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無題/ROCKIN’ON 創刊号(1972年夏)に書いた原稿
1972-06-09 09:43ROCKIN’ON 創刊号 p30-31
無題
<ロックとは何か?>を問う力量も問題意識も欠けている僕は<何故ロックか?>を問う事になる。何故ロックであってジャズではないのか。何故エリック・クラプトンであってマニタス・デ・プラタではないのか。時代の圧倒的な奔流の中で僕はロックという偶然性に身を委ねたのに過ぎないのであろうか。
ロックには風景が必要である。あるいは僕にとってのロックとは音を含めて風景そのものであったのかも知れない。音楽とは時間の流れの中に虚構を創り出す意思でありロックとは暴力的に僕たちの裡に流れる時間の川を遮断してしまう物理的音楽であった。しかしミエミエの<暴力>に素直にのり切れない僕にはもうひとつ空間的虚構が必要であったのだ。しかしその虚構も亦ミエミエである事はハナから納得していたのだが僕はとりあえず惚れた。僕と同様に時間的虚構をロックに求めながら場的虚構をある人は野音
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