解釈の余地を残すこと。「階段型ベンチ」に学ぶコミュニケーション促進法
夏の夕暮れ、公園のベンチに腰かけて憩うひとときは楽しいもの。1人でのんびりもいいですが、たまには家族や友人、職場の仲間たちと......というのはいかがでしょう？ 「みんなで座る」ことをコンセプトにしたこんなベンチと一緒なら、もっとクリエイティブな時間が過ごせるかもしれません。
階段を組み合わせたような不思議な形をしたこのベンチは、スイスのデザイナー sebastian
marbacherさんの作品。好きな場所に座ることができ、寄りかかったりテーブルにしたり、色々な使い方ができます。大きさは250×250×130cm。
座る高さによって適度に視線がずれるのがいいですね。リラックスしてお喋りできそうです。
ゆったりと足をのばしてパソコンに向かえば、面白いアイデアがでてきそう！
marbacherさんによるファーストスケッチがこちらです。
だまし絵のような複雑な構造ですが、実はたった4つのパーツでできています。
marbacherさんは、公共スペースに座っている人たちを観察した結果、階段のような形を思いついたのだとか。使い方を限定せず"解釈の余地"を残すことで、コミュニケーションが促進されそうですよね。実際にチューリッヒアートスクールの前庭に設置してみたところ、写真のように学生も訪問者も大いに利用していたそうです。
確かに「こんな風に使ってみようかな？」と感性を刺激されること自体、普通のベンチではないこと。そんなちょっとした仕掛けが、自然と人を集める場を生むのかもしれません。「Bench Exercise」と題されたmarbacherさんのページでは制作風景なども紹介されていますので、チェックしてみて下さいね。
photo by Sebastian Marbacher、designboom
［Sebastian Marbacher、designboom］
（文／田邉愛理）