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記事 5件
  • 「この道しかない道」の行き着く先

    2014-12-31 21:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年12月31日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第716回(2014年12月27日)恒例年末神保・宮台トークライブ「この道しかない道」の行き着く先────────────────────────────────────── 安倍首相は今回の総選挙を「アベノミクス解散」と位置づけた上で、「この道しかない」と、金融緩和と公共事業を2本柱とする現在の経済政策以外に選択の余地はないことを強調して選挙戦を戦った。そして選挙の結果、自公の与党で現有議席を上回る325議席を得たことで、「この道」は信認されたことになった。しかし、選挙の大勢が判明した選挙当日深夜の会見で安倍首相は、この選挙によって集団的自衛権の容認や原発の再稼働といった安倍政権による一連の政策が一様に信認を受けたとの見方を示した。 とはいえ今回の選挙で実際に自民党が小選挙区で獲得した票の総数は有権者全体の25%程度に過ぎない。投票率が史上最低となったことやウイナー・テークス・オールの小選挙区制の特性などで、自民党連立相手の公明党と合わせて3分の2を上回る議席を確保したが、前回に引き続き、自公の総得票数は野党の総得票数よりも少なかった。 しかし、選挙は選挙だ。少なくとも向こうしらばくの間日本は、安倍首相が望ましいと考える方向に進むことになる。首相が「この道しかない」とする道は果たしてどこに向かっている道なのだろうか。 安倍政権の政策が信認を受けたことで、今後も金融緩和と公共事業の推進が継続することになったが、その場合財政の規律が保たれるかどうかをめぐり大きな懸念が残った。また、集団的自衛権の行使が容認されたことで、今後、日本が自国の防衛に直接関係のない戦争に巻き込まれる恐れが現実のものといなった。 このように「この道」の先行きには不安が山積しているが、中でも最も懸念されるのが、言論に対する政府の介入だ。言論の健全ささえ保たれていれば、誤った政策が実行され、それが国益や市民益を損ねたとき、われわれはその事実を知ることができる。しかし、選挙の直前に自民党から各放送局に送付された公平・中立・公正な報道を求める文書とその文書に対する報道各社の反応にもみられるように、「この道」の行く先では報道や言論がかなり不自由になる恐れがある。 この選挙の結果、日本はどこに向かうことになるのか。これからも自分たちが向かっている方向を正しく知ることができるのか。恒例となった年末マル激ライブでは、今回の総選挙の結果がもたらすことになる日本の将来の難題とその対処方法を議論した。+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・2014年衆院選における「結果」と「制度」の問題点・感情の劣化が生むものと、大衆と公衆の違い・日本の歴代首相と比較して、安倍晋三は……・メディアが「このレベル」では、安倍政権に対する勝ち目はない+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 白井聡氏:与党圧勝が意味するもの

    2014-12-24 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年12月24日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第715回(2014年12月20日)与党圧勝が意味するもの白井聡氏(文化学園大学服装学部助教)────────────────────────────────────── 総選挙は与党の圧勝となった。安倍首相はこの選挙をアベノミクスを問う選挙と位置づけ、経済政策を前面に打ち出して選挙戦を戦ったが、打って変わって選挙から一夜明けた12月15日の記者会見では、集団的自衛権や原発再稼働など過去2年間の安倍政権の政策が信任を受けたとして、そうした政策を今後も邁進させていく姿勢を明確に示した。 アベノミクスという政策そのものも多くの課題が指摘されるところだ

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  • 木村草太氏:最高裁国民審査でこれだけは言いたい

    2014-12-17 23:00  
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    マル激!メールマガジン 2014年12月17日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第714回(2014年12月13日)最高裁国民審査でこれだけは言いたいゲスト:木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)────────────────────────────────────── 12月14日には衆院選挙と併せて最高裁判所裁判官の国民審査が実施される。マル激では恒例となった最高裁国民審査特集を今回もお送りする。 今回の総選挙は自民党が政権に返り咲いた2012年の総選挙から2年しか経っていないため、国民審査の対象となる裁判官も5人にとどまり、評価の対象となる判決や決定の数も限られる。とは言え、その中には一票の格差を巡る判決が2回あるほか、婚外子の相続差別違憲訴訟、沖縄密約文書開示請求訴訟、ヘイトスピーチ賠償訴訟など、日本の針路にかかわる重要な判決や決定が含まれる。有権者はそれらの判決に対する各裁判官の立場を念頭においた上で、各裁判官に対する評価を決めることが期待される。 今回審査の対象となる裁判官は弁護士出身の鬼丸かおる氏と木内道祥氏、元内閣法制局長官の山本庸幸氏、検察出身の池上政幸氏、そして裁判官出身の山崎敏充の5人。全員が参加した審理としては今年11月26日に判決が出た参議院の一票の格差裁判がある。山崎、池上の裁判官出身と検察出身の2人の裁判官が、4.77倍の格差があった2013年7月の参院選を合憲、鬼丸、木内の2人の弁護士出身の裁判官が選挙は違憲だが無効とまではいえない、元内閣法制局長官の山本氏が違憲であり、なおかつ選挙も無効とすべきとの立場をとった。  制度としては特定の裁判官に投票数の過半数が☓印をつけない限り裁判官が罷免されることはない。そのため、現実的に国民審査の結果、裁判感が罷免される可能性は皆無に近い。現に毎回☓印をつけられる「不信任率」は全国平均で7.5%前後にとどまる。これが50%を超えなければ罷免されることはないというのがこの制度だ。 最高裁判所の裁判官については、任命過程が公開されていないため、どのような過程を経て、そのような理由でそれぞれの裁判官が任命されたのかが、国民からはまったく見えないようになっている。しかも、国民審査を受ける裁判官は前回の総選挙以降に任命された裁判官に限られているため、必ずしも多くの審理にかかわっていない裁判官を国民は審査しなければならない。 過去2年間の主要な最高裁判決を取り上げた上で、審査の対象となる5裁判官の意見を検証しながら、ゲストの木村草太氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・最高裁判事はどのようにして選ばれるか・今回国民審査を受ける、5人の経歴・5人がかかわってきた裁判と、その判決・国民審査で注目すべきポイントとは+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 古賀茂明氏:この選挙で原発政策を問わないでどうする

    2014-12-10 22:30  
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    マル激!メールマガジン 2014年12月10日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第713回(2014年12月6日)この選挙で原発政策を問わないでどうするゲスト:古賀茂明氏(元経産官僚・古賀茂明政策ラボ代表)────────────────────────────────────── 選挙で原発は争点になりにくいと言われて久しい。しかし、此度の総選挙は、2011年の福島第一原発の事故の反省の上に民主党政権が打ち出した「脱原発」のエネルギー政策を、安倍政権が再転換してから最初の選挙となる。野田政権は原発推進勢力からの激しい抵抗に遭いながらも、2012年9月14日、何とか「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指す革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめ、これをポスト311の日本の新しいエネルギー政策とした。 しかし、その後政権の座についた自民党の安倍政権は2014年4月11日、原発を「重要なベースロード電源」と位置付ける新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定し、安全が確認できた原発から再稼働していく方針を打ち出した。日本のエネルギー政策は脱原発政策から原発活用政策に、再び舵を切ったのだ。 日本の官僚制度や行政問題に詳しい、元経産官僚の古賀茂明氏は、政府が国のエネルギー政策の基本的な指針となるエネルギー基本計画で原発を「重要」かつ「ベースロード」になる電源と位置づけたことで、電力会社及びその関係者、原子力の研究者などの利害当事者から成るいわゆる「原発村」は完全に復活を遂げたという。しかも、今回の復活は3・11以前のように民間主導の復活ではなく、原発を事実上政府が丸抱えして推進していく体制になりつつあると古賀氏は言う。今回の総選挙で安倍政権率いる自公連立政権が勝利すれば、原発政策も有権者の信任を得たことになる。 総選挙を約1週間後に控えた今、あらためて原発政策を問うてみたい。その一環として、まずは福島第一原発が今どのような状態にあるのかを、元福島第一原発電所4号機の原子炉圧力容器の設計者で、その後、国会事故調の委員を務めた科学ジャーナリストの田中三彦氏に聞いた。また、事故で避難を余儀なくされた原発周辺の自治体の住民の方々の抱える問題と、その問題に現政権がどのように対応しているかについて、首都大学東京准教授の山下祐介氏と、現在も東京で避難生活を送る元福島富岡町在住の市村高志氏(NPO法人とみおか子ども未来ネットワーク理事長)に聞いた。 われわれは、なぜ原発をやめられないのか。福島の被災者に必要な支援が届かないのはなぜなのか。政治と行政の歪みや官僚制度の弊害、政府と地方の関係など、原発問題を通して見えてくる問題と総選挙の争点について、ゲストの古賀茂明氏とともに議論した。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・原発が推進される理由と、各政党のスタンス・「規制委員会を規制する」委員会が必要だった・地方に迫られる理不尽な二者択一+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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  • 大沢真理氏:マル激的総選挙の争点

    2014-12-03 21:30  
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    マル激!メールマガジン 2014年12月3日号(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )──────────────────────────────────────マル激トーク・オン・ディマンド 第712回(2014年11月29日)マル激的総選挙の争点ゲスト:大沢真理氏(東京大学社会科学研究所教授)────────────────────────────────────── 安倍首相は今回の選挙を自ら「アベノミクスと問う選挙」と位置づけ、野党に対して「対案があるのなら出して見ろ」と言わんばかりの姿勢で選挙に臨む姿勢を打ち出している。 しかし、言うまでもなく、選挙の争点が何であるかを決めるのは有権者であり、安倍政治について、以下の2点で厳しい検証が必要だ。まずは、アベノミクスが本当に日本経済の立て直しに寄与しているのかという問いが一つ。そして、2つめが、2年間の安倍政権の是非を問うべき総選挙の争点が、本当にアベノミクスだけでいいのかという問題だ。 社会政策が専門の大沢真理東京大学教授は、「安倍政権下で日本の実質賃金は低下し続けている。これは企業側が非正規雇用への転換を進めてきた結果だ」と、アベノミクス効果を真っ向から否定する。一握りの大企業だけが恩恵を受けているが、国民の大多数は日に日に貧しくなっているというのが現状だと言う。雇用者の数は増えても、その大半は不安定かつ賃金も安い非正規雇用のため、個々の賃金は減少する結果となっている。 そこに、アベノミクスの目玉の一つである「異次元」金融緩和に起因する円安、輸入原料高による物価高の拍車がかかるため、国民の生活は苦しくなる一方だというのだ。 もう一つ、安倍政権の2年間を評価する際に、決して忘れてはならないのが、日本の安全保障政策の大転換だ。安倍政権は歴代の内閣が憲法9条の下では行使ができないとしてきた集団的自衛権の行使に道を拓いてしまった。また、日本が長らく平和国家としての象徴として守ってきた武器輸出三原則を緩和し、日本を武器が輸出できる国に変えてしまった。 民主的手続きの軽視も、安倍政権2年間の大きな特徴と言っていいだろう。 他にもメディアに対する政府の介入問題や、相次ぐ冤罪事件を受けて議論を始めながら、結果的に人質司法や密室司法を正当化しただけに終わった刑事司法改革、一向に取り締まりが行われないヘイトスピーチ問題など、安倍政権の2年間では日本の多くの問題が放置されたり、さらにそれが悪い方向に進んでいると言わざるを得ない。 安倍政権の下で日本はいい方向に向かっているのか。政権が唯一の拠り所とするアベノミクスも、このまま推し進めて大丈夫なのか。マル激がこの選挙、そして2年間の安倍政治の実績の中で特に注目すべきと考えた政策的な論点を、ゲストの大沢真理氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者 の宮台真司が議論した。
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++今週の論点・「アベノミクス」だけ見ても、安倍政権は失敗している・重大ながら、争点にならない社会保障問題・国内外から危惧される集団的自衛権と秘密保護法・それでも考えなければいけない、教育問題と原発問題+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
     

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