういう人は、いつも損ばかりしている。また、「未来を考えない人」も、そのうち必ず痛い目に遭う。
    その意味で、「今を生きる」という人は過去を軽視し、未来を考えないということだから、文字通り最悪の生き方だ。
    くり返しになるが、だいじなのは過去・現在・未来を一つのものと

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