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記事 4件
  • 岸見一郎氏:アドラーによる素晴らしい人生を送るためのヒント

    2014-06-25 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年6月25日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第688回(2014年06月21日) アドラーによる素晴らしい人生を送るためのヒントゲスト:岸見一郎氏(哲学者)────────────────────────────────────── 4月にお送りした「あなたが変われないのは実は変わりたくないから?!」に続く岸見一郎氏によるアドラー心理学入門の第2弾。アドラー心理学は、現在の自分の存在理由を過去に求めるフロイトなどの精神分析とは一線を画し、いまの自分はこの先の目的のために存在し、かつ行動するという「目的論」の立場を取ることが大きな特徴だ。今回は4月の第1回目の番組での議論を受けて、「課題の分離」というテーマを中心に岸見氏に聞いた。 アドラーによれば、あらゆる対人関係のトラブルは、他人の課題に土足で踏み込むことから生じるという。適正な人間関係を構築して維持していくためには、自分と他人の領域を峻別する「課題の分離」という考え方を十分に理解して実践していく必要があると岸見氏は言う。親子関係を例に取ると、勉強をしようとしない子どもに対して「勉強してほしい」と考えるのはあくまでも親の考えであり、都合である。子どもの課題であるはずの「勉強をする」という行為を親が「しなさい」とか、「あなたのためを思って言っている」などと介入するのは課題の分離ができていない結果だ。 そもそも「あなたのためを思って言っている」という発想自体が、アドラーが「縦の関係」と呼んでいる上下関係の存在を前提としている。親は賢明だが子どもは未熟で愚かであるという前提だ。そして、アドラー心理学は前提として他者からの承認を求めることを否定し、他人との関係では、縦よりも横の人間関係こそ望ましいとしている。他者からの承認を得ようとする人は、他者の期待を満たそうとして行動するようになり、それが果たされないと不安を感じたり、逆に相手を恨んだりしがちだ。昨今流行のソーシャルメディアで相互承認行為を強要されるような疲れを感じたりするのはそうした一例と言えるかもしれない。対人関係を縦の関係と捉えて他人を低く見ているからこそ、課題を分離せず、不必要な介入を行い、それが正しいと錯覚してしまう。そうなると、もはや自由な関係性は望むべくもなく、誰の人生を生きているのかさえ分からなくなってしまうのだ。 では、横の関係を実現するのはどうしたらいいのか。岸見氏は、課題を分離した上で、相手を評価しないことだと説明する。また岸見氏は「同じではないけれど対等である意識を持つことが重要」と指摘。それが同じではないが対等な人間関係を基にした「共同体意識」にも繋がっていくと説く。 アドラー心理学のいう「課題の分離」とは何か。人は対等な関係をどうやって構築すれば良いのか。その先にある「共同体意識」とは何か。アドラー心理学の目指す自由と幸せに生きる考え方について、ゲストの岸見一郎氏とともに、神保哲生と宮台真司が議論した。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・あらためて振り返る、アドラー心理学の要諦・人間関係の問題を解決する処方箋「課題の分離」・幸福に生きるための3つの論点・「全人類」より目の前にいる「この人」+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 山脇直司氏:ドイツ・エネルギー倫理委員会報告と日本の原発政策

    2014-06-18 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年6月18日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第687回(2014年06月14日) ドイツ・エネルギー倫理委員会報告と日本の原発政策ゲスト:山脇直司氏(哲学者・東京大学名誉教授)────────────────────────────────────── 安倍政権が示した原子力規制委員会の人事が6月11日に国会で承認された。5人の委員のうち2人を任期切れに伴って交代させる人事だが、その一人田中知氏は一昨年まで原子力推進団体の理事として報酬を得ていたうえに、東京電力系の財団からも4年半にわたって報酬を受けていたという。原発再稼働を目指す安倍政権の下で原子力ムラ復権へ向けた動きがいよいよ露骨になってきている。 ドイツの脱原発政策については、いろいろな評価があるかもしれない。日本とは条件が異なる面も多い。しかし、少なくとも福島原発事故後のエネルギー政策を決定するためにドイツが採用した「手続き」は日本とは雲泥の差があるもので、お手本にすべき点が多い。 福島原発事故の後ドイツは技術面のみならず、倫理面からも原発の妥当性を有識者による公開の会議で徹底的に議論した上で、最後はメルケル首相の政治的決断によって2022年までの脱原発という決定を下した。中でも首相が設置した「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」はドイツのエネルギー政策に正当性を与える上で重要な役割を果たした。 哲学者で公共倫理の観点から原発問題に対して発言を続けてきた東京大学の山脇直司名誉教授は「当初、脱原発に関して揺らいでいたメルケル首相は、日本ほどのハイテク先進国で福島原発事故が起きたことを目の当たりにして、そのリスクの大きさを再認識した」と話す。報告書は「原子力エネルギーの利用やその終結、そして他のエネルギー生産による代替についての決定は、すべて社会における価値決定にもとづくものであり、これは技術的側面や経済的側面よりも先行する」とし、人間の健康や地球環境といった倫理的な価値を技術や経済よりも優先して考慮されるべきだとして提示し、その上で技術や経済的なリスクを吟味して「包括激なリスク評価」の結果として上記のような結論に到達している。 一方、事故の当事国だった日本はどうか。端から原子力行政の利害当事者を排除できないまま発足した原子力規制委員会の人事は言うに及ばず、汚染水が漏れ続ける中での野田政権による冷温停止状態発言と事故収束宣言、そして安倍政権は臆面もなく原発輸出のトップセールスを続け、事故原因の検証すら不十分との指摘がある中で原発を日本の「ベースロード電源」と位置付けるエネルギー基本計画まで閣議決定してしまった。 2011年に出されたドイツの「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」報告書を参照しながら、倫理的な原子力エネルギーの評価やリスクの認知、比較衡量の考え方と倫理的な対立、公共哲学の役割と機能、倫理本来の在り方などについて、ゲストの山脇直司氏と共にジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・ドイツが倫理で決断できる理由・フクシマがドイツに与えた衝撃・3.11以後の公共哲学を考える、5つの視点・日本における価値教育の必要性+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 駒村康平氏:年金制度に対する根本的な疑問とその解

    2014-06-11 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年6月11日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第686回(2014年06月07日) 年金制度に対する根本的な疑問とその解ゲスト:駒村康平氏(慶應義塾大学経済学部教授)────────────────────────────────────── 厚生労働省が6月3日に発表した公的年金に関する長期見通しによると、日本経済がある程度以上のペースで成長すれば、目安とされる「所得代替率」の50%は辛うじてクリアできるが、過去20年の鈍い経済成長が続けば35%まで低下するという。所得代替率とは現役世代の手取り平均収入と厚生年金のモデル世帯における給付の割合で、端的に言うと引退して年金をもらう年齢に達した時、現役時代の平均給料の何割が年金として支給されるかを示すものだ。特に国民年金にしか加入していない約4割の加入者にとって、年金はもはや老後の安寧を保障する制度とは言えなくなったと言わざるを得ない。 社会保障政策や年金問題に詳しい慶応大学教授の駒村康平氏も今回の政府の試算について、「経済成長を高く見積もった条件での試算が目につく。また、このままでは年金財政は維持できるが、最低保障という年金本来の機能が失われてしまう恐れもある」と厳しい見方を示す。実際、国民の多くは、このまま年金制度が維持できるかどうか、将来年金をもらえるかどうかに対してとても懐疑的になっている。 年金制度に関する議論では、現在の制度を手直ししていく修正型や賦課方式をやめて積み立て方式に移行する積立型、または年金財源を全額税金で賄う税方式化型などいくつかの類型がある。その中で駒村氏は、税金で最低保障部分をカバーしながら報酬比例部分は残していく制度を提唱する。これはスウェーデン型と呼ばれる方式で、基本的には現役時代の負担に対して応分の年金が支給されることとし、そこで支給額が現在の国民年金の給付基準を下回る低所得層に対しては、生活保護と同様の考え方で税金によって一定額を補填するというもの。そうすることで、「たくさん払った人はそれ相応の年金を受け取れる」一方で、所得が低くて僅かしか年金を支払わなかった人が、とても老後の生活を支えられない程度の年金しかもらえなくなるような事態を避けることが可能になる。 年金は給付を減らしたり給付年齢を引き上げたり、あるいは保険料を上げたりすれば、制度そのものは破綻しないかもしれない。しかし、年金が老後の生活を保障するものにならなければ、もはやそれは年金の意味を成さない、単なる積み立て定期預金になってしまう。「年金は破綻しません」と言っているだけでは意味がないのだ。 国家の根幹に関わる公的年金問題をわれわれはどう考えればいいのか。今回示された試算を参照しながら、年金制度に関する議論の状況や政治の役割、報道の問題点などについて、ゲストの駒村康平氏とともにジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・公的年金の見通しについて、各紙の評価が分れる理由・楽観できない8つのシナリオ・年金改革の4類型――日本に合うのは「スウェーデン型」か・政府は「やるべきこと」をやり、国民を納得させられるか+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 倉沢愛子氏・吉田未穂氏:映画は歴史的悲劇をどう描いたのか

    2014-06-04 22:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年6月4日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第685回(2014年05月31日) 5金スペシャル映画は歴史的悲劇をどう描いたのかゲスト:倉沢愛子氏(慶應義塾大学名誉教授)、吉田未穂氏(シネマアフリカ代表) ────────────────────────────────────── 5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。今回の5金では世界で起きた虐殺の悲劇を描いた映画を取り上げる。 最初に取り上げたのは、いま話題のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』。この映画ではインドネシアで1965年に起きた「9.30事件」の虐殺当事者が登場する。 「9.30事件」とは、

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