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記事 22件
  • 「社員のモチベーションなど気にする必要は全くない?」プロ意識の落とし穴

    2015-06-30 23:45  
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    ミライ: フツクロウさん、中の人忙しいらしくて、なんと二日連続登場です!フツクロウ: ホッホッホッ。ミライ: で、こんな記事見かけたんですよ。 「社員のモチベーションなど気にする必要は全くない。管理職研修など不要」と言った経営者の話。 フツクロウ: ホウ。ミライ: とってもいい話なんです。プロはやる気を言い訳にせず、クオリティの高いものを仕上げようとするという。フツクロウ: ホホウ。ミライ: だから、管理者が教育すべきは、モチベーションではなくプロ意識であると。フツクロウ: なるほどの。ミライ: 確かにその通りだと思うんです。けど、「モチベーションは外から与えるものではなく、その人が自ら生み出すものだからだ。」って会社はまったく無視していいもんなんでしょうか。そこまで0,1の話なのかあと。フツクロウ: まあ、記事としてはそう言い切ったほうが読まれるからの。ミライ: はい。では、仮に0,1でないとしたら、管理者側からみて部下のモチベーションはどうして養う必要があるのでしょう。フツクロウ: ホッホッホ。なるほど。簡単じゃ。そこに書いてあるこれがヒントじゃな。件の経営者に「プロ意識はどのように教育するのですか?」と聞くと、彼はこう言った。
    「必要なのは、まずプロとしてのあるべき姿・規律などの行動規範。第二によく考えられた目標。そして最後にそれらを体現する模範的人物。これらが必要なことの全てであり、どれが欠けてもプロ意識は生まれない。」

    ミライ: これ、が、ヒントですか? すごくもっともだと思うんですけど。フツクロウ: もちろん正しい。ホウじゃが、この3つの要素すべてには、ある大前提があるんじゃ。ミライ: 大前提?フツクロウ: ホウじゃ。それは、「あるべき姿」が明確であるということじゃ。ミライ: 「あるべき姿」……。ああやることが決まっているのですね。フツクロウ: ホの通りじゃ! 例えばイラストレーターが依頼を受けたとする。要望に沿って納期を守って、しかもプロとしてクオリティの高いものを提出する、そういった行動規範が明確なわけじゃ。ミライ: はい。でもそれはプロ全部に言えることで間違ってませんけど。フツクロウ: その枠組みの中ではの。ミライ: 枠組み……。フツクロウ: ホウじゃ。日本がデフレをずっと引きずっておる理由はなんじゃ? みんなが買いたいと思うもんが少ないからじゃ。今日本が喉から手が出るほど欲しいものは、みんなが欲しくなるような新しい商品あるいはサービスじゃ。 

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  • やらかい技術再び。やらかい回路

    2015-06-29 23:45  
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    ミライ: フツクロウさん、またまたやらかい技術の登場です! 東大、布地にプリント可能な高導電率の伸縮性導体を開発 | マイナビニュース 東京大学(東大)は6月25日、1度のプリントだけで、布地に電子回路を形成できる高い伸縮性を有した導体を開発し、それを用いたテキスタイル型(布状)の筋電センサを作製することに成功したと発表した。
    フツクロウ: ホウ。伸び縮みする布地の上に電気回路を作ることができるという話じゃな。確かに「やらかい」の。ミライ: でしょでしょ。フツクロウ: 「またまた」とは、前なんてあったかの。ミライ: ありましたよ! たとえばですね、えーと、少々お待ちください・・・。 はい、これです、これ。 発電ゴムと自然と調和する科学の関係   伸び縮みで発電するゴムで、従来よりはるかに効率が良いものができたという話です。しかも、できたけど、発電の原理はよくわかってないというエピソード付きです。フツクロウ: ホウホウ。やらかいの。ところでいま背中に隠したのはなんじゃ?ミライ: アハハハハハ、なんでもありません。さらにこんなのも紹介しました! 歴史的瞬間、人類が葉っぱ一枚作れた日   葉緑体を封じ込めて酸素を作ることができる人工の葉っぱを作ることができたというお話です。これもやらかいでしょ?フツクロウ: ホウじゃな、確かにやらかいの。ミライ: はい、最近どんどんやらかい技術、増えてます〜。フツクロウ: たまたまかもしらんぞ。ミライ: いえいえ、中の人も「自然と調和する科学」とかいうかた〜い言葉で解説してます。フツクロウ: ホッホ、確かに堅いの。ミライ: はい〜。 

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  • 会員制農業で生のりや生酒をゲットできるようになるか

    2015-06-26 23:45  
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     最近生のりをいただくようになりました。福山ではのりが獲れるのです。冷凍で頂いてます。新鮮な生のりは、焼きのりや佃煮とはぜんぜん違う世界で大変おいしいのですが、スーパーとかではあんまり流通してません。 最初頂いたとき、「これほとんど洗わずにすぐ冷凍したので、洗ってから食べてください」とかなり念をおされました。実際は洗ってもほとんどゴミでないですし、口に何か残ることもありません。 どうして洗わずに冷凍するのか詳しくは知りませんが、味が落ちるとか、とても手間がかかるとか理由があるのだと思います。そのため一般にもあまり流通しないのでしょう。 たまにゴミが入っているかもしれないというような商品は、今の時代、残念ながら普通の商品にはなれません。断り書き書いたとしても、苦情が入り続けていくことはできません。 どのお酒かは忘れましたが、いままでかんばって生酒を出していたがトラブルが多いのでもうやめますというお話を最近ネットでみました。生酒は発酵が進むので管理が悪いと破裂したりします。 どんなにそのような問題点を丁寧に説明していても、その商品がギフトとして他人に渡る可能性があります。生酒なんてそのような状況が容易に想像できます。そして、そこで管理が悪く割れることもあるでしょう。 ほしいという人はたくさんいるのだけど、製造側としては続けていけないと判断せざるをえないでしょう。 世の中にはこんな風に消費者側がリスクをとれば手に入るものがいっぱいあります。 こういうのをなんとか流通させられないものでしょうか。 その一つの手段として「地域支援型農業(CSA)」みたいな方法があると思います。会員制にしてその会員に配布する。前払い決済のことが多く、その分農家も安心して取り組むことができます。 そのような仕組みであれば、受け取る人にあらかじめしっかりリスクを説明しておくことができます。そもそも不作だとお金を払っているのにもらえないこともあるモデルですから、会員はリスクを取ることはがっつり認識しています。 さて、しかし、それでも一つ問題が残ります。再配布の問題です。 これについては、「非売品:会員専用/この商品は取り扱いに十分注意する必要があります」という感じのラベルをでかでかと貼るのはいかがでしょう。 

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  • [S]脳内垂れ流しできる思考ツールほしい

    2015-06-26 00:30  
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     今日は木曜ですが、昨日通常運転だったので、気楽に始める[S]です。 昨日酔っ払って帰ってきて、ちょっと仕事チェックしようと思ったら、回線の調子が悪いのか、読み込み中に表示される一言がずっと表示されてました。 そのときふと思ったことをつぶやこうとして書き始めました。書き始めたときは、後述の最初の6行分くらいを書いて終わるつもりだったのですが、書き始めたらなんかずるずる25行になってました。 これがそれなんですけど。
    仕事で使ってるグループウェア slack を読み込む間に、
    Be cool. But also be warm.
    と出るのだけど、
    字面的に明らかに矛盾してるやん?
    自然はどこも矛盾せいへんやん?
    動植物もおそらくまったく矛盾ないやん?
    宇宙(コスモ)なんか、文字通り秩序やん?
    Be cool. But also be warm.
    見て、うんうんそうだよね、
    って平気な顔していうの人間だけやん?
    なんでそんな意味不明なこという人間が、
    地球上で一番宇宙に近づいてるん?
    ああ、矛盾がないと疑問を持たないのか。
    言葉ってすげえな。
    なぜ秩序の世界から、
    こんな矛盾だらけになれるものが生まれるんだ?
    と思ったけど、
    それは簡単で、
    AさんとBさんが同じもの見て違う言葉で表現するからか。
    同じ物を見たとき、動物の個体Aと個体Bは違う行動をするかもしれないけど、彼らは今しか生きてないから、片方は死に片方は生き延びるとその場の結論がすぐ出る。
    言葉はずるずる残ることで矛盾や疑問を導くんやな。
    人工知能が知識を持つには、アイドル時間に過去の自分の見聞を反芻するといいのではないかと思っていたが、その上でさらに他の人間や他の人工知能と意見を交わすことで、矛盾を顕在化して、そこに意識ができるのではないだろうか。

     書き始めたときは本当に上6行くらいしか考えてなくて、ですからこれは脳内思考をリアルタイムに書きとめられたことになります。 (なお、内容について、それは "cool head, warm heart." であってぜんぜん矛盾してないという冷静なコメントを頂いています) 脳内思考をリアルタイムに書きとめるというのは、私が常々憧れるものであり、でも持っていませんので、これは見逃せない体験です。 普段はどう違うのか。・通常頭で考え始めたことをいちいち書き留めたくても、頭の回転の方が圧倒的に早く打つのはついていけません。しかも、ついていってもわりと困ります。昔はローマ字打ちで、打つのが速くなるにつれ、思考の速度にタイピングの速さが近づき出した時、指は痛くなるわ、思考の速さは指に合わせて遅くなるわ、でもこれ以上指は速くなりそうになかったので、40歳過ぎてからかな打ちに変えました。しかしもはや40過ぎ、思考の速さと同じになる程度には上達していません。 英語ならかな漢字変換いらない分、考えるスピードで打てる人、普通にいるかもしれません。ちょっと羨ましいです。 上のときは、酔ってて思考のスピードが遅くなってたというのが良かったのかもしれません。・考えてから書く時には、すでになまなましい過程はいろいろ削ぎ落とされていて、よく言えばまとまっていますが、本当に面白くなるはずのところが落ちてしまっている可能性があります。 あるいは、思考中に忘れないようにメモを書き留めることがありますが、こちらは私は大の苦手で、あとで見たときほとんどの場合意味がわかりません。直したいのですがなかなか直りません。 でも、上ではあとで読んで一応意味がわかる程度になっていました。自分的には画期的だったのです。 なにがポイントだったのでしょう。 ?つぶやきだったから?
     一応人が読むところに書いていましたので、人が読めるように書いていました。でもそれは普段いつもやってること。その時書きながらいろいろ思いつくことはありますが、この時のような 

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  • マイナンバーは日本で運営できるのか。(その2)

    2015-06-24 23:45  
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     マイナンバーは日本で運営できるのか。(その1)の続きです。 そういえば(その1)でアメリカには身分証明書として、免許証作るところとおなじところで運転できないけど身分証明書として使えるものを発行してもらえるという話をしたのですが、日本でも高齢で運転免許所を返納すると、運転経歴証明書をもらうことができて、それは身分証明書として使えるそうです。いずれ運転できない人にも出すようになるかもしれないですね。 現場で柔軟な対応を得意とする日本人ですが、その気質はITセキュリティを堅強にする上では、マイナスに働きがちです。 このような状況を防ぐにはやっちゃいけないことはそもそもできないシステムを組むなどができるかもしれません。 よくお店で「両替お断り」とかありますけど、アメリカのスーパーとか物を買わないとレジが開かないようになっていたりして、交渉の余地すらないとこありました。多分レジ打ちによる不正対策の一環だったのではないかと思います。最近日本でお金入れたらお釣りが自動で出てくるレジとかありますけど、アメリカにも普及してるんじゃないかなあと想像します。 ここまでセキュリティの観点で見てきましたが別の面でも心配があります。問題3 アメリカのような縦割りシステムができるか
     アメリカには昔から陪審員制度がありますが、アメリカにいたとき、その召集通知が来たことがあります。しかし、市民ではないので受けることはできません。届いた書面に「市民でないからできない」というところに印をつけて返送するだけです。 でも面白いなと思ったのは、裁判所は私が市民ではないことを知らないということです。なんらかのデータベースから無作為に選ばれているのだと思いますが、そこにその情報はないわけです。効率は悪いですが、裁判所といえども、市民に関する情報をなんでもかんでも勝手に見ていいわけではないということなのでしょう。 ある人が不法就労していたところ、たまたまその店が警察にガサ入れされ、自分も強制送還かと思ったのですが、まったくお咎めなかったという話を聞いたことがあります。警察は移民局の情報を持っていないのです。 あれだけの情報社会ですから、共有しようと思えば簡単にできてしまいます。それだけに、きっと共有してはいけないという強い規制があるのだと思いますし、アメリカの高度な分業化もそのような仕組みを作るのに相性がいいのでしょう。裏を返せば融通は利きませんが、プライバシー保護の観点から受け入れなくてはいけない不便さといえます。 日本のマイナンバー制度が始まった時、このような守るべき縦割りがうまくいくのか、気になります。最近の日本なら、できそうな気もしますし、でも地方の高齢者相手となると厳密運営を徹底できるかなかなか難しいところも出てきそうです。問題4 IT化が進まない日本
     アメリカで暮らした時の体験を抱えて日本に戻ってきた時、民間にしろ行政にしろ IT 化の進みが遅いなあと感じました。いったんIT化を体験すると、その便利さから雪崩のようにそっちに進むかと思いきやそうでもありませんでした。日本は他の進んでいる国比べるとIT化はずいぶんのんびりしているようにみえます。 いつもそれはなぜかと考え続けています。当時は高齢者などの反応の違いかと考察したことがあります。 Windows95 などパソコンが普及した時、アメリカでは高齢者も「これで孫とメールができる」と積極的に取り入れていったと聞いています。それは、タイプライターの文化が大きかったのではないかと思います。アメリカ人はもともとタイプライターを使っていましたから、キーボードに抵抗がなかったのでしょうというか抵抗がないものが開発された。その点日本人にとってキーボードはまったく馴染みがないデバイスでしたから、高齢者にとっては大きな障壁です。 そんな時代も通り過ぎいまや時代はスマホ。逆にキーボードを使ったことがない世代が出てこようとしています。コンピュータを使い出した世代が高齢者になりだし、いまや IT 化を拒む要素はないように見えます。 それでも日本のIT化はあまり加速せずのんびり進んでいるという感じです。日本人にはキーボードがとっつきにくかったとか技術的な問題が根本の問題ではなさそうです。 最近思うようになったのは、日本人は過度な規格化を好まないのかもしれません。何かをウェブサービスで提供するということは、利用者がその規格化に合わせることになります。 アメリカで仕事していた頃、最初のうちは、見積や注文する時にはエクセルで書類を作ってメールで送るみたいなのが主流でした。それがとっても効率良くてホクホクしていたのですが、そのうち 

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  • マイナンバーは日本で安全に運営できるのか。(その1)

    2015-06-23 22:00  
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     マイナンバーは日本で運営できるのか。(その2) はこちら。  もうすぐ導入されるというマイナンバー制度。しかし、日本年金機構から個人情報が漏洩した事件にみられるように、導入して大丈夫だろうかという不安もあります。 私はアメリカにいたときに、SSNといういわゆるマイナンバーを持っていて、日常あらゆるところで使っていましたし、とても便利なので日本でもいずれは導入していろいろ効率化を図っていくのだろうなと思っていました。 とはいえ、二つの国はいろいろお国柄も違いまして、このまま導入していいのかといろいろ不安もあります。私の体験も紹介しながら、日本のマイナンバーが抱えるであろう問題を考えようと思います。問題1 日本は平和すぎていまだに写真なし身分証明書がある
     ある時、健康保険証を持ち歩くようにしたのですが、それを人に話したら「落としたら借金されるぞ」とダメだしを受け、止めたことがあります。写真付きでない身分証明書は悪用されやすいというわけです。 アメリカには健康保険証はありません。そのかわり、IDが書かれたぺらぺらの紙を持ち歩いていて、病院でそれを見せると、病院はどこかに連絡して確認していました。アメリカにできて日本にどうしてできないのかいまだに不思議です。 アメリカには写真のない身分証明書はないです。というか、運転免許証にほぼ統一されてます。「運転できひん人どうすんねん!」と思うとおもいますが、運転免許の試験所に行けば、運転はできない、身分証明書を発行してくれます。 この仕組みには驚きました。さすが効率化の国アメリカ。日本だとその代わりに住基カードを作ったのだと思います。しかし、じゃあ写真付きでない健康保険証は廃止するかと思いきや、わざわざ写真なし住基カードを作って写真なしを増やす始末。そのせいもあって、身分証明書はぜんぜん整理されず、住基カードはほとんど普及しません。それどころか経費はかさむし、詐欺の温床になりかねません。住基カードを日頃から見てなければ、偽造されても偽物とわかりません。運転できない人も運転免許所で身分証明を取るというのは、経費も変わらないし、見た目は運転免許証と同じ作りなので、市民も確認しやすいことでしょう。 逆に言えば、それだけ頑丈にしないと詐欺が大変な問題になります。アメリカに行ったばかりの頃、パスポートとトラベラーズチェックでデジカメ買おうとしたらなんかものすごいチェックが厳しくて、たかがデジカメにと仰天したことがあります。 日本は逆に財布落としても返ってくるという点で海外にびっくりされる国。日本でも健康保険証落としたら借金作られるかもしれませんが、返ってくる可能性も高く、写真なし身分証明書なんてものがいまだに残ってしまう遠因になっています。昔々なら写真もそれなりに高価でしたから意味もありましたが、この時代、そんなものは悪でしかありません。どんどん廃止すべきなのですが、市民がそんなに困り果てないくらい、日本はとても平和なのです。 そんな廃止もなかなか進まない日本で、マイナンバーまでいれて大丈夫か?という不安はあります。 (2016/6/24 追記: 日本でも高齢で運転免許所を返納すると、運転経歴証明書をもらうことができて、それは身分証明書として使えるそうです。いずれ運転できない人にも出すようになるかもしれないですね。)問題2 みんな柔軟だけど厳密運用が苦手
     アメリカのレストランだと、バスボーイと呼ばれる片付けだけする人とかがいて、その人は注文絶対取れないし、逆にウエイターがちょっと気を利かせて片付けたりなんてことも絶対してはいけないといいます。 アメリカこういう厳密運用が得意です。だから、客からするとぜんぜん融通利かなくてすごく困ることもありますが、アメリカの従業員は職務規定以外なのでできませんとか、お客さんに普通に言えます。 日本だとそういうとことても融通を利かすことができますし、いわゆる日本の「おもてなし」はそういう力が生み出していると言えます。 しかし、この日本の特性は、残念ながら IT のセキュリティーとは相性が悪いです。 

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  • 10年前のドラマ「女王の教室」での指摘を正しくする

    2015-06-23 00:00  
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     最近、10年前のドラマ「女王の教室」での指摘がまさに今だという記事が話題になっていました。 10年前のドラマ「女王の教室」での指摘、現在の日本の姿と完全に一致していることが明らかに | BUZZAP!(バザップ!)   話題となっているセリフはこちら。 いい加減、目覚めなさい。
     日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでるか知ってる?
     今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。世の中の仕組みや不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら上司の言うことをおとなしく聞いて、戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦ってくればいいの。

     「戦争が始まったら、真っ先に危険なところへ行って戦って」あたりが、今ホットな安保法案を連想して話題になっているのでしょう。 でもちょっと待ってください。この世を生き抜いていくには、このセリフの正しいところと正しくないところを見定めていかなければなりません。そして、もう今このセリフは過去になっていることも。 まず10年前、このセリフの正しいところ。あ、いや、20年くらい前まででしょうか。 それは「今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。」の部分。ただしどういう風に愚かであってほしいかというと、テレビCMなどの広告でほいほい買う気になってくれて、買ってくれるような愚かさです。 「愚か」というと本当は語弊があって、別にみんなで楽しく消費してその分が給料に回って景気が良くなるならそれでもいいのでしょう。必要もないのに毎年車を買い換えたっていいのです。そういう大量生産消費時代が立ちいかなくなったのは、エネルギーや資源の問題からです。 ですから、人々はモノではなく、ちょうど発展してくれた情報の大量消費に移行しました。モノの大量消費は控えるようになりましたが、大量消費気質はこれっぽっちも変わっていません。モノの代わりにスマホのゲームとかモノがいらないものをひたすら消費するようになりました。 が、情報を大量に消費しするとき、人々は必ずしも大企業の作る大量生産のものに頼る必要はなくなりました。情報は大企業でなくても作れます。一般の人が書くブログのように。それをタダで読むことができます。むしろその多様性を知れば、大企業の作り出す情報なんて画一的で退屈です。 そして、10年前(20年前?)のそのセリフが、その時から間違っているのは、「高い税金を払うことで成り立」つという部分。税収は54兆円とか、国民総生産(GDP)の方は460兆円とか、GDPの方が一桁上です。税金よりも国民が使うお金の方がよほど重要です(というか所詮その一部しか税金に回らない)。 で、国民が使うお金というのは、よく考えると実にあやふやで、たとえば、ある朝みんな起きた時、あれなんでサッカーって面白いんだっけってわからなくなってサッカーに興味を失ったとしたら、莫大な経済損失になります。昔見積もったことがありますけど、少なくともGDPの半分くらいは、そういう絶対必要というわけでないものが支えています。 そういう意味で私たちは相変わらず「愚か」である必要があります。別に理由なんてないけどぼくはこれにお金を払うのだ!で、財布の半分を持って行かれなくてはいけないのです。それは損なことではありません。私たちの給料の半分はそういうとこからきているのですから。 ということで改めて、くだんのセリフを整理をすると、昔は「特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせる」ということがあったなら、それは、大量のCMによるむりやり需要喚起で、人々が大企業の製品を買いまくっておこりました。税金はほんの一部です。 まあでもその構図はとうの昔に崩れてしまっています。 

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  • 目から鱗。未来の常識「子供は苦手なことを直すのが苦手」

    2015-06-20 03:45  
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     「子供は苦手なことを直すのが苦手」 言われてみたら、まったくもってその通りなんですが、そういう言葉になってませんでした。 それを教えてくれたのはこのコラム。 短所や苦手、子どものうちならなおる?  「昔から、“子どものうちなら直る”と、まことしやかに言われてきましたが、実は、子どもは短所や苦手を直すことが苦手なんです」
     た、確かに。子供は吸収力があるので、苦手なことでも簡単に克服できるようなイメージありましたが、二人の子供を育ててて、苦手なことは直らないことといったら、もうなんでだろうと毎日のように不思議に思ってました。 たとえば食事のマナー。ひじつくなとかものごころついた頃からしつけているはずなのに、今でもやっちゃう。そんなんじゃ、将来誰も結婚してくれないからねと、おどしてるんだけど直りません。かなりまじめに一生直んなかったらどうしようと心配していたのですが、これを読んでようやく一息つけました。自己改造をするなら、子どものうちよりかえって大人の方が可能性はあるそう。 
     苦手を克服するには、強い意志や忍耐力が必要であり、子供にはそういう能力がまだ備わっていません。 た、確かに。ですから、子供のうちは好きなことをのばしてくれればいいのでした。そのあと苦手なことで克服したいことを克服していけばいいのです。 そう言われると、なるほどテーブルマナーが悪いと結婚してもらえないという脅しも別の色彩を帯びてきます。 

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  • 唐突に始まった大学独立戦争

    2015-06-19 06:15  
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     未来から見ると、今大学周りで起こっているできごとは、歴史的転換期の象徴と言われることでしょう。 今大学の周りにはいろんな問題がくすぶっていたのですが、そんな中起こったこの出来事をきっかけに事態は一気に大学と政府の全面戦争に突入しそうな気配です。 集団的自衛権行使、全参考人が「違憲」 衆院憲法審  :日本経済新聞  集団的自衛権行使に関する法案を審議している中で、与党が推薦した憲法学者が政治家の意に反して「違憲」と発言した衝撃的なできごとです。 これに対して安倍首相や内閣は、まあ、私が見てる範囲では憲法学者を全否定しています。 これはあまり上手なやり方ではなく、学者というプライドの権化のような人に対しては、その発言に一定の理解を示しつつも、でも現場ではこうだからと、運び方があるのに、安倍首相や内閣は、焦りもあったのでしょうか、全否定したわけです。 これは、発言をした学者がいかるだけの問題ではありません。 311の頃から顕著ですが、政府に呼ばれて政府が期待する発言をする学者は、市民に「御用学者」という烙印を押されます。でも、学者はそれぞれ、自分の学者人生に照らし合わせて、自身の名誉をかけてそう発言されています。そういう人がそのとき選ばれて呼ばれているだけです。 そして今回、自民党推薦として呼ばれた学者は、自分の学者としての立場をかけて発言し、それは政府の期待するものではありませんでした。 そしたら、なんか全否定されたわけです。ついに学者はブチ切れます。
    これか。与党議員に「安全保障の素人」と言われ、憲法学の権威である長谷部教授が本気でブチギレたコメント。論理上あらゆる逃げ道を塞いだ上で十字砲火を浴びせてる。さすがとしか言いようがない。 http://t.co/am350RTkWo pic.twitter.com/KhTEScqj3X
    ― たられば (@tarareba722) 2015, 6月 17
     発言の重要な部分を画像で引用していますが、元の発言の全文はここで見られます。 安保関連法案の撤回を求める長谷部氏と小林氏の発言詳報:朝日新聞デジタル  いやー怒ってます。感情を抑えがちな学者がここまでいうのは、まさに「本気でブチギレ」状態。とくに印象的なのはこの部分。 別の言い方をすると、今の与党の政治家の方々は、参考人が自分にとって都合の良いことを言ったときは専門家であるとし、都合の悪いことを言ったときは素人だという侮蔑の言葉を投げつける。自分たちが是が非でも通したいという法案、それを押し通すためならどんなことでもなさるということだろうか。
     今まで市民に「御用学者」の烙印を押されようとも、学者は自身の学者人生にかけて国会などで発言してきましたが、今回政治家の都合の悪いことをいえば、素人の烙印。 これは直接言われた長谷部教授が怒って済んでる問題ではありません。全国の学者がこれを冷ややかに見ているのです。「ふ〜ん、そうなんだ、都合悪いこと言うと全否定なんだ」と。 たとえば、新聞で「政府は長谷部教授の発言に一定の理解を示しつつも、世界情勢を鑑みて、この法案成立の重要性を改めて強調した」な〜んて紹介されるような対応をしていれば、問題になることはなかったでしょう。でもそうはしなかったのです。 結果、こちら、「安全保障関連法案に反対する学者の会」ではすでに5000人以上の学者が署名しているようです。こんなことって今まであったでしょうか。 さあ、このような状況の中、大学はいまいろんな問題を突きつけられているわけですが、ついにまず京都大学が反逆ののろしを上げました。 人文社会系学部「京大には重要」 山極総長、文科省通達に反論  文部科学省が国立大学に人文社会系の学部や大学院の組織見直しを通達したことについて、京都大の山極寿一総長は17日、「京大にとって人文社会系は重要だ」と述べ、廃止や規模縮小には否定的な考えを示した。
     そう、なんか経済効果のない学部はやめろ的通達を受けていたんですが、京大がきっぱりと拒否したのです。 集団的自衛権の問題とは直接は関係なかったのですが、憲法学者も人文社会系ですから、憲法学者が全否定されたことは、人文社会系の学者にしてみれば、文科省の「人文社会系イラネ」通達を連想しないわけがありません。 そして、さらに国歌問題。 <国旗国歌要請>文科相「適切判断」迫る 国立大学長は困惑(毎日新聞) - Yahoo!ニュース  下村博文・文部科学相は16日、東京都内で開かれた国立大学86校の学長を集めた会議で、入学式や卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱を要請した。
     なんか、まあそう言いたくなる気持ちは分からないでもないですが、ものすごいタイミング。これ読んだら、「やっぱり安倍首相は戦争したいんだ!」と思う人わんさか出ます。本気でやりたかったら、集団自衛権の法案通してからごりごりやればいいと思うんですけど、そうではなく、いまこのタイミングで大学に対して「誰が金出してると思ってるねん」とすごんでいるわけです。お金出してるの本当は国民なんですけど、その代理人としてすごんでいます。  これについても、京大はネガティブなコメントをしています。山極総長は「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てるためには人文社会系を失ってはならない。(下村博文文科相が要請した)国旗掲揚と国歌斉唱なども含め、大学の自治と学問の自由を守ることを前提に考える」と説明した。
     京大は日本二番の大学とはいえ、これらの発言をきっかけに、予算削減の嫌がらせを受けるかもしれませんが、まあもう、こんだけ喧嘩売られたら当然買うだろうと腹をくくったのです。 憲法学者全否定の件で一番怒っているのは間違いなく東京大学です。参考人などとして呼ばれる学者の数はダントツです。多くの東大学者は今回の全否定顛末を見ていますから、この京大のコメントに共感する学者も多いでしょう。 とはいえ、いろいろ大人の事情はありますから、京大ほどすぐにはコメント出てこないと思いますけど、タイミングがくれば同様のコメントを出してくる可能性はかなりあると思います。 賽は投げられました。 お金を出しているのは国民です。今後京大など反旗を翻した大学の予算を政府が削ろうとしたら、納得のいかない国民も出てくるでしょう。世論がどちらの味方につくのかたいへん気になるところです。 今回の長谷部教授たちの発言を通して、国民は、学者は政治家に都合にいいことをいう御用学者だけじゃないんだということを決定的に印象付けられました。京大総長の、大学は「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てる」必要がある、という言葉に納得する人も多いでしょう。政治家が暴走しないために大学は必要であると。 今後国民の反応を見ながら、大学は自分たちの使命をはっきりと再定義するために、政治家と戦っていくことになると思います。最近は職業訓練所的な方向に成り下がっていくのかという危機感もあったでしょうから、このきっかけを逃すことはありません。 

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  • [S]10代と議論していると分かるやケツまくって逃げないといけない訳

    2015-06-17 23:30  
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     いつもとちょっと違う水曜、今回は気楽に書き始める記事[S]です。 ちょっと前の話題なんですが、こんな騒動がありました。  【悲報】総理補佐官の礒崎陽輔 (@isozaki_yousuke)が、ツイッターで喧嘩をふっかけるも論破され、相手が10代女子とわかるとブロックして逃走←バカ - Togetterまとめ   総理補佐官の礒崎陽輔さんが、集団的自衛権を火事にたとえて説明したところ、ある一般人から、「火事に例える例えが悪い」、「集団的自衛権と個別的自衛権の違いがわかっていない」、「どの国も日本を守るために戦争などしていない」と指摘されるも、答えに窮するうちに、その相手が10代の女性とわかったら、ブロックして議論をやめたという顛末です。 選挙権が18歳に引き下げられることになりましたし、政治における若い人の存在感は今後ますます高くなっていくでしょうから、このような騒動はこれからよくある風景なのかなあとも思いますが、これは政治家にとってなかなか対応がやっかいな問題であり、これからどんな騒動がおきるか目が離せそうもありません。 去年の11月にもひと騒動ありました。 大人達、#どうして解散? にどんだけうろたえてるん   小学生を騙ったサイトを20際の学生が作ったもので、この時はやった本人がフルボッコされて、社会の人たちはほっとしましたが、もしもこの小学生はキャラですとわかるようになっていたら、あるいはやったのが19歳だったらどうなっていたのかかなり興味深い事例でした。 そして今回はまさに未成年による直球議論だったのです。 いったん社会に組み込まれた社会人たちは、議論をするとき、純粋に議論はできなくなります。お互い立場があるからです。交渉についても、なにか合意をしようとするには、お互い何かを諦めなくてはならず、純粋に議論をしているように見えて、互いになにを諦めるんだという腹の探り合いになります。 しかし、議論の相手が、交渉の相手が若者になると状況は変わります。若者は失うものがないからです。 かつてアメリカの女子大学生が立ち上げた Teach For America (参考:東大院生 町議トップ当選 )という教育プログラムがあります。これも、最初の企業の協力を得てからは、どんどん協力を得ていきます。企業同士でこのようなプログラムを立ち上げようとすると、お互いどんな見返りがあるのか、そのためにいくら出す気があるのかと腹の探り合いになってしまいますが、大学生が正論でぶつかってきては、拒むことは困難です。 かつて、いつわりとはいえ小学生が「どうして解散するの?」とイノセントな正論をぶつけてきたことが大きなインパクトがあったように、今回ももし本当に小学生が「どうして集団的自衛権なの?」とイノセントな正論を掲げるサイトを立ち上げたら、大きなインパクトとなることでしょう。 今回それにかなり近いことが起こりました。前回は偽の小学生でしたが、今回は言葉の乱暴な若者という落とし穴があったのです。礒崎陽輔さんにしてみれば、若者からいきなり乱暴な言葉で話しかけられましたから、どうなっても自分が不利になるようなことにはならないと思っていたことでしょう。未成年の可能性も考えていたと思いますが、それならなおさら議論して負けるとも思っていなかったことでしょう。 しかし、相手は予想外に鋭い指摘をしてきます。「日本を守る戦争が一体どこでいつ起きたの?起きるの?」という、その後国会で似たような質問が出てくることになる論点も出ています。 まあ、それでも仮に20歳以上であれば、言葉の悪さなどを指摘して、無理やりドローに持ち込むことができたかもしれませんが、未成年となると万事休す。外野の反応もありますから、どうやっても自分の有利に進むことはないでしょう。恥をかこうがブロックして強制幕引きが最善の対応で、その点は見事だったと思います。プライドを捨て切れなかったら、相手の口の悪さとか他の点責めて、ポイント取り返そうとするとおもうのです。さすが国会議員、百戦錬磨。 ということで、いくら未成年だろうが、きちんと鋭い議論をできる人はいくらでもいるわけで、でも昔は国会議員とそういう人が生々しく議論できることは難しかったのですが、いまやいつでも起こりうる時代になりました。 ですから、これから政治家は本音と建前でしのぎきることは難しくなっていくと思います。 

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