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記事 18件
  • 偽物の個人時代:その6(1,482字)

    2023-08-31 06:00  
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    これから世の中は、どんどん個人主義になっていく。個人でいることをだいじにする人が増えてくる。
    そのとき、一番大きく変わるのは「住環境」だ。家族で住む、あるいはカップル(夫婦)で住むという形態が廃れ、一人暮らしが増えてくる。1人の自由な暮らし(生き方)を選択する人が増えてくる。
    その際、多くの人が住む場所として選ぶのは「ワンルームマンション」だろう。アパートの場合もあるだろうが、マンションの方が他の部屋との隔絶度が高いため、より一人暮らしを満喫することができる。
    そうなると、ワンルームマンションの需要はどんどん増えてくる。もちろん、ひとりで一戸建てに暮らしてもいいのだが、これはしてみると分かるが、なかなかに不便なものだ。広すぎで隅々まで目が行き届かなくなる。特に掃除が行き届かなくなる。
    家は広すぎてもまた不便なのである。そのため、一人暮らしをするとき、一戸建てをチョイスする人はそうそう現れな

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  • [Q&A]演繹法の文章について教えてください(2,159字)

    2023-08-30 06:00  
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    [質問]
    演繹法の文章について調べていますが、イメージが湧かず苦心しています。マンガとかのアイデアの出し方というわけではなく、演繹的な文章を書いてみたいのです。
    しかし、ネットや本で調べてみても、演繹法の文章は短文しか見つかりません。例が簡単すぎるのです。
    岩崎さんは、演繹的な文章と言われて思いつく、短文ではない文、があれば教えていただけませんでしょうか。このブロマガの記事の中で、演繹的に書かれているものをあげていただいてもありがたいです。それではよろしくお願いします。
    [回答]
    演繹法は、最近ではあまり流行っていないですね。ここで簡単に「演繹」と「帰納」について説明すると、演繹は二つの事例を重ねて結論を導き出すもの、帰納とはいくつかの事例から共通点を抽出するというもの。
    ぼくの思考はほとんど「帰納」的で、興味は全て過去に向かっています。歴史を書くのはそのためですね。ただし、おまけ的にその

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  • アーティストとして生きるには:その19(2,031字)

    2023-08-29 06:00  
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    アートとはつまるところ、「困難な状況を緩和するためのメソッドの提示」ということになるだろう。「ものの見方の新しいコンセプトを提案する」。それが多くの人にハマれば、偉大な芸術になるというわけだ。
    そのため、前提としてまず「困難な状況」を必要とする。「必要とする」というのもおかしな話だが、平和なところからはアートは生まれない。そもそも求められていないからだ。
    そう考えると、今――2020年代にアートが求められているのだとしたら、それは「平和ではない」からだ。現代は「非平和」である。
    では、どう非平和なのか?
    ここからは、そのことを考えていきたい。
    まず最大の非平和は、「男女の性欲が満たされていないこと」だろう。これは日本で特にそうだが、海外でも次第に顕著になりつつある。セックスをする男女が減って、少子化がどんどん促進している。
    なぜセックスをする男女が減ったかというと、一番は「心理的な危険性が

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  • 石原莞爾と東條英機:その12(1,615字)

    2023-08-28 06:00  
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    板垣征四郎は地元の盛岡中学を卒業後、仙台陸軍地方幼年学校に進む。盛岡中学では特待生で、勉強はできた。が、トップになるというのでもなく、普通の優等生だった。
    仙台陸軍地方幼年学校を無難に終えると、陸軍士官学校に16期生として入る。16期には戦前陸軍の超重要人物となる永田鉄山がおり、彼は岡村寧次、小畑敏四郎とともに「16期生三羽がらす」と呼ばれ、周囲から一目置かれていた。
    征四郎は、その三羽がらすと単に同期であるというだけではなく、仲が良かった。そうして、陸軍入隊後も思想や活動をともにしていくこととなる。
    ある時期から、陸軍にはたびたび若手将校による「派閥」が形成されるようになった。これは特別に「軍閥」と呼ばれる。
    最初にできた軍閥が「月曜会」で、これは陸軍大学校出の1期生と2期生が中心となって結成された。はじめは軍事知識の勉強をするための有志の会だったが、やがて軍閥化していった。
    軍閥化した

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  • 庭について:その42(1,922字)

    2023-08-25 06:00  
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    19世紀から20世紀の変わり目に、まず社会が、次いで建築が大きく変化する。いわゆる「近代化」が熟成する中で、科学が急速に発展し、人々の生活も大きく変わった。そこで人々は、新しい社会に適合するような新しい「建築」を求めるようになった。それは、ここまで1000年も続いてきた伝統を覆すような、きわめて大きな変化だった。
    この頃、急激に人口が増えたことや、経済が伸張したこともその変化を後押しした。いわゆる超巨大都市が生まれ、人々がそこに集積し始めた。
    そうした流れに呼応して、巨大な高層ビルが建てられるようになった。いわゆる「近代建築」というものが概念として勃興し、あっという間に世界中に広まった。
    そして、その変化の中心は新大陸アメリカだった。アメリカは、ヨーロッパのような伝統がない分、近代化をより推し進めやすい状況にあった。また、ヨーロッパよりも冬は寒く、夏は暑いという気候の厳しさが特徴だったため

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  • 偽物の個人時代:その5(1,681字)

    2023-08-24 06:00  
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    これから20年後に「本物の個人主義時代」が来る。その前触れとして今、「偽物の個人主義時代」が到来していて、その主要な舞台はネット――特にSNSとなっている。
    しかし今、SNSは社会にさまざまな問題を巻き起こしている。特に問題となっているのはキャンセルカルチャーで、これは最初は有名人が標的だったが、今となっては有名無名を問わずあらゆる人にその危険性が及んでいる。誰もがキャンセルの魔の手から逃れられなくなっている。
    その魔の手から逃れる最善手は「SNSをやめること」だが、多くの人が生活や仕事でSNSと分かちがたく結びついているため、やめられない。それは中毒というよりはもはやインフラと化していて、単純にSNSがないと生きるのが困難なのだ。そういう人が増えている。
    これは端的にいって非常に危険な状態である。特に「2つの意味」で危険で、1つは先にも述べたように「キャンセルに巻き込まれる」危険性が高い

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  • [Q&A]橘玲著『世界はなぜ地獄になるのか』の感想(1,847字)

    2023-08-23 06:00  
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    [質問]
    橘玲さんの新著『世界はなぜ地獄になるのか』が話題ですがハックルさんは読まれましたか?
    [回答]
    読みました。感想は一言でいうと「面白い」ですね。ただ、多くの人が理解できていないのではないかとも思いました。

    世界はなぜ地獄になるのか(小学館新書) Kindle版
    本の内容は、「これから世界は地獄みたいになるよ。その世界で生きるためには、適応するしかないよ。適応の仕方は各自考えてください。この本では、どこに地獄が待っているか、その地雷原はどこか――を教えます」というものです。
    そして、その地獄や地雷原がどこかというと、端的に「SNS」です。いま盛んに炎上がくり返されていますが、これはけっして有名人だけの問題ではありません。一般人でも、スシロー少年のように、巨大な炎上に巻き込まれる可能性は少なくありません。ですから、特にSNSにはなるべく近づかない方がいい、というものですね。
    この現

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  • アーティストとして生きるには:その18(1,826字)

    2023-08-22 06:00  
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    ここまで禁欲とアートとの密接な相関関係について見てきた。すなわち、禁欲的になればなるほど、創作する作品のアートとしての価値も高まるのだ。
    ところで、オタク文化は禁欲と分かちがたく結びついている。なぜなら、ほとんどのオタクは他者と性愛関係を上手く取り結べないため、図らずも禁欲生活を余儀なくされているからだ。そのため、全体的にアートの機運が高い。
    それは、鑑賞者がまずそうだが、表現者もそうである。オタクコンテンツの制作者も、モテない人間が多く、禁欲的な生活を余儀なくされている。そうして、憤懣をこの上なく溜めている。
    それがコンテンツ制作に向けられたとき、偉大なアートになる。特に、アニメにそういう傾向が強いのではないだろうか。
    これは、鶏が先か卵が先かというのは難しいところだが、宮崎駿監督の影響は大きいだろう。宮崎監督は、モテなかった。だから、アニメをアートにまで進化させた。
    もちろん宮崎駿監督

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  • 石原莞爾と東條英機:その11(2,185字)

    2023-08-21 06:00  
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    板垣征四郎は1885年(明治18年)に岩手県岩手町で生まれた。彼にとっての最重要人物は、父方の祖父、佐々木直作だった。
    佐々木直作は、1817年に生まれた盛岡藩士だった。長じると藩校の先生をしたり、藩主の剣術の指南をしたりした。卑近な言い方でいうと「剣道の偉い先生」で、藩の重要人物であった。
    盛岡藩は、1868年、直作が49歳のときに起こった戊辰戦争で敗れる。このとき、盛岡藩の重要人物だった直作は逮捕されると、江戸に護送され、しばらく増上寺に幽閉される。
    ここで、直作は一旦人生を終わらせられる。武士として戦争に負けたのだ。その責任は明らかで、もはや死ぬしかなかった。
    ところが、直作が負けたことで、江戸時代が終わってしまった。自分の価値観だったら切腹するところが、負けたせいでそれすらできなくなったのだ。
    おかげで、直作にとっては「死にきれなかった」という思いが強く残った。江戸時代までだったら

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  • 庭について:その41(2,014字)

    2023-08-11 06:00  
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    ここでシシングハースト・カースル・ガーデン(以下シシングハースト)についても触れておきたい。
    シシングハーストは、ロンドンの南西、ケント州にあるマナー(農園の中の邸宅)に付随する庭園である。元々は1530年代に建てられた城であったため、カースル(Castle・キャッスル)と呼ばれている。
    1930年、詩人で作家であったヴィタ・サックヴィル=ウェストと、その夫で外交官だったハロルド・ニコルソンによって購入された。購入したとき、シシングハーストは300年の間さまざまな用途に転用されてきたため、マナー・ガーデンとしての魅力は完全に失われていた。
    ヴィタとハロルドの夫婦は、ともに貴族の出である。ヴィタは1893年の生まれで、イギリスの絶頂期に幼少期を過ごした。そのためか、絵に描いたような退廃的趣味の持ち主で、すぐれた芸術家である一方、恋愛にも積極的だった。ヴィタとハロルドは共にオープンマリッジを広

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