結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年10月27日 Vol.187
はじめに
おはようございます。 いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。
朝晩冷え込むようになってきました。 お風邪など召しませぬように。
気温は低いのですけれど、昼間はよい天気が多くて、 さわやかな秋を楽しんでいる気持ちになります。 もうちょっとで、 そんなことも言ってられないほど寒くなるのでしょうか。
季節はめぐりゆくものですね。
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恋の話。
夏目漱石が "I love you."を「月が綺麗ですね」と翻訳したとか、 いや翻訳していないとか、そんな話題がTwitterで流れていたので、 こんなことを考えました。
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「恋をしている」とは、
「月が綺麗ですね」という相手の言葉が
"I love you."
という意味に聞こえる状態のことである。
結城浩(2015年10月12日)
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そう思いませんか。
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新刊の話。
この結城メルマガが配信される2015年10月27日に、 『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』の再校読み合わせが行われます。 結城が編集部に出かけていって、 編集長といっしょに校正紙を一ページ一ページ読んでいくのです。
一冊の本ができるまでにはいろんな工程があるものですね。 でも、今回の再校読み合わせが終われば、結城の手から仕事は離れ、 出版社+印刷所さんのお仕事へと完全に移って行きます。
そして、いよいよ来月には出版となります。 楽しみですね!
今回の新刊は「ベクトル」がテーマです。
ベクトルは、三角関数や微積分と並ぶ重要な題材ですけれど、 何だか抽象的でわかりにくい題材でもあります。 難しくてわかりにくいというよりも、 「だから何?」といいたくなる。 それがベクトルです。
数と似ているけれど、数そのものではない。 図形問題で出てくるときもあるし、矢印が出てくるけれど、 図形だけに使うものでもない。
ベクトルっていったいなんだろう?
今回の「数学ガールの秘密ノート」では、 テトラちゃんやユーリが、根本的な質問をたくさん投げかけ、 ベクトルの姿を少しずつ明らかにしていきます。
あまり高度な内容は扱いませんけれど、 ベクトルを習う人がひっかかりそうなところは、 それなりにカバーできたのではないかなあと思います。
『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』を応援してくださいね!
◆『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』
https://bit.ly/girlvector
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URLの話。
Mediumというサイトがあります。
◆Medium
https://medium.com
ここはブログのように記事を書くサイトですが、 そこで記事を書くと、URLの中に「記事のタイトル」が含まれてしまいます。 たとえば、"This is a test."というタイトルを持った記事を書くと、 以下のようなURLになります。 URLの中に "this-is-a-test-" という文字列が含まれていますね。
◆This is a test.
https://medium.com/@hyuki/this-is-a-test-146f7b1e35d
すぐに「では、タイトルを変えたらURLは変わってしまうのか?」 という疑問が浮かびます。答えは「URLはこのまま」です。 つまり、タイトルがURLに反映されるのは初めだけらしいですね。
実は、タイトルに含まれる "this-is-a-test-"という部分を削除しても、 同じ記事にたどり着くことができます。 でも、リダイレクトされて表示された記事ではやはりタイトルが入った形になります。
◆This is a test. (URLは違うけれど、同じ記事へ行く)
https://medium.com/@hyuki/146f7b1e35d
結城は、URLにタイトルが入る仕様があまり好きではありません。 なぜなら、記事を公開した後、タイトルを変更することだってあるじゃないですか。 場合によってはタイトルを正反対の意味にしたくなることもある (This is not a test.のように)。 そうすると、タイトルとURLに齟齬が出てしまう。 でも、すでに世界に公にしたURLを変えて回るわけにはいかないですよね。
有名な "Cool URIs don't change" という記事では、 作者名、表題、状態、アクセス権、拡張子、ソフトウェアメカニズム(cgiやexecなど)を避けよ、 と書かれています。
◆Cool URIs don't change
http://www.w3.org/Provider/Style/URI.html
もっとも、URLの中に具体的な名前を入れるというのは、 検索エンジンで優位になるという意味があるかもしれません。 たとえば、Amazonでは商品名などがURLの中にばっちり書かれています。
結城は、日付と時刻を使ったURLが好きです。 なぜなら、最初に作った日時というのは、 いくら記事が編集されようとも変わることがないからです。
あなたには、好きなURLの形式はありますか。
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暗号本の話。
今年の8月に刊行された『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』は、 たくさんの読者から応援をいただいております。 先日、編集部から連絡があり増刷が決定しました。 今回の増刷で第3刷となります!感謝です!
◆『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』
http://cr.textfile.org/
驚くほど速いペースでの増刷です。8月に初刷、9月に2刷、10月に3刷! これだけ速いペースになったのは、 この本がちょうどタイムリーなものだったのかもしれませんし、 前回の第2版(2008年)からだいぶ時間が経っていたからかもしれません。 あるいは、今回は単なる情報のアップデートではなく、 加筆部分も多かったというのが喜んでもらえたのかもしれません。 いずれにしましても、第3版を出してほんとうによかった!と思います。
これからも応援をよろしくお願いします。
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それでは今週の結城メルマガを始めます。
最近、イラスト描き(というか「お絵描き」)をするのがマイブームなので、 その紹介と、何を考えているかについてお話しします。
また、もうすぐ今年も終わりになるので、 「自分の収入を分析する」ということについて考えます。
また、Q&Aのコーナーでは、 「執筆原稿のバージョン管理」についてお話しします。 あまり複雑な話ではなく、バージョン管理の基本的な話をしましょう。
では、どうぞごゆっくりお楽しみください!
目次
- はじめに
- 最近はイラストがマイブーム
- 自分の収入を分析する - 仕事の心がけ
- 執筆原稿のバージョン管理とは? - Q&A
- おわりに
この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。