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Vol.177 結城浩//マンハッタンで夏休み(2)/執筆動画解説 - 文章を書く心がけ/
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Vol.177 結城浩//マンハッタンで夏休み(2)/執筆動画解説 - 文章を書く心がけ/

2015-08-18 07:00
    Vol.177 結城浩//マンハッタンで夏休み(2)/執筆動画解説 - 文章を書く心がけ/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年8月18日 Vol.177

    はじめに

    おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    新刊の話。

    いよいよ今週末ごろから、2015年の二冊目の本、 『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』が刊行になります。

     ◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』
     http://cr.textfile.org/

    それに先だって、今週の金曜日には書店さん向けのサイン本を作るため、 編集部に出かける予定です。結城のサインはお化け坊やなので、 たくさんのお化けを描くことになりますね。たいへんはたいへんですけれど、 一冊一冊感謝しつつ描きます。 描いた本が日本中に飛んでいくようすを想像するのはとても楽しいですしね。

     * * *

    そして、今年三冊目の本。

    『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』は、 アマゾンですでに予約開始されています。

     ◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』
     https://bit.ly/girlvector

    こちらの方も現在がんばって執筆中です。 今回は図版が多いので先に図版の整理を進めています。

    ベクトルは抽象的な概念なので、簡単に説明するのが難しいですね。 矢印を使って説明されることが多いのですが、 それはベクトルのひとつの側面に過ぎません。 高校生がベクトルを学ぶときの混乱とその解決がうまく表現されるといいのですが。

    こちらもぜひ応援くださいね。

    いつものように三十名ほどのボランティアのレビューアさんに、 本書もレビューしていただく予定になっています。 複数の人の視点でコメントをもらうことは、 執筆においてとても大切なことです。

    もちろん、最終的に何をどう書くか、どういう言葉を使うかはすべて、 著者が判断すべきことです。その「判断を行っている人は誰か」の印が、 書籍の表紙に「著者」として名前が出るということですから。

    それでも、著者に対する情報の一つとして、レビューアからのコメントは、 重要な役割を果たすのです。

    今回あらたに高校生四名にレビューをお願いすることにしました。 Twitterでこんなふうに呼びかけました。

     中学一年生〜高校二年生で数学とレビューに興味がある人を若干名追加募集。
     Twitterで @hyuki あてに簡潔&明解な自己アピールをDMで送付。
     必ず本人が応募のこと。お願いする人のみにDM返信。

    だいたい五時間ほどで四名の高校生にお願いすることに決まりました。

     * * *

    高校生といえば。

    高校生といえば、先日韓国のファンの方からメールをいただきました。 中学二年のときに数学ガールを読んでから数学が好きになり、 このたび大学で数学を学ぶことになったとのこと。 わざわざ感謝のメールを送ってくださったのですね。

    高校生・大学生からのファンメールはよくいただくのですが(感謝)、 海外からのメールはそれほど多くありません。 とはいえ、Webフォームやメールを通じて読者さんの声が直接届くというのは、 たいへんありがたいことです。

    結城のネットでの活動や著作を通じて数学ならびに理系の学問に興味を持ち、 大学での進路を変えた人をたくさん知っています。 文系でも理系でもいいやと思っていたけれど、絶対理系に進むと決心した人。 数学の魅力に気付き、数学科を志望した人。 願わくは、その進路が、その方の人生によいものを与えんことを。

     * * *

    先日、倉下忠憲さんが執筆動画を公開なさっていました。

     ◆倉下忠憲「writingの現場」を公開します。(R-style)
     http://rashita.net/blog/?p=16450

    「おもしろいな」と思うと同時に「やられたな」という感がありました。 というのは以前から結城も「執筆しているようすを動画にしたら、 一つのコンテンツになるのではないか」と思っていたからです。

    以前ちょっと試しに作ってみたことがあります。2013年8月14日なので、 奇しくもちょうど二年前ということになりますね。 作ったはいいのですが、 結城には倉下さんのように「倍速で表示させる」という知恵がなかったので、 非常に「たるい」動画になってしまいました。

    二年前の動画を以下にリンクします。たった3分ですが、 見ているのはかなりつらいです。

     ◆結城浩「言葉を紡ぐ」(ニコニコ動画)
     http://www.nicovideo.jp/watch/1376476507

    倉下さんの動画で「そうか、倍速という手があったか!」と膝を打ちました。 先週の木曜日にWeb連載を書くときに、執筆冒頭の30分を録画してみました。 そしてそれを10分に圧縮(つまり3倍速)したものが以下の動画です。 これは(書き物に興味がある人には)ちょっとおもしろい動画だと思います。

     ◆結城浩「数学ガールの秘密ノート」執筆動画(YouTube)
     https://youtu.be/G0l1T2Mf8ic

     ◆結城浩「数学ガールの秘密ノート」執筆動画(ニコニコ動画)
     http://www.nicovideo.jp/watch/1439617327

    これは何か下書きを見て入力しているわけではなく、 「よし、書くぞ」と思ってから、何も見ずに考え考え書いている様子です。 そのため、ところどころに沈黙(何もしていない時間)があります。

    この動画は、私にとっては非常におもしろいものです。 執筆している自分を、第三者の視点で見る機会なんてありませんからね。 何がどうおもしろいかは、後ほどお話しします。

     * * *

    結城は記憶力が弱いので、ネットで出会う人がすごい人かどうかを覚えてられない。 なので(というわけでもないが)いつもていねいな応対をするように心がけています。

    メールで数学に関するやりとりをしていた人がいました。 とてもしっかりした文章だし、数学的な内容だけではなく、 人に対する配慮も満ちているようなメールでした。

    結城はこの人を、どこかの偉い先生で五十代くらいかな、 と思っていたのですが、プロフィールを聞いたら高校二年生! たいへん驚いたのを覚えています。

    Twitterなどでもよく「相手をしろうとだと思って馬鹿にしたら、 専門家だったので恥をかいた」という出来事がありますよね。

    ネットでは、相手はどんな人なのか、 ほんとうのところはよく分からないことが多いので十分注意したいものです。

     * * *

    「結城浩のログ」というサイトについて。

    以前から pplog というサイトを利用しています。

     ◆pplog
     https://pplog.net/u/hyuki

    これは最新一件だけ表示されるミニブログのようなものですね。 気に入って使っていたのですが、だんだん「自分専用のpplog」が欲しくなりました。 で、作ってみたのがこれです。

     ◆結城浩のログ
     http://log.textfile.org/

    仕事の合間を見てちょこちょこと改良を加え、 自分が一人で使うには十分なしあがりまでたどり着きました。 表面上は一ページのWebサイトで何の変哲もないのですが、 背後にはいちおう過去記事の編集機能や、 書き込んだ文章をプレーンテキストファイルとして保存する機能、 ログイン/ログアウト機能などが実装されています。

    結城は、こういう小さなサイトを作るのが大好きです。 作ったものがすぐ目に見えるし、 他の人に「ほらほら、こんなのできたよ!」と言えるからです。 また、小さなサイトであっても現代のWeb技術をあちこちに使うことになるので、 技術的内容を実践的に学ぶのに向いているからです。 学んだ成果が形となって残りますしね。

    もちろん、Web技術の最前線の開発者とは次元が違いますが、 「自分で作る」ことには大事な意味があると思っているのです。

    このあたりの話も、いつかまとめて結城メルマガの記事にしたいですね。

     * * *

    それでは今週の結城メルマガを始めますね。 今回は、前回に続き「マンハッタンで夏休み」をお送りいたします。 どうぞごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • マンハッタンで夏休み(2)メトロポリタン美術館
    • 執筆動画解説 - 文章を書く心がけ
    • ストレスの多くは他人を動かしたいという気持ちから
    • 成果が出るまで/時間が経つまで - 仕事の心がけ
    • おわりに
     
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