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記事 24件
  • 森本敏氏の「オフショア・バランス」論はカン違い?!|THE STANDARD JOURNAL

    2014-02-07 15:56  
    おくやまです。さて、以前から気になっていた森本敏氏の「オフショア・バランス」論について一言。
    森本敏氏と言えば、自衛隊出身ながら外務省に行って外交官になり、拓大教授を長年つとめ、なおかつ民主党野田政権では防衛大臣もつとめた「安全保障・防衛・国際政治・外交問題のスペシャリスト」であります。
    私自身も彼の発言については以前から注目しておりまして、実にさまざまなことを勉強させてもらっているわけですが、私が最近とても気になっていたのが、彼が数年前から提唱している(?)「オフショア・バランス」論とでもいうべきもの。
    なぜ私が気になるのかというと、おそらく「オフショア・バランシング」(offshore balancing)という、アメリカの極めて地政学的な大戦略の概念を、森本氏が勘違いして使っているのではないか、という疑惑があるからです。
  • 安部首相のダボス会議での発言について|THE STANDARD JOURNAL

    2014-02-04 12:47  
    詰まるところ、いつもの結論になってしまいますが、現在の国際社会において一番重要なのは「戦略の階層」の一番上の位置する「世界観」のレイヤーの発想です。現代における戦いは、もちろん、実際の戦闘行為というものもありますが、それよりも、致命的な影響を与えるのは、イメージやブランド、それに正統性(レジティマシ―)のような、曖昧ではあるが「ソフト」的なものです。ここで皆さんに気付いて頂きたいのですが、そういう意味では、日本は中国よりもはるかに優位な立場にあるわけです。しかし、残念ながらそれをまったく活かしておらず、むしろ中国側の攻勢に負けっぱなしです。もはや、このような状況に甘んじている場合ではありません。日本はそろそろ「攻めの姿勢」でゆくという覚悟を決め、その自覚を持って、このことを真剣に考える時期に来ています。
  • 原発問題はエネルギー安全保障の問題です。|THE STANDARD JOURNAL

    2014-01-30 11:23  
    都知事選まっただ中ですね。争点を「原発推進か廃止か、即廃止か」にしようとしている候補がいます。原発推進か、廃止かは高度な知識と哲学的要素もあり、有権者は知識では判断がつかず、結局、感情で判断するんじゃないでしょうか?ただ、非常に恐ろしいことが起きています。
  • マッカーサーの作戦における「累積戦略と順次戦略」|THE STANDARD JOURNAL

    2014-01-28 12:52  
    私はいまから七年ほど前に、J.C.ワイリーという米海軍の軍人の書いた『戦略論の原点』という本を訳して出版しております。私自身も今でもたまに読み返すことがあるのですが、本当に短い本にもかかわらず、一切無駄なことの書いていない、エッセンスに満ち溢れたスルメのような本だと実感しております。その内容を簡単にいえば「戦略には分野にかぎらずに共通項がある」というものなのですが、それが「累積戦略」(cumulative strategy)と「順次戦略」(sequential strategy)というものです。
  • 着々と進む中国のプロパカンダ|THE STANDARD JOURNAL

    2014-01-14 18:12  
    ということで、この中国大使は以上のような四つの点を強調するような議論を組み立ていたわけですが、いずれもかなり怪しい、いわば「プロパガンダ」と呼べるようなものでしょう。このブロマガがテーマとしていることは、「地政学」「リアリズム」「プロパカンダ」の正確な理解、ということですが、この「プロパカンダ」というものが、国際政治を視る上で極めて重要な概念であることは、読者の皆さんならば既によく分かっていることと思います。そして、私が最近強く思うのは、私達ひとりひとりが、これからの弱肉強食とも言えるこの厳しい現実を生き延びてゆく戦略の中に、いわば「セルフ・プロパカンダ」を導入してはどうだろうか?ということです。
  • 「二重の封じ込め」:靖国参拝問題に関するNYT紙論説から読み解く|THE STANDARD JOURNAL

    2013-12-31 11:54  
    おくやまです。先月の中国の防空識別圏から今回の安部首相の靖国参拝まで、日本の同盟国であるはずのアメリカの対応について不信感を抱いている人がいるかもしれませんが、これについて少し書いてみます。まずは安部首相の靖国参拝についてですが、さっそくNYタイムズ紙が社説で批判をしております。ただしこの批判の仕方が、アメリカの「覇権国」としての立場からなされていてとても興味深いものなので、ここから少し分析をしてみましょう。
  • 「未来の地政学」を知って下さい。|THE STANDARD JOURNAL

    2013-12-30 21:14  
    今回、「地政学講座の第10回、未来の地政学だけ」を特別に販売することに決めました。なぜ、第10回だけか?それは、第10回のテーマが「未来の地政学」だからです。
    ここだけでも学んでもらいたいというつもりで、特別に単品化しました。価格はお求めやすい8,400円です。
  • 中国の「ハッタリ」と米国の「火遊び」には「リアリズム」で対抗せよ|THE STANDARD JOURNAL

    2013-12-21 08:00  
    私がここで言いたいのは、やはり、「リアリズム」ということです。アメリカは自国民の利益を最大限に考えた「ビジネス」として日本を中国にぶつけておきたいと考えているフシがあり、それ以上でもそれ以下でもないということなのです。そして、北京上層部は、アメリカなどの反応を見て「圧力で押し切れば乗りきれる」と判断したはずですし、そういう意味では、彼らの頭の中では、かましたハッタリは「成功」したことになるわけです。しっかりと肝に銘じておかなければならないのは、私たち日本人がすっかり忘れてしまっている、国際政治は冷酷な「危険なビジネス」であるということです。切った張ったのシビアな舞台においては、キレイ事だけで済むわけもなく、今回の「危険なビジネス」において中国がやったような「ハッタリ」も、当然、かまされます。アメリカも中国も自らの「国益」の追求という「リアリズム」に基いて、ありとあらゆる手段を駆使して迫ってきます。それに対処するには、我々日本人は「リアリズム」の本当の意味を理解しその上で、有権者として政治家たちにその実践を迫るべきでしょう。昨今の東アジア情勢の激動を目の当たりにして、改めて、このことを強く想わざるを得ません。
  • 対馬・津軽・宗谷の3海峡の地政学的意味|THE STANDARD JOURNAL

    2013-12-20 18:17  
    以前奥山さんが、「北極の氷が消えていて、これによって世界の地図が様変わりしてきた。」とブログに書いたことがありましたが、このトピックは、世界にもたらす影響だけでなく、日本の経済、防衛上も重要な点が多いのです。この問題は、地球が温暖化しているかどうかの議論でなく、また、海面が上昇しているかどうかの議論でもなく、ここで注目しているのは、北極の氷が解け始めていて、夏の期間は通行できるようになってきている、つまり、"海路ができた"ということです。そして、当然、資源開発を進めることも出来るわけです。この二点こそが地政学的に大問題です。

  • 尖閣問題の「地政学的」意味とは?|THE STANDARD JOURNAL

    2013-12-19 16:37  
    今年6月、鳩山由紀夫元首相が香港のテレビ局『フェニックステレビ』から取材を受け、尖閣諸島問題について「中国側から『日本が盗んだ』と思われても仕方がない」と発言していたことが判明し問題になっていました。TVや新聞でも一時は、「日本と中国が領有を主張する尖閣列島」などど紹介していた時代から比較すると、ずいぶん変わりました。まだ、中国に遠慮しているメディアはありますが、菅官房長官もあきれながらも苦言を呈し、ネット上の国民からも非難が相次ぐようになりました。日本人の領土についての感覚が敏感であり、あの島を守っていくという認識が感じられます。しかし、政治家やネット言論にも足りない感覚があります。それが「地政学」の感覚です。