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新書刊行計画、キャラクターが世界を回す
2014-12-27 12:05612pt新書刊行計画、キャラクターが世界を回す
キャラクターとは何か。
自分はこのキャラクターというものがなかなかわからず、今でもだが手探りで進んでもがいている。
しかし一筋の光明をもらったのが、ある先生の言葉だ。
その先生に藁をもつかむ思いで「キャラクターとは何か?」と訪ねた時、その先生はうなずいたのち間髪こう答えた。
「佇まい」だと。
自分がデビューの時はキャラクターを作る際に、誕生日や好きなものなど細かく書き出すようなアドヴァイスも受けた。今でいうとデータベースのようなものだろう。
萌えを中心に押し出す漫画では「アニメ」「ゲーム」というものをデータベースにキャラクターを召喚するという手法もあるだろう。これはむしろ読者との共犯意識などを呼び起こすのだろう。
自分が一度少年誌で仕事をしようとした時は(残念ながらぽしゃったが)「少年漫画らしい主人公」を望まれた。これもある種データ主義だ。
自分はこんな文章を書くくらいだから当然、理論や実証性、データを重視して書くタイプだと自分では思っている。
しかしこれまでの経験上、キャラクターは、少なくともキャラクターだけはデータ主義のように作るのは不可能だということだ。
こんなキャラクターが受けているからこんなキャラクターを作ればそこそこの成績を狙える、というのは一見正しい。
だがしかし、そんなキャラクターで作られた作品はおそらくいい成績を残すことはない。
「目は口ほどに物を言う」、というが、「手は口より正直」なのだ。
自分が産んでいないキャラクターは魅力的に描けない。いやむしろ自分が産んでいないと魅力を知らないと言っていい。
魅力を知らなければ、魅力的に描けないのは自明だ。
ここでいう魅力とは何かといえば冒頭である先生からいただいた「佇まい」という言葉だ。
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【ぶろまが】これからの漫画の描き方の話をしよう3
2014-10-22 12:28612pt
【ぶろまが】これからの漫画の描き方の話をしよう3
こんにちは、大井昌和@新事務所です。
スタッフさんの机を買いそろえたところで引っ越し資金が尽きて、ぼくだけは古い机でしばらくは頑張る所存です!
さて夕方になるとめっきり寒くなってまいりましたが・・・まあ季節の挨拶は置いておいて。今現在、僕の後ろでは大古pがプリンタと格闘中。プリントアウトされるはずの完成原稿を待ちながらこの文章を書いています。
今回はこれからの漫画の描き方の話をしようシリーズその3です。
漫画を読んでいておもしろいかどうかを決める要素の一つの話をしたいと思います。
漫画を読んでいてなぜおもしろいかと思うか、といえば。作者の言いたいことが伝わるかどうかです。
漫画を描くのは労力を要します。それなのにせっかくがんばって描いた原稿を自分で読んでもよくわからない・・・。そんなことはありませんか?(キャッチセールスみたいだな)
そんなときにはまずこれ。
同じような絵を同じ見開きに描いていませんか?
・・・もし万が一この文章をプロの方が読んでる時のために予防線を引いておきますが、これは自分が新人の頃のだめだったところを思い出して書いているので、そんな当たり前なことを言うなと思われるかもしれません。
だがしかし。
この当たり前を出来ないのが我々凡人新人・・・!
たとえば。
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コレからの漫画の書き方の話をしよう②
2014-07-19 20:01612pt
漫画をプログラムするネーム言語Ⅰ
こんにちは、大井昌和です!
体の調子も少しずつ良くなってきてはいますが、連続稼働時間が減り、仕事の勢いがなかなか取り戻せない現状ではあります。
それの関係で今月のアワーズGHの「おくさん」は一回休ませていただいたり、関係各位の方々にご迷惑をおかけして大変申し訳ない。
ちょっとマジで体調はなんとかして行きたい。
さて今回は「これからの漫画の書き方の話をしよう」第二回です。
もう少し記事を書くスパンも短くしたいのですが、前述の関係などでこちらのほうもご迷惑をおかけして大変申し訳ない。
ただ、内容はがっつり濃くして行けてると思いますのでご容赦のほどをお願いしたい。
さて、今回は漫画が普通の絵画と比べてもっとも異なる点について語って行こうと思います。
そう、「コマ割り」です。
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これからの漫画の技術論の話をしよう〜part1〜
2014-06-10 22:35612pt詳細ヘッダー
これからの漫画の技術論の話をしよう〜part1〜
こんにちは、大井昌和です。
身体がぼろぼろのこの一週間でありましたが、元凶は帯状疱疹という神経性の皮膚炎でしたorz 詳しくはまた明日の放送で話しますが少しづつ元気になってきてはおります!
さて復調の兆しが見えてきたのでまた記事の方でも語らせていただきたいと思います!今回は「これからの漫画の技術論」とあるとおり、漫画の書き方をシリーズで語って行こうかと思います。なぜまたこれを語ろうかと思ったかと言いますと、最近放送で色々ご質問をいただく中で思い出したことがあるからです。それは、自分が新人の頃・・・いやまだ新人ですら無い頃は師匠などに何を聞いていいか、自分が何を聞きたいのかすらわからなかったなあ、というのを思い出したからです。
ですので、今までのおおざっぱな技術論ではなく、思いつく限り細かく漫画の書き方について語って行こうかと思います。
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KADOKAWAドワンゴ合併と「ワンピース」「きらら」の目的地について
2014-05-25 23:37509ptこんにちは、大井昌和です。
最近いそがしくて僕の文章が遅くてすいません・・・という言い訳を置いといて、もう5月が終わろうとしている衝撃に皆さんいかがな対ショック体制をおとりでいらっしゃいますか?来月は一年の前半最後の6月ですよ!おかしい!
さて、今回は話題が落ち着いた感のあるKADOKAWAとドワンゴの合併を主軸に、表題にある通り「ワンピース」と「まんがタイムきらら」のその制作的思想の方向と、いち漫画制作者としてそれについてどう考えるかというお話をして行けたらと思います。
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”ワンピース”と”まんがタイムきらら”の類似性、漫画の定義
2014-04-06 18:39204ptこんにちは、大井昌和です。
いつも自動車で通る道にある一時停止があるのですが、停止ラインで止まると左右が全く見通せないので、その1メートル先くらいで止まり、左右を確認をして通る箇所があるのですが、見事警察の人に止められて注意されました。
書類を書いていただいてる間、バックミラーに映る一時停止すらしない車が10台くらい通っていくのをぼーっと眺めていました。花壇をいじるおばあさんに、同情の笑みをいただいたのが救いです。
とゆーか左右が見えないので、警察官にも気づけないというね。
そんな大井ですが、元気に仕事してます!
今日はブロマガを始めようと思った企画の一つを始めようかと思い、この記事を書かせていただいています。多分漫画批評としては新しいテーマの文章だと思いますし、一回では終わらない文章になります。気が向いたら進めていく、不定期の連載のようなものになると思いますので、おつきあいいただければありがたいです。
「”ワンピース”と”まんがタイムきらら”の類似性、漫画の定義」
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映画の手法は漫画には使えない10の理由と後、昨日の放送でいただいた質問、「キャラのライン(デフォルメ)について」
2014-04-03 19:54204ptこんにちは、大井昌和です。
あっという間に4月であります。一年の4分の1が既に終了したという悲しい現実。そんななか大井は新連載をはじめたり、ブロマガを頑張ろうとしておりますので、新年度もよろしくお願いいたします!
この記事も毎回漫画に関連した技術論や批評などを語ってきたのですが、一応記事の内容が時勢に合うように考えて書いております。
が、今日の記事は特に時勢とは関連がないように見えます。ですが、実は漫画について語るにおいて大前提の部分の一つになります。
それは、漫画は映画とは違う、という字面では自明に見えることが世間ではそう思われていないという残念な事実があります。
今日はそれについて、わかりやすく箇条書きであげておきます。
あと、昨日の放送でいただいた質問「キャラのライン(デフォルメ)について」書いておきます
映画の手法は漫画には使えない10の理由
1・映画は秒間24フレーム(最近は30も)の絵を鑑賞するものだが、漫画は一コマを数秒間鑑賞する絵である。つまり、漫画の一コマを眺める間に、映画は100近い絵を眺めるのであって、絵に対する概念が全く違うので、絵に持たせる意味性が全く違う。
2・連載漫画のストーリーは終わらない。映画のストーリーは2時間で終わる。ゆえに、ストーリーの使い方が全く違う。
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ゲーム的リアリズム;漫画における絵画表現とゲーム
2014-03-24 15:17110ptこんにちは、大井昌和です。
昨日はペン入れ中にテンションがあがらず、突発的にやった会員限定放送に意外にもお集まりいただきありがとうございました。
おかげさまで順調にペン入れができ、その後のネームもしっかり完成することもできました!
さて今回は「ゲーム的リアリズム;漫画における絵画表現」というものについて語って行きたいと思います。
これは自分の中にかなり昔からある考えではあったものの、共通認識ではないとおもっていたものでした。が、スタッフさんに絵の仕上げの指示をする中で意外に伝わったことに、自分自身少し驚いたことに端を発しております。
よく言われるお上手な絵を表す言葉に「デッサンがあっている」という言葉があります。昨今は一般の人でも聞いたことがあるでしょう。
ここで言う「デッサン」とは何を示しているのでしょうか?
それは「形の正確性」を表しています。
例えば「現実的リアリズム」
例えば「製図的正確性」です。
ではこの文章を書いている漫画家大井昌和の絵は、この二つが当てはまるでしょうか?
答えは、「当てはまらない」です。
しかしながら自分の絵は、商品として成り立つレベルだと考えています。
それはどういうことでしょうか?
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ネーム言語;漫画をプログラムする言語としてのネーム
2014-03-16 15:45110ptこんにちは、大井昌和です。
この一週間はまさにデスマーチという感じでありました。
オービタリアの原稿、モトカノの原稿を作るのと別にネームを二本という、同業の人であればお分かりいただけるであろう、無茶な時間を過ごしておりました。
そんな中、いろいろブロマガの記事もたまっておりますので、お待ちいただければ幸いです。
それと、3月17日は、拙著「ちいちゃんのおしながき繁盛記」6巻の発売ですので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
さてさて。
今回の記事のタイトル、「ネーム言語;漫画をプログラムする言語としてのネーム」といういささか小難しいタイトルにしたのは、漫画の構造の一つをほぼ規定できる概念にたどり着いたと思ったからです。
どういうことかと言えば・・・。
最近自分は作業中に、ニコ動の音声を聞きながら作業することが多いのですが、漫画とはネームという言語で書かれたプログラムの結果である、というのに気付かされたのは、UEIの清水亮氏の講演を聞いてであります。
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企画を作ろうというときの「フレーム」という考え方
2014-03-04 18:33110ptこんにちは、大井昌和です。
最近は某先生に紹介していただいた、某出版社さんとの打ち合わせをしたりしていて、いろいろ考えることができて、いそがしたのしい日々あります。
そんな生活でなかなか入力ができない中、気になっていることは、カゲロウデイズの物語感、PS4の圧勝で起こるゲームの停滞、「光る絵」という概念の研ぎ澄まし、額縁の値段って高いなあ、です。
そんな中で新しい企画をまた作ろうとしている最中なのですが、そこで自分がよく使う「フレーム」という考え方を語りたいなー、と思います。
「フレーム」というのはwiki先生によるところの、車両の車体骨格・構造、的な意味で使ってます。額縁ではないです。
自分の同人誌「マンガ企業論」でマンガ製作の過程を企画段階からネーム、作画まで一気に開陳しました。その中の企画制作の段階で書いた拙著「おくさん」は企画説明のときに「32歳主婦を主人公にした「よつばと」」という風に書きました。この「よつばと」という部分が「フレーム」です。
つまり、演出の構造を「フレーム」と言っているわけです。
だがしかし。
この「フレーム」の使い方を間違って理解すると、駄企画が生まれてしまうときがあります。
どういうことでしょうか。
「「おくさん」は32歳の主婦を主人公にした「よつばと」だ」という企画。
この文章を記号論理学的に考えれば、「おくさん」という単語をA,「32歳の主婦を主人公」というのをB,「よつばと」をCとします。そうすると上述の文章は、
A=B×C
と表すことができます。この数式は、数学的に考えれば、A(おくさん)というものは、C(よつばと)が存在していれば、
B=A/C
としてB(32歳の主婦が主人公)が求められるということになります。
実はここに落とし穴があります。
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