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「創造的な生活は消費するだけの生活より幸せを感じられる場面が多いのではないだろうか」
コメ8 草の根広告社 104ヶ月前
こうして文章に書いたりラジオで喋ったりすることで自分のやっていることにだんだんフォーカスが合って来た。それは、モノを作る仕事と同じくらい、今は生活することが創造的で楽しいということだ。 この町に移住したばかりの頃は、菜園を耕したり、海辺を散歩してビーチグラスを拾い集めたり写真を撮ったりしている...
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「僕らは自由を守りたいから、今日もあなたのゴミを拾い続けるんだ。」
コメ2 草の根広告社 104ヶ月前
人波の消えた海岸には今年もゴミだけが残された。煙草の吸い殻、ビールやチューハイの空き缶、バーベキューに使った焼きそばの空き袋、割り箸、紙皿など、僕が住む集落の砂浜でも享楽の残骸が風に舞っていた。そんなゴミを地元の僕らが黙々と拾い集めるのは、自分たちが気持ち良く暮らすという理由の他に、次にここ...
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「潮風に吹かれながら文庫本片手にビールを飲んだだけの休日。」
コメ13 草の根広告社 104ヶ月前
ゴールデンウイーク唯一の休日だった。というより無理矢理そういうことにした。一年中夏休みの宿題を抱えた小学生みたいな人生なので、どこかで「今日は休業日」ということにしないとずっと仕事をし続けることになってしまうのだ。とはいえ、朝方ちょっとだけ菜園を手入れした後は予定がない。どこかに行こうにも海沿...
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「夏の匂いのハンバーグ」
コメ6 草の根広告社 104ヶ月前
ビーサンで初夏の浜を歩いていたら、なぜだか無性にハンバーグが食べたくなった。浜辺に漂うバーベキューの匂いに刺激されたのだろうか。太陽の眩しさが脳に夏っぽい食べ物を求めさせたのだろうか。夏っぽい?確かにハワイにはハンバーグの載ったロコモコという料理があるし、日本のファミレスなんかにもパイナップ...
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「ダイヤモンドを待ちながら」
コメ5 草の根広告社 104ヶ月前
「そういえばダイヤモンド富士ってまだ見たことないよね」 妻とそんな話をしたのは4月の始め。いつものようになんとなくビーチグラスを拾い集めながら夕暮れの浜を散歩していたときだった。水平線の向こうで夕陽のバックライトを浴びた富士山が僕らを見ていた。 この海辺の町では春と秋の1年に2回、
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「ビューティフル・ネーム」
コメ3 草の根広告社 105ヶ月前
保育園の建設が中止になったという、ある町での報道になんとも言えないやり切れなさみたいなものを感じた。口の中に飛び込んで来た小さな虫を偶然噛んでしまった時のような、何度うがいをしても拭い去ることのできないような気持ち悪さが残った。僕自身はいくつかの記事を読んだに過ぎない。それもある一部分だけが切...
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「良い波が立っている日に何もかも放っぽり出してサーフィンをするくらいの自由が僕らには必要なのかもしれない。」
コメ4 草の根広告社 105ヶ月前
天気予報によると、春の空気と初夏の空気が海の上で喧嘩しているそうだ。春の空気が勝てば気温は低いけれどカラッとした快晴に。初夏の空気が勝つと気温は高いけれど湿気を多く含んだ曇天になるという。なんて子供にも解り易い予報通りだったここ数日、海辺の町では天気予報で言われていなかった自然現象がもうひと...
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「忘れじの山桜、忘却の生ビール」
コメ10 草の根広告社 105ヶ月前
桜が美しく咲き誇っている。道沿いに植えられたソメイヨシノなどの里桜ももちろん美しいけれど、東京から1時間とは思えない豊かな里山が広がるこの辺りでは、やはり野生味溢れる山桜が美しい。ソメイヨシノのような派手さはないけれど、たとえば棚田の向こうに広がる山肌を染める色とりどりの山桜は麓から見上げてい...
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「桜咲き乱れる頃、湘南新宿ラインに乗って『渋谷のラジオの学校』へ」
コメ2 草の根広告社 105ヶ月前
湘南では春陽の中に僅かながら夏の匂いが漂い始める4月。僕は最寄りの逗子駅から湘南新宿ラインに1時間ほど揺られ、東京は渋谷へと毎週通うことになった。本日4月1日午前8時に開局するコミュニティFM『渋谷のラジオ』(87.6MHz)で生まれて初めてパーソナリティーをやらせて頂くことになったのだ。 月曜から木曜の夜22時...
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「長い人生におけるなんてことない春の夕暮れ」
コメ6 草の根広告社 105ヶ月前
春になると毎日キャベツばかり食べるようになったのも、この町で暮らすようになってからだ。三浦半島は全国でも有数の春キャベツの産地なのだ。134号線を走ると山の向こうまで続く広大なキャベツ畑がそこかしこに点在している。畑の入り口などにある無人販売所には朝収穫されたばかりの瑞々しい春キャベツがひと玉100...
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「野に咲く花のように」
コメ8 草の根広告社 105ヶ月前
海沿いのアスファルトに群生して咲き誇るたんぽぽを見つけた。ひとつ一つの花は小さいけれど、地面の下ではわずかな地下水脈を求めて50センチから1メートルにも及ぶ根を張っている。そのたくましさは見るたびに心引き付けられるものがある。 そういった小さな命の躍動に対する想像力を養わせてくれたのが
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「春を通り越して夏の匂いがした」
コメ4 草の根広告社 105ヶ月前
花冷えの激しい雨が上がったと同時に、雲の切れ間から熱い太陽が顔を出した。もう春休みなのだろうか。浜に出ると近所の子供たちが一足先に砂浜を走り回っていた。 比較的子供が多い(気がする)この集落で暮らしているとそんな印象はないけれど、ここ横須賀市は全国で最も人口が減少している都市だそうだ。日本が調査...
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「穏やかな海を見ていると人は優しくなれるのかもしれない」
コメ6 草の根広告社 106ヶ月前
砂浜に練習中のサックスの音色が響き渡っている。嬉しそうに駆け回る犬とその姿を嬉しそうに見守っている飼い主の女性。波打ち際では子供たちが膝下まで海に浸かってはしゃいでいる。夕暮れを目前にした海岸では誰もが久し振りに訪れた春らしい晴れ間を愉しんでいた。凪の海のように優しい時間が流れていた。134号線...
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「震災前にどんな気持ちでこの海を見ていたのかを思い出すことはもうできないのかもしれないけれど」
コメ8 草の根広告社 106ヶ月前
海の見える家を手に入れたのは6年前の3月のことだ。その11ヶ月後に結婚を決めた。2011年の2月だった。晴れ渡る冬空と澄んだ海を一望できる134号線沿いの小さなビストロで家族と白ワインを飲みながら、8ヶ月後に入籍し、この家で一緒に暮らしていくことを確認し合った。その日に撮ったのがこの写真だ。
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「そして僕はまた明日葉の種を蒔く」
コメ6 草の根広告社 106ヶ月前
急激な気温の上昇で辺り一面が濃い海霧に包まれている。時折り重たい雲が立ち込め春時雨が通り過ぎる。すっきりしない空模様に思わず溜め息が漏れる。そして改めて考える。「春を待つ」というのは、こんなにも得も言われぬ不安や一抹の侘びしさと隣り合わせのものだっただろうか。
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「続・春なのに甘夏」
コメ8 草の根広告社 106ヶ月前
今日も甘夏を食べている。厚い皮を向いて、薄皮のまま頬張る。最初のひと咬みで袋が破裂し、口腔にやさしい酸味と甘味のある果汁が広がってゆく。本格的な春を迎えつつある海辺のこの小さな町は甘夏の真っ盛りだ。と文字にするとやっぱりおかしい。春なのに(甘)夏真っ盛りとはこれ如何に。ここで暮らすようになって今...
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「ひだまりの猫に教わったこと」
コメ6 草の根広告社 106ヶ月前
134号線にできた午後の日溜まりを猫がのんびりと歩いている。時折り海に向けられる鋭い視線は波を品定めしているサーファーみたいだ。どこに行くのだろう。何をしているのだろう。物言わぬ猫は何も答えてはくれないけれど、まるまる太ったその体つきからは毎日おいしい魚をたくさん食べているのが見て取れる。と思っ...
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「裸足で砂浜を走ること」
コメ4 草の根広告社 106ヶ月前
仕事後のランニングがてらいつもの精肉店に立ち寄ったときのことだ。白い息を吐いている僕を見て、店のご主人が言った。「この辺で生まれた同級生は20人くらいしかいないんだけど、なぜかみんなマラソンが速いんだよ。」 理由を訊くと、ご主人は豚肉を切る手を止め、少し考えてから「子供の頃から裸足で砂浜を走り回...
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「『私たちは捨て石』という同世代が放った言葉の重み」
コメ8 草の根広告社 106ヶ月前
「私たちは捨て石だと思うんですよ。でも、いい捨て石になりましょうよ。この無念を良いエネルギーにして、世の中に貢献できること探しましょうよ」 NHKの女性アナウンサーが同世代の女性スタッフの発言として紹介したこの「捨て石」という言葉が、今もまだ小さなトゲのように胸に突き刺さって消えないでいる。 御覧に...
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「GOOD DAY SUNSHINE」
コメ8 草の根広告社 107ヶ月前
良いことと悪いことが半分ずつあった一週間をぱちんと吹っ切ってくれるような気持ちの良い冬空だった。手に入れ掛けたものに不安を感じていても、失い掛けたもののことをくよくよ考えていても前には進めない。そんな気持ちで自分を鼓舞しながら一歩ずつ海沿いを歩いた。光がいっぱいのいい日和だった。太陽と海を感じ...
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「東京よりも星がキレイに見えるこの町で僕らはどんな夢を見せてあげることができるのだろう」
コメ2 草の根広告社 107ヶ月前
毎年10万人の若者が地方から東京圏に移住しているという。仕事やチャンス、文化など地方にはないものを求めての上京だ。しかし東京は地方と比べ出生率が著しく低い。そこで「若者の地方流出を食い止める」ことで、出生率を上げ、少子高齢化に歯止めを掛けようというのが「地方創世」の骨子である。という話を、
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「ある晴れた日曜の午後」
コメ3 草の根広告社 107ヶ月前
思えば去年の今頃は、福井とか仙台とかもっとずっと寒い雪の降る街を旅していた。見知らぬ街の灰色の空。真っ白な雪。骨身に凍みる空気の冷たさ。そんな印象が強過ぎるせいで、この海辺の町の冬がどんな風だったか霞んでしまっているというのが正直なところだ。 去年の今頃も毎日のように強風波浪警報が出ていたのだ...