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記事 2件
  • シャイニイ・オン GFR(ロッキングオン10号 1974年)

    1974-03-25 22:18  
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    標題=シャイニイ・オン GFR
    掲載媒体=ロッキングオン10号
    発行会社=ロッキングオン社
    執筆日=1974/03/15
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    GFRは渋谷陽一にとってロックの第二の出発点であったように、僕にとっても<ソウルイートのGFR>というただし書きはつくが、同じようなものだ。
    薄く汚れた部屋で、GFRは意識の介入することのない欲望そのものであり、闇の中でこそ聴くべきその音は、僕たちの、とりとめもない内面に、はっきりと呼応していた。
    GFRのように肉体で出す音は、当然の事ながら、そのままの肉体としては持続し得ない。GFRの現在は、もえかすであり、もうひとつ力があれば彼ら自身で、そのもえかすを踏みつぶす音、を出せたはずなのではないか。
    GFRが<マリファナ撲滅運動>のキャンペーンにうつ
  • BERLINに住まう人々に宛て/ロッキングオン10号(1974年)

    1974-03-15 21:01  

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    標題=BERLINに住まう人々に宛て
    掲載媒体=ロッキングオン10号(1974年)
    発行会社=ロッキングオン社
    執筆日=1974/03/15
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    翼よあれが世界の割れ目だ
     冬の部屋でカサブタが剥れて机の上に置かれた。どうという快感があった訳ではなかったが、剥れたカサブタをまるで乗り遅れた電車を見送るようにただ凝視めいているという事が、すごく自然のように思えた。
     風もないのに冬の部屋で何かが流れて死んだ。
     剥れたカサブタは一体何だろう。自分の体から分離した一枚の皮膚は、あの夏の一日を秘めた日焼けした肌のように、一枚の薄い記憶だろうか。
     それとも体毛をむしり取られた兎の回復しない時間だろうか。この醜悪な乾いた血の色を、かつては、<自分>と呼んでいたのだ。
    冬の街、