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戦後組織の変遷4◎「強さ」を目指す第二世代組織論
2012-09-30 20:49戦後組織の変遷1-4◎「強さ」を目指す第二世代組織論
戦後社会の目的を達成しながら、更に発展した企業がないわけではない。それはステージを変えたのである。もういちど繰り返す。戦後日本の企業は、敗戦の無の状態に、あらたな生産構造を建立しようという目的の下に発生し、成長してきた。それは経営者であろうと労働者であろうと、日本の国内に生きる生活者すべての想いであり、企業経営者と国家の官僚たちも、同質の想いを共有出来ていた。それが高度成長の終焉と同時に、目的喪失の時代に突入する。
トヨタ自動車、松下電器産業、ソニー、キャノンなど、現在も発展・成長している企業を見れば分かるように、彼らの組織論はすでに日本国内の豊かさだけを目的としていない。高度成長以後にスタートし、80年代に本格的な展開する日本企業のグローバル化は、もはや戦後社会の組織論とは違ってきている。苛烈なリストラや社内合理化は、日本を豊かに -
メディアの現在そして未来(2)無料と有料の意味
2012-09-30 07:01無料と有料の意味
インターネットは何故、無料コンテンツか蔓延したかということを考えてる。それはもちろん、タダに越したことはないということなんだろうが、根本的には旧来のメディアのビジネスモデルのお金の取り方に、潜在的に不信感があったからではないだろうか。
それはもしかしたら「広告宣伝費」という問題に起因するのかも知れないとも思った。2000年ぐらいに、団塊世代向けにブランド調査をやった時に「サントリー」や「資生堂」といった「信頼されるブランド」と思われるメーカーの気分度が低く、その要因を探ってみると「広告にお金かけすぎ」という声が強かった。戦後、大企業は生産力を高め、富を集中し、大量広告宣伝が可能になった。そのことがある時代は商品に対する信頼の証になったのかも知れない。しかし、SNSの時代には、そのようなお金にあかした広告が、そのまま信頼に結びつくとは思えない。多額の広告宣伝費は、そのま -
メディアの現在そして未来(1)デジタル経済学
2012-09-30 06:37デジタル経済学 コンテンツの値段は、ハードコストとソフトコストと流通コストになる。ハードコストとは出版であれば印刷制作費。ソフトコストは、著者の印税や編集・デザイン費用など。
既存の書籍でいくと、ハードコストは3割と言われていた。つまり印刷費を発行部数で割った1冊あたりのハードコストの3倍がだいたいの定価になる。流通コストは書店・取次で4割。残りの3割がソフトコスト+版元の利益。しかし、書籍は委託販売制度なので、店頭で売れなければ返品になり、その負担は取次になるが、歩戻しとか販売協力金の形で版元への負担が増している。それで、もちろん返品分は、流通の利益にもならないし、版元が得られる利益もゼロになるから、3割のソフトコスト+版元の利益が減少される。もちろん、増刷を重ねるに連れて、ハードコストと流通コストはその都度かかるが、ソフトコストは、流通の求めに応じて、印刷屋に発注をかけるだけで、作業そのものはほとんどなくなるので、利益率が急上昇する。
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戦後組織の変遷◎不祥事
2012-09-29 00:21戦後組織の変遷1-3◎不祥事
「不祥事」といキーワードでインターネットを検索してみよう。「目的を失った組織の腐敗」が、ありとあらゆる領域から津波のように現れてくる。
▼官僚・行政
防衛庁水増し請求事件関連
外務省幹部外交機密費私的流用事件
KSD事件
福岡地検捜査関係情報漏洩事件
郵便局「渡切費」不正流用事件
郵便配達怠業事件
大阪高検公安部長詐欺収賄事件
外務省「支援委員会」私物化事件
宮内庁信組職員着服事件
広島/兵庫労働局裏金流用事件
厚生労働省汚職事件
北海道警裏金疑惑事件
中医協贈収賄事件
府肉連牛肉偽装事件
社会保険庁の非効率運営放置
世界青少年交流協会補助金不正受給事件
▼企業・団体
三菱自動車クレーム隠し事件
マルハ「タコ脱税」事件
雪印食品国産牛肉偽装事件
テレビ東京犯行撮影謝礼提供事件
ダスキン禁止添加物入り肉まん販売事件
三井 -
戦後組織の変遷2◎組織の内的崩壊
2012-09-29 00:19戦後組織の変遷1-2◎組織の内的崩壊
目的を失った組織は腐敗する。目的を失うとは目的を達成したということでもある。目的達成のために組織を結成し、勢力を拡大していくううちに充分に当初の目的は達成しているのに、慣性の法則で拡大の勢いが止まらない組織が溢れている。手段が目的化してしまったのだ。組織の構成員は、意識の上では、もう当初の「目的」は喪失していることを自覚しているのに、留まることが不安で、これまでの方法論を忠実に実行していく。不純な組織論は、その方法論の不純さにより、組織の力を個人的に利用するという連中が出てくる。目的が明確で純粋な組織論のうちは、個人は組織に忠実であり、滅私奉公が自然な雰囲気として満たされている。しかし組織としては完成されているのに、組織の目的が曖昧になってくると、組織の権力者は余計な私欲を考える余裕が出てしまうのだろう。
この10数年間、あらゆる戦後型組織の腐敗が -
戦後組織の変遷1◎目的を失った組織
2012-09-29 00:17戦後組織の変遷1-1◎目的を失った組織
■「豊かさ」を目指す第一世代組織論
戦争は記憶以外の全てを滅ぼす。日本人は敗戦により、それまで信じていた価値観を失い、明治の開化とともに築き上げてきた国内の近代的な社会インフラ、生産装置の大半を破壊された。焼け跡に復員した人たちは、途方に暮れながら、歯を食いしばりながら、新しい生活をはじめた。敗戦の衝撃の余波が静まりかけた頃、自分たちの目標がはっきりと見えてきた。全てが無に帰した大地を見れば、目標設定は単純明快である。今日の生活を維持するための衣食住を確保すること。そして願うなら、明日の生活も安心出来るような物質的備蓄を確保すること。
よほどの変人でない限り、その時代の人々は同じ目標を持っただろうし、それは戦争に突入する時と同じような高揚感すら持ったのではないかと思う。静かな、奥深い決意を。人々は働き、だんだんと壊されたものが復興されてきた。そ -
時代の正体(1)ギリシャと日本
2012-09-28 10:40105pt -
リクエスト・ブログ(1)宇宙まおの見つけ方
2012-09-19 23:09土屋一樹くん(サラリーマン)の質問=Twitter上で橘川さんは、宇宙まおの新曲を紹介していましたが、どうやってこういう面白い子をみつけてくるのでしょうか!
回答=友だちを選ぶことです。
宇宙まおは、今年の春に武蔵野美術大学を卒業したばかりの新人です。ファーストアルバムは大学の卒業制作のようです。今年のロックインジャパンにも登場したので、すでに有名なんでしょうが、僕のように音楽シーンの現役を離れて久しい人間には、なかなか見つけられません。宇宙まおを教えてくれたのは津田くんという友人です。津田くんは、インディーズシーンを丁寧にチェックしていて、彼の推薦する音楽は信用出来ます。
津田くんと知り合ったのは、僕が好きなバンド「0.8秒と衝撃。」のレビューを彼がネット上に書いていて、検索で知って読んだ僕は彼の文章力と内容に感動しました。早速メールをして、知り合ったというわけです。
自分一 -
「民主党代表選/自民党総裁選」古い体制の勝利者選び
2012-09-19 05:04━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
標題=「民主党代表選/自民党総裁選」古い体制の勝利者選び
掲載媒体=書きおろし
執筆日=2012/09/19
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「民主党代表選/自民党総裁選」に関心を持つ人が多くいても、期待を持つ人は多くはないだろう。この結果が次の総理を選ぶものであるとしたら、悲惨な気持ちになる。
前回の衆議院総選挙における民主党の勝利と政権交代は、民主党への支持というよりも、戦後社会を築いてきた自民党政治への批判であった。それは何よりも、戦後社会の方法論とは違う、新しい日本政治の姿を登場させて欲しいという人々の願いでもあったのだろう。
ところが何を勘違いしたか、民主党は自分の力で政権を取ったと思ってしまった。選挙の最大のテーマは「自民党政治への批判」だったのだから、新しい政権がまず取り組むことは -
家電論(1)
2012-09-13 22:04105pt家電の崩壊。
シャープの崩壊は、戦後日本の崩壊である。シャープペンシルからはじまり、電卓でカシオと世界覇権を争い、国産ワープロ書院を作り、ザウルスを作った「目の付けどころがシャープ」の崩壊である。
1981年に僕はシャープの書院を買った。それまで写植屋をやっていたので、機械で文章を打つのは慣れていた。なにしろ70年代は写植で原稿を書いたり手紙を書いてたりした。写植の校正用に複写機を使ってたが、それもシャープ。
81年のワープロは150万円くらいして、最初に女性のインストラクターが事務所に来て操作方法を教えてくれた。機械が新しいカルチャーとともに登場してくる感じがあった。
82年ぐらいに、僕は銀座で手帳情報センターというのを作って、あらゆる手帳を収集した。僕は手帳が文庫本の次のメディアになると思っていたw 83年に平凡社の別冊太陽で「手帳の本」というのを作った。
まだファイロファクスも入ってこない時代だが、奈良聡一郎さんに出会い、彼の考案したシステムダイアリーに興奮した。奈良さんは、戦後、NCRでビジネスシーンのファイリングシステムを紹介していた。
独立して、奈良コンピュータシステムを創業。それまでパンチデータだったコンピュータにテレビをつなげた。ビジネスショーで発表して話題になったが、翌年、大手がみんな模倣した。
奈良さんのシステムダイアリーは、最初、その会社の社員手帳だった。コンピュータの機能を、ファイリングの知識と合わせて、手帳かしたのだ。
奈良さんは、当時、御茶ノ水の古い洋館に住んでいて、僕らは「御茶ノ水博士」と呼んで、よく遊びに行った。それで「手帳の本」を出すので、奈良さんに「未来の手帳」のイメージを描いてもらった。
それはコンピュータと紙の手帳が合体したもので、イラストレーターに頼んでイラスト化して掲載した。どこかにあるかな? あとで探してみる。
その本が出てから、しばらくして奈良さんのところにシャープのスタッフが訪問した。彼らが企画していたものが、奈良さんのイメージとドンピシャだったのである。何度もヒアリングしていた。
そして登場したのがザウルスである。
ECD石田くんのツイート。RT ECD @ecdecdecd橘川さんの紹介で子供調査研究所というところでSONYが募集しているという新しいラジカセのアイデアのレポートを書いた。スピーカーなしヘッドフォンのみのラジカセというアイデアをイラスト入りで提出した。もちろんウォークマン誕生前のこと。
石田くんは日本を代表するラッパーだが、彼が高校生の頃、よく会ってた。子ども調査研究所は、僕のメディアの故郷ともいう会社で、そこでは、あらゆる業態の企業からのマーケティング調査を行なっていた。そこでグルインやったのだろう。
何を言いたいかというと、70年代から80年代前半までは、メーカーは必死になって、何もないところから、新しい商品を産み出そうとしていのだ。その情熱と努力が新しい商品として僕らの前に登場した。
日本の家電、家電だけではないが、生活産業を支えていたのは、マーケティング力だった。人の気持ちを察することが出来る日本人が得意とする能力だと思う。それが、バブルで崩壊した。質の追求から量の追求へ進んでしまったのだ。
90年代に入って企業は外部パートナーをマーケティングの会社から、アカウントのコンサルテイング会社に変更した。その結果何が起きたかというと「選択と集中」である。ものづくりを何と考えているのだ、馬鹿野郎w
市場開発的な挑戦的な商品開発が出来なくなり、誰もが文句を言わないマーケットの大きな商品に企業エネルギーを集中させた。しかも、各社横並びでそんなことしたから、半導体でパンク、テレビでパンクした。
この辺の事情は、日経BPオンラインで、元博報堂生活総研の所長だった林光くんと対談しているので、読んでない人は読んでおいてね。
ワープロが全社同時に止めたのは、今考えるとシンボリックなことだ。確かにWindowsが派手に登場して、ワープロの未来に不安があったのだろうが、それでも確実に利用者層があったのだ。
今も続いていれば、大きなマーケットにはならなかったかもしれないが、確実なマーケットは維持出来た。少なくともワープロ事業部が食っていけるだけのビジネス構造は成立していはずだ。選択と集中で排除されたのだろう。
さっき、カミさんとメシくいながら話してて、カミさんはシャープとも仕事したことあるが「ザウルスだって、ちゃんと続けていれば、ザウルスPADで、いけたかも知れない」と言った。
ワープロもザウルスもヘビーなユーザーを抱えていた。彼らをメーカーは裏切ったのだ。ユーザーの期待を切り捨てたのだ。それは絶対にしてはいかんよ。未だにオアシスの部品や消耗品を買い求める人がいる。
日本の家電メーカーが中国に進出する時に、僕はマーケットの大きさだけで行っても失敗する。日本のマーケティング技術を先行させるべきだと思っていた。中国人がどんな色が好きかとかライフスタイル分析はどうかとかの上で商品投入すべきだと。
単なる世界標準商品を作っても、価格競争にまきこまれるだけ。僕は、まず中国にドゥハウスみたいな会社を作って、DOさんを組織しろと、あめメーカーに進言したが却下w
日本のメーカーが生活者と会話しながら、創造的な商品開発をしてきた歴史が90年代で断ち切られている。冷蔵庫も洗濯機も各社ほとんど横並びで工夫がない。ドラム式洗濯機の告発は、BPの柳瀬くんがやってるw
シャープのザウルス担当だったSさんは、冷蔵庫事業部に移動して、みんなに「大変だねえ」と言われていたが、「温蔵庫付き冷蔵庫」をヒットさせて、驚かせた。
そういう「目のつけどころがシャープ」な商品開発をやっていれば、サスティナブルな企業体になったのに、工場ギャンブルに失敗して、第二の日産か。商品開発者たちがかわいそうだ。どこかの時点で「目のつけどころがフラット」になってしまったのだろう。
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