• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 110件
  • ■佐倉みさき/7月29日/10時

    2014-07-29 10:00  



     その女性はノイマンと名乗った。
     彼女の部屋での生活は、これまでとは雲泥の差だった。
     久々にシャワーを浴びることができた。シャンプーなんか私が普段使っているものよりも高級品だった。まっ白なタオルと新品の着替えが用意されていて、1日に3度人間味のある料理を食べ、夜は清潔なシーツと膨らんだ枕で眠った。口にガムテープを張られることもなかった。
     なによりも嬉しかったのは、ようやく両手を自由に動かせるようになったことだ。私は枕元に畳まれていたジーンズのポケットに手を入れた。そこには、きちんとあのキーホルダーが入っていた。
     ――よかった。
     それがあるだけで、少し救われる。
     私には悲しいことなんて起こらない、と、こんな状況でも囁ける。
     よし、と気合を入れた。それから私は、寝室の窓を開く。
    「助けて!」
     思い切り叫ぶと、後頭部を叩かれる。
     いつの間にかすぐ後ろに、ノイマンが立ってい

    記事を読む»

  • ■久瀬太一/7月28日/12時

    2014-07-28 12:00  



     父への電話は、珍しくすんなりと繋がった。
     挨拶もなにもなく、どこかにやけて聞こえる口調で、「どうだった?」と父は言った。
    「なにがだよ?」
    「佐倉さんとこの娘さんだよ。連絡あったか?」
    「ああ」
    「それで?」
    「ちえりとは会った。みさきはまだみつかっていない」
     電話の向こうで、短い沈黙があった。
     それから父は、彼にしては珍しい、硬い口調で言った。
    「本当に誘拐されてんのか?」
    「そういってるだろ」
    「警察は?」
    「もちろん動いている。でも、あまり進展はなさそうだ。なにかわかれば、ちえりから連絡を貰えることになっている」
     オレは部屋のベッドに腰を下ろし、左手でスマートフォンを持っていた。右手では、あの箱からみつかったクリスマスツリーの飾りを弄ぶ。
    「あのクリスマスパーティのことを知りたい」
    「どうして?」
    「みさきの誘拐に、あれが関係していそうなんだよ」
    「わけがわからないな

    記事を読む»

  • ■佐倉みさき/7月28日/10時30分

    2014-07-28 10:30  



     長い夢をみた。
     なんだか良い気持ちで、私は目を覚ます。
     ベッドの上だ。清潔感のある白いシーツに寝転がっている。
    「よく寝る子ね」
     声が聞こえた。呆れというよりは感心している風な口調だった。
     目をこすって、そちらを向く。
     長い黒髪が綺麗な女性が、ベッドわきの椅子に座ってこちらをみていた。
    「久瀬くんってだれ?」
     そう尋ねられる。
     どうして、その名前を?
     表情から私の疑問を読み取ったのか、彼女は言った。
    「寝言で言ってたのよ。ずいぶんはっきりと」
     それは。ちょっと恥ずかしい。
     私は、どうにか口を開く。
    「貴女は」
    「忘れたの?」
     彼女はくすりと、小さな声で笑う。
    「誘拐犯よ」



    みや@さとみちゃん愛 @staknnds 2014-07-28 10:32:55
    寝言はっきり聞かれちゃって恥ずかしがる佐倉嬢も可愛いけどやはりここは宮野さん推し   #宮野派
    コウリ

    記事を読む»

  • ■佐倉みさき/7月28日/10時15分

    2014-07-28 10:15  
    1



     久瀬くんが私を引っ張る。
     同い年とは思えない力強さにびっくりして、私は気づけば彼の後ろについて部屋を出ていた。
    「どこにいくの?」
     と私は尋ねる。
    「もっと綺麗なところだよ」
     と彼は答える。
     私の手をひいたまま、久瀬くんは走る。廊下で数人の大人に声をかけられたけれど止まらない。パーティ会場にも目もくれず、私たちはホテルを飛び出す。
     久瀬くんは足が速くて、私は生まれて初めてじゃないかというくらいの全力疾走だった。行き先もわからないけれど、不思議と不安はなかった。それよりも、久瀬くんに置いていかれないように必死だった。この手を離すことの方が怖かった。
     私はじっと、久瀬くんの後ろ姿をみつめる。
     久瀬くんは無言で、ただ手を力強く握っている。
     その温度に、大丈夫だ、と言われている気がする。
     どきん、どきんと鼓動が打つ。
     体温がどこまでも上昇していく。
     肌に触れる、冷たい

    記事を読む»

  • ■佐倉みさき/7月28日/10時

    2014-07-28 10:00  


     夢をみていた。
     幼いころの夢だ。
           ※
     当時の私は、両親から勧められたピアノ教室に通っていた。
     私はピアノが嫌いではなかった。
     下手なりに技術が向上するのはカタルシスだったし、褒められると単純に嬉しかった。
     でも、ピアニストになりたい、とは絶対に思わなかった。人前に出るのが苦手だ。綺麗な格好をしてステージで演奏するなんて、なんとしてでも避けたいことだった。
     なのに。
     ――今年のパーティでピアノを弾かないかって、頼まれてるのよ。
     と母が言った。
     パーティというのは、ホテルで開かれるクリスマスパーティのことだ。私は毎年、それに参加していた。
     ――大丈夫よね? みさきはピアノが上手だから。
     嫌だ。大丈夫じゃない。
     本当は首を振りたかった。
     でも自分のことのように嬉しそうに笑う母の顔をみると、否定もできなかった。わかった。がんばる、と私は応えた。
     後悔

    記事を読む»

  • ■久瀬太一/7月27日/16時20分

    2014-07-27 16:20  



     室内は空調で寒いほどだったが、額には汗が噴き出していた。それを拭って、オレはつい呟く。
    「……なぜ?」
     サングラスは不機嫌そうに口を歪めた。
    「なぜここがわかったのか? それとも、なぜ部屋に入れたのか、か? そういう質問はもう聞き飽きてんだよ」
     オレは、ゆっくりと尋ねる。
    「なぜ、もう来るんだ?」
     予定よりも早い。こいつが来るのは、午後8時だったはずだ。
    「ん? ああ、馬鹿がへまやって、尻拭いに駆り出されたんだよ。それからメシ食って、風呂入って、ちょっと寝ようとしたけど眠れなくて――って」
     サングラスは楽しげに笑う。
    「お前もプレゼントを貰ったのか?」
     プレゼント? バスで、あのきぐるみが言っていたことか?
     確か――
    「ニールの足跡」
    「へえ、よく知ってるじゃねぇか」
     サングラスの笑みが大きくなる。
    「オレの予定も知っていた。プレゼントが絡んでいると考えるのが自然だ。

    記事を読む»

  • ■久瀬太一/7月27日/16時10分

    2014-07-27 16:10  



     ソルのスマートフォンが、震えた。 ――電波が、ある!
     オレはひったくるようにスマートフォンをつかむ。慌てて、メールを確認する。
     まずは1通。
           ※
     鍵の1つは下下下下上上上上下で開きます
           ※
     そして、すぐに2通め。
           ※
     残りの南京錠の開け方、一つは『左上左右左上右左上右上』です。幸運を祈ります。
           ※
     オレはすぐに、手元に小箱を引き寄せ、順にそれを入力する。
     かしゃん。みっつ目。
     続けて、かしゃん、と気持ちの良い音が聞こえて、最後の錠が開く。
     全身から、力が抜けた。
     ――これで、助かる。
     もちろん死ぬのが、怖かった。今もまだ指が震えている。それでもすべての錠が開いたのだ。オレの未来は、きっと変わる。冷えた身体をストーブで暖めるような、じんわりとした安堵が、全身にみちた。
     ソルのおかげだ。
     また、彼らに救わ

    記事を読む»

  • ■謎まとめ/7月27日/詰将棋謎

    2014-07-27 16:09  

    ※ここには読者が解き明かした謎の内容が記されています。自らの手で謎を解き明かしたいという方は、この記事を読み飛ばして次ヘ進んでください。
    《読み飛ばす》
     まぁや @maaaya1011
    詰将棋 pic.twitter.com/KPQmm0kgtC
    桃燈 @telnarn
    24飛、15玉、16歩、同玉、26飛引、17玉、27飛上、18玉、28飛、17玉、27飛引、16玉、17歩、15玉、25飛、14玉、24飛、15玉、25飛上、迄19手詰め。
    じゃがりこ@コミケ行くお金ください @potatobou
    詰将棋早いなw
    QED @qed223
    @telnarn 先手から見ると下下下下上上上上下ですかね
    あさって @sakuashita1
    将棋答えあわせ中
    マコト @mako_3dbell
    @telnarn 中将棋といいすごいですね
    桃燈 @telnarn
    しゃぁ!!詰キストの面目躍如やでぇ

    記事を読む»

  • ■聖夜通信7月号

    2014-07-27 16:08  

    いそでぃ@3D小説参加中 @equi_libria
    聖夜通信7月号!! p.twipple.jp/dSbqw

    ※Twitter上の、文章中に「3D小説」を含むツイートを転載させていただいております。
    お気に召さない場合は「転載元のアカウント」から「3D小説『bell』運営アカウント( @superoresama )」にコメントをくださいましたら幸いです。早急に対処いたします。
    なお、ツイート文からは、読みやすさを考慮してハッシュタグ「#3D小説」と「ツイートしてからどれくらいの時間がたったか」の表記を削除させていただいております。


    記事を読む»

  • ■謎まとめ/7月27日/街歩き謎

    2014-07-27 16:07  

    ※ここには読者が解き明かした謎の内容が記されています。自らの手で謎を解き明かしたいという方は、この記事を読み飛ばして次ヘ進んでください。
    《読み飛ばす》
     雑食人間@3D小説参加中 @zassyokuman
    これは天神組に歩き回ってもらわないといけない?人数おおくてよかったかも?
    ちょくし@[3D小説 bell]参加中 @DodoRoku
    @Miraclekurami 申し訳ないですが、このまま歩いてもらう感じですかね?
    しろくろパンダ@3D小説福岡現地攻略班 @Miraclekurami
    @DodoRoku その可能性大ですね
    きのえとら @kinoetora
    書を捨て、町に出よう
    雑食人間@3D小説参加中 @zassyokuman
    そうだ、ストリートビューを使おう。
    闇の隠居 @yamino_inkyo
    歩いた方向が答えなのか、矢印の向いてる方が答えなのか(こっちかな?)
    oda

    記事を読む»