円山応挙は江戸時代中期の京都画壇を代表する絵師で、写実的で美しい画風は当時の上層町人に篤く支持されました。丹波国(現在の京都府亀岡市)に生まれ、十代で上洛。狩野派の絵師・石田幽汀に師事し、後に銅版画や中国絵画なども学びます。そのかたわら、鏡とレンズで絵を立体的に見せる「眼鏡絵」の制作にも携わりました。
愛知県美術館で開催される「開館20周年記念 円山応挙展 -江戸時代絵画 真の実力者- 」のみどころは、「リアルに見えること」を追求した応挙に迫り、かつ高いセンスと技量を再確認できる絵画が多く展示されます。また、観客を驚かせようという趣向のトリックアートにも似た作品の襖絵(兵庫県大乗寺)が、ガラスケースなしの障壁画空間として再現、展示されます。
応挙の真の実力を十分にご堪能ください。
続いては伊藤若冲。京都は錦小路、青物問屋の長男として生まれた若冲は十代で絵画に興味を持ち、彼に絵を教えたのは大坂の狩野派の絵師・大岡春卜であると伝えられています。父親が亡くなったことにより、23歳で家督を継ぎますが、絵師と問屋主人の二重生活のバランスを崩し、家業を放棄して仏門に帰依、丹波の山奥で引き籠り生活を始めたりします。40歳で隠居し望んだ画家としての道を歩みます。
仙台、岩手、福島で開催される「東日本大震災復興支援 若冲が来てくれました ~プライスコレクション~ 江戸絵画の美と生命」は、江戸絵画を多数所有する米国カリフォルニアのプライス夫妻が「江戸絵画の楽しさを被災した3県の子供たちに伝えたい」との思いで提案、実現した展覧会です。
展示される作品はどれも「美」と「生命」を感じさせるもの。展覧会全ての収益が東北にもたらされるということなので、「東北の復興に協力したい」という強い思いのある方は、是非とも会場まで足をお運びください。
[円山応挙展 -江戸時代絵画 真の実力者-、若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命―]
(文/六島京)