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Vol.304 結城浩/質問に答える/言葉で説明できない魅力を生む - 本を書く心がけ/
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Vol.304 結城浩/質問に答える/言葉で説明できない魅力を生む - 本を書く心がけ/

2018-01-23 07:00
    Vol.304 結城浩/質問に答える/言葉で説明できない魅力を生む - 本を書く心がけ/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年1月23日 Vol.304

    はじめに

    結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    『プログラマの数学 第2版』の話。

    先日刊行された『プログラマの数学 第2版』は、 おかげさまで多くの人に楽しんでいただけているようです。

    書泉ブックタワーの「コンピュータ書ベスト1/14-1/20」で、 『プログラマの数学 第2版』はランキング一位になっていました。 ありがとうございます!

     ◆書泉ブックタワーコンピュータ書ベスト
     https://twitter.com/shosen_bt_pc/status/954914702303272960

    ちなみに、書泉ブックタワーコンピュータ書ベストは、 第一位から第三位まですべてオビに 「機械学習」という文字が入っていますね……

    『プログラマの数学 第2版』は、 機械学習の本というわけではありませんが、 「機械学習への第一歩」という付録を書き下ろししています。

    なお、『プログラマの数学 第2版』の電子書籍版の方も、 現在編集部で準備中です。今週中には、 発売予定についての情報がアナウンスできそうです。

    応援よろしくお願いいたします!

     ◆『プログラマの数学 第2版』
     http://www.hyuki.com/math/

     * * *

    『数学ガール6』の話。

    いよいよです。

    2012年以来6年振りに、 本編となる「数学ガール」シリーズの最新刊が出ることになります。

    と、いってもまだ出版日は未定ですけれど……

    先日、2018年1月16日に第10章(最終章) をレビューアさんに送りました。

    現在は書いた原稿を何度も読み返し、 レビューアさんからのフィードバックも活用し、 ブラッシュアップしている段階です。

    結城の予定では、 今月末までに本文(第1章〜第10章)を脱稿します。 春頃には読者さんに『数学ガール6』をお届けできるはず。

    がんばります! 応援よろしくです!

     * * *

    数学を侮る同学年に憤る話。

    質問

    数学を愛する高校二年生です。

    しかし飛び抜けて数学ができるわけではありません。 一方、学校に飛び抜けて数学ができる人がいます。 しかし数学はただの解法パターンの暗記でつまらないと言います。

    正直悔しくて怒りさえも覚えます。 猛勉強すれば勝てるような相手ではあるのですが、 自分は自分の好きな数学を学びたいので、 テストのために勉強するというのがあまり好きではありません。 自分はどうすべきでしょう。

    非常に身勝手な質問でごめんなさい(長文失礼しました)。

    回答

    なるほど。

    あなたはいわば「数学の名誉を守りたい騎士」なのですね。

    あなたがその相手をテストで負かしても、 あなたは溜飲を下げるかもしれませんが、 数学の名誉回復にはならないんじゃないでしょうか。

    あなたがどうしても、 数学をつまらないという相手に意趣返しをしたいというのなら、 とてもいい方法があります。

    あなたがたっぷりと数学を学び、 本当の意味で数学を楽しむことです。

    あなたの相手が、 「数学の魅力」を見誤ったために得られない喜び、 それをあなたがたっぷり享受すること。 それが最大の意趣返しといえるでしょう。

    もっとも、あなたが幸せに学んでいることで、 相手がどのように感じるかどうかまではわかりませんけれど。

    それからもう一点。

    誰しも、 他者に対して自分を誇示したい気持ちがあります。 その気持ちは「○○なんて大したことがない」 という言動に現れることがあります。

    あなたの相手も「数学なんて大したことない」 という表現で自分を誇示しているだけの可能性もありますね。

    数学は、 数千年に渡る人類英知の積み重ねです。 たかだか数年触れただけで、 その魅力のすべてを看破できる人間は、 この世には存在しません。

    その相手も、あなたも、もちろん私も、 数学のごくごく一部しか見えていないはず。

    そのことは理解してほしいと思います。

     * * *

    プログラマの喜びの話。

    プログラマの大きな喜びの一つは、 自分が書いたプログラムが動いたときにあります。 苦労して書いたプログラムが動いた。やった! その瞬間、最高の喜びに満たされます。

    もしかしたら、 そのプログラムの出力は数字一個だけかもしれません。 もしかしたら、LEDライトがパッと点くだけかも。 でもプログラムの出力の大きさや派手さとは無関係。 プログラマはその出力が何を意味するか知っているので、 深い喜びがあるのです。

    だから、 プログラマが「動いたよ!」と言ったときに、 ちゃんとその様子を見てくれる人は、 プログラマに人気があるはずです。

    さらにいうなら、 「表示されたこの数字にはどんな意味があるの?」 とプログラマに尋ねてくれる人。 そこから続くプログラマの長い説明に耳を傾けてくれる人。 そんな人は、プログラマにとても人気があるでしょうね。

    ある会社の社長さんは、 社員のプログラマからとても慕われています。 その理由の一つは、

     プログラムを見せに行くと、
     あの社長さんはわざわざ時間とって熱心に見てくれて、
     すごく大きくリアクションしてくれる

    というものでした。よく理解できます。

     * * *

    子供のころ夢中になったおもちゃの話。

    「子供のころ夢中になったおもちゃは?」 という質問が来たので考えてみました。

    たくさんあるのですが、 最初に思いついたのは「スリンキー」でした。 スリンキーという名前は覚えていなかったのですが、 「大きなバネで階段を降りてくるおもちゃ」で検索して、 スリンキーという名前を知りました。

     ◆スリンキー(アマゾン)
     https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00000IZKX/hyuki-22/

     ◆YouTubeで「スリンキー」を検索
     https://bit.ly/2n04qJH

    幼いとき、スリンキーを買ってもらい、 階段の上から下まで歩かせて (歩かせるという表現が適切かどうかわかりませんが)、 とても楽しかったのを覚えています。

    でも、実をいいますとスリンキーが印象に残っているのは、 楽しかったからというよりも悲しい思い出があったからです。 スリンキーは大きなバネの形をしていますよね。 両手でひっぱるとビヨーンと伸びる。

    幼い私は「これ、結んだらどうなるんだろう」と思いました。 そして結んでみたところ、バネはぐしゃぐしゃに絡んでしまい、 もとに戻りませんでした。

    せっかく楽しく遊べていたのに…… もう階段の上から降りてくることもない……

    子供心にほんとうに悲しかったですね。 いま思い出しても、涙ぐんでしまいそうになります。

    そのほか、子供のころに夢中になったおもちゃとして、 「スピログラフ」というものもあります。 歯車みたいなものにペンを差し込んで、 グルグル回すと回転対称な線画が沢山描けるおもちゃですね。

     ◆スピログラフ(アマゾン)
     https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B018VQVFWQ/hyuki-22/

     ◆YouTubeで「スピログラフ」を検索
     https://bit.ly/2DoiB1i

    それから「地球ゴマ」もなつかしいです。よく遊びました。 いまでも手に感触が残っています。 いわゆるジャイロ効果で安定するので、 指の上や糸の上で回すこともできるのです!

     ◆地球ゴマ(アマゾン)
     https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001TZ5Q2M/hyuki-22/

     ◆YouTubeで「地球ゴマ」を検索
     https://bit.ly/2n1syeM

    あなたが夢中になったおもちゃって何ですか?

     * * *

    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 質問に答えるということ
    • 高校時代にどんな質問をしてきたか
    • 言葉で説明できない魅力を生む - 本を書く心がけ
    • おわりに
     
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