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【馬付】×を10個付ける前に最高裁裁判官のアンケートを整理してみたよ。
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【馬付】×を10個付ける前に最高裁裁判官のアンケートを整理してみたよ。

2012-12-11 06:59
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     1票の格差が違憲状態だと言ってるのに国会がうだうだしているのは最高裁が甘いからだ、などとにわかに最高裁裁判官の国民審査に注目が集まってきました。

     国民審査と一票の格差ではちきりんさんがわかりやすく最高裁裁判官の国民審査について解説した上で×を10個付ける予定と述べています。その裁判官は「○」でいいか最高裁裁判官の国民審査をどうする?でも江川紹子さんが×を10個付けようと呼びかけています。

     これらの呼びかけに反応して、ただ10個×付ける前に参考資料出しましょうと、町村泰貴さんが最高裁裁判官国民審査の参考資料を投稿しました。ふむふむ。

     また、時事通信が国民審査を受ける最高裁の10人の裁判官の略歴と関与した主な裁判、国民審査に当たって実施したアンケートへの回答を掲載しています(【1】【2】【3】)。が、この記事とにかく読みにくいのです。こんなの全然わかんないよっと、カッときたので、並び替えました。

     以下その時事通信の記事を整理した内容です。なお裁判官の順番は町村泰貴さんの投稿を参考に保守よりからリベラルよりにしてあります。

    まず、年齢 出身地 就任 元職業 経歴。

    大谷剛彦  65 東京都 2010/6  裁判官 最高裁事務総長、大阪高裁長官
    横田尤孝  68 千葉県 2010/1  検察官 広島高検検事長、最高検次長検事など
    小貫芳信  64 福島県 2012/4  検察官 名古屋高検検事長、東京高検検事長など
    山浦善樹  66 長野県 2012/3  弁護士 日本民事訴訟法学会理事、中央大法科大学院客員教授
    白木勇   67 愛知県 2010/1  裁判官 広島高裁長官、東京高裁長官
    大橋正春  65 東京都 2012/2  弁護士 日弁連常務理事、同法科大学院センター委員長など
    寺田逸郎  64 京都府 2010/12 裁判官 法務省民事局長、広島高裁長官など
    千葉勝美  66 北海道 2009/12 裁判官 最高裁首席調査官、仙台高裁長官
    須藤正彦  69 栃木県 2009/12 弁護士 日弁連綱紀委員会委員長、東京都労働委員会公益委員など
    岡部喜代子 63 東京都 2010/4   裁判官・研究者 東洋大法学部教授、慶応大大学院法務研究科教授

    次に、主な裁判で主要なものについての立場。2011年3月の衆院選の1票の格差訴訟で違憲状態と判断された裁判、2012年10月参院選の1票の格差訴訟で違憲状態と判断された裁判です。

    大谷剛彦 違憲状態 違憲状態
    横田尤孝 違憲状態 違憲状態
    小貫芳信 就任前  違憲状態
    山浦善樹 就任前  違憲状態
    白木勇  違憲状態 違憲状態
    大橋正春 就任前  違憲
    寺田逸郎 違憲状態 違憲状態
    千葉勝美 違憲状態 違憲状態
    須藤正彦 違憲状態 違憲
    岡部喜代子違憲状態 違憲状態

    判断には「合憲」、「違憲状態」、「違憲状態」より重い判断「違憲」があります。(なお元記事には「多数意見」「反対意見」とだけあるので、ここだけウィキペディアで調べて加えています。)

    その他の各裁判官の主な裁判

    大谷剛彦  混合診療の禁止を適法とした判決の裁判長(11年10月)
    横田尤孝  明石歩道橋事故で警察署元幹部を実刑とした決定の裁判長(10年5月)
    小貫芳信  男性にけがをさせたとして特別公務員暴行陵虐致傷罪の付審判決定を受けた警察官を無罪とした決定の裁判長(12年9月)
    山浦善樹  収賄事件で前福島県知事を有罪とした決定に関与(12年10月)
    白木勇   ネットの書き込みによる名誉毀損(きそん)を報道と同基準で判断すべきだとした決定の裁判長(10年3月)
    大橋正春
    寺田逸郎  福岡市の幼児3人死亡事故で元市職員に危険運転致死傷罪の成立を認め実刑とした決定の裁判長(11年10月)
    千葉勝美  自治体首長への賠償請求権を放棄する地方議会の議決について、裁量権乱用の場合は無効となるとした判決で裁判長(12年4月)
    須藤正彦  卒業式の君が代斉唱の起立命令を合憲とした判決で裁判長(11年5月)
    岡部喜代子 著作権法違反ほう助罪に問われたファイル交換ソフト「ウィニー」開発者を無罪とした決定で裁判長(11年12月)

    おお、「ウィニー」の裁判とかありました、ありました。

    次に(1)「1票の格差」に対する国会の対応をどう思うか という問いに対する回答。それぞれの立場が良く現れています。

    大谷剛彦  今後も訴訟提起が予想されることから意見は控える
    横田尤孝  意見は控える
    小貫芳信  意見を控える
    山浦善樹  違憲状態を解消するため必要な法改正を速やかに行うことを期待
    白木勇   将来最高裁で判断を示す可能性があるので回答は控える
    大橋正春  判決で述べるべきで回答は控える
    寺田逸郎  国会の対応の評価を含め、裁判官として示すところに尽きる
    千葉勝美  違憲状態と判断し是正を求めた事項は、国会でそれに沿った対応がされた部分もあるが、その余については今後しっかりした見直しを期待
    須藤正彦  判決での自分の個別意見に譲る
    岡部喜代子 総選挙までに区割りの改正まで至らなかったことは残念

    (2)最近の再審無罪事件に対する感想と誤判検証の在り方 という問いに対する回答。科学技術に対する考えが入る人や違う角度からなど、もっとも個性的。

    大谷剛彦  罪のない人を罰することがあってはならないのは当然。このような事態が生じないよう常に自戒すべきだ
    横田尤孝  意見は控える
    小貫芳信  冤罪防止は永遠のテーマで、常に心に留めておかなければならないが、個別事件の判断に関することなので意見を控える
    山浦善樹  誤判や冤罪(えんざい)はあってはならない。新しい科学的知見を積極的に取り入れることが必要
    白木勇   無実の人が処罰される事態はあってはならず、裁判官として先入観を排し、謙虚に事件に向き合う必要がある。建設的な方策を考える必要がある
    大橋正春  取り調べられた証拠のみに基づいて行う事実認定の制約をどう乗り越えるか、重い課題を突き付けられた。裁判官の独立に配慮した上で冷静な検討が必要
    寺田逸郎  証拠の評価における経験則の「思い込み」を排し、謙虚な姿勢を持ち続ける重要性を再認識させられる
    千葉勝美  誤判はあってはならず、常に自戒し、適正な判断を心掛けたい。裁判所が主体的に研究し、最新科学技術の活用の在り方を検討する必要がある
    須藤正彦  個別事件の意見は控える。裁判の独立を侵さない範囲での調査、研究が必要
    岡部喜代子 大変大きく重い問題。研究者と実務家がそれぞれ検討することが必要

    最後に(3)裁判官としての心構え に対する回答。

    大谷剛彦  当事者の意見を素直に聞き、真っすぐに事実を見て、自分に正直に、率直な意見を述べる
    横田尤孝  裁判への畏れの念を抱きながら誠心誠意職責を果たす
    小貫芳信  当事者の言い分には虚心に、事実には謙虚に、判断は公正でありたい
    山浦善樹  職責の重大性を念頭に置き、一件一件真剣に取り組む
    白木勇   常に公平、誠実
    大橋正春  中立、公平な立場で一つ一つの事件を誠実に処理する
    寺田逸郎  時代を通じて変わりのない理と、時代ならではの新しい要素にどう折り合いをつけ、社会での個人の権利義務を位置付けていくか見誤らないようにする
    千葉勝美  広い視野と正義感を忘れず、緊張感を持って職責を果たす
    須藤正彦  誠実、公平、正義感を基本に多角的な視点から判断する
    岡部喜代子 事実を虚心に見る

     以上です。これに留まらず過去の裁判でどういう立場を取ったか簡単に閲覧できるようになるといいですね。

     また、最高裁のあり方に、是非とも「批判票」をという記事には元職業による傾向などが書かれていてこれも参考になりました。

     こうやって整理したら、どう投票するか楽しみになってきました。「そもそも投票用紙を受け取らない」という選択肢があることを今回初めて知りましたが、そんなの駆使してる場合ではなくなりました ^^;;

     最高裁の判断っていつもなにげに国民意識してるよなーと感じていたのですが、ちきりんさんの解説でとても納得しました。たとえ罷免にならなくても罷免票の率は残るわけで、なるほどだから国民の意識が伝わるです。伝わるとなれば、やる気も出ます。罷免となるとなんだかとてもおおごとで迂闊に×は付けられませんが、まだまだ罷免にはほど遠いですから、国民による成績表のつもりで、ちょっと頂けない人にいくつか×つけてみるのもよいのではないでしょうか。

    (追記)国民審査については、@FumiHawk さんのまとめも分かりやすいです。また詳細記事の「裁判官の傾向をまとめた表」がすごい!

     
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    ===
     この記事には、【馬車目線】からの解説

    があります。


    ・併せてどうぞ
    【勝手に楽観シリーズ:8】人口の少ない若い世代が勝たせたい候補を勝たせる方法 これだけネットに情報が揃ってくると、若い世代が親に政策マッチングサイト教えるとか、裁判官国民投票のデータ見せるとか、今回若い世代を通して選挙を考えるようになる年配の人が急増するのではないでしょうか。世代間対立は深刻になるより、むしろ融和していく気がします。



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