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鈴木邦男氏:安倍政権の下で国の形が大きく変わっている
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鈴木邦男氏:安倍政権の下で国の形が大きく変わっている

2017-09-27 23:00

    マル激!メールマガジン 2017年9月27日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第859回(2017年9月23日)
    安倍政権の下で国の形が大きく変わっている
    ゲスト:鈴木邦男氏(一水会元会長)
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     緊迫する北朝鮮情勢を横目に、永田町には解散風が吹き荒れている。
     北朝鮮やモリカケ問題は言うに及ばず、景気の先行きも不透明さを増す中で1か月もの政治空白を作ることには批判も多いが、日本人は得てして首相の解散権行使には寛容なようだ。メディアが「解散は首相の専権事項」との言説を当然のように垂れ流しているのは明らかな事実誤認だが、憲法7条に基づく首相の解散権については、1960年の最高裁判例が「政治と国民が決めること」とするにとどめ、判断を避けたままになっている。
     とは言えいずれにしても総選挙が行われる以上、われわれはそこで何が問われているかをわれわれなりに考え、それぞれが独自の意思決定をしなければならない。
     安倍首相は25日にも記者会見を行い、解散の意向を明らかにするとともに、来たる選挙の争点を表明するとしているが、時の権力者に選挙の争点を一方的に決められては有権者はたまったものではない。無論、選挙の争点は有権者が決めるものだ。
     そこで今回は右翼団体「一水会」の元最高顧問で、最近も天皇制や憲法改正問題などで積極的に発言をしている鈴木邦男氏とともに、安倍政権の5年間を振り返り、安倍政権とは何だったのかをあらためて検証し直すことで、選挙の真の争点とは何かを考えてみた。
     安倍政権は選挙のたびにアベノミクスや消費税増税の延期といった経済政策を前面に掲げて選挙に臨み、連戦連勝してきた。しかし、その後の政権の実績を見ていくと、経済選挙で勝ち取った過半数を盾に、実際は軍事や警察などの政府権限を大幅に強化する法律や制度の導入を専ら図ってきたことが目につく。
     また、同時に3条委員会や8条委員会など本来は政府から一定の独立が保障されている行政委員会の人事も、最低でも最大野党からの同意を得るという長年の不文律を破り、与党単独で押し切ってきた。その中には、日銀の総裁や政策委員、NHKの経営委員会やNHK予算、内閣法制局長官、原子力規制委員会の委員などが含まれる。いずれも政府の政策に大きな影響を与える組織だが、安倍政権発足後、かつての不文律や慣習はことごとく破り捨てられ、安倍政権下では独立行政委員会は内閣の一部局のような位置づけになってしまった。
     本来は右翼活動家として憲法改正を推進し、天皇を尊崇することにかけては誰にも負けないという鈴木氏だが、安倍政権による憲法改正や自民党の憲法改正草案が謳う天皇の国家元首化に反対の立場を取る。自民党の憲法改正案に謳われている愛国や家族を支える義務は、愛国者が自から進んで行うべきものであり、「国によって押し付けられるべきものではない」との考えからだ。また、天皇を国家元首とすることについても、政治利用目的が透けて見えるという理由から、今の政権の下で行うのは危険だと感じると鈴木氏は言う。
     安倍政権が実施してきた政策の中には、一定の効果をあげているものもあるだろう。安倍政権のすべてがダメだと言うつもりはない。しかし、ここに挙げられた政策の数々は、安倍政権の体質を如実に表すと同時に、個別の政策の是非を超えた、政権が変わってからも永続的に日本の針路に影響を与える法律や制度ばかりだ。目先のニンジンに釣られていると、国家100年の計を見誤る可能性があるのではないか。
     衆議院選挙は政権選択選挙と言われる。衆院の議席配分が事実上日本の首相を決定することになるからだ。であるならば、この選挙は単に目先の政策が問われているのではなく、国の行く末が問われていると考える必要がある。
     愛国者の立場から長年日本の政治と関わってきた鈴木氏とともに、この選挙が何を問うているかについて、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・政治の現状は「ヘタレがやりたい放題」
    ・右にも左にもいなくなった、尊敬すべき「愛国者」
    ・今上天皇のご意思と、宮内庁を押さえにかかった内閣
    ・選挙に向けてさらに強調される北朝鮮問題
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    ■政治の現状は「ヘタレがやりたい放題」

    神保: 解散総選挙がほぼ確定のようなので、そうであればしっかりと、選択肢というか補助線というか、投票行動を決める上で足しになることをしなければということで、政治企画を立ててみました。

    宮台: 選択の支えになるような価値を提示する・・・・というふうに、本当は言えるといいのですが、今日の議論では結局、選択肢は存在しないということが明らかになるでしょう。また、僕の感じ方だと、安倍さんの第1次内閣の辞め方を見ても、彼の心の弱さでは、モリ・カケの討論に耐えられないだろうと思いました。モリ・カケ封じというより、耐えられないということだなと。
     予告的に言えば、今回の議論全体として、ある種の「心の弱さ」がキーワードになるかもしれません。僕は損得勘定と、損得を超えた内発性、バーチュー(徳)を区別すべきだと言ってきました。内側から湧き上がる心の力こそが大事だと考えるのが、元々の右翼と呼ばれるべき立場。それを横において、制度を妥当なものにするといい社会になると考えるのが、僕に言わせると「左」です。しかし、制度をどんなにいじっても、感情がねじ曲がっていて劣化していたら、その社会はクズ。制度さえ直せば社会はなんとかなると思っている左翼のことを、リチャード・ローティは「文化左翼」――僕だったらクソリベと言う。別に左翼が悪いと言っているわけではなく、制度をめぐるあれやこれやを話題にしているが、ただの損得で言っているじゃないかと。自民党でも民進党でも、損得を超えて正しいことを言おうとする人は、危険分子とされて排斥されていく。結局、みんな自分の立場を守るのに必死だと。つまり、これは弱さなんです。そういうものを克服できる強さはどこから来るのか。今回のゲストは、そういうことをずっと考えてこられた方です。

    神保: ゲストは一水会の元会長で作家の鈴木邦男さんです。鈴木さんは5回目の出演ということで、最多だと思います。実は3年前(2014年11月29日「マル激的総選挙の争点」)にまったく同じ話をしたので、長く番組を観ている方には既視感があると思いますが、今回の解散についてどうしても気になることがある。つまり、テレビなどでも平気で「解散は総理の専権事項だから」と言われていますが、それには何の根拠もない。3年前にも言ったのに、結局それが顧みられぬままです。

     
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