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第3回:【思潮】若者特集を読む(第2回):『ウレぴあ』2012年秋号
2012-11-25 19:001後藤和智の若者論と統計学っぽいブロマガ第3回:【思潮】若者特集を読む(第2回):『ウレぴあ』2012年秋号 今回は、『ウレぴあ』というあまり聞き慣れない雑誌の特集を見ていこうと思います。少なくともこの雑誌のタイトルから、これが「ぴあ」の派生であると言うことは分かると思いますが…。 この雑誌は基本的にマーケティング路線のようです。そしてなぜ私がこの雑誌を採り上げるのか。というのも、この雑誌が、1982~1987年生まれ、すなわち所謂「ロスジェネ」の直下の世代に対して「プレッシャー世代」という名前をつけているのです。ああ、またくだらない名付けが来たな、とこの雑誌に関するミクシィニュースを見たときに思いました。とはいえ読まないで論評するのは、世代論の研究者としての名が廃るというものなので、検討してみることとします。ちなみにこの雑誌の表紙にも、《ゆとり世代じゃない!》という言葉が踊っており、暗に「 -
第2回:【科学・統計】ありがちな科学批判の読み方――島薗進を例として
2012-11-15 19:007後藤和智の若者論と統計学っぽいブロマガ 第2回:【科学・統計】ありがちな科学批判の読み方――島薗進を例として 通常医療に対する批判(もしくはバッシング)言説の特徴として、「西洋医学は病気をねじ伏せようとする医学だ」というものがあります(多くの場合、そのような言説の直後には、「それと比べて、東洋医学はあらゆるものとの共存を目指す」というものが続くことが多いです)。しかし、そのような認識は本当に正しいのでしょうか。 そもそも医学の世界においては、どんな治療法に対しても、EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づいた医療)という立場に立ち、その正当性を検証されます。そして効果があると認められます。通常医療(いわゆる西洋医学)は東洋医学に対して閉鎖的と言われることはありますが、実際には、例えば漢方に対しては、寺澤捷年ほか編『EBM漢方』(医歯薬出版、2007年)で各種漢方 -
第1回:【思潮】若者特集を読む(第1回):『調査情報』506号
2012-11-05 19:00後藤和智の若者論と統計学っぽいブロマガ第1回:【思潮】若者特集を読む(第1回):『調査情報』506号 今回は、TBSテレビのTBSメディア総合研究所が発行している雑誌『調査情報』第506号(2012年5・6月号)の記事「いいじゃないの幸せならば?~当世「若者」論の虚実」について見ていきます。言うまでもなく、この特集は、古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)の認識を基底としており、古市もこの特集に登場しております。 その特集の中で古市は次のように述べております。 僕も出版社も誰も、この本が話題になるとは思っていなかった。「若者論」というのは、現代日本にはそぐわない「時代遅れ」のものであると思っていたからだ。(『調査情報』第506号p.3、以下断りがなければ同誌からの引用)
なぜ古市は「若者論」が「時代遅れ」だと考えるのか。それは、現在のような若者論が成立したのは、196
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