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Vol.199 結城浩/再発見の発想法 - Timestamp/仕事の心がけ/編集長との新年会/教師の仕事/
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Vol.199 結城浩/再発見の発想法 - Timestamp/仕事の心がけ/編集長との新年会/教師の仕事/

2016-01-19 07:00
    Vol.199 結城浩/再発見の発想法 - Timestamp/仕事の心がけ/編集長との新年会/教師の仕事/

    結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年1月19日 Vol.199

    はじめに

    おはようございます。

    いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

     * * *

    サイン本無料プレゼントの話。

    日頃の感謝を込めて、 中文繁体字版 結城浩『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』 のサイン本を無料プレゼントします。 〆切はこの結城メルマガが配信される今日(2016年1月19日)です!

     ◆數學女孩秘密筆記:圓圓的三角函數篇
     http://snap.textfile.org/20160109222509/

    よろしければ、ぜひご応募ください!

     * * *

    風を通す話。

    「ライフハック」や「生産性向上のコツ」のような記事をよく見かける (結城がそういう話題に関心があるから)。

    それらを「鵜呑み」にしたり「神格化」するのは間違っていると思う。 「盲目的に従う」というのも違うなと思う。 しかしながら、完全に無視したり馬鹿にしたりするのも間違っているだろう。

    定期的に自分の行動や生活を見直したり、 ちょっとした改善を試みたりするのはとても健全なことである。

    それは、いうなれば、 自分のよどみがちな生活にときどき「風を通す」ような行為である。 窓を開けて空気の入れ換えを行うようなものだ。

    宮崎駿の映画「風の谷のナウシカ」で、おっ、と思ったセリフがある。 幼子に対して「いつも いい風がその子に吹きますように」と願う言葉だ。 あれはとても印象的だった。

    「いつもと同じ」「いつものまま」というと、 空気はよどむ。新しい風をときどき通すのが必要になる。

    風を通す。

    これを意識するのは、老いない工夫でもある。 思考に対して、行動に対して、人間関係に対して、 よどまないように「風を通す」ことは大切である。

    そんなことを思っている。

     * * *

    セールの話。

    結城が書いた『数学文章作法 基礎編』のKindle版が、 現在セールを続けています。 Kindleの月替わりセールらしいですね。 よろしければどうぞ。

     ◆『数学文章作法 基礎編』Kindle版
     http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00O9YUJUE/hyam-22/

    セールの影響なのか、 数学のKindle有料本ランキングで1位になったりしているようです。 お読みくださっている方に感謝!

     * * *

    バツをつける話。

    Webでときどき、 「数学的にはまちがっていない式と答えなのに、算数のテストでバツにされた」 という話題を見かける。たくさんの要素を含んでいる話題なので、 ここでは具体的には挙げない。

    結城が小学校のころの話だ。

    小学生のころ「二進法」を覚えた。 十進法と違うような、 それでいて同じような、そんな計算が楽しくて、 たくさん書いて遊んでいた。

    そして、祖母に「ここが2の位だよ」と得意げに教えた (十進法では1の位、10の位、100の位、1000の位だけれど、 二進法では1の位、2の位、4の位、8の位になる)。

    二進法を知らない祖母は、十進法の感覚で、

     「浩ちゃん、2の位なんてないんだよ」

    と言いかける。その直後、祖母は「はっ」とした顔になり、

     「いや、おばあちゃんにはわからないけど、
     おもしろい話なのかもしれないね」

    と言ってくれた。

    孫が楽しそうに意味ありげなことをしているときに、 自分がよくわかっていないことを不用意に断じないようにしよう、 祖母はそう思ったのだろう。

    自慢の祖母である。

     * * *

    「このコンピュータ書がすごい!」の話。

    毎年、年の初めには、ジュンク堂書店池袋本店で 『新春座談会 このコンピュータ書がすごい!』 というトークセッションが開かれます。

    これは一年間のジュンク堂書店池袋本店での売上冊数ランキングを元に、 一年間、多くの人に読まれてきたコンピュータ書を紹介するイベントです。 今年の「2016年版」は先日終了したところ。

     ◆『このコンピュータ書がすごい! 2016年版』開催情報
     http://compbook.g.hatena.ne.jp/compbook/20160104

    結城が書いた『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』が、 このイベントで年間第5位に入ることができました。 ジュンク堂書店池袋本店さんで、 昨年2015年に売れたコンピュータ書で第5位ということで、 たいへん光栄なことだと思っております。 応援してくださる読者さんに感謝です!

     ◆2015年ジュンク堂池袋本店コンピュータ書売上冊数ランキング第5位
     http://compbook.g.hatena.ne.jp/compbook/20160105

    ところでこのトークイベントはYoutubeで見ることができます。 よく売れたコンピュータ書というのは業界の動きを映し出す鏡とも言えるでしょう。 単に本のリストを読み上げるわけではなく、 達人出版会の高橋さん(日本Rubyの会代表理事)による一言コメントがあるので、 たいへん参考になりますね。

     ◆新春座談会 このコンピュータ書がすごい! 2016年版
      2015年に出たコンピュータ書ならこれを読め!
     https://youtu.be/LJ_evEQ0Rso

    ちなみに、結城の本が紹介されているシーンは、こちらから。

     https://youtu.be/LJ_evEQ0Rso?t=1h29m25s

     ◆スクリーンキャプチャ

    2016-01-09_compbook.jpg

     * * *

    Simplenoteの話。

    最近Evernoteが重いなあという話をWebで読んでいて、 そこでSimplenoteというサービスが紹介されていた。

    Simplenoteというのは、 プレーンテキストをクラウドで管理できるサービスらしい。

     ◆Simplenote
     http://simplenote.com

    プレーンテキストというのは、 見出しや強調文字やフォント情報などを持たない「素のテキスト」である。 たとえばプログラムのソースコードは通常プレーンテキストで管理する。

    実は、EvernoteやiCloudのメモだと、 プレーンテキストを管理するのが難しいし遅い。 Simplenoteではそれが非常に簡単にできる。 また、書いたテキストをワンタッチでWebとして公開する機能もある。

    試しにいろいろと使ってみているところ。

     * * *

    夜の目覚めの話。

    午前二時や三時に、ふと目が覚めることがある。 たいした理由もないのに、変な時間に目覚めてしまった。

    睡眠は大事なので、すぐにまた眠るのだけれど、 こんなふうに変な目覚め方をしたときには、 「いま、まさに眠れないでいる人」のために、 神さまに祈ってから眠るように心がけている。

    病気や悩みや気がかりなこと、 さびしさやつらさや不安などで「眠れない」ことは、 誰にでもある。特に理由がなく「眠れない」ことだってある。

    変な時間に、ふと目が覚めたというのは、 「そういう人のために祈れ」という意味かもしれないと考えている。

     ◆あなたのために、祈ります
     http://www.hyuki.com/pray/

    そして、人のために祈ることは、 とりもなおさず自分のためでもあることに気付く。

     * * *

    数のイメージの話。

    あなたは、とても大きな数、 たとえば「1億」を具体的にイメージすることができますか。

    もし、あなたが日常的に「1億《円》」を扱っているなら、 イメージしやすい……のかな? ただし、そのイメージは、 ほんとうに「1億」という数をイメージしたことになるといえるか。

    私が考えたのは「組み立てていく」方法。

    まず、100ならイメージしやすい。

    さらに100×100=10000もなんとかわかる。 つまり100×100=10000個の四角(□)を正方形のマス目状に並べるのです。 これで「万」がイメージできました。「万」を四角(■)で表しましょう。

    この「万」を使って「億」を組み立てます。 つまり、1000×100=10000個の四角(■)を正方形のマス目状に並べるのです。 これで1万個の■、つまり1億個の□が並んだことになりますね。 これで何とかイメージできました。

    人によっては「1億を表記すると1のあとに0が8個並ぶ」ことで、 イメージする人がいるかもしれません。 これ数学の「常用対数」を使っていることになりますね。 「10を底として、1億の対数は8である」からです。

    あなたなら、「1億」をどのようにしてイメージしますか。

    Twitterでは、「3年は約1億秒」や「1万円札が1万枚」など、 いろんな意見をいただきました。

     https://twitter.com/hyuki/status/683932648658452480
     https://twitter.com/hyuki/status/683933713630019584

     * * *

    少年の話。

    実用数学技能検定準1級に昨年最年少で合格した高橋洋翔さん(8歳)の記事が、 日経MJ(2016年1月4日付)に掲載されていました。 記事には「将来は数学者になり、リーマン予想を証明するか反例を見つけたい」 とありました。いまは結城浩の『数学ガール/ガロア理論』を読んでいるとのこと。

    コメントとして「リーマン予想を証明するか反例を見つけたい」 が掲載されていました。リーマン予想が(正しいことを)証明するか、 (誤っていることを証明するために)反例を見つけたいというコメントから、 この子がよく「わかってる」ことが伝わりますね。

     * * *

    バッハの話。

    グスタフ・レオンハルトが演奏するバッハの「フーガの技法」はすばらしい。 すべてについてすばらしいのだけれど、特に《間合い》がすばらしいと思う。

    バッハの曲はまるで数学のようにかっちりしているという印象があるけれど、 だからといって機械的に音符を並べればいい演奏になるわけではない。 レオンハルトの演奏を聴いていると、 「これ以上曲のテンポをゆらがせたら、すべてが崩壊してしまうのでは」 というギリギリのところまで、ぐっとためているように感じる。 そのあやうさが絶妙なのだ。

    結城が文章を書くとき、その多くはグスタフ・レオンハルトの「フーガの技法」 をBGMとしている。結城にとって、これくらい文章を整えてくれる音楽はない。

    正確だけれど無味乾燥じゃない。 「香り豊かな計算機」あるいは「官能的なビット列」の趣を感じるのである。

     ◆バッハ「フーガの技法&クラヴィーア練習曲集第2巻」(レオンハルト)
     http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0009I8UKU/hyam-22/

    同じくバッハの「音楽の捧げもの」もお勧め。

     ◆バッハ「音楽の捧げもの」(レオンハルト)
     http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005G7ZE/hyam-22/

     * * *

    それでは、今週の結城メルマガを始めましょう。

    今回は「再発見の発想法」のコーナーで、

     Timestamp(タイムスタンプ)

    の話をお送りします。

    その他の読み物も、 どうぞ、ごゆっくりお読みください。

    目次

    • はじめに
    • 再発見の発想法 - Timestamp(タイムスタンプ)
    • 経営者のこと - 仕事の心がけ
    • 編集長との新年会 - 本を作る心がけ
    • 教師の仕事とは - 教えるときの心がけ
    • おわりに
     
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