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  • Vol.135 結城浩/フロー・ライティング - 《夢中》の作り方、《夢中》の見つけ方/原稿料/

    2014-10-28 07:00  
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    Vol.135 結城浩/フロー・ライティング - 《夢中》の作り方、《夢中》の見つけ方/原稿料/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年10月28日 Vol.135
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    以下は、あくまで一般論です。
    ブログの記事で「◯◯するn個の理由」というタイトルをときどき見かけます。 「パターン化されたタイトル」の一種だと思いますが、 ためになりそうな、整理されているような印象を与えるようです。
    このタイトルは、2 < n < 8 くらいならば妥当だと思うんですが、 ときどき「○○する、たったひとつの理由」というタイトルもあります。 でも、たったひとつの理由しかない記事なら、 その理由をタイトルに書いてくれたらいいのに、と思ってしまいます。
    「タイトルに書くのが難しければ、せめて冒頭に書いてくれたらいいのにな。 そうすれば読むかどうかの判断ができるから」……そんなふうにも思います。
    逆に、n > 20 だったりすると、 「もう少し数を整理した方がいいんじゃないかなあ」 と思ったりして。
     * * *
    心が歳を取るという話。
    「心が歳を取る」というフレーズが落合陽一さん(@ochyai)のツイートに出てきました。 (いま検索していたら、以下にまとめられていました。感謝)
     ◆「心が歳をとる」前に  http://togetter.com/li/734635
    自分を振り返ってみても、 「心が歳を取る」という表現がぴったりする感覚を味わう経験があります。
    すごく単純にいうなら「心が歳をとる感覚」というのは、 「物事全般に興味を失っていく感覚」といえるかもしれません。 新しいものを見て感動したり、興味を持ったりすることが次第に減っていって、 心が動かなくなるということです。
    歳を取って身体が動かなくなるというのは外から見てもよくわかります。 足もとがふらついたり、よたよたするからですね。 それに比べると、心が動かなくなるようすを見分けるのはちょっと難しいかも。 でも、心が動かなくなるのは、歳をとって身体が動かなくなるのと同じことです。
    外から見えないからむしろ、心が動かないほうがこわいかもしれません。 外から見えないどころか、本人も気付かない恐れもあります。 なまじっか経験を積んでいるため、
     「私は、あれもこれもわかっているんだ」
    と勘違いする恐れですね。
     「あれもこれもわかっているから、   いまさらこんなことで感動もしないし驚きもしない」
    と自分で思っているけれど、 実際には心が歳を取っているだけとか。 それは、こわいなあ。
    自覚があったとしても、もう私は歳を取ってしまったからいいや、 と最初からチャレンジしなくなることもあるでしょうね。 もちろんそれがすべて悪いというわけじゃありませんけれど……
    歳を取ると、恥をかいたり人から笑われたりするのが恐くなる人もいるでしょう。 結城自身は、そうなりたくないと思っています。
    いろんなことをやって、新しいことにもチャレンジして、 若い人から「結城さん、これ違いますよ。こうじゃないですか」 などと突っ込まれたい。
    そして「あ!そうなんだ。てへ。やっちゃった。よしもう一度チャレンジする!」 と返したい。
    若い人から無視されるのも嫌だし、突っ込まれなくなるのも嫌ですね。 いつまでも心を若くしておきたいものです。
     * * *
    それに関連して、誤りの指摘について。
    文章やコードを公開していると、 他の人から「ここ、まちがってますよ」と指摘を受けることがある。 それはとてもありがたいことである。
    文章やコードに対する指摘は、必ずしも改善案を必要とはしない。 「ここは誤りである」「ここは読みにくい」という指摘だけでも有益だ。 必ずしも「こう直すべき」という改善案はいらない。 改善案がなければ指摘してはいけないという主張は(もしそういうのがあるなら) 誤りである。改善案がなくても、書き手はうれしい。
    もっというなら「ここは誤りである」とまで言い切らない指摘でもありがたい。 つまり「ここは?」と指さすだけでもいいということ。
    また、「指摘を受ける」ことと「その指摘をどう反映させるか」は、 明確に別のプロセスである。この両者を混同しない方がいい。 指摘をどう反映させるか、そもそも反映させるか否かは、著者の判断である。
    ……という話は年末刊行の『数学文章作法 推敲編』にも詳しく書いている。 結城はこの話が大好きで、ことあるごとに書いているような気がする。 何しろ私は日々文章を書き、日々多くの人から指摘を受けている。 (要するに、しょっちゅうまちがっているってことですね!) だから、自分の経験から確信を持っていえるのだろう。
     ◆『数学文章作法 推敲編』  http://mw2.textfile.org/
     * * *
    この結城メルマガではよく「文章を書く心がけ」や「本を書く心がけ」や 「教えるときの心がけ」という内容を書きます。
    でも最近は「仕事の心がけ」というくくりにしたほうがいいような内容を よく書いているような気がします。
    結城の場合には文章を書いたり本を書いたりするのはそのまま仕事なのですが、 そこで考えていることは「お仕事全般」に通じることが多いんじゃないか、 と思うのです。
    結城は仕事をしながら、「仕事をしている自分を見る」というのが好きです。 仕事の内容を考えつつ、仕事の進め方を考える。 内容を考えることと、進め方を考えることはちょっと違いますよね。
    自分の仕事の進め方をていねいに考えて言語化することは意味があると思います。 そのことによって効率も上がるし、同じ失敗を繰り返さない効果もあるからです。 組織でいうなら暗黙知を形式知にするという話ですが、 それを個人レベルでやろうというのに似ていますね。
    あなたは、自分の「仕事の心がけ」を持っていますか?
     * * *
    『数学文章作法 推敲編』の再校ゲラを読んでいると、 編集者からの鋭い指摘に「なるほどなあ」とうなることがある。 そういう経験を繰り返していると、自分の言語能力も少しずつアップするのかな。
    たとえば、「高い視野から見る」という表現は正しいだろうか。 これは、視野というのは高い低いではなく、広い狭いではないかという疑問です。 だって、見える範囲のことなんですから。「視野を広くする」のように。
    どうしても高いという表現を使いたかったら「高い視野から見る」ではなく、 「高い視座から見る」のほうがいいのではないか、と思った次第。
    ところで「高い視野から」と書こうとしたら、 「高石やから」と変換されてしまい、 謎の知り合い高石さんが登場する関西弁の会話になってしまいました。 「そんなまちがい、しかたないわなあ。高石やから」
    そして「広い視野から」と書こうとしたら、 今度は「広石やから」と変換されてしまい、謎の知り合い広石くんが登場……
    ……おっと、冗談はこのへんにしておきます。 後で、もう少し真面目な校正の話をしましょう。
     * * *
    イワトコナマズさん(@biwako_wataka)が読書メーターにお書きになっていた 『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』の感想を読んでふと思ったこと。
     ◆イワトコナマズさんの感想  http://bookmeter.com/cmt/42129377
    この感想では『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』について、 関係のない話が急に出てこないという趣旨のことが書かれていました。 おそらく、話に一つの流れがあるということなのだと思います。
    この感想を読んで、今年の春頃に受けたインタビューを思い出しました。 千葉県で数学を教えている先生方からインタビューを受けて、 「高校数学で気になること」を答えました。
    自分の経験から話しているので、現在とはずれがあるかもしれませんが、 気になっているのは「単元の扱い」です。 単元ごとに学ぶ個々の知識は必要なのだけれど、 そこで学んだことがバラバラなままだと学ぶ人はつまらないだろうな、という話。
    来週の結城メルマガで三回目の配信となる「数学ガールの特別授業(教師編)」 の中でも同じような話をしたかもしれません。 こちらは新潟で数学を教えている先生相手の講演会。
    もちろん、教える側の気持ちになってみると、 とても大変だと思います。 単元を一つ一つ教えるのすら大変なのに、 さらにそれらの関係を繋がるように教えるなんて。 先生の力に依存する部分も大きそうだし、 「わかる生徒」と「そうでない生徒」の 落差が大きくなってしまう危険性もあるでしょうか。
    結城は「数学ガール」シリーズのような物語は大好きです。 いわゆる物語としてのストーリーはなくてもいいから、 ストーリーのように自然な流れがある文章は好きです。 つまり、必然性を持って次の話題が出てくるように編まれている文章のことです。 知識の羅列や、どこからか話題が出し抜けに振ってくる状況はつらい。
    その流れというのは、論理的な流れでもいいし、歴史的な流れでもいい。 何でもいいのだけれど、 一つ一つの話題が出てくる必然性を求めてしまいます。
    いまにして思えば、高校時代の授業に感じていた不満はそこにあったかも。 微分方程式で出し抜けに三角関数が出てきて、 私の中のテトラちゃんが「どうしてそこで三角関数が出てくるんでしょうか」と 声を上げていましたね。 私の記憶では、その授業で教師はうまく説明していなかったように思います。
    必然性というのは、たとえば、 「いろいろやっていて、これがけっこううまくいったから」 というのでもいいんです。説明されれば。 でも、説明がないと、学習者は、
     「どうしてこれが出てくるの?    その必然性を私は理解できない。   ということは、   ほんとうには私は理解していないんだ!」
    と焦るように思います。 少なくとも、私は焦りました。
    ストーリー。必然性。自然な流れ……こんな話は、 ベテランの先生は百も承知のはずですよね。 講演会で先生に向かって結城がことさらに話すまでもないことです。 でも、新潟の講演会では若い先生がたくさんいらして、 それなりにお役に立てたようです。
    招いてくださった校長先生からは「若い先生方が、 ベテランの先生からいつも言われていることと同じことを、 違う世界の結城先生からも言われると納得感が違います。 若い先生にとって、とてもいい機会となりました」 と喜ばれました。やさしい言葉に感謝です。
    「数学ガールの特別授業(教師編)」の第三回は来週配信する予定です。 お楽しみに。
     ◆数学ガールの特別授業(教師編)  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
     * * *
    それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
    今回は久しぶりに「フロー・ライティング」をお送りします。 これは、文章を書くことに関する連作読み物です。 今回は、
     「《夢中》の作り方、《夢中》の見つけ方」
    というタイトルの読み物をPDFでお送りします。 これまでの記事のバックナンバーは以下にあります。
     ◆フロー・ライティング  http://www.hyuki.com/flow-writing/
    お楽しみください!
    目次
    はじめに
    フロー・ライティング - 《夢中》の作り方、《夢中》の見つけ方
    原稿料について - 仕事の心がけ
    本を書く心がけ - 再校ゲラを読みながら
    次回予告 - 数学ガールの特別授業(教師編)(3)
     
  • Vol.134 結城浩/数学ガールの特別授業(2)/古今和歌集を読む(3)/

    2014-10-21 07:00  
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    Vol.134 結城浩/数学ガールの特別授業(2)/古今和歌集を読む(3)/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年10月21日 Vol.134
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    予定通り、先週『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』が刊行されました。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』  http://note4.textfile.org/
    書店に展開されたサイン本をご購入なさった方、 店頭やネット書店でご購入なさった方などからツイートやメールをいただき、 私はとても幸せな時を過ごしています。
    ありがたいことに、 アマゾンさんの数学書ランキング、 書泉ブックタワーさんのコンピュータ書ランキング(10/12-10/18)、 ブクログ新刊ランキング(10/18)などで第1位になりました。 みなさんの応援に感謝いたします。
     ◆たくさんのサイン本(出版社編集部にて)
    それはさておき、ひと仕事終わって安心したせいか、 あるいは単に急に冷え込んだからか、 たくさんの本にサインした次の日から数日寝込んでしまいました。 家内からは「ここ数日夜更かしが続いていたから」と指摘を受けました。 体調管理の点で反省することしきりです。
     * * *
    ところで、新刊が発売になったということは、 次の本の仕込みをさらに進める必要があるということになります。
    今年の12月12日に刊行の『数学文章作法 推敲編』は、 すでに再校に入り順調に進んでいますが、 それ以外の、新たに書き始める本の進捗を進める必要があります。 いまのところはざっくり、こういった本が進行中。
     ・コードネーム:note5(『数学ガールの秘密ノート』第5弾)  ・コードネーム:グラタン  ・コードネーム:ii  ・コードネーム:crm
    校正の段階まで来れば文章のテクニカルな修正が中心になってくるのですが、 本の書き始めの段階では、 とにかく書き進む部分と、方針決めの部分が絡み合います。 このあたりをどう進めるかは、後ほど「本を書く心がけ」で詳しく書きますね。
     * * *
    先日、ふと思ったこと。
    結城メルマガの中では「教えること」「学ぶこと」「伝えること」 などの話題がよく出てきます。でも、たとえば「男性だから何々が得意」や 「女性だから何々が得意」という性別の話はほとんど出てこないように思います。 どう思いますか。
    結城メルマガがいわゆる「ポリティカリー・コレクト」だと、 ことさらに主張したいわけではありません。 そうではなくて、結城は男性・女性をあまり意識していないのかなあ、 と思っただけなんです。
    (いま検索してみたら、Vol.098でちょこっと書いていました)
    数学ならば、概念を理解できるかどうか、 問題を解けるかどうかというのがポイントであって、性別は直接問題にならない。 プログラミングでも、コードを書けるかどうか、 バグを取れるかどうかがポイントであって、性別は直接問題にならない。 ……というのが私の理解です。
    まあ、でも、この話題は微妙なのでこの辺で。
     * * *
    それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
    今回は、Vol.132から始まった新連載「数学ガールの特別授業(教師編)」の第二回目です。 結城が先日新潟で行った講演会を読み物にしてお届けいたします。 前回と同様、講演スライドを交えたPDFでお送りします。 「読者の理解を生み出す」という話題で、 教えることや文章を書く人には興味のある内容になっていますよ。
    また、Vol.133に続き「古今和歌集を読む」の話を書きます。 今回も、言葉に取り組むときのメタな話題になっています。
    お楽しみください!
    目次
    はじめに
    本を書く心がけ - ぜんぶ文章にしてしまえ
    古今和歌集を読む(3)
    数学ガールの特別授業(教師編)(2)
    MacBookを家に忘れた話
    おわりに
     
  • Vol.133 結城浩/書籍ランディングページの作り方/量が多いことの意味/古今和歌集を読む(2)/

    2014-10-14 07:00  
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    Vol.133 結城浩/書籍ランディングページの作り方/量が多いことの意味/古今和歌集を読む(2)/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年10月14日 Vol.133
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』が、 もうすぐ(2014年10月17日頃)店頭に並びます。 新刊が出るのは、本当にうれしいものです。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』  http://note4.textfile.org/
    ところで10月10日に、 昨年刊行された『数学文章作法 基礎編』の電子書籍版が刊行されました。 「数学ガール」シリーズは固定レイアウトタイプですが、 『数学文章作法 基礎編』はリフロータイプの電子書籍になりました。 つまり、文字の大きさを変えたりすることができるということです。
    電子書籍版が出た直後から、たくさんの方々に応援いただき、 科学・テクノロジーの新着ニューリリースランキングで、 『数学文章作法 基礎編』と『数列の広場』が一位と二位に並ぶほどでした。 みなさんありがとうございます。
     ◆『数学文章作法 基礎編』  http://mw1.textfile.org/
    今年の12月12日には、続編となる『数学文章作法 推敲編』も出版されます。 先日は筑摩書房のページでアナウンスがなされました。 こちらは現在再校ゲラを読んでいるところ。刊行が楽しみです。
     ◆『数学文章作法 推敲編』(筑摩書房)  http://www.chikumashobo.co.jp/special/yukihiroshi/
     * * *
    ランディングページの話。
    前回の結城メルマガでちらっとお話しした、 書籍ランディングページの作り方を、 具体的に詳しく書いてみようと思いました。 「結城浩ミニ文庫」シリーズの一つとして、
     『書籍ランディングページの作り方』
    というタイトルで今回配信いたします。 どうぞお読みください。
    ランディングページ(landing page)というのは、 一言でいえば、ある商品専用のPRページですね。 先ほど上でリンクした結城の書籍ページもランディングページといえます。
    これらのページは、ろすさん(@lost_and_found)が提供している 「でんでんランディングページ」というテンプレート&テーマを利用して作りました。
     ◆でんでんランディングページ  http://lp.denshochan.com
    今回の『書籍ランディングページの作り方』は、『数学文章作法 基礎編』 のランディングページを作っている過程をなぞって解説したものです。 お楽しみください。
    本を書く人にはもちろんのこと、 商品の宣伝、イベントの告知、自己紹介などを、
     「綺麗にまとまったWebページで提示する」
    ということに関心のある人にも参考になるかと思います。
     * * *
    ところで。
    ランディングページであれこれやっているうちに、 Bootstrapにだんだん慣れてきました。 Bootstrapというのは現代のモダンなHTML5を書くためによく使われているテンプレートです。
     ◆Bootstrap  http://getbootstrap.com
    Bootstrapをベースにして世界中でたくさんのテンプレートやテーマが作られています。 サイト用のHTMLやCSSをゼロから書くのではなく、 Bootstrapのようなものをもとにしてサイトを作ると手間を大きく軽減できますね。
    といったことを考えているうちにふと、こんなことを思いました。
     自分がブラウザを立ち上げたときに使う「ポータルページ」を、  Bootstrapベースで作ったら楽しそう!
    ここでポータルページと私が呼んでいるのは、 自分がよく使うWebサービスのリンク集のようなものです。 たとえば、Web連載のCakesのサイト、結城メルマガを発行するまぐまぐ!、 ブロマガのサイトなどへのリンク集です。
    ブラウザを起動したら最初に表示されるページに、 そのリンク集をまとめておけばとても便利。 ダッシュボードと呼んだり、シンプルにホームページと呼ぶこともあります。
    自分だけが使うポータルページなら、いくらでも好きな作りにすることができる。 自分が以前から使っていたポータルページは、HTMLがぐちゃぐちゃになっていて、 見た目も散らかり放題(でもそれなりに便利ではあるが)。 この機会にBootstrapで何か作りたい!という気持ちに便乗して、 ポータルページを作ってみようか……と思っているうちに、 できてしまいました。
    こんな感じです。
     ◆Bootstrapベースで作った結城のポータルページ(スクリーンショット)
    アイコンの部分はFont Awesomeというサイトを利用しています。
     ◆Font Awesome  http://fortawesome.github.io/Font-Awesome/
    また全体の構成は、 Start BootstrapというサイトのSB Admin 2というテンプレートを参考にしています。
     ◆SB Admin 2  http://startbootstrap.com/template-overviews/sb-admin-2/
    ポータルページを作りながら、 「仕事」に関して、これまたいろんなことを考えてしまいました。 またいつか詳しくお話ししますね。
     * * *
    それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
    今回は「でんでんランディングページ」を使った、
     『書籍ランディングページの作り方』
    という説明文をお送りします。
    また、Vol.131に続き「古今和歌集を読む」の話を書きます。 古今和歌集の話というよりは、古今和歌集を読みながら結城が考えたことの話で、 言葉に取り組むときのメタな話題になっています。
    お楽しみください!
    目次
    はじめに
    結城ミニ文庫 - 書籍ランディングページの作り方
    古今和歌集を読む(2)
    量が多いことの意味
    おわりに
     
  • Vol.132 結城浩/数学ガールの特別授業(教師編)/有給の話から、働くということを考えた/

    2014-10-07 07:00  
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    Vol.132 結城浩/数学ガールの特別授業(教師編)/有給の話から、働くということを考えた/結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2014年10月7日 Vol.132
    はじめに
    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
     * * *
    新刊の話。
    『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』が店頭に並ぶのは、 来週(2014年10月17日)頃になりそうです。 これは編集さんから聞いた日付なのでまちがってはいないのですが、 実際に店頭に並ぶときには、書店さんの都合がありますので、 多少日付が前後する可能性があります。ご了承ください。
    なお『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』のサイン本も、 刊行予定日前後にいつもと同じくらいの冊数が店頭に出ます。
    今回のサイン本を扱う書店さんリストを結城は持っていませんが、 今年四月の『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』のときの 【サイン本を扱った書店さんリスト】は以下にありますので、 サイン本ゲットをねらっている方は、ご参考になさってください。
     ◆(書店リスト)『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』サイン本情報  https://note.mu/hyuki/n/nf47948d22b7f
    (あくまで参考です)
     * * *
    ランディングページの話。
    さて、新刊が出るということで、 「ランディングページ」というものを作ってみました。 ランディングページ(landing page)というのは、 一言でいえば、ある商品専用のPRページですね。
    『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』のランディングページは、 こんな感じになりました。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』  http://note4.textfile.org/
    このページは「でんでんランディングページ」というサイトを利用して作りました。 おおざっぱな手順はこうです。
    (1)でんでんランディングページへ行く。
     ◆でんでんランディングページ  http://lp.denshochan.com
    (2)でんでんランディングページの「デモサイト」を見てどんな感じかをつかむ。
     ◆デモサイト  http://lp-narrative.tumblr.com
    (3)でんでんランディングページの「つかってみる」からGithubのページへ行き、 Narrativeテーマを見る。
     ◆Narrativeテーマ - Github  https://github.com/denshoch/LandingPages/tree/gh-pages/narrative
    (4)このNarrativeテーマのところに書いてある使い方に従う。
    『数学ガールの秘密ノート/数列の広場』の他にも、 『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』や、 電子書籍『幸福の王子』のランディングページも作ってみました。
     ◆『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』  http://note1.textfile.org/
     ◆『幸福の王子』  http://prince.textfile.org/
    きれいなページが簡単にできるので、とても楽しいです。
    いわゆるレスポンシブWebデザインに対応しているので、 PCやタブレット、それにスマートフォンなど、 画面の大きさが異なるデバイスでも最適な表示になります。
    こういう便利なものを作って公開してくださった ろすさん(@lost_and_found)さんに感謝します。
    作り方の詳細は後日、結城メルマガでも書きたいと思います。
     * * *
    このランディングページを作っていて思ったのは、 ふだんから《遊んでおく》のは大事だなということ。
    遊んでおくというと語弊がありますが、
     ・Tumblr.comのテーマを入れ換えて遊ぶ。  ・独自ドメインを取得しておきDNSを切り換えて遊ぶ。  ・HTML5のテンプレートとして使われるBootstrapで遊ぶ。  ・興味のある文章を翻訳して遊ぶ。  ・Kindle Direct Publishingで自己出版して遊ぶ。
    「仕事で利用するために研究しておく」という方が正しいのかもしれませんが、 結城の感覚としては「楽しいものを見つけたら一通り遊んでみる」に近いです。
    何だか「遊び」の方が深いレベルで理解できるみたい。 そして、あれこれ楽しんでいると、 たまたま新刊が出るタイミングで「でんでんランディングページ」が公開された。
    ふだんから遊んでいなかったら、 この「でんでんランディングページ」の意味もわからなかっただろうし、 すぐに試してみようとも思わなかっただろう。
    その意味で《遊んでおく》のは大事だと改めて思いました。
     * * *
    新連載の話。
    今回から結城メルマガでの新連載、
     「数学ガールの特別授業(教師編)」
    を始めたいと思います。 これは結城が先日高等学校の数学の先生向けに行った講演をベースにした読み物です。
    結城は2014年10月3日、新潟県の先生62名に向けて、
     「学ぶ喜び、伝える喜び」
    という演題で講演を行いました。
    そのときの録音をもとに、講演のライブ感を再現しつつ、 読みやすく整えてお送りします。 毎回PDFになりますので、ダウンロードしてお読みください。
    なお、すでに配信した生徒編については、 以下から結城メルマガの過去ログをご覧ください。
     ◆数学ガールの特別授業  http://www.hyuki.com/girl/lesson.html
     * * *
    言葉遊びの話。
    アンビグラムを作っている、いがときしん(@igatoxin)さんが、 こんなパングラム(五十音をひとつずつ使って作った文章)を公開していました。 数学ガールに登場するユーリという女の子の特徴を読み込んだパングラム (ここでは48文字)です。
     - - - - - - - - - -  僕を「おにいちゃん」って呼ぶね  後ろ結びヘアー揺れ  狭き謎見つけたら  燃える目は理逃さぬ
     ほくをおにいちやんってよふね  うしろむすひへあーゆれ  せまきなそみつけたら  もえるめはことわりみのかさぬ  - - - - - - - - - -  https://twitter.com/igatoxin/status/411299456898703360
    こういうものを見ると、すごくわくわくします! 言葉が持っている意味と制約と形式がタイトに結びつくように感じるからです。
     * * *
    オバケの話。
    結城はアイコンとして、 「スレッドお化け坊や」というオバケキャラを使っています。
     ◆結城のアイコン「スレッドお化け坊や」
    ハロウィーンの季節のせいか、 この「スレッドお化け坊や」に似たオバケの 「発見ツイート」がときどき流れます。三つほどご紹介。
     ◆横浜のドンキホーテにて(@kiyotaka_akkyo さんのツイートより)
     ◆@kiyotaka_akkyo さんのツイート  https://twitter.com/kiyotaka_akkyo/status/515853108811812865/photo/1
     ◆あれは……結城浩先生!? (@mugicha_7 さんのツイートより)
     ◆@mugicha_7 さんのツイート  https://twitter.com/mugicha_7/status/517200423506018304/photo/1
     ◆あ、結城先生!(@natuki333 さんのツイートより(部分))
     ◆@natuki333 さんのツイート  https://twitter.com/natuki333/status/517606763751682048
    みなさん、楽しいツイートありがとうございます!
     * * *
    英語版『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』の話。
    先日ご紹介したように『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』の英訳本が出ています。 しばらく日本で購入できなかったのですが、現在は日本のアマゾンで購入できます。
    英語版『数学ガールの秘密ノート/整数で遊ぼう』は、 "Math Girls Talk about Integers"(数学ガールが整数についておしゃべりする)という タイトルになっています。
     ◆Math Girls Talk about Integers (アマゾン)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1939326230/hyam-22/
     ◆Math Girls Talk about Integers (表紙)
    以下のページでは、サンプルとして初めの章をPDFで読むことができます。 "Download a sample!"のリンクをたどってください。
     ◆Math Girls Talk about ...(Bento Books)  http://bentobooks.com/math-girls-talk-about/
    発売以来ずっとChildren's Advanced Math Booksのジャンルで、 Math Girls Talk about... シリーズの二冊が第一位と第二位になっているようです! みなさんの応援を感謝します。
     * * *
    英訳といえば、先日アメリカの方からメールでのインタビューを受けました。 質問事項がいくつかあり、それに対して結城が答えを日本語で書く。 それをトニーさんが英語に翻訳するという流れです。
    それに答えながら思ったことは、 数学の先生の悩みも、数学ガールを読んで抱く驚きと喜びも、 日本の先生もアメリカの先生も大きくは違わないということ。
    数学ガールと結城のインタビューの答えを読んだアメリカの生徒さん(中学生)は、 学校の先生に「数学の宿題をもっと出して!」とお願いしたそうです(!)
    そのインタビュー記事も、公開されたらご紹介しますね。
     * * *
    庭に作る家の話。
    これ、書き物をする人の多くは「おおっ」と思うんじゃないでしょうか。
     ◆自宅の庭にも隠れ家を、作家のための物語の家  http://yadokari.net/minimal-life/14946/
    自宅の庭に創作の場所としての家を建て、 そこで集中して書き物をするという話題です。
    結城は、自宅で書き物をすることはあまりありません。 日記やブログやツイートなどは書きますが、 本のための文章を書くことはめったにないです。 それは集中が途切れるのがいやだからです。
    最近書いていませんが、 連載「フロー・ライティング」に通じる話ですね。 自宅の庭にこんな家があったら……って、 そもそも庭がなかった(あらら)。
     * * *
    文体の話。
    以下の記事では「インタビュー文体」が四通り紹介されています。
     ◆オウンドメディアの空気を決める、4つの「インタビュー文体」活用方法  http://www.infobahn.co.jp/ib_column/4047
    同じインタビュー記事をまとめる場合でも、 文体が違うと印象もずいぶん異なるものだと思います。
    そしてまた、インタビュー記事以外でも、 ここで紹介されているインタビュー文体に乗せることで、 「インタビュー風の紹介記事」のようなものが書けそうですよね。
    結城は以前、自分の本を紹介するために自分で自分にインタビューしたことがあります。 たとえば、これです。
     ◆『数学ガール』出版記念インタビュー  http://www.hyuki.com/girl/interview.html
    このようなインタビュー形式は読みやすいものです。 対話の形でさくさくと話が進むからでしょうか。
    対話の形といえば、ラジオ番組のような形式にしたこともあります。 たとえば、これです。
     ◆『数学ガール』トークイベント  http://www.hyuki.com/girl/talk.html
    ここでは、数学ガールのキャラクタが話し合うことで、 内容紹介と同時にキャラクタ紹介を行っていますね。
    と、ここまで書いてきて思うのは、 必ずしもインタビュー形式でなくても、
     「読者が親しんでいる既存の形式」
    に落とし込むのがいいのかもしれないと気付きました。
    たとえば、四コマ漫画風にしたり。
     ◆ギコ猫と暗号技術入門  http://www.hyuki.com/cr/cat_index.html
    たとえば、2ちゃんねるのスレッド風にしたり。
     ◆【暗号】結城さんの暗号本を紹介するスレ【認証】  http://www.hyuki.com/cr/crself.html
    既存の形式に乗せることで、読みやすくなるのかもしれません。
     * * *
    それでは、そろそろ結城メルマガを始めましょう。
    今回は先日10月3日に結城が行った講演を読み物にリライトした、 新連載第一回をお届けします。 題して、
     「数学ガールの特別授業(教師編)」
    です。
    お楽しみください!
    目次
    はじめに
    数学ガールの特別授業(教師編)
    有給の話から、働くということを考えた
    おわりに