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情報発信しない経営者はいくらでも必要。情報発信されない情報もいくらでも必要
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情報発信しない経営者はいくらでも必要。情報発信されない情報もいくらでも必要

2014-07-10 21:00

    最近

     45歳以下の重役はSNSで自信を持って発言できなければ、もう経営者にはなれない

    とか、その派生記事

     情報を発信しないシニアは、発信すべき情報を持っていない

    を拝見しました。

     そのタイトル通りの内容で、リチャード・ブランソンという鉄道や航空など様々なビジネスを束ねるヴァージン・グループの代表の成功例をもとに、「45歳以下の重役はSNSで自信を持って発言できなければ、もう経営者にはなれない」とか「情報を発信しないシニアは、発信すべき情報を持っていない」と意見を述べられています。

     が、全然そんなことありません。

     もちろん「SNSで自信を持って発言する」ことでさらに成功していく経営者・シニアもいますが、一方で「SNSで自信を持って発言したら」経営者になれない重役や、「発信すべき情報を持っている」のに情報を発信しないことが大事なシニアも世の中には必要です。

     「SNSで自信を持って発言する」リーダーとは、進むべき道を明確に示して、そちらにみんなをひっぱっていくタイプです。スティーブ・ジョブズとかすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。

     さてたとえば漁業の問題ではどうでしょう。水産資源が枯渇しそうで日本でも世界で取り入れられている個別割当方式が検討されています。しかし、この時「SNSで自信を持って個別割当方式を推進する」人は個別割当方式導入のまとめ役をすることは困難です。
     多くの反対者は漁業関係者であり、そういう人は明確な個別割当方式の推進者にいきなり心を開くことはありません。必ず間に立つ調整役が必要です。関係者それぞれの話にきちんと耳を傾け、共感し、それらを集約しながら、全員が合意形成できるようにバランスを取っていく人が必要なのです。

     このような人は、SNSなどで立ち場や意見を明言することはまずありません。せいぜい非常に常識的な意見だけでしょう。誰もが幸せに暮らす社会の実現のために貢献したいとか。
     さもなくば、その意見に否定的な意見を持つ人とは会った瞬間から反発されてしまいます。それではまずいのです。
     
     ですから、このような人がマスメディア、ネットメディアで取り上げられることはなかなかありません。将来、個別割当方式導入が決まったとしたら、その裏には、カリスマ調整役が必ずいるはずですが、その名前が表に出ることはありません。

     でも、そういう人を社会は常に必要としています。スティーブジョブズのようなカリスマリーダーも求められますが、それだけでは社会は回りません。

     このような人は、極めて重要な成果をあげますので、組織の中で取締役に相当する地位につくことも当然あります。ですから名簿上名前は出てきます。しかしその人が、SNSで積極的にアッピ〜ルなんてことにはなりにくいです。SNSで発言しなくても、取締役(経営者)として絶対外せないなんて人は、リチャード・ブランソンみたいな人よりはるかに多く存在することでしょう。

     次に、「情報を発信しないシニアは、発信すべき情報を持っていない」も常にあてはまるわけではありません。調整に長けている人は、調整の実例もたくさん持っているし言葉にできるノウハウもたくさん持っています。でも、そういった情報がネットに載ることはまずありません。
     でも1対1であれば喜んで話してくれる人もいます。いわゆる裏話的なものですから、それはそれは面白い話です。別に話してはいけない機密ではないのですが、ネットなんかでべらべら話してその内容や自分の名前が拡散してしまったら、二度と調整役になれないかもしれません。社会が必要としているその能力を失うことは社会の損失です。そんなことにならないよう、常に気を配っています。
     一方で、その能力は社会が必要とする重要な技術です。その技術を学びたいという人に対しては、1対1(あるいは数人)で真剣に語ってくださります。

     ですから、そういう情報が欲しければ、自分自身でそういう人を見つけて、個別に話を聞かなければなりません。調整のケーススタディを学ぶことは、働く人にとって極めて重要な情報です。しかし、それはネットではなかなか得られません。できれば自分がどのような調整が必要になるか想定し、調整が上手な人に相談してみましょう。生々しい実話を交えていろいろ教えてくれるはずです。


     
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