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――今回は新日本プロレスのイッテンヨン東京ドーム大会を振り返っていただきたいですが……大会前に2020年1月4日&5日の東京ドーム2連戦という驚愕の発表されました!
――最初の東京ドーム大会は平成元年のことで、1989年4月24日「'89格闘衛星☆闘強導夢」。平成と共に始まってるんですねぇ。
小佐野 あのときも「東京ドームという大会場が埋まるわけがない」という懐疑的な声の方が圧倒的だったんだから。それにあの当時の新日本ってそこまで調子がよくない中での東京ドーム初進出だからね。
――天龍革命の全日本プロレス、新生UWFのほうが勢いがありましたよね。
小佐野 「東京ドームは無謀だ」と言われながら、いまではすっかり定着してるわけだからね。それでも平坦な道のりだったわけじゃなくて「イッテンヨンも撤退か……」なんて噂もあった中で、どんなに苦しくてもイッテンヨンだけはやり続けた。イッテンヨンがあったからいまの新日本プロレス、そしてプロレス界の繁栄があると思ってるよ。
――新日本だけのイッテンヨンではないと。
小佐野 当時・新日本プロレスを敵視していたNOAHの仲田龍氏でさえ「新日本プロレスの東京ドーム興行がなくなったらプロレス界は終わる」と言ってたくらいだからね。それくらい業界に危機感があったということだよね。
――「プロレス界の灯火」が消えてしまうということなんでしょうね。
小佐野 それが来年は2日連続の東京ドーム開催だからね(笑)。いったいどういうことになるのか見当もつかないけど……それにWWEレッスルマニアの裏でMSG興行、G-1はダラスで初の海外開幕戦、大田区2連戦、日本武道館3連戦で優勝者を決めたあとに、ロンドン興行もやって、東京ドーム2連戦でしょ。このスケジュールの発表はインパクトがあったよね。世界規模のプロレス団体だよ。
――飛び道具で勝負してるわけじゃないのに、ここまで展開できるのも地力を感じますね。
小佐野 ここ最近は外国人レスラーを含めて新日本プロレスの所属選手だけで回してきてるからね。「冬の時代」はいろんなところから選手を借りるしかなくて、その結果まとまりのない大会になっちゃってたから。それこそアルティメットロワイヤルをやる羽目になったりね(笑)。
――迷走にもほどがあります(笑)。
小佐野 まあアレは極端すぎる企画だけど、馴染みのないTNAと急に対抗戦をやったりとか。東京ドームをやるために他団体の力を借りてその場しのぎのカードをやっていた時代があったよね。
――いまは無理しなくてもドームがやれちゃうし、いよいよ連日ができちゃうってことですね。もちろん簡単なことではないでしょうけど。
小佐野 今回もお客さんは入ってたからねぇ。発表は3万8162人で4万人には届かなかったけども、あ
の入りで4万人発表しないところがいまの新日本の自信の表れや、プライドなのかなとも思ったよね。
――目先の数字にはとらわれない余裕があるってことですね。
小佐野 今年は1月4日が仕事始めのところもあったことで、ダークマッチは16時開始、本戦開始が17時開始と例年より遅かったけど。ダークマッチの段階でかなりお客さんは入ってたからね。ダークマッチとは言っても、NEVER6人タッグ王座の挑戦者を決めるガントレットマッチに15人ものレスラーが出場して、その中には鈴木みのるもいたわけだからね。
――鈴木みのるがダークマッチって贅沢ですよねぇ
小佐野 その鈴木軍が翌日の後楽園ホールで主役に躍り出ちゃうところが新日本プロレスの層の厚さだよね。そりゃあドーム2連戦をやろうとするわけだよ。
――今回のメインはケニー・オメガvs棚橋弘至のIWGPヘビー級タイトルマッチでした。
小佐野 この試合はイデオロギー闘争云々と騒がれていた。プロレス界には昔からイデオロギー闘争は行なわれているけど、試合になれば噛み合わせていくのがプロレスラーだからね。ただ、今回の煽り方は個人的にはピンとはこなかったよね。何を持ってイデオロギーなのかがちょっとファンにはわかりづらいかな、と。たとえば「品がない」という話にしても、机を使ったから下品というわけでもないからね。
――見る側がどう捉えるかという問題もありますね。
小佐野 ストレートに言っちゃうと、「棚橋弘至のプロレスが好きか」「ケニー・オメガのプロレスが好きか」いうだけのことで。ファンの中には「ケニーのプロレスは受け付けない」っていう人はいるかもしれないし、もしくは「棚橋のプロレスは古いよ」という人間がいてもおかしくない。イデオロギーという言葉を使うことでファンが「どちらが好きか」という考える機会を作ったわけだからね。ここでイデオロギーという言葉を持ってきた棚橋はセンスがあるなあと思うけどね。<会員ページへ続く>
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コメント
コメントを書く小鉄さんが生きていたら、本当にどうなっていたんかな。
>>2
コメント欄のご利用ありがとうございます。以前もご指摘させていただきました記事の感想以外の投稿はお控えください。
飯伏幸太が天龍源一郎に近い、っていう発想はなかった。確かにあの試合では飯伏の狂気性はあまり感じられなかったという点で、彼の目指す試合ではなかったのかも。
小佐野さんに小鉄さんを語って欲しいなあ。