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仕事を持つことは誇りを持つこと。巨匠ケン・ローチ監督が描く希望と再生の「お仕事」映画『天使の分け前』
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仕事を持つことは誇りを持つこと。巨匠ケン・ローチ監督が描く希望と再生の「お仕事」映画『天使の分け前』

2013-04-18 08:05
    先日4月8日、イギリス元首相マーガレット・サッチャーが亡くなりました。社会保障費などを削減して「弱者の切り捨て」を行ったと批判されることもあるサッチャー氏ですが、その葬儀に多額の公費が使われることにイギリス内では一部強い反発の声が上がっているそうです。


    「彼女の告別式を民営化しましょう。入札を行い一番安い見積もりでやりましょう。それこそ彼女が望んだものですから」webDICEより)


    そうコメントしたのは、イギリスの映画監督ケン・ローチ。労働者階級の人々や失業者など社会的弱者に寄り添った作品を一貫して作り続け、「英国の至宝」と称される巨匠です。新作『天使の分け前』は4月13日から日本での公開が始まりました。


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    『天使の分け前』の舞台はスコットランド。主人公ロビーは育った環境のせいでケンカ沙汰の絶えない毎日を送る失業者ですが、恋人レオニーとの間に子どもを授かったことをきっかけに人生をやり直そうと決意します。糸口がつかめずまたしても微犯罪で逮捕されたロビーが、刑務所代わりに命じられた社会奉仕活動で出会ったのは現場指導者のハリー。ハリーはスコッチウイスキー愛好家で、ロビーにその奥深さを教えるのでした。やがて「ウイスキーのテイスティング」という意外な才能に目覚めたロビーは、その才能を使って人生の逆転を賭けた大勝負に出ます――。


    主人公ロビーを演じたポール・ブラニガンは、演技経験ゼロの本物の「失業者」で、路上生活も経験したことがあるのだとか。脚本家のポール・ラヴァティがリサーチの際に出会って、主演に抜擢されました。職業俳優ではこうはいかない、という"味わい深い顔つき"が印象的。


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    左からケン・ローチ(監督)、ポール・ブラニガン(主演)、ポール・ラヴァティ(脚本) photo by Getty Images


    これまで現代イギリスの貧富の格差や矛盾を容赦なく描き、悲劇的な結末を迎える物語が多かったケン・ローチ作品ですが、今作はコメディタッチの明るく軽快な作品で、結末にも希望を見出すことができます

    「Only hope is job」「仕事を持つことで人は自分に誇りを持つことが出来る」webDICEより)


    今作『天使の分け前』には、失業して誇りや希望を奪われた人々を描き続けてきたケン・ローチ監督だからこそ描ける、希望と再生の「お仕事映画」という一面もあるのかもしれません。



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    『天使の分け前』公式サイト
    原題:THE ANGEL'S SHARE
    監督:ケン・ローチ
    脚本:ポール・ブラニガン
    出演者:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ、シヴォーン・ライリー
    4月13日(土)より銀座テアトルシネマほか全国順次ロードショー
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    (文/編集部・吉川)

    RSSブログ情報:http://www.cafeglobe.com/2013/04/029232movie_angels_share.html
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