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パンは裏切らない 2 たかなしみるく
2013-07-28 16:09「はるちゃん。『好き』って何?なんで『好き』だからほかの人とは違うの?それ、傍から見たら、全部一緒だよ。言動が一致しない。あたしには、はるちゃんの事が、よくわからない。」
――よく、わからないんだ。自分自身のことが。
「うち。自分でも、自分のことがよくわかんない。確かにみちゃんから見たら、うちの言動は伴ってないと思うよ、わかってる。でも『好き』なんだもん。優弥のこと。優弥優しいから、うちのそばに、それでもまだ寄り添ってくれるから、だから、傍にいたいって、思うから、だから。」
「だから、『好き』なの?」
「わかんない、そんなの定義できない。じゃあみちゃんは何で今好きな人のことが『好き』なの?」
「え?」
「じゃあなんでみちゃんは今も好きな人のことが」
そもそも、『好き』と言う感情のメカニズムが、もうあたしにはわからない。と言い聞かせるも、段々と抑えていた感情が、あたしの中で氷解していくのを、 -
パンは裏切らない 1 たかなしみるく
2013-07-28 16:00「うちさ、みちゃんのさ、ブログ読んでるよ。」
「あ、ほんとに。ありがとう。」
「良いの?」
「え?」
「良いの?好きって言わなくて。」
「え?」
「このままで良いの?」
「いや、好きかどうかも、あれだしね…余裕とか、ないし。」
「そっかー。」
そっと、ホーム画面に切り替えて、携帯をベッドに投げる。
――「♪頭の中の僕が 我慢できない声で バランスが崩れても 誰も見て見ぬ振りさ。」
(28日目の月/0.8秒と衝撃。)
「じゃあ、明日13時に!」
2013年5月某日。13時に。京王線明大前駅の、改札前に、はるちゃんは、いた。
一通りの挨拶を終えて、一頻り昔の空気を嗅ぎ切った。ここしばらく、はるちゃんとはメールでやり取りしていたので、「物凄く久しぶりに会った感じ」と言う感じは、あまりしなかった。周りの学生たちが飲み会の時間を打ち合わせている会話が聞こえるような時間帯に、それ
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