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Vol.303 結城浩/再発見の発想法 - 投機的実行/ミスしたときにはどうするか/嫉妬の感情と本を書く動機/
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Vol.303 結城浩/再発見の発想法 - 投機的実行/ミスしたときにはどうするか/嫉妬の感情と本を書く動機/

2018-01-16 07:00
    Vol.303 結城浩/再発見の発想法 - 投機的実行/ミスしたときにはどうするか/嫉妬の感情と本を書く動機/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2018年1月16日 Vol.303

    はじめに

    結城浩です。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    『プログラマの数学 第2版』の話。

    『プログラマの数学 第2版』がようやく刊行されました!

    先週末にサイン本が先行販売され、 今週には通常本も販売が始まります。 毎度毎度思うことですけれど、 新しい本が出るのはほんとうにうれしいです。

    ありがたいことに、 アマゾンでは数学一般書籍でランキング一位となりました。 たくさんの応援に感謝しています。

    また、驚いたことがあります。 書泉ブックタワーの「コンピュータ書ベスト1/7-1/13」で、 『プログラマの数学 第2版』がランキング二位になっていたこと。 多くの読者さんが買って下さったのですね。感謝です!

     ◆書泉ブックタワーコンピュータ書ベスト
     https://twitter.com/shosen_bt_pc/status/952394292462477313

     ◆『プログラマの数学 第2版』
     http://www.hyuki.com/math/

     * * *

    『数学ガール6』の話。

    もう少しなんです。

    「数学ガール」シリーズの第6弾となる、 『数学ガール6』の脱稿の話です。

    現在は第10章(最終章)を書いているところ。 何とか、何とか、 今週中にはレビューアさんに送ります。

    結城の予定では2018年1月30日までには、 少なくとも第1章〜第10章までは脱稿したいのです!

    がんばります。

     * * *

    論理的に考える話。

    ふだん意識して論理的に考えていないけれど、 「論理的に考える練習」をしてみたいという方へ。

    魔法の言葉を差し上げましょう。

    「論理的に考える練習」をする魔法の言葉とは、

     「なぜかというと」

    です。自分が何かを考えるときに、 ときどき、この魔法の言葉を心の中でつぶやいてみるのです。 それは「論理的に考える練習」になります。

    なぜかというと「なぜかというと」とつぶやくと、 心はひとりでに理由や根拠を考え始めるからです。

    「今晩は早く寝た方がよさそうだ。 なぜかというと……」

    「銀行からお金をおろしておこう。 なぜかというと……」

    「私の勉強方法はまずいんじゃないかな。 なぜかというと……」

    どんなことを考えるときにも「なぜかというと」 という魔法の言葉は使えますね。 何となくの思いつきで考えを進めるのではなく、 ただの印象論で判断をするのではなく、 理由や根拠を探してみる。 それは「論理的に考える練習」の一つといえるでしょう。

    ぜひお試し下さい!

     * * *

    「なぜの呪い」の話。

    一つ前の話と一見矛盾するようですが、 「なぜ」を問うことには危険があるという話をします。

    それはしばしば「なぜの呪い」と呼ばれています。 この表現はワインバーグ『コンサルタントの秘密』で知りました。

    理由は決して品切れになりません。 「なぜそれをするのか」「なぜそれをしないのか」 「なぜ」「なぜ」「なぜ」…… いくらでも問いを続けることができますし、 いくらでも理由を求め続けることができます。

    言い換えるなら「なぜ」を問い続けることは、 無限に時間を消費してしまう危険性があるということです。

    『コンサルタントの秘密』には「ムカデ」の話が出てきます。 そのムカデは、バッタからこんな質問を受けました (表現を変えて紹介します)。

     散歩するときには、どの足を先に出すんですか。
     どの足を先に出すか、どうやって決めるんですか。
     なぜ、その足を先に出さなくちゃいけないんですか。

    かわいそうなムカデは、一歩も歩けなくなってしまいました。

    論理的に考えるのは大事で、 「なぜ」を問うことは有効ですが、 問いすぎることは問題ですね。

     * * *

    記憶力の話。

    結城は丸暗記が苦手です。 何かを暗記するときには、 物語のように連なった自然な絡み合いがないと、 なかなか覚えられません。

    といっても、 そんな物語を作るわけにもいきません。 高校生時代に暗記するときには、 自分で歌にして覚えたこともありました。 頭文字だけをつなげて適当なメロディを付けるのです。

    あるいはまた、 通学路の街角と関連づけて、 歴史の順序を覚えたりすることもありました。

    最近はこのようにします。 暗記するときに「覚えよう」としません。 そうじゃなくて、

     次回、私が「これ」を思い出すときには、
     何を手掛かりにして思い出そうとするだろうか?

    と考えるのです。 つまり「覚える」ことに意識を向けるのではなく、 「思い出す」ことに意識を向けるといえるでしょう。

    こういう発想は、暗記以外にも役立ちます。 たとえば「探し物が多い人」や「忘れ物が多い人」 にも役立つでしょう。

    探し物が多い人は、 何かものを片づけるときに、

     次回、私が「これ」を探すときには、
     部屋のどこを探そうとするだろうか?

    と自問します。そしてその場所に置くのです。 たとえそこが、 片づけようとする自分の意図に反する場所だとしても。 そして多くの場合、自分の意図に反する場所でしょう。 だって「片づけたがる場所」と「探したがる場所」 の不一致が「探し物が多い」状況を生んでいるわけですから。

    忘れ物が多い人も同じです。 大切なものを持っていくのを忘れるのは、 誰しもあることですが、 それが頻繁に起きるなら困りますよね。 そういうときには、

     私が出かけるときに「必ず見るもの」は、
     いったい何だろうか?
     あるいは「必ず手にするもの」は、
     いったい何だろうか?

    と自問します。そしてその見るものや 手にするもののところに「忘れてはいけない大切なもの」 に関するメモを置いておくのです。 そうすれば、 出かける前に必ず思い出すことができるでしょう。

    記憶法に関して、もう少しいいましょう。 「覚えるとき」には、 「思い出すとき」のことを考えました。 実は「思い出すとき」には逆に、 「覚えたとき」のことを考えるのです。

     自分は以前、これを覚えようと思ったはずだ。そのときには、
     あとで自分が思い出すときの手掛かりも合わせて覚えたはず。
     さあ、いまこそ思い出すべきときだ。
     過去の私が用意した手掛かりは何だ?

    と自問するということです。

    すなわち、過去の自分と現在の自分が協力して思い出すのです。

    ぜひ、試してみてください!

     * * *

    気力が出ないときの話。

    仕事にせよ、勉強にせよ、 「気力が出ない」というときがあります。

    人によって表現はさまざまです。 気力が出ない、モチベーションが上がらない、 やる気がしない、眠い、帰りたい、サボりたい……

    もちろん結城もそういうときがあります。 昔は「こんな怠け心を起こしちゃだめだ」 と思ったものです。 でも最近は違います。

    気力が出ないなと感じたときには、

     ・低気圧が来ていないか?
     ・お腹が空いていないか?
     ・昨晩はよく眠れたっけ?

    という項目をチェックします。 つまり、自分の怠け心に要因を求めるのではなく、 低気圧・空腹・睡眠という要因を確認するのです。

    低気圧が来ると、 頭がどよんとして血のめぐりが悪くなります(私は)。

    お腹が空いていると、 「よしやるぞ!」という元気は出ないし、 「私は大丈夫だろうか」と余計な不安が襲ってきます。

    睡眠不足だと、 そもそも眠くなりますし判断力も鈍ってきます。 身体を動かすのもだるくなります。

    自分は頭だけで動いているわけでなく、 肉体を持って動いています。 いくらソフトウェアをスピーディに動かそうとしても、 ハードウェアのクロックが低下していては話になりません。 ですから、自分の意識で気力をアップさせる前に、 ダウンさせている要因がないかをチェックするのです。

    それに、気力が出ないのを自分のせいにすると、 かえってめげてしまう悪循環になりやすいものです。 気圧や空腹や睡眠不足のせいにしちゃえ!

    (睡眠不足は自分のせいかもしれないけど……)

     * * *

    それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。

    どうぞ、ごゆっくりお読みください!

    目次

    • はじめに
    • 再発見の発想法 - 投機的実行
    • ミスしたときにはどうするか - 仕事の心がけ
    • 嫉妬の感情と本を書く動機 - 本を書く心がけ
    • おわりに
     
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