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  • Vol.096 結城浩/数学文章作法 - 文章全体のバランス/自分の活動をざっくり把握する「色つき星取表」/

    2014-01-28 07:00  
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    Vol.096 結城浩/数学文章作法 - 文章全体のバランス/自分の活動をざっくり把握する「色つき星取表」/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月28日 Vol.096
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。 いかがお過ごしですか?
     * * *
    昨年2013年の前半にたくさん問題を出題したCodeIQですが、 今年も力を入れていきたいと思っています。 先週オープンした新しい《ジェムストリング問題》には、 早くも83名もの応募がありました。感謝です。
     ◆王女様の宝石パターンを見つけよう!《ジェムストリング問題》  https://bit.ly/gemstring
    CodeIQというのは、IT技術者を主な対象とした問題を出すサイトで、 「出題された問題に解答する」というのがユーザサイドの主な活動になります。 技術者は自分の技術スキルを問題とフィードバックによってはかることができます。 また、問題の中には企業の採用に結びついているものがあり(「ウチに来ない?」問題)、 CodeIQの問題に答えて転職する方もいらっしゃいます。 実際に書いたコードを見た上で転職を決めるので、 採用する側にとってもされる側にとっても満足度が高い (ことが期待される)というわけですね。
    それはそれとして、プログラムを書くというのは純粋に楽しいものですから、 出された問題にチャレンジすることで楽しみ、 またCodeIQを通じて他の技術者と交流することで楽しむ人も多いでしょう。
    結城は主にアルゴリズムの問題を出していますが、 作問でも採点でも私自身がかなり勉強になっています。 多くのIT技術者がチャレンジする問題ですから、 おもしろくて有意義な題材を誤りなく提供したいと思っていますが、 そのような問題を作り、回答を採点するのはそれ自体よい経験ですね。
    今回の問題の挑戦〆切は2014年2月12日。 プログラミング言語に依存しない問題ですので、 もしあなたがプログラムを書く方なら、ぜひチャレンジを!
     ◆CodeIQの問題に挑戦しよう! (結城のサイト)  http://www.hyuki.com/codeiq/
     * * *
    さて、最近は「インクリメンタルな環境改善」を心がけています。 自分が普段仕事をしている環境をちょっぴりずつ改善していこうというものです。 ほんの小さな改善でも積み重ねたら大きくなることを期待して……
    TODOファイルの自動表示
    結城は、ふだんMacBook Airのターミナル上で作業をしています。 仕事ごとにディレクトリ(フォルダ)を分けています (仕事場を分けている感覚です)。
     ・『数学文章作法 推敲編』は、    ~/doc/mw/ で執筆。  ・『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』は、    ~/doc/girl/note/doc3/ で執筆。  ・Web連載は、    ~/doc/girl/note/ で執筆。  ・結城メルマガは、    ~/doc/mm/doc/ で執筆。
    それぞれのディレクトリに移動するためにはプロジェクト名がコマンドになっていて、 それを打つだけで自動的に場所を移動します (仕事場を移動している感覚です)。
     $ mw と入力すると ~/doc/mw/ へ移動。  $ n3 と入力すると ~/doc/girl/note/doc3/ へ移動。  $ n と入力すると ~/doc/girl/note/ へ移動。  $ mm と入力すると ~/doc/mm/doc/ へ移動。
    先日、そのコマンドすべてに、 「移動したらそのディレクトリにある TODO というファイルを表示する」 という機能を入れました。
    ほんの小さな改善ですが、 これによって、
     ・前回どこまで作業が進んだか  ・今回はどこから作業をするのか  ・現在の問題点は何か
    がすぐにわかるようになりました。
    たとえば、コマンドラインから mm と入力したときの表示を以下に示します。 TODOファイルの内容が赤文字で表示されています。
     ◆コマンドラインから mm と入力したときの表示(TODOファイルの内容)
    一文字のTODOファイル編集コマンド
    さてそんな風にTODOが表示されるのは便利ですが、 さらに、
     $ T と一文字コマンド入力すれば現在のディレクトリのTODOファイルを編集開始する
    という機能を付けました。これはコマンドのalias機能を使いました。 このようにすると、TODOファイルを編集するのがすごく楽になります。
    「TODOファイルの自動表示」にしても、 「一文字のTODOファイル編集コマンド」にしても、 とっても小さくて取るに足りない改善ではあります。 しかし、それでも自分の毎日の作業をちょっぴり気持ちよく、 ちょっぴり高速にしてくれるのは確かです。
    Vimで自動コメントをオフに
    ふだん結城が使っているVimというテキストエディタではデフォルトで 自動的にコメント文字列が挿入されます。 プログラムを書いているとき、コメントを連続的に書きやすくするための 機能だと思うのですが、私にはちょっとうるさく感じられました。
    なので設定でオフにしようと思ったのですが、方法がわかりません。 Googleで検索してもわからなかったので「わからない」とTwitterでつぶやいていました。
    すると、@rbtnn さんが「こうすればいいですよ」とTwitterで教えてくださいました。 とっても助かったので、同じような思いをしている人のために、 自分の得た情報をはてなダイアリーの記事にしました。
     ◆Vimで自動的にコメント文字列が挿入されるのをやめる方法(autocmdを使う)  http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20140122/vim
    他の方の助けを借りて「インクリメンタルな環境改善」ができたなあ……と 喜んでいたところ、Perlのプログラムを書いているときだけうまくいきません。 オフにならないのです。
    調べてもわからないので、時間を使うのはやめて放置していました。
    ところが、結城の記事を見た id:mckn さんが「こうすればいいですよ」と はてなダイアリーのコメントで教えてくださいました。 とっても助かったので、その情報も合わせて記事を更新しました。
    このような「インクリメンタルな環境改善」が、 多くの人の助けを借りて広がっていくのはとても気持ちのいいものですね。
    結城はネットで多くの人に助けていただいています。 結城もさまざまな活動を通して恩返しをしていきたいと思っています。
     * * *
    さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今回のメインコンテンツは久しぶりの『数学文章作法 推敲編』で、 第5章「文章全体のバランス」をお届けします。
    また、最近結城が運用していて、 とっても効果を上げている「色つき星取表」をご紹介します。
    どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに
    自分の活動をざっくり把握する「色つき星取表」
    数学文章作法 - 文章全体のバランス
    次回予告
     
  • Vol.095 結城浩/2年間の学び/フロー・ライティング/ここ変更予定・ここ最前線/

    2014-01-21 07:00  
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    Vol.095 結城浩/2年間の学び/フロー・ライティング/ここ変更予定・ここ最前線/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月21日 Vol.095
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    今年も第四週目になりました。 いかがお過ごしですか?
    先週末の土日は大学入試センター試験でした。 昨年2013年のセンター試験に初めて「数学的帰納法」が出たので、 『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』にも数学的帰納法の話題を書きましたが、 あの試験からもう一年が経ったのですね……時間の経つのはほんとうに早いものです。
    結城も月曜日に数学を何問か解いてみたのですが、 時間制限がある中で解くのはなかなか厳しいものですね。
    マークシート方式のために解答枠の大きさがヒントになることが多々ありました。 たとえば[ア][イ]のように二マス並んでいるだけなのに答えがルートを含む 分数になったとしたら、自分がまちがっているのが明らかです。 そこで自分の計算を読み直し、ミスを見つけることができました。
    とはいえ問題を読みまちがえて焦ったあとの精神的リカバリー(大げさ)なども、 場数を踏んでいないとつらそうです。 大問の最初の方でミスがあると、かなりダメージが大きいです。
    いずれにしても寒い時期ですから、受験生みんなが体調を崩さず 実力を出してほしいなと思います。
     * * *
    「学び」といえば、先日@fuqinho さんという方のブログのエントリを興味深く読みました。
     ◆2年間の独学をふりかえって | Happy Coder  http://tech.fuqinho.net/?p=620
    まずタイトルの「2年間の独学」というフレーズだけでドキドキ・ワクワクしてきます。 この方は「2012年と2013年を独学に費やしました」という書き出しで、 自分の独学を振り返っています。
    以下のやる気対策が非常に興味深いですね。
     ・運動する(2日に1回は1時間くらいウォーキングする)  ・日光を浴びる  ・広いところに行く(自分の部屋から自習室へ)  ・数値で成果を測る(点数の出るテスト、または累積学習時間)  ・時間を測る/区切る(ストップウォッチも活用)  ・1日の勉強は、軽いの->重いの->楽しいの の順でやる
    結城が一人で仕事するときに考えていることと重なる部分も多く、参考になりました。
    学ぶ人の話、学ぶ姿勢の話を聞くのはたいへん刺激になるものですね。 「刺激になる」というのは具体的にいうと、
     ・自分の学び方を振り返り、反省するきっかけになる  ・自分の学び方と他人の学び方を比較して、どこが違うのか、どこが同じなのかを考える  ・自分の学び方に取り入れられる要素はないかを考える
    ということです。
    人間はロボットではないので、たいへん微妙な取り扱いが必要です。 日々仕事に立ち向かい、効果を上げるためどんなことができるのか、 ふだんから気をつけていたいと思います。
    あなたは、何か工夫していることはありますか?
     * * *
    先週の結城メルマガで「インクリメンタルな環境改善」の話を書いたところ、 何人もの方から反響があったので、今回も少し書いてみようと思います。 先週から今週にかけて行った「インクリメンタルな環境改善」です。
    (時間を定めた作業用プレイリスト)
    結城はカフェで仕事をするときには、 耳栓がてらノイズキャンセリングのヘッドフォンを使います。 そして、予定作業時間に合わせた長さになるように曲を集めた プレイリストで音楽を聴いています。 二本(60分用と90分用)作りましたが、たいていは90分用を聞いています。
    (曲想を変えたプレイリスト)
    あまり続けて作業し過ぎるのも良くないので、 できれば90分程度で休憩を入れたいと思っています。 でも、集中していると(それこそフロー・ライティングの状態だと)、 音楽が止まったことも分からず続けて作業してしまいます。 そこで、90分経った最後の曲は曲想をがらっと変えました。
    具体的には、85分ほどのバッハのチェンバロ曲の最後に、 アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』で使われた「コネクト」という曲を入れています。 曲想が急に変わるので「はっ」と我に返ります。 最近はこの曲でフロー状態から現実世界に戻ってくるのですよ。
    (マウスカーソルによるホットコーナーの解除)
    Macでは、スクリーンの四隅にマウスカーソルを移動すると、 特定の画面に切りかわるホットコーナーという機能があります。 たとえば、現在結城の設定では、 左上隅にマウスカーソルを移動すると「スクリーンセーバ」が開始し、 画面がロックされます。
    結城はMacBook Air買いたてのころ、画面の四隅すべてに機能を割り当てました。 でも、左下隅や右上隅などはふだんの操作でもついマウスカーソルを行くところ。 そのため予期しないタイミングで画面が切り換わりびっくりすることがよくありました。 そのたびごとに自分の「貴重な数秒」が失われるわけです(細かい話ですが)。
    そこで、必要な機能が何であるかを見極めて、 左上隅のスクリーンセーバ以外はすべて解除しました。 これもまた(ほんのちょっぴりの)改善になります。
    結城はほとんどの仕事をコンピュータの画面を見、 キーボードとマウス操作で行っているわけですから、 ちょっとの改善でも長期的には大きな影響が出てくると思っています。
    (不要な宣伝メールの解除)
    先々週に引き続き先週も、不要な宣伝メールを多数解除しました。 まったく読まない宣伝メールや、以前は読んでいたけれど最近は読まない宣伝メールって 意外に多いものですね。
    (作業用スクリプトの改良)
    結城はRubyやPerlといったプログラミング言語を使って、 作業用のスクリプトを多数書いています。 たとえば、
     ・領収書の情報を入力すると、会計ソフトにインポートできるCSVファイルを生成するスクリプト  ・あるフォーマット入力したテキストを、メールマガジン用に変換するスクリプト  ・LaTeXの入力ファイルを、適宜バックアップ取りながらPDFに変換するスクリプト
    などです。 これらのスクリプトはユーザが自分一人ですから、 必要になったときにバタバタと書いて動けばOKとしたものが多いです。 でも、これらのスクリプトはとても頻繁に使うものですから、 ちょっとした改善でもばかにできないと思いました。
    たとえば、
     ・注目すべき警告が出力されたらそこだけハイライトで目立たせる  ・入力ミスがあったときのエラー処理を厳しくして、後工程が楽になるようにする  ・できるだけ「自動的」に判断するようにして、人間側(自分)の負担を減らす
    などです。
    今年はとにかく「習慣の力」を身につけたい。 そしてその一環として「インクリメンタルな環境改善」を心がけています。 「インクリメンタルな環境改善」が習慣になれば、 長期的にはとても大きいと思いませんか。
    「インクリメンタルな環境改善」がうまくいくと、 とても楽しいものです。「環境を自分が改善している」ということを実感すると、 「ああ、私は作業の全体をうまくコントロールできているんだな」と無意識のレベルで 感じるからかもしれません。これは作業の満足度を高める効果がありますね。
     * * *
    作業のコントロールといえば。
    確定申告に向けて会計作業を進めています。 毎月こまめにつけていたつもりなのですが、意外に抜けがあるものですね。 昨年の途中でメインマシンをWindowsからMacに変えた影響もあって、 少しごたごたしています。
    しかし、今年は「じっくり作業記録を眺める」ことを習慣にしようと思っており、 それを実践しています。具体的には会計作業の場合、 入力した会計用のスプレッドシートを「じっくり眺める」ということです。
    人間の頭というのは不思議なもので、 時間を掛けてじっくり眺めていると、さまざまなことに気づきます。
     ・この数値は毎月変化しないはずなのに、どうしてこの月だけ変化しているのか。  ・科目ごとに並べ替えて表示したら、新しいことに気づくのではないか。  ・ここの支払は1万円前後のはずなのに、どうしてこの月は3万円なのか。
    このような「気づき」のおかげで、重大な入力ミスを見つけたり、 もう使っていないネットサービスにお金を支払っていることを見つけたり、 子供の電話代の大きさを見つけたりしたのです。
    思うに、時間をかけて「じっくり眺める」という行為には、 リラックス効果があるようです。
    時間が短い中で作業するとどうしてもあわててしまう。 あわてるというのはストレスがかかっている状態で、 あまり余計なことまで気が回らない。 でも、自分に対して「じっくり眺めよう」と言い聞かせると、 自分をリラックスさせ、新しい発見をうながす効果があるようなのです。
    「じっくり眺めよう」と自分に言い聞かせると、 リラックスし、余裕を持ってあたることができるので、 まるで自分の能力がアップしたような錯覚にもつながります。 そして、先ほども書いたように「うん、自分は作業をコントロールできてるな」 と実感するのですね。
    「じっくり眺めよう」というのはなかなかあなどれないスローガンですよ。
     * * *
    さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今回のメインコンテンツは、 夢中になって書くことをテーマにした連載「フロー・ライティング」です。
    どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに
    フロー・ライティング - 続けることを、始めよう
    文章を書く心がけ - ここ変更予定・ここ最前線
    次回予告
     
  • Vol.094 結城浩/数学ガールの特別授業/仕事が手に付かない/ScanSnapを子供に教える/

    2014-01-14 07:00  
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    Vol.094 結城浩/数学ガールの特別授業/仕事が手に付かない/ScanSnapを子供に教える/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月14日 Vol.094
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    結城は毎朝ひげをそりながら本を読みます。
    いま読んでいる本は数学の専門書で、私のレベルよりもずっと難しいことが書かれています。 ですから本来はノートとペンを持って書きながら読むべき本のひとつです。
    でも、たぶんそういう読み方をしたらすぐに飽きてしまって読み切れないだろうな、 とも思っています。毎朝ひげをそりながら読み、とにかくページの文字を追い、 ひげをそり終えたら本を閉じる。そんなやり方だから続けて読めるのだと思います。
    そんな読み方をして何の役に立つんだろう、と思われるかもしれませんが、 これが意外に役に立ちます。その分野のことがおぼろげにわかるのです。 細かい議論はさっぱり追えなくても、
     ・この数学の分野ではこういうことが関心事なのか  ・これを調べるためにこういう計算をするのか  ・こんな用語が登場するのか
    ということは何とかつかめるからです。
    ノートとペンを持って「さあ!」と正面から立ち向かって最初の数ページで挫折するのと、 ひげをそりながらといういい加減な態度で全ページをめくるのと、 どちらがよいかはいちがいにいえないと思っています。
    特に、何日か経って一冊をめくると、意外なほどの達成感があります。 「この本、恐くない」と思うのです。必要に応じて再読することになるのですが、 それもおっくうにならない。人間の感覚って不思議ですね。
    結城はよく、紙の本を一通り読んでからPDFに変換する(いわゆる、自炊ですね)ということをやります。 最初からPDFにしちゃうと何となく全体像がつかめないのですが、 いったん紙の状態で一通り読む(少なくとも全ページめくる)ということをやってからPDFにすると、 「あれはあのへんに書いてあったな」という土地勘が出るように感じています。
    あなたには、毎日規則的にやっていること、何かありますか?
     * * *
    自炊といえば。
    先日、中学二年生の子供に裁断機とScanSnapの使い方を教えていました。 つまり、紙の本を切ってスキャンしてPDFを作る手順ですね。 これは、私と子供にとって非常に楽しく、有意義な時間でした。
    まず、裁断機は大きな刃が動くものですから、扱いに注意しなくてはいけない。 そこをきちんと教えると子供は真剣になって聞きます。
     「刃の下には絶対に手を入れてはいけないんだよ」  「わかった」  「下に紙の切れ端がひっかかったら、指ではなくて本の背の切れ端を使って片付ける」  「わかった」  「うっかり手を入れると……」  「うわあ! わかったって!」
    そして、実際に本を裁断してみせる。 裁断したあと出てくるごみの後始末のやり方を教える。 そういう一連のプロセスを一つ一つ教えます。
    ScanScapでPDFになった本は、子供に先日与えたKindle fire HDに入れます。 子供は自分でUSB接続とドキュメントへのコピーは会得していたので、 手順の話は早く済みました。
     ◆Kindle Fire HDを子供用の電子書籍(PDF)端末専用機にする方法  http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20131215/kindle
    でも、大事なのは手順の話ではなく、コンテンツの扱いの説明です。
     「スキャンしたPDFを友達にあげちゃいけないよ」  「?」  「よく考えればわかる。本は買ったものだろ?」  「あ! そうか! どろぼうじゃん!」  「わかった?」  「わかった」
    ひとしきり自炊の手順を教えてから、後片付けも教えた次の日。 子供はひとりでせっせと自分の本をPDF化していました。
    さらに後日には、嬉々としていろんな本や資料をPDF化していました。 漫画や参考書、学校のプリントなども。 ああしろこうしろとは言ってないのだけれど、 自分でそんなふうにスキャンすると、 自分で整理してまとめようという意識が出るみたいですね。
    以上のようなことを家内に話したところ、家内から、
     「あなたはすばらしい父親ですね」
    とほめられました。「できることをたまにちょこっとするだけだよ」と答えたけれど、 その日ずっと気分がよかった。ほめてもらうのって大事ですね。 いまでも思い出すとにこにこしてしまいます。
     * * *
    別の話。
    最近「インクリメンタルな環境改善」に興味があります。 つまり、ちょっぴりずつ自分の作業をやりやすくしましょうということ。
    先週おこなった「インクリメンタルな環境改善」はこんなものです。
    (宣伝メール解除) 自分宛に届いていた宣伝メールのうち、 登録解除できそうなものを何通かきちんと登録解除しました。 これは、自分で送るように登録したけれどまったく読んでいなかったものです。 まとめて全部解除するのではなく、気づいた日に一通解除、 別の日にまた一通解除……という感じで、インクリメンタルにやりました。
    (USBのシール張り) 外付けハードディスクのUSBケーブルをコンピュータに繋ぐとき、 いつも表裏を逆に入れて失敗してしまいます。 そこで片側にシールを張って間違えないようにしました。
    (RSSリーダの整理) 二つのサイトに分散していたRSSリーダの内容を一つにまとめました。 あっち見たりこっち見たりするのが、ずっと気になっていたんです。
    (Web参照自動化) 毎日Webサイトを見にいって得ていた情報を、 自動的に毎日メールでとどくようにした。 これは自分でPerlのプログラムを書きました。
    (LaTeX実行スクリプトの改善) 結城はLaTeXを動かすときに自作のスクリプトを使っているのですが、 使い勝手が悪いところがありました。 それは(細かい話になりますが)索引を作成するかどうかで、 起動オプションを変更しなければならないところ。 よく考えるとそんなことはユーザである私が判断するのではなく、 エラーメッセージを読んで自動的にスクリプトに判断させればよかったのでした。 ということで、修正。
    ……こんな具合で、とっても些細で泥臭い改善ばかりですが、 少しずつ自分の日常が良くなっていくのを感じています。
    せっかくコンピュータを使っているのですから、 できるだけ自動的にものごとが進むようにと改善していきたいです。 でも、いっぺんに全部改善しようとすると息切れしたり、 途中で尻切れになったりします。 これ、私がよく陥るパターンなのです。
    そこで今年は「少しずつ少しずつ」改善していきます。 というわけで「インクリメンタルな環境改善」というわけです。
    あなたは、毎日気になってることってありませんか?
     * * *
    新春ということなのか、SBクリエイティブさんとあちこちの大学生協さんが 「結城浩フェア」のような企画をやっているようです。 お店によっては結城浩の本が15%引きで買えるとのこと。 ツイッターでもときどき喜びの声が上がっておりました。
    大学生協で書籍が割引になるというのは、 本をたくさん読む必要がある大学生にとってはよい制度ですよね。
    社会人になってから特にそれがうらやましく思えます……
     * * *
    さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今日は結城が高校で行った授業の様子を読み物にした「数学ガールの特別授業」をお送りします。 不定期で書き続けてきましたが、おそらく次回で終わりになります。 それから「仕事が手に付かない」という質問に回答します。
    どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに
    数学ガールの特別授業
    Q&A - 仕事が手に付かない
    次回予告
     
  • Vol.093 結城浩/再発見の発想法 - Immutable(イミュータブル)/習慣の力/本を作る心がけ/

    2014-01-07 07:00  
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    Vol.093 結城浩/再発見の発想法 - Immutable(イミュータブル)/習慣の力/本を作る心がけ/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年1月7日 Vol.093
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新年も、もう7日になりました。 年末年始はいかがお過ごしでしたか?
    前回の結城メルマガでは「年間目標」についてお話ししました。 その中に「定期的な運動」を掲げましたが、 三が日が開けたあたりから、さっそく運動を始めました。 主に走ることを中心にしています。
    何となく「汗を流すと発想が変わる」ような気がします。 前向きで活力に満ちた態度で仕事に向かえるような気持ちといいましょうか。 これはうれしい誤算です。
    定期的に身体を動かす習慣がなかったものですから、 少し筋肉が痛いですが、あまり無理せずに継続していきたいと思います。
     * * *
    お正月、最初にやったことは、 無料のPDFカレンダーを配布しているサイトから、 今年一年のカレンダーをダウンロードして印刷し、 厚紙(昨年のカレンダー)に貼ることです。
    このカレンダーは台所に掛けておき、 家族全員の主な予定を書き込むようにしています。 家族みんなが参照する「グローバル変数」ですね。
    ちなみに、我が家で使っているのは以下のサイトからダウンロードしたものです。
     ◆ちびむすカレンダー(無料ダウンロード・印刷)  http://happylilac.net/sy-nesyocalendar2014.html
    シンプルなカレンダーで余白が大きいので重宝しています。
     * * *
    いつも結城は朝、ひげをそりながら決まった本を読むようにしています。 これまではずっとKnuth先生の"3:16 Bible Texts Illuminated"という本を 読んでいたのですが、新年になって読む本を変えました。
    読み始めたのは、今後書くことになるかもしれない本の下調べのための本、 つまり参考書(数学書)なのですが、たいへん難しく四苦八苦しています。 全体像をつかむために流し読みに近い状態なのでしかたがありません。 まずはキーワードをチェックしながら、通読しようと思います。
    内容がわからないのはさておき、 毎日少しずつページが進むのは良い気分ですね。 その場で理解できるかどうか、 何か目に見える成果があるかどうかとは関係なく、 「自分のやりたいこと」を定期的に意識にのぼらせることは重要です。 やりたいことを自分にリマインドし続けるということです。
     * * *
    お正月の三が日に「お年玉企画」と称して、 結城メルマガの2013年1月から6月までのバックナンバーを無料で公開しました。 ブロマガのWebサイトを使うと各メールを一時間だけ無料公開できるので、 その仕組みを使いました。つまり、バックナンバー25本ほどを順番に一時間ずつ無料に設定し、 そのURLをTwitterでツイートしたのです。
    ありがたいことに「お年玉企画」が終わってみると、 何名かの新しい購読者さんが増えていました ありがとうございます!
    この結城メルマガは、私にとって大切な「個人メディア」となっています。 結城を応援してくださる読者さんに、結城の旬の活動をお届けする媒体です。 これからもさまざまな新しい試みを行い、 興味深いテキストを送っていきたいと思っています!
     * * *
    さて、そろそろ結城メルマガを始めましょう。 今日は技術評論社Software Design誌とのコラボ企画「再発見の発想法」と、 今年身につけたい「習慣の力」の話、それに元旦にツイートした文章をまとめた、 「オファーされた仕事を断るかどうかについて」をお届けします。
    どうぞお楽しみください!
    目次
    はじめに
    再発見の発想法 - Immutable(イミュータブル)
    習慣の力
    本を書く心がけ - オファーされた仕事を断るかどうかについて
    次回予告