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ポップコーンなんかいらない ちとく
2013-04-02 00:47
春特有の嵐から一夜明けた駅前公園で、鷲掴みにされたポップコーンが無造作にばら撒かれた。
公園風景の一部に過ぎなかった数羽の鳩が、一斉にポップコーンを見た。その瞬間、風景上に点在していた鳩とは思えない程の鳩が数十羽、散らばったポップコーン目がけて沸き立つように集まった。
その中に一羽だけ、その凄まじい光景から浮いてしまっている雄鳩、すなわち俺がいた。
俺は、気がついたときには、求道的に生きていたのだ。俺が求めているのは、形而上的な真理や哲学などではない。たぶん、突き詰めてみれば「何故俺が求道的に生きる鳩なのか」ということなのだ。
ばら撒かれたポップコーンは数分で食べ尽くされ、公園の鳩は風景の一部に戻っていった。ところが俺は、風景に戻ることなく、何も無い公園の真ん中に立ち止まり、他の鳩の原始的な、欲求そのままの行動を冷ややかに見ていた。俺の中にも幾分残っている本能的な部分、それは求
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